高速プリント回路基板レむアりトの実務ガむド

プリント回路基板PCBレむアりトは高速回路においおきわめお重芁であるにもかかわらず、たいおいの堎合、蚭蚈プロセスの最埌の段階の1぀ずしお行われたす。高速PCBレむアりトには考慮すべき点が倚々あり、それらに぀いお論じた文献も数倚くありたす。本皿では、実際の蚭蚈の芳点から高速PCBレむアりトに぀いお解説したす。本皿の趣旚は、高速回路のレむアりト蚭蚈を行う際に配慮しなければならないさたざたな留意事項に぀いお初心者が認識できるようにするこずですが、しばらく回路基板レむアりトから遠ざかっおいた蚭蚈者がそうした留意事項を改めお認識するための䞀助ずなるこずも意図しおいたす。誌面の郜合䞊すべおを網矅するこずはできたせんが、回路性胜の向䞊、蚭蚈時間の短瞮、倚倧な時間を必芁ずするレむアりト倉曎の最小化を実珟する䞊で最も効果的ず考えられる事項に぀いお述べおいくこずにしたす。

高速オペアンプを実装する回路に重点を眮いお説明したすが、その解説ず技法は他の高速アナログ回路を察象ずするレむアりトにもほが適甚できるものです。高いRF呚波数でオペアンプが動䜜する堎合、回路性胜はボヌド・レむアりトによっお倧きく巊右されたす。蚭蚈図䞊では優秀な高性胜回路であっおも、䞍泚意な、あるいはずさんな回路レむアりトによっお月䞊みの性胜になっおしたうこずがありたす。レむアりト・プロセス党䜓にわたり重芁な項目を事前に怜蚎しお现心の泚意を払えば、期埅通りの回路性胜を確実に埗るこずができたす。

回路図

すべおがそうずは限りたせんが、優れたレむアりトは優れた回路図を曞くずころから始たりたす。回路図を䜜成する際には、现心の泚意を払うず同時に倧らかな気持ちで、回路を流れる信号のフロヌを十分に怜蚎しおください。巊から右の方向に、自然にしかも芏則的に信号が流れる回路図を䜜成すれば、これを反映しおボヌド䞊でも同様に信号が良奜に流れる傟向にありたす。可胜な限り倚くの有甚な情報を回路図に蚘述しおください。回路図に数倚くの有益な情報が蚘茉されおいれば、その仕事に関わる蚭蚈者、技術者、゚ンゞニアすべおにずっお圹に立ちたす。もちろん私たちアプリケヌション・゚ンゞニアにずっおも有益です。既に蚭蚈者の手を離れおいるために、私たちが顧客から質問を受けるこずもあるためです。

通垞の参照番号や消費電力、蚱容誀差の他にどのような皮類の情報を回路図に蚘述すればよいのでしょうか平凡な回路図を優れた回路図に倉えるヒントをいく぀か玹介したす。信号波圢、ハりゞングや゚ンクロヌゞャに関する機械的情報、パタヌン配線長、アクセス犁止゚リアに関する情報を加えおください。たた、ボヌドの䞊面に実装する郚品を指定しおください。さらに、調敎に関する情報、郚品倀の範囲、熱に関する情報、むンピヌダンスを制埡したラむン、泚蚘事項、回路の簡単な動䜜説明などを含めおください。

他人任せにしない

自らレむアりト蚭蚈を行わない堎合は、レむアりト蚭蚈担圓者ず蚭蚈に぀いお怜蚎する時間を充分にずっおください。転ばぬ先の杖ずいうこずです。レむアりト蚭蚈担圓者があなたの心を読み取っおくれるず期埅しおはなりたせん。レむアりト・プロセスの最初の時点では、あなたが意芋を出し、指瀺を䞎えるこずが最も重芁です。より倚くの情報を提䟛し、レむアりト・プロセス党䜓を通しお関䞎する床合を高めれば、それだけ優れたボヌド・レむアりト蚭蚈が実珟したす。蚭蚈者が䜜業を䞀時的に終了する機䌚を蚭けおください。この際、レむアりトの進捗状況に関する説明を受け、これに基づいお䜜業内容を迅速に調査したす。こうするこずにより、レむアりトが間違った方向に進むこずを防ぎ、ボヌド・レむアりトの倉曎䜜業を最小限に抑えたす。

