概要
設計リソース
設計/統合ファイル
- Schematic
- Bill of Materials
- Gerber Files
- PADS Files
- Assembly Drawing
評価用ボード
型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。
- EVAL-CN0229-SDPZ ($101.65) 4-Channel, Flexible, Configurable, Voltage, and Current Output Circuit for I/O Card and PLC Applications
- EVAL-SDP-CB1Z ($116.52) Eval Control Board
デバイス・ドライバ
コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。
AD5686 GitHub Linux Driver Source Code (SPI)
AD5686 GitHub Linux Driver Source Code (SPI)
機能と利点
- 4チャンネルの電流出力と電圧出力
- PLC向けの16ビット分解能
- アプリケーションからデジタル的に絶縁
製品カテゴリ
マーケット & テクノロジー
使用されている製品
参考資料
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CN0229 Software User Guide2018/10/18WIKI
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The Data Conversion Handbook, 20052005/01/02
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MT-101: Decoupling Techniques2015/02/14PDF954 kB
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MT-031: データ・コンバータのグラウンディングと、「AGND」および「DGND」に関する疑問の解消2009/03/20PDF144 kB
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CN-0229: I/O カードや PLC アプリケーション向け、柔軟な構成設定が可能な 4 チャンネル、電圧および電流出力回路2012/06/13PDF638 K
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AN-0971:isoPower デバイスでの EMI 放射制御についての推奨事項2020/07/03
回路機能とその特長
図1の回路は、アナログ部品を2個だけ使ったフレキシブルなマルチチャンネルのアナログ出力ソリューションです。マルチチャンネルI/Oカード、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)および分散制御システム(DCS)といったアプリケーションのほとんどの要件に適合します。
バッファ付きレールtoレール出力を備えたクワッド、16ビットnanoDAC+のAD5686Rと、工業用電流/電圧出力ドライバのAD5750-2が4個で構成された回路であり、アプリケーションで必要な標準的出力電流/電圧範囲を提供します。分解能は16ビットでミッシング・コードなし、直線性は0.05%、出力誤差は0.1%未満です。
AD5686Rは、高いドライブ能力(最大±5 mA)、超低ドリフト(標準2 ppm/°C)の2.5 V電圧リファレンスを内蔵し、AD5686RとAD5750-2の両方にリファレンス電圧を与えます。これにより、低ノイズ、高精度、低温度ドリフトの回路が保証されます。
ADuM1301とADuM5400は、アナログ・シグナル・チェーンとホスト・コントローラの間の全ての信号と電源の両方に対して2500 Vrmsの絶縁機能を提供します。
5チャンネル以上必要なマルチチャンネルI/Oカード・アプリケーションの場合は、複数のAD5686Rをデイジーチェーン接続することによって、追加の外付けデジタルI/O回路は不要です。これにより、特にチャンネル数の多い絶縁型アプリケーションの場合、コストを最小に抑えることができます。
この回路は、内蔵の出力故障検出機能、CRCによるパケット・エラー・チェック(PEC)、フレキシブルな起動オプションならびにESD保護(AD5686R:4 kV人体モデル、AD5750-2 :3 kV人体モデル)など、工業用アプリケーション向けの重要な特長も備えているので、堅牢な工業用制御システムに最適です。量産で性能を一定に維持するのに必要な外付けの高精度抵抗やキャリブレーション・ルーチンが不要なので、PLCやDCSのモジュールに最適です。
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回路説明
