半分あるのか、半分空なのか?容量についてのさまざまな考え方

質問:

2本のワイヤを持ったすべてのコンポーネントは、 以前話題になった抵抗と同じくらい複雑なのでしょうか?

RAQ:  Issue 29

回答:

コンデンサは確かにそのとおりです。

1クォートのポットに1パイントの液体を入れたとしましょう。楽観主義者は「半分入っている」と主張しますが、悲観主義者は「半分空だ」と不平を言います。

この両者よりもものが見える[ i ]エンジニアによれば、コップが大きすぎるということになります。

これは容量の問題です。以前論じた抵抗と同じく、コンデンサも2本のピンという単純な見かけよりも複雑であり、大きければ良いというものではありません。

コンデンサには、容量と最大動作電圧以外にも特性があります。公称容量と並列には、リーク抵抗と誘電吸収があります。直列には、インダクタンスと有効直列抵抗(ESR)があります。ESRは重要です。私がうっかり引き起こした[ i i ]最大の爆発は、超音波クリーナの作業をしているときに、5kW超音波発生器のタンク回路に使われていた故障したマイカ高周波(HF)コンデンサを、高ESRの油を充填したコンデンサに交換したときのことでした。私は幸いにも生き残りましたが、超音波発生器のほうはそうはいきませんでした。

低周波の集積回路(IC)でさえ、数百または数千MHzの周波数応答があるトランジスタを内蔵しています。ICの電源ピンがHFで短絡しない場合には、PCボードのトラックによって形成される寄生成分が共振や発振を起こすことがあります。おそらく、この場合オシロスコープで発振をとらえることができないほどの高周波になるでしょう。このHFの短絡回路に用いられるコンデンサはインダクタンスが低く、リードが短いものにする必要があります。容量が大きすぎるとインダクタンスが十分に低くなりませんが、ある種の小さいコンデンサ(スパイラル型プラスチック・フィルムなど)でもまだ適当ではないかもしれません。他方、このようなデカップリング・コンデンサの場合は、精度と安定性はそれほど重要ではありません。

ACアプリケーションでは、有極性コンデンサと無極性コンデンサの差もまた重要です。

コンデンサの選択は、単に必要な容量を計算することだけではすみません。詳細については、下記リンク先の記事を参照してください。

[ i ] 原文gripping hand。モート人と彼らが持っている強力な腕(グリッピング・ハンド)については、『The Mote in God's Eye』(ISBN 0-671-21833-6)とその続編の『The Gripping Hand』(ISBN 0-671-79573-2)をご覧ください(著者:Larry Niven、Jerry Pournelle)。または、http://en.wikipedia.org/wiki/Gripping_handをご覧ください。

[ i i ] 花火製造とゼラチンの爆発についての私の経験のことは不問に付してください。

アクティブ・フィルタでは精度と安定性がはるかに重要になります。低周波電源のデカップリングでは、過熱なしに高リップル電流を処理する能力があるかどうかで使用できるタイプが制限されます。

15年か20年ほど前には、サンプル&ホールド(SHA、S/H、または場合によってT/H[トラック&ホールド]と呼ばれる)回路に用いるコンデンサの誘電吸収がたいへん重要でした。これはディスクリート・コンデンサを使用して作成するSHA回路ではまだ重要ですが、今ではこれらのコンデンサは一般にチップに集積化されており、独立したコンポーネントではありません。RCタイミング回路ではリーク電流が重要です。


 

著者

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James Bryant

James Bryantは、1982年から2009年に定年退職するまで、アナログ・デバイセズの欧州地区アプリケーション・マネージャを務めていました。現在も当社の顧問を務めると共に、様々な記事の執筆に携わっています。リーズ大学で物理学と哲学の学位を取得しただけでなく、C.Eng.、Eur.Eng.、MIEE、FBISの資格を有しています。エンジニアリングに情熱を傾けるかたわら、アマチュア無線家としても活動しています(コールサインはG4CLF)。