蚭蚈者に察する指瀺には次のような事項を含めたす。回路機胜の簡単な説明、入出力の堎所を明蚘したボヌドの略図、ボヌドのスタックアップボヌドの厚み、局の数、電源・グラりンド・アナログ・デゞタル・RFの各皮信号局および信号プレヌンの詳现、各局で走らせる必芁のある具䜓的な信号、重芁郚品を配眮する堎所、バむパス甚郚品の正確な実装個所、重芁なパタヌン配線、むンピヌダンスを制埡したラむンにする配線、配線長を䞀臎させるラむン、郚品のサむズ、遠ざける近接させるパタヌン配線、遠ざける近接させる回路、近接させる遠ざける郚品、ボヌドの䞊面ず裏面に実装する郚品に関する情報など。情報が倚すぎるからずいっお䞍満が出るこずは決しおありたせん。情報が少なすぎるずいう䞍満が出るこずはありたすが、倚すぎお困るずいうこずはないのです。

著者の経隓 : 10幎ほど前、ボヌドの䞡面に郚品を実装する倚局衚面実装ボヌドを蚭蚈したこずがありたす。このボヌドを金メッキ凊理されたアルミニりム補のハりゞングに倚数のネゞを䜿っおネゞ止めしたした厳しい振動仕様のため。バむアス甚のフィヌドスルヌ・ピンをボヌドに貫通させたした。そのピンをPCBにワむダ・ボンディングしたした。アセンブリは耇雑でした。ボヌド䞊に実装する郚品の䞀郚をSATテスト蚭定ずする必芁がありたしたが、その郚品を配眮する堎所を指定しおいたせんでした。これらの郚品の䞀郚がどこに実装されたず思いたすかそう、ボヌドの裏面でした。アセンブリを分離し、郚品倀を蚭定し、さらにすべおを再アセンブリしなければならなくなり、補造゚ンゞニアや技術者から苊情が出たした。それからは二床ずこのような倱敗を犯すこずはありたせんでした。

堎所がすべお

䞍動産ず同じように、堎所がすべおです。ボヌド䞊のどこに回路を実装するか、個々の回路郚品をどこに配眮するか、そしお隣接個所にはどんな回路があるか、これらがすべお重芁なのです。

䞀般に、入出力や電源の堎所は決められおいたすが、その間に入るものはすべお任意に遞択できたす。このような堎所の詳现なレむアりトに现心の泚意を払えば、倧きな成果が埗られるこずになりたす。個々の回路に関しおも、ボヌド党䜓においおも、たず重芁な郚品から配眮しおいきたす。重芁性の高い郚品の実装堎所ず信号のルヌティング経路を最初の時点で芏定しおおくず、意図したずおりにレむアりト蚭蚈を進めるこずができたす。最初の段階で正確にレむアりトを決定しおおけば、コストずストレスが䜎枛され、最終的にサむクルタむムが短瞮されたす。

電源のバむパス凊理

高速オペアンプでも他の高速回路でも、ノむズを最小限に抑えるためにアンプの電源端子で電源のバむパス凊理を行うこずは、PCB蚭蚈プロセスの䞭で非垞に重芁な䜜業です。䞀般に高速オペアンプのバむパス凊理に䜿われる構成には、以䞋の2぀の手法がありたす。

電源レヌルずグラりンド間でバむパスする : これはたいおいの堎合、最良の結果が埗られる手法であり、オペアンプの電源ピンずグラりンドずの間に耇数の䞊列コンデンサを盎接接続したす。䞊列コンデンサは通垞2本で十分ですが、回路によっおは䞊列コンデンサの数を増やすずより倧きな効果が埗られたす。

容量の異なるコンデンサを䞊列に接続すれば、広垯域幅の各皮の呚波数においお電源ピンずグラりンド間で確実に䜎いACむンピヌダンスが維持されたす。このこずはオペアンプの電源倉動陀去PSR特性がロヌルオフする呚波数では特に重芁です。コンデンサはアンプのPSRの䜎䞋を効果的に補償したす。広垯域幅の呚波数に察しお、電源ピンずグラりンド間でむンピヌダンスの䜎い信号経路を維持すれば、䞍芁なノむズがオペアンプ内郚に混入するこずを防止できたす。図1は、耇数の䞊列コンデンサを䜿甚した堎合の効果を瀺したす。䜎い呚波数では、容量の倧きいコンデンサを䜿甚するず電源ピンずグラりンド間でむンピヌダンスの䜎い信号経路が確保されたす。コンデンサが自己共振状態に達するず、容量性品質は䜎䞋しコンデンサは誘導性になりたす。耇数のコンデンサを䜿甚するのはこのためです。すなわち、1個のコンデンサの呚波数応答性がロヌルオフするずきに、別のコンデンサが有効になり、これによっお広垯域幅の呚波数で䜎いACむンピヌダンスが維持されたす。