AD5750/AD5750-1/AD5750-2は、工業用プロセス制御アプリケーションの要件を満たすために開発された低価格の1チャンネル高精度電圧/電流出力ドライバです。出力電圧範囲は、PLCやDCSのアプリケーション向けの標準範囲(0 V~5 V、0 V~10 V、−5 V~+5 V、−10 V~+10 V)にプログラムすることができます。これらの標準範囲を20%広げたオーバーレンジ設定(0 V~+6 V、0 V~+12 V、−6 V~+6 V、−12 V~+12 V)もオプションとして用意されています。
電流出力は電圧とは別のピンで、+4 mA~+20 mA、0 mA~+20 mA、−20 mA~+20 mA、0 mA~+24 mA、 −24 mA~+24 mAの範囲にプログラムすることができます。ユニポーラの範囲には2%のオーバーレンジ設定があります。
AD5750/AD5750-1/AD5750-2の電流出力はソースまたはシンク可能なので、多種のセンサーやアクチュエータにインターフェースすることができます。電圧出力ピンと電流出力ピンは、必要であれば一緒に結合して、1チャンネル出力としてシステムを構成することができます。
AD5686Rはバッファされたレールtoレール電圧出力を備えたクワッド16ビットnanoDAC+で、標準2 ppm/°C (最大5 ppm/°C)の2.5 Vリファレンスを内蔵しています。内蔵リファレンスは4個のAD5750-2全てのリファレンス入力をドライブ可能で、出力インピーダンスが0.05 Ωと低く、最大5 mAをソースおよびシンクすることができます。AD5686R はパワーオン・リセット回路を内蔵しているので、DACの出力が0 Vの状態で起動し、有効な書き込みコマンドが与えられるまで0 Vに留まることが保証されます。
AD5686R DACとAD5750-2ドライバの間のインターフェースは簡単で、外部電圧リファレンスや高精度抵抗は不要です。AD5686Rの出力電圧範囲は0 V~2.5 Vで、AD5750-2の入力範囲と一致しています。さらに、AD5686Rのリファレンス出力電圧は2.5 Vですが、これはAD5750-2のリファレンス入力の要件に正確に一致しています。
ADuM1301は3チャンネルのデジタル・アイソレータです。ADuM5400は4チャンネルのデジタル・アイソレータで、さらに絶縁されたDC/DCコンバータを内蔵しています。これらは両方ともiCoupler®技術をベースにしており、シグナル・チェーンとシステムのマイクロコントローラの間を、2.5 kV rmsの絶縁定格で絶縁するのに使われます。ADuM5400は2次側の5 V回路に絶縁された5 V電源を提供します。
PLCやDCSのアプリケーション向けのデバイスは、一般に正式の推奨仕様をはるかに上回るESD保護と過電圧保護を必要とします。AD5686RとAD5750-2は各ピンにESD保護ダイオードを内蔵しており、4 kV (AD5686R)および3 kV (AD5750-2)のトランジェント(人体モデル)による損傷を防ぐことができます。ただし、工業用制御環境ではI/O回路がはるかに高いトランジェントに曝される可能性があります。
そうした状況に対するESD保護の強化策としては、まず外付けの54 V、600 Wトランジェント電圧サプレッサ(TVS)を使用します。AD5750-2のVSENSE+ピンとVSENSE−ピンに1 kΩ、0.5 W抵抗と直列にパワー・ショットキー・ダイオードを接続し、VOUTピンとIOUTピンに50 mA、30 Vポリスイッチを接続します。これらの保護回路はEVAL-CN0229-SDPZ回路ボードに搭載されており、50 Vの過電圧保護と50 mAの過電流保護を提供します。図1の簡略回路図にはオプションの外部保護回路は示されていませんが、CN0229 デザイン・サポート・パッケージ(http://www.analog.com/CN0229-DesignSupport)の詳細回路図(EVAL-CN0229-SDPZ-PADSSchematic pdfファイル)には示されています。
また、適切なレイアウト、接地、およびデカップリング技術を使って、大きなグラウンド・プレーンを備えた多層プリント基板(PCB)に回路を実装することで最適なシステム性能と低EMIを実現することができます(チュートリアルMT-031「Grounding Data Converters and Solving the Mystery of "AGND" and "DGND"」とチュートリアルMT-101「Decoupling Techniques」を参照)。
測定
積分非直線性(INL)、微分非直線性(DNL)、出力誤差は、PLCやDCSなどのプロセス制御システムで最も重要な仕様です。AD5750-2は非常に柔軟な設定が可能な出力範囲を備えており、アプリケーションの要件を満たすように調整することができます。回路のINL、DNL、出力誤差の測定値をそれぞれ図2、図3、図4に示します。これらのデータは電圧出力モードで、25°Cで得られたものです。AD5750-2の範囲は0 V~5 Vに設定しました。他の全ての範囲のテスト結果を表1に示します。
