概要

設計リソース

設計/統合ファイル

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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-AD7960FMCZ ($121.82) 18-Bit, 5 MSPS, LVDS Data Acquisition System
  • EVAL-CN0388-FMCZ ($116.52) Isolated 600 Mbps, LVDS, 18-Bit, Module
  • EVAL-SDP-CH1Z ($399.00) Eval Control Board
在庫確認と購入

機能と利点

  • 18 ビット、5 MSPS データ・アクイジション・システム 
  • 絶縁型 LVDS出力
  • 600Mbps シリアル・データ・キャパビリティ

回路機能とその特長

図 1 に示す回路は、ADN4651 LVDS アイソレータを使った、600 Mbps で動作するアナログ・フロントエンド(18 ビット、5 MSPS AD7960 A/D コンバータ(ADC))の絶縁を表しています。ADN4651 を搭載したインターポーザ・ボードが AD7960 の標準評価プラットフォームに接続され、アナログ・フロントエンド・ボードを高速の SDP-H1 システム・デモンストレ-ション・プラットフォーム(EVAL-SDP-CH1Z)から絶縁しています。SDP-H1 には、収集データを取り込むザイリンクスの Spartan 6 FPGA と、PC と通信する ADSP-BF527 DSP が搭載されています。

過酷な環境では、安全性、機能性、ノイズ耐性の向上のため、外部インターフェースの電気的な絶縁を必要とします。これには、産業分野の測定や制御を行うデータ・アクイジション・モジュールで使われるアナログ・フロントエンドも含まれます。インダストリー 4.0 や IoT(Internet of Things)といったトレンドが、これまでよりはるかに多様な用途向けに高速かつ高精度の測定や制御を必要としており、コンバータのインターフェースの帯域幅を広くすることが求められています。このような状況では、標準的なデジタル・アイソレータでも動作が 150 Mbps に制限されているため、絶縁が大きな課題となります。

産業分野の環境での測定や制御のアプリケーションにとって、このような絶縁型アナログ・フロントエンドを実装する利点は以下のとおりです。

  • 入出力が LVDS 完全準拠で超低ジッタのドロップイン・アイソレータにより、設計が容易。
  • 600 Mbps の広い帯域幅が ADC の高分解能化と高速化に対応。
  • 電源電圧からの保護、電源電圧の絶縁された測定、デジタル回路や電源回路からのノイズ耐性のための電気的な絶縁。

図 1 の回路は、ADN4651 デュアル・チャンネル・アイソレータを使った 600 Mbps の LVDS 絶縁を行う業界最先端のソリューションを表しています。

図 1. ADN4651 EVAL-CN0388-FMCZ インターポーザ・ボードで絶縁された EVAL-AD7960FMCZ と EVAL-SDP-CH1Z

回路説明

インターポーザ回路は、2 個の ADN4651 600 Mbps LVDS アイソレータにより、AD7960 への LVDS インターフェースを絶縁しています。図 1 に示すように、2 つの LVDS クロック(5 MHz のサンプル・クロック(CNV±)と 300 MHz のリファレンス・クロック(CLK±))が Spartan 6 FPGA から AD7960 に送られます。AD7960 は、300 MHz のリファレンスを使って、300 MHz のエコー・クロック(DCO±)に同期した 600 Mbps のサンプル・データのバーストを D± にクロック出力します。各データ・バーストの後に D± がアイドル状態になり、コンバータのアクイジション・フェーズ時の干渉を防止します。ADN4651 は、アナログ・デバイセズの iCoupler® 技術を採用した、1 対の双方向デジタル・アイソレータを内蔵しており、非常に小さなジッタで高速動作します。VIN+ と VIN− のAC 電圧入力は、2 個の独立したユニティ・ゲイン安定の電圧帰還型オペアンプ ADA4899-1 を通過し、それぞれに対応する出力が AD7960 に供給されます。次いで、2 つの入力信号の差動信号がA/D 変換され、DCO± に同期して D± から送出されます。

Blackfin® ADSP-BF527 は、1.8 V ロジックを使った適切なロジック・ハイとロジック・ローのレベルを、ADuM4400 クワッド・デジタル・アイソレータのみを介して、AD7960 のイネーブル・ピン(EN0 ~ EN3)とともに、ボード上の LDO イネーブル(PC_C2M)と SDP ID EEPROM のアドレス(GA0、GA1)に出力します。AD7960 のイネーブル・ピンは個別の動作要件に合わせて設定することができます。詳細は AD7960 のデータシートを参照してください。ADuM2251 デュアル I2C アイソレータは、Blackfin ADSP-BF527 インターフェースから SDP ID EEPROM のクロック(SCL)とデータ(SDA)を絶縁します。