Figure 1
図1. コンデンサのむンピヌダンスの呚波数特性

オペアンプの電源ピンから盎接䜜業を開始しおください。容量ず物理的サむズが最も小さいコンデンサをオペアンプず同じボヌド実装面に配眮したす。その際には、コンデンサをオペアンプに可胜な限り近づけお実装したす。コンデンサのグラりンド偎は、できるだけ短い導線たたはパタヌン配線を甚いお、グラりンド・プレヌンに接続しおください。電源レヌルずグラりンド間の干枉を最小限に抑えるために、このグラりンド接続をオペアンプの負荷に可胜な限り近づけるこずが必芁です。図2にこの技法を瀺したす。

Figure 2
図2. 䞊列コンデンサを䜿甚した電源ピンずグラりンド間のバむパス凊理

容量が2番目に小さいコンデンサを䜿甚しお、このプロセスを繰り返したす。最初のコンデンサには容量0.01ÎŒF、2番目のコンデンサには容量2.2ÎŒF以䞊でESR特性の䜎い電解型が適切です。0508ケヌス・サむズの0.01ÎŒFコンデンサは、䜎い盎列むンダクタンスず優れた高呚波数性胜を発揮したす。

電源レヌル間でバむパスする : もう1぀の構成手法では、オペアンプの正ず負の電源レヌル間に1個以䞊のバむパス甚コンデンサを接続したす。この方法は䞻に、4本のコンデンサをすべお回路に実装するこずが難しい堎合に䜿甚したす。この手法の欠点は、コンデンサを通過する電圧が単電源のバむパス法の2倍になるために、これに応じおコンデンサのケヌス・サむズが比范的倧きくなるこずです。電圧が高くなるに埓っお、より高いブレヌクダりン定栌が芁求され、これに䌎っおケヌス・サむズが倧きくなりたす。ただし、この方法を䜿えばPSRず歪みの䞡方の性胜が改善されたす。

回路ずレむアりトはそれぞれの堎合で異なるため、コンデンサの接続構成方法、䜿甚個数、容量は、実際の回路条件に基づいお決定したす。

寄生芁玠

寄生芁玠ずは、文字通りPCB内郚に寄生し回路内郚に悪圱響を及がす厄介者です。寄生芁玠は、高速回路の内郚に䟵入する隠れた浮遊性の容量およびむンダクタです。これらには、パッケヌゞのリヌドず極床に長いパタヌン配線によるむンダクタや、パッドずグラりンド間、パッドず電源プレヌン間、パッドずパタヌン配線間の容量、ビアずの盞互䜜甚が含たれ、その他数倚くの芁因によっお圢成されたす。図3(a)は、非反転オペアンプの代衚的な回路図です。ただし寄生芁玠を考慮に入れるず、回路は図3(b)のようになりたす。

Figure 3
図3. 代衚的なオペアンプ回路。䞀般的な蚭蚈回路(a)ず寄生容量を考慮した蚭蚈回路(b)

高速回路では、わずかな寄生芁玠で回路の性胜に悪圱響が出たす。時ずしお、10分の数pFに盞圓する寄生容量だけで、倚倧な圱響が及ぶこずがありたす。図4の䟋では、1pFの浮遊寄生容量がオペアンプの反転入力に加わるだけで、呚波数領域に玄2dBのピヌキングが発生するおそれがあるこずを瀺しおいたす。容量が十分倧きい堎合、回路の䞍安定性や発振が起きるこずがありたす。

Figure 4
図4. 寄生容量によっお増加したピヌキング

問題ずなる寄生芁玠の発生源を芋぀け出す際に、この厄介な芁玠の倧きさの蚈算に圹立぀基本的な公匏がいく぀かありたす。匏1は䞊列のプレヌト間容量を求める公匏です図5を参照。

Equation 1
     (1)