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範囲 | 電流検出抵抗 | INL (LSB) | 直線性 (%FSR) | 出力誤差 (%FSR) |
0V to +5V | 不定 | 1.3 | 0.002 | 0.01 |
0V to +10V | 不定 | 1.1 | 0.002 | 0.02 |
-5V to +5V | 不定 | 1.4 | 0.002 | 0.02 |
-10V to +10V | 不定 | 1.2 | 0.002 | 0.02 |
0V to +6V | 不定 | 1.9 | 0.003 | 0.02 |
0V to +12V | 不定 | 1.4 | 0.002 | 0.05 |
-6V to +6V | 不定 | 1.3 | 0.002 | 0.03 |
-12V to +12V | 不定 | 1.7 | 0.003 | 0.05 |
-2.5V to +2.5V | 不定 | 1.3 | 0.002 | 0.03 |
+4 mA to +20 mA | 内部 | 5.3 | 0.008 | 0.07 |
0 mA to +20 mA | 内部 | 4.2 | 0.006 | 0.06 |
0 mA to +24 mA | 内部 | 2.9 | 0.004 | 0.05 |
-20 mA to +20 mA | 内部 | 5.4 | 0.008 | 0.02 |
-24 mA to +24 mA | 内部 | 3.9 | 0.006 | 0.02 |
+4 mA to +20 mA | 外付け | 2.0 | 0.003 | 0.04 |
0 mA to +20 mA | 外付け | 1.7 | 0.003 | 0.04 |
0 mA to +24 mA | 外付け | 1.6 | 0.002 | 0.04 |
-20 mA to +20 mA | 外付け | 3.7 | 0.006 | 0.03 |
-24 mA to +24 mA | 外付け | 4.4 | 0.007 | 0.03 |
+3.92 mA to +20.4 mA | 内部 | 1.7 | 0.014 | 0.11 |
0 mA to +20.4 mA | 内部 | 2.9 | 0.006 | 1.86 |
0 mA to +24.5 mA | 内部 | 2.5 | 0.005 | 0.30 |
表1に示すテスト結果は、DC電源Agilent E3631Aから給電されたEVAL-CN0229-SDPZボードの1番目のチャンネルに対してデジタル・マルチメータAgilent 34401Aを使って25°Cで測定して得られたものです。
3.92 mA~20.4 mA、0 mA~20.4 mA、0 mA~24.5 mAの出力範囲は全て、4 mA~20 mA、0 mA~20 mA、0 mA~24 mAの範囲に正確に一致するように、お客様が調整できるように設計されています。0 mA~20.4 mA範囲の1.86% FSR出力誤差の測定値には、利得誤差が含まれています。これはお客様でのキャリブレーションによって簡単に除去することができます。
GNDを基準にした約10 mVの下側不感帯があります。全ての直線性テストの結果は、256~65,535の狭めたコード範囲を使って計算しました。3.92 mA~20.4 mA、0 mA~20.4 mAおよび0 mA~24.5 mAでは、下側不感帯が他の標準的範囲より大きく、測定されたコード範囲は1000~65,535です。
バリエーション回路
AD5685R (14ビット)およびAD5684R (12ビット)はAD5686Rとピン互換性があり、16ビットの分解能を必要としないアプリケーションに適しています。
チャンネル間の絶縁を必要とするアプリケーションでは、AD5660 (16ビット)、AD5640 (14ビット)、AD5620 (12ビット)などのシングルDACが適しています。
その他の1チャンネルのアプリケーションに関しては、CN-0202、CN-0203、およびCN-0204の各回路ノートもご参考いただくことができます。
マルチチャンネル・アプリケーションには、デュアルのnanoDACとしてAD5623R (12ビット)、AD5643R (14ビット)、AD5663R (16ビット)が、またクワッドのnanoDACとしてAD5624R (12ビット)、AD5644R (14ビット)、AD5664R (16ビット)があります。AD5628/AD5648/AD5668はオクタルの12/14/16ビットSPI電圧出力denseDACで、5 ppm/°Cのリファレンスを内蔵しています。
AD5750とAD5750-1の各ドライバはAD5750-2とピン互換です。AD5750は0 V~4.096 Vの入力を受け入れることができ、4.096 Vリファレンスを備えています。AD5750-1は0 V~2.5 Vの入力を受け入れることができ、1.25 Vリファレンスを備えています。AD5751はユニポーラ・アナログ出力ドライバで、50 V AVDD電源を使って40 Vを出力することができます。
回路の評価とテスト
必要な装置(相当品で置き換え可能)
- システム・デモ用プラットフォーム(EVAL-SDP-CB1Z)