インターポーザと測定回路に対する Blackfin ADSP-BF527 と Spartan 6 FPGA の間の通信は、図 1に示すように、PC にインストールされた評価用ソフトウェアに接続された EVAL-SDP-CH1Z の USB ポートを介して制御されます。

回路は、2 つの 12 V DC 電源からロジック側とバス側で電力供給されます。ここで、4 つの電源レールが EVAL-AD7960FMCZ で生成され、3 つの電源レールが EVAL-CN0388-FMCZ で生成されます。EVAL-AD7960FMCZ では、ADP7104 CMOS LDO が 5 V を、ADP7102 CMOS LDO が 7 V を、ADP2300 非同期降圧レギュレータが −2.5 V を、ADP124 CMOS リニア・レギュレータが 1.8 V を生成します。EVAL-CN0388-FMCZ では、ADP3335 が 5 V を、ADP151 リニア・レギュレータ(2.5 V バージョン)が 2.5 V を、ADP151 リニア・レギュレータ(3.3 V バージョン)が 3.3 V を生成します。

図 1 に示すように、2 個の ADN4651 アイソレータの各 LVDS 入出力 CNV±、CLK±、D±、DCO± に 100 Ω の終端抵抗(R11、R12、R13、R14)が接続されています。

ロジック側とバス側のどちらも、電源とグラウンドはバレル・コネクタを介して接続されます。ロジック・レベル、クロック、データ信号は、図 2 に示すように構成された FMC コネクタへのパターンを介して、EVAL-AD7960FMCZ、EVAL-CN0388-FMCZ、EVAL-SDP-CH1Z に接続されます。AC 電圧入力(VIN+/VIN−)は SMA コネクタを介して接続されます。高精度のオーディオ信号源は入力の差動ドライバに最適です。オプションとして、外部電圧リファレンスをスクリューワイヤ・コネクタを介して EVAL-AD7960FMCZ に加えることもできます。

図 2. EVAL-AD7960FMCZ ボード、EVAL-CN0388-FMCZ アイソレータ・ボード、EVAL-SDP-CH1Z ボードの相互接続

 

回路図、部品表、レイアウトなどの技術文書は全て CN-0388 設計支援パッケージ(www.analog.com/CN0388-DesignSupport)に含まれています。

回路の評価とテスト

評価を始める前に、PC に EVAL-AD7960FMCZ 評価用ソフトウェアをインストールします。ソフトウェアのインストールの説明は、EVAL-AD7960FMCZ ユーザー・ガイド(UG-490)に記載されています。

テストを始めるには、EVAL-AD7960FMCZ、EVAL-CN0388-FMCZ、EVAL-SDP-CH1Z の各ボードがそれぞれの FMC コネクタを使って正しく接続されていることを確認します。この構成を図 3 に示します。EVAL-AD7960FMCZ、EVAL-CN0388-FMCZ、EVAL-SDP-CH1Z に電力を供給するには、EVAL-CN0388-FMCZ と EVAL-SDP-CH1Z のバレル・コネクタに AC アダプタ電源を接続します。適正な電圧レベルが与えられていると、+12V_FMC の LED(EVAL-AD7960FMCZ)、LED_1 と LED_2 の LED(EVAL-CN0388-FMCZ)、FMC_PWR_GD の LED(EVAL-SDP-CH1Z)が点灯します。あるいは、回路に正しく電源が供給されていることをテストするには、各ボードの対応する電圧テスト・ポイントの電圧レベルをチェックします。

図 3. 絶縁型 A/D 変換データ・アクイジションのテスト・セットアップ

 

Tこれらのテスト・ポイントのそれぞれの表示が測定値と一致している必要があります。EVAL-CN0388-FMCZ には、絶縁側/非絶縁側のそれぞれに 3 つの電圧テスト・ポイント(+3_3V_SIDE1/SIDE2、+2_5V_SIDE1ADP1/SIDE2、+12V_IN/IN2)があります。EVAL-AD7960FMCZ には、4 つの電圧テスト・ポイント(+7 V、+5 V、+12 V、VREF)があります。

高速A/D変換の全ての機能は、SMA コネクタを介して、−VREF ~ +VREF の範囲(電圧源による)の差動 AC 電圧源を VIN− と VIN+ に接続することによりテストすることができます。差動入力から収集したデータは EVAL-AD7960FMCZ により、PC にインストールされた評価用ソフトウェアに送られます。ハードウェアとソフトウェアの動作については、EVAL-AD7960FMCZ ユーザー・ガイド(UG-490)を参照してください。EVAL-AD7960FMCZ 評価用ソフトウェア内の Summary タブを図 4 に示します。これは収集した情報の概要を表示しています。

図 4. EVAL-AD7960FMCZ 評価用ソフトウェアのウィンドウ