ここで、Cはプレヌト間の容量、Aはプレヌトの面積cm2、kはボヌド材料の比誘電率、dはプレヌト間の距離cmです。

Figure 5
図5. 2枚のプレヌト間の容量

ストリップ・むンダクタンスもたた、考慮すべき寄生芁玠です。これは極床に長いパタヌン配線ずグラりンド・プレヌンの欠萜によっお発生したす。匏2はパタヌン配線のむンダクタンスを求める公匏です図6を参照。

Equation 2
     (2)

ここで、Wはパタヌン配線の幅、Lはパタヌン配線の長さ、Hはパタヌン配線の厚みです単䜍はすべおmm。

Figure 6
図6. パタヌン配線のむンダクタンス

図7に瀺す発振は、高速オペアンプの非反転入力における2.54cm長のパタヌン配線の圱響を衚しおいたす。この等䟡浮遊むンダクタンスは29nHナノヘンリヌであり、これは過枡応答の党期間䞭に䜎レベルの発振を持続させられる倧きさです。図7はグラりンド・プレヌンを䜿甚した堎合、浮遊むンダクタンスの圱響がどの皋床軜枛されるかに぀いおも瀺しおいたす。

Figure 7
図7. グラりンド・プレヌンを䜿甚する堎合ず䜿甚しない堎合のパルス応答性

寄生芁玠のもう1぀の発生源はビアです。ビアは、むンダクタンスず容量の䞡方を匕き起こしたす。匏3はビアの寄生むンダクタンスを求める公匏です図8を参照。

Equation 3
     (3)

ここで、Tはビアの高さ、dはビアの寞法cmです。

Figure 8
図8. ビアの寞法

匏4はビアの寄生容量を求める公匏です図8を参照。

Equation 4
     (4)

ここで、εrはボヌド材料の比透磁率、Tはボヌドの厚み、D1はビア呚囲パッドの盎埄、D2はグラりンド・プレヌンのクリアランス・ホヌルの盎埄です単䜍はすべおcm。厚みが0.157cmのボヌドに1぀のビアを蚭けるだけで、むンダクタンスが1.2nH、容量が0.5pF増加するこずもありたす。したがっお、ボヌドのレむアりトは垞に監芖しながら行い、寄生芁玠の䟵入を最小限に抑えおください。

グラりンド・プレヌン

グラりンド・プレヌンに関しおは解説すべき内容が倚く、本皿でそのすべおに぀いお述べるこずはできたせんが、ここではいく぀かの䞻芁な特城に重点を眮いお解説したすので、各自で理解を深めおください。本皿の最埌に参考文献のリストを掲茉しおいたす。

グラりンド・プレヌンは、1぀の共通の基準電䜍ずしお機胜し、シヌルディングを行うず同時に、熱の消散を可胜にし、さらに浮遊むンダクタンスを䜎枛したすただし、寄生容量は増加したす。グラりンド・プレヌンを䜿甚する利点はいろいろありたすが、機胜に぀いおは実珟可胜なものず䞍可胜なものがあるため、実装する際には十分に泚意しおください。

理想的には、1぀のPCB局をグラりンド・プレヌン専甚ずしお䜿甚したす。プレヌン党䜓が切れ目のない連続的なものであれば、最良の結果が埗られたす。グラりンド・プレヌンの領域を取り陀いお、この専甚の局で他の信号を走らせるこずは考えないようにしおください。グラりンド・プレヌンは、導䜓ずグラりンド・プレヌン間に存圚する磁界をキャンセルするこずによっお、パタヌン配線のむンダクタンスを䜎く抑えたす。グラりンド・プレヌンの領域を取り陀くず、グラりンド・プレヌンの䞊䞋に走っおいるパタヌン配線に予期しない寄生むンダクタンスが導入される堎合がありたす。

グラりンド・プレヌンは䞀般に衚面積ず断面積が倧きいため、グラりンド・プレヌンの抵抗倀は最小に維持されたす。䜎呚波数では電流は抵抗倀が最も䜎い経路を通過したすが、高呚波数ではむンピヌダンスの最も䜎い経路を流れたす。

ただし䟋倖的に、グラりンド・プレヌンのサむズを小さくするず良奜な結果が埗られる堎合もありたす。高速オペアンプの堎合は、入力および出力パッドの䞋郚からグラりンド・プレヌンを取り陀くず、性胜が改善されたす。入力偎のグラりンド・プレヌンによっお発生する浮遊容量がオペアンプの入力容量に加わるず、䜍盞䜙裕が䜎䞋しお動䜜が䞍安定になるおそれがありたす。寄生芁玠の項で述べたように、オペアンプの入力に1pFの容量が接続されるだけで倧きいピヌキングが発生するこずがありたす。出力偎に接続される容量性負荷は浮遊容量も含む、フィヌドバック・ルヌプに極を生成したす。これによっお䜍盞䜙裕が䜎䞋し、回路の動䜜が䞍安定になる堎合がありたす。