- CN-0229回路評価ボード(EVAL-CN0229-SDPZ)
- CN-0229評価用ソフトウェア
- Agilent 34401A 6.5桁デジタル・マルチメータ
- Agilent E3631A 0 V~約6 V/5 A ±25 V/1 Aトリプル出力DC電源
- USBインターフェース付きPC (Windows® 2000またはWindows XP)
- National Instruments社製GPIB - USB-Bインターフェースおよびケーブル
評価開始にあたって
CN-0229評価用ソフトウェアのCDを用いてPCに、評価用ソフトウェアをセットアップします。マイコンピュータから評価用ソフトウェアのCDがセットされたドライブを探し、Readmeファイルを開きます。Readmeファイルの指示に従って評価用ソフトウェアをインストールして使用します。
機能ブロック図
図5にテスト・セットアップの機能ブロック図を示します。EVAL-CN0229-PADSSchematic pdfファイルにはCN-0229評価ボードの詳細回路図が記載されています。このファイルはCN-0229デザイン・サポート・パッケージ(http://www.analog.com/CN0229-DesignSupport)に含まれています。
セットアップ
EVAL-CN0229-SDPZ回路ボードの120ピン・コネクタをEVAL-SDP-CB1Z (SDP)ボードのCON AコネクタまたはCON Bコネクタに接続します。120ピン・コネクタの端部にある穴を使って2つのボードをしっかり固定するには、ナイロン製ハードウェアを使用します。DC出力電源を+15 V、−15 V、および+6 Vの出力に正確に設定します。
電源をオフにした状態で、+15 V電源をCN1の+15 Vピンに、−15 V電源をCN1の−15 Vピンに、GNDをCN1のGNDピンに接続します。同様に、+6 VをCN2に接続します。電源をオンにしてからSDPボードのUSBケーブルをPCのUSBポートに接続します。注意:EVAL-CN0229-SDPZのDC電源をオンにする前にUSBケーブルをSDPボードのミニUSBコネクタに接続しないでください。
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ジャンパ1 | 説明 | 設定 | 機能 |
JP1_[CH] | VSENSE+の設定 | 短絡 | チャンネル[CH]の内部で VSENSE+ を VOUT に短絡する。 |
開放 | チャンネル[CH]の内部で VSENSE+ は VOUT に接続されない。 | ||
JP2_[CH] | VSENSE−の設定 | 短絡 | チャンネル[CH]の内部で VSENSE− を GND に短絡する。 |
開放 | チャンネル[CH]の内部で VSENSE− は GND に接続されない。 | ||
JP3_[CH] | VOUT ピンと IOUT ピ ンを短絡 | 短絡 | チャンネル[CH]の VOUT と IOUT を一緒に短絡する。 |
開放 | チャンネル[CH]の内部で VOUT と IOUT は一緒に接続されない。 | ||
JP4_[CH] | 外付け補償コンデンサ を設定 | 短絡 | チャンネル[CH]の 1 nF 補償コンデンサを回路に加える。 |
開放 | チャンネル[CH]の 1 nF 補償コンデンサを回路から外す。 | ||
1 注: [CH] = 1, 2, 3, または 4. |
テスト
テスト装置をセットアップした後、CN3のVOUTピンまたはCN4のIOUTピンをAgilent 34401Aの入力に接続します。
異なる入力信号のタイプ(電流または電圧)に従って、Agilent 34401Aのフロントパネルのケーブル接続が正しいことを確認します。AD5686R 16ビットDACのレベルをすべて設定し、それぞれAgilent 34401Aによって測定する必要があるので、INL、DNLおよび出力誤差のテストにはかなりの時間がかかります。
CDで提供されるソフトウェアを使って、PCでDACのコードを設定することができます。コードを逐次実行してデータを解析するには、自動テスト・プログラムが必要です。自動テスト・プログラムはCDでは提供されないので、テスト・セットアップに使われている特定のマルチメータの要件に従って実装する必要があります。
図5に示されているテスト構成では、Agilent 34401AマルチメータのGPIB出力は、National Instruments 社製GPIB - USB-Bインターフェースとケーブルを使って、PCの2番目のUSBポートと接続しています。これにより、各コードに対応するマルチメータの測定値をPCのエクセルの表に取り込むことができます。次に、業界標準の定義を使って、INL、DNLおよび出力誤差について、データ解析を行います。
INL、DNL、および出力誤差の定義および測定データからの計算方法の詳細に関しては、AD5686Rデータシートの「用語の説明」とData Conversion Handbook, "Testing Data Converters," Chapter 5, Analog Devicesを参照してください。