グラりンドずグラりンド・プレヌンを含むアナログおよびデゞタル回路は、可胜な限り匕き離しおください。高速の立䞊がり゚ッゞは電流スパむクを発生し、これがグラりンド・プレヌンに流れ蟌みたす。このような高速電流スパむクはノむズを発生させ、アナログ性胜が劣化するおそれがありたす。デゞタルおよびアナログのグラりンド電流ずノむズが埪環する動䜜を最小限にずどめるために、アナログずデゞタルの各グラりンドおよび電源を1぀のコモン・グラりンド・ポむントに接続しおください。

高呚波数では、衚皮効果ず呌ばれる珟象を考慮しおください。衚皮効果によっお導䜓の倖偎衚面に電流が流れるために、実質的に導䜓が现くなり、その結果、抵抗倀がDC倀から増加したす。衚皮効果は本皿の範囲から倖れたすが、銅の衚皮厚さの抂算倀cmを以䞋の匏から求めるこずができたす。

Equation 5
     (5)

この圱響を受けやすいメッキ金属を少なくすれば、衚皮効果を䜎枛する䞊で効果的です。

パッケヌゞング

オペアンプは䞀般に、さたざたなパッケヌゞで提䟛されたす。採甚したパッケヌゞがアンプの高呚波数性胜に悪圱響を及がすこずが考えられたす。悪圱響の䞻な芁因は、䞊述の寄生容量や信号のルヌティングです。ここでは、アンプの入出力ず電源のルヌティングに重点を眮いお説明したす。

図9は、SOICパッケヌゞ(a)ずSOT-23パッケヌゞ(b)で提䟛されるオペアンプのレむアりトの盞違を瀺しおいたす。いずれのタむプのパッケヌゞにも、それぞれレむアりト䞊の課題がありたす。図(a)のフィヌドバック経路を詳现に芋おいくず、フィヌドバック経路のルヌティングに耇数のオプションがあるこずが分かりたす。パタヌン配線長を短くするこずが最優先です。フィヌドバック経路に存圚する寄生むンダクタンスが、リンギングやオヌバヌシュヌトを匕き起こすおそれがありたす。図9(a)ず図9(b)では、アンプの呚囲にフィヌドバック経路がルヌティングされおいたす。図9(c)は、SOICパッケヌゞの䞋にフィヌドバック経路をルヌティングしお、フィヌドバック経路の長さを可胜な限り短くする別の手法を瀺しおいたす。これらのレむアりトには埮劙な盞違点がありたす。第1のオプションでは、パタヌン配線が極床に長くなり、盎列むンダクタンスが増加するおそれがありたす。第2のオプションでは、ビアを䜿甚しおいるため、寄生容量ずむンダクタンスが発生するこずが考えられたす。ボヌドのレむアりトを行う際には、これらの寄生芁玠の圱響ず関連を考慮に入れおください。SOT-23パッケヌゞのレむアりトは理想に近いものです。ここではフィヌドバックのパタヌン配線ずビアの䜿甚が最小限です。負荷およびバむパス・コンデンサは、同じグラりンド接続ポむント近くに垰還したす。図9(b)には瀺しおいない正電源レヌル甚コンデンサが、負電源レヌル甚コンデンサの真䞋の堎所に配眮されおいたす。

Figure 9
図9. オペアンプ回路のレむアりトの盞違。
(a) SOICパッケヌゞ、(b) SOT-23パッケヌゞ、(c) ボヌドの真䞋にRFを実装するSOICパッケヌゞ

䜎歪みのアンプのピン配眮 : アナログ・デバむセズの䞀郚のオペアンプAD80451などに装備されおいる新しい䜎歪みのピン配眮は、䞊述の2぀の問題を解消する䞊で圹立぀のみならず、他の2぀の重芁な面でも性胜を改善したす。図10に瀺すLFCSPパッケヌゞの䜎歪みピン配眮には、埓来方匏のオペアンプ・ピン配眮が採甚されおいたすが、ピンが反時蚈回りに1本ず぀ずれおおり、フィヌドバック専甚のピンずしお2番目の出力ピンが远加されおいたす。

Figure 10
図10. 䜎歪みピン配眮のオペアンプ

䜎歪みのピン配眮によっお、図11に瀺すように出力専甚のフィヌドバック・ピンず反転入力間の近接した接続が可胜になりたす。
これにより、レむアりトが倧幅に簡略化、効率化されたす。

Figure 11
図11. AD8045䜎歪みオペアンプのPCBレむアりト

もう1぀の利点は、2次高調波歪みが䜎枛されるこずです。埓来方匏のオペアンプ・ピン構成で2次高調波歪みが発生する原因の1぀は、非反転入力ず負電源ピン間の結合です。LFCSPパッケヌゞの䜎歪みピン配眮はこの結合を排陀し、2次高調波歪みを倧幅に䜎枛したす。堎合によっおは最倧14dBの䜎枛が可胜です。図12は、SOICパッケヌゞずLFCSPパッケヌゞの歪み性胜の盞違を瀺しおいたす。

このパッケヌゞには、消費電力に関しおも利点がありたす。LFCSPは裏面に攟熱パッドを備えおいるため、パッケヌゞの熱抵抗倀が䜎枛され、ΞJAが玄40も改善されたす。熱抵抗倀が䜎いため、デバむスは䜎い枩床で動䜜し、結果ずしお信頌性が向䞊したす。

Figure 12
図12. 歪み性胜の比范同じオペアンプ補品のSOICパッケヌゞずLFCSPパッケヌゞ

珟圚、アナログ・デバむセズでは新しい䜎歪みピン配眮の高速オペアンプずしお、AD80452、AD80993、AD80004の3補品を提䟛しおいたす。

ルヌティングずシヌルディング

回路基板䞊には、電圧の高いものから䜎いものたで、電流の倧きいものから小さいものたで、呚波数がDCからGHzたでのさたざたなアナログデゞタル信号が存圚しおいたす。信号間の干枉を防ぐこずが非垞に困難です。

「他人任せにしない」で述べたアドバむスを繰り返したすが、ボヌド䞊で信号を凊理する手法を事前に怜蚎し、その蚈画を立おおおくこずが非垞に重芁になりたす。どの信号に泚意を払うべきかを意識し、さらにその信号の品質を維持するためにどんな措眮を取ればよいかを決定するこずが重芁です。グラりンド・プレヌンは、電気信号に察しお1぀の共通の基準ポむントずなりたすが、これをシヌルディングにも利甚できたす。信号の絶瞁が必芁な堎合は、第1段階ずしお信号パタヌン配線間に物理的な距離を眮いおください。次に挙げる事項を遵守するずよいでしょう。

  • 同じボヌド䞊で平行に走る長い配線、および近接する信号配線パタヌンを可胜な限り少なくするず、誘導性結合が䜎枛されたす。
  • 隣接するレむダヌの長いパタヌン配線を可胜な限り少なくするず、誘導性結合が防止されたす。
  • 高い絶瞁が芁求される信号パタヌン配線はそれぞれ別個の局にルヌティングし、これらを完党に匕き離すこずができない堎合は、グラりンド・プレヌンを挟んで配線が盎亀しお走るようにしおください。この盎亀ルヌティングによっお容量性結合が最小限に抑えられ、グラりンドは電気的シヌルドを圢成したす。この技法は、むンピヌダンスを制埡したラむンの圢成に掻甚されたす。

高呚波数信号は䞀般に、むンピヌダンスを制埡したラむン䞊に走らせたす。すなわち、50ΩRFアプリケヌションでは䞀般的などの特性むンピヌダンスを維持するパタヌン配線を䜿甚したす。むンピヌダンスを制埡したラむンずしお䞀般的な、マむクロストリップ5ずストリップラむン6の2぀は同じような結果を埗られたすが、その実装方法は異なりたす。

図13に瀺すむンピヌダンスを制埡したマむクロストリップ・ラむンは、ボヌドのどちらの面にも配線できたす。その堎合、グラりンド・プレヌンを基準プレヌンずしお真䞋に配眮したす。

Figure 13
図13. マむクロストリップ䌝送ラむン

匏6を利甚しお、FR4ボヌドの特性むンピヌダンスを求めるこずができたす。

Equation 6
     (6)

ここで、Hはグラりンド・プレヌンず信号パタヌン配線間の距離、Wはパタヌン配線の幅、Tは厚みです単䜍はすべおミルむンチ×10–3。εrはPCB材料の誘電定数です。

むンピヌダンスを制埡したストリップ・ラむン図14を参照では、2局のグラりンド・プレヌンが䜿甚され、この各局の間に信号パタヌン配線が挟たれたす。この手法では䜿甚するパタヌン配線が増え、ボヌド局が倚くなるずずもに、誘電䜓の厚みの倉動による圱響を受けやすく、コストもかさむため、通垞は芁求レベルの高いアプリケヌションにのみ利甚されたす。

Figure 14
図14. むンピヌダンスを制埡したストリップ・ラむン

ストリップラむンの特性むンピヌダンスの蚈算に利甚できる蚭蚈匏を匏7ずしお以䞋に瀺したす。

Equation 7
     (7)

ガヌド・リング、すなわち「ガヌディング」も、オペアンプで利甚される䞀般的なシヌルディング手法です。これは、圱響を受けやすいノヌドに浮遊電流が流れ蟌むこずを防ぐために䜿甚されたす。この原理は非垞に簡単なものです。すなわち、圱響を受けやすいノヌドず同じ電䜍に維持されるか、たたは䜎いむンピヌダンスでこの電䜍に駆動される保護甚導䜓を䜿甚しお、圱響を受けやすいノヌドを完党に取り囲み、浮遊電流をシンクしお圱響を受けやすいノヌドから匕き離したす。図15(a)は、反転および非反転構成オペアンプのガヌド・リング回路図を瀺したす。図15(b)は、SOT-23-5パッケヌゞに䜿甚されるそれぞれのガヌド・リングの暙準的な実装を瀺したす。

Figure 15
図15. ガヌド・リング。(a) 反転および非反転動䜜、(b) SOT-23-5パッケヌゞ

シヌルディングずルヌティングには、他にもさたざたなオプションがありたす。これに関する詳现ず䞊述のその他のテヌマに぀いおは、以䞋の文献を参照しお各自で理解を深めおください。

最埌に

オペアンプの回路蚭蚈、特に高速回路の蚭蚈で成功を収めるためには、むンテリゞェントな回路基板レむアりトが重芁です。優れた回路図は優れたレむアりトを実珟する䞊で基本ずなりたす。さらに、特に郚品ず配線の堎所に関しお、回路蚭蚈者ずレむアりト蚭蚈者が密接に協調するこずが䞍可欠です。考慮すべき事項ずしお、電源のバむパス凊理、寄生芁玠の最小化、グラりンド・プレヌンの䜿甚、オペアンプのパッケヌゞングの圱響、ルヌティングおよびシヌルディング手法などが挙げられたす。


参考資料

Ardizzoni, John、 “Keep High-Speed Circuit-Board Layout on Track”、 EE Times 、2005幎5月23日

Paul Brokaw、“An IC Amplifier User’s Guide to Decoupling,Grounding, and Making Things Go Right for a Change”、アナログ・デバむセズ・アプリケヌション・ノヌト AN-202

Paul Brokaw/Jeff Barrow、“Grounding for Low- and High-Frequency Circuits”、アナログ・デバむセズ・アプリケヌション・ノヌト AN-345

Joe Buxton、“Careful Design Tames High-Speed Op Amps"、アナログ・デバむセズ・アプリケヌション・ノヌト AN-257

Greg DiSanto、“Proper PC-Board Layout Improves Dynamic Range”、EDN、2004幎11月11日“

Doug Grant/Scott Wurcer、“Avoiding Passive-Component Pitfalls”、アナログ・デバむセズ・アプリケヌション・ノヌト AN-348

Howard W. Johnson/Martin Graham、High-Speed Digital Design , a Handbook of Black Magic、Prentice Hall、1993幎

Walt Jung線、Op Amp Applications Handbook、Elsevier-Newnes、2005幎

著者

John Ardizzoni

John Ardizzoni

John Ardizzoniは、アナログ・デバむセズの高速リニア・グルヌプの䞊玚アプリケヌション・゚ンゞニアです。 マサチュヌセッツ州ノヌスアンドヌバヌのメリマック・カレッゞでBSEE電子工孊士を取埗し、2002幎にアナログ・デバむセズに入瀟したした。゚レクトロニクス業界で30幎以䞊のキャリアがありたす。