デジタル・アイソレーション技術

アナログ・デバイセズのI²Cアイソレータ・ファミリーは、完全絶縁型のI²Cインターフェースに対応しています。このポートフォリオは、アナログ・デバイセズのiCoupler^®チップ・スケール・トランス技術を利用しています。 iCouplerは、機能、性能、サイズ、消費電力の面でフォトカプラよりも優れた磁気アイソレーション技術です。アナログ・デバイセズの技術は、iCouplerチャンネルと半導体回路を組み合わせることによって、フル機能の絶縁型I²Cインターフェースを小スモール・ファクタで実現します。アナログ・デバイセズのI²Cアイソレータは、中央局のスイッチング、ネットワーキング、Power over Ethernet（PoE）などのアプリケーションに使用できます。

アナログ・デバイセズの isoPower^® 技術は、独自の iCoupler^® チップ・スケール・トランスを利用して、絶縁型DC/DCコンバータとデータ・アイソレータを1つのパッケージに組み込みます。これにより、フォトカプラ使用時のようにコスト、サイズ、消費電力、性能、信頼性の面で制約を受けることなく、アイソレーションを実装することができます。磁気絶縁製品はフォトカプラよりも安全で信頼性が高く、しかも使いやすいため、すでに 10 億チャンネル以上が出荷されています。

SPI（シリアル・ペリフェラル・インターフェース）は、センサー、ADC、DAC、シフト・レジスタ、SRAMなどのペリフェラルICとマイクロコントローラの間に配置されるインターフェースのうちで、最も広く使用されているものの1つです。アナログ・デバイセズは、この全二重同期マスタ・スレーブ型インターフェースをサポートする専用SPIデジタル・アイソレータを実装した絶縁型SPIバスを提供しています。オプションには、アナログ・デバイセズの実績あるiCoupler®技術で構築され、小さいフットプリント、単純な設計、高速、高いデータ完全性を実現するデバイスや、外付け部品が不要な統合化マイクロ・モジュールなどがあります。アナログ・デバイセズのSPIアイソレータ・ソリューションは、性能を向上させて基板面積を削減します。このシンプルで小型のソリューションは、産業用PLC（プログラマブル・ロジック・コントローラ）や計測器およびデータ・アクイジション・システムなどにおける、異なった接地電位や大きなコモンモード過渡電圧を介した通信が必要な絶縁型SPIデータに理想的です。

USBアイソレータは、PCなどのホストとペリフェラルとの間の通信インターフェースを保護します。iCoupler®デジタル・アイソレーション技術を利用して、アナログ・デバイセズはデータ・レートが最大12Mbpsであり、EMC保護とセーフティ・アイソレーションを提供し、設計サイズと設計時間を低減し、システム・コストを削減するUSB 2.0に準拠したSOICコンポーネントを提供します。ガルバニック絶縁USB μModule®（ マイクロ・モジュール）トランシーバーは、最大2.5Wの絶縁型電源向け絶縁型DC/DCコンバータを備えたUSBインターフェースを内蔵し、±15kV ESDを提供します。ホスト、ハブ、バス・スプリッタ、または周辺機器のいずれであっても、これらのトランスペアレントなUSBデジタル・アイソレータは容易に導入可能で、すぐに動作し、それでいて医療および工業用アプリケーションに必要な厳しい規格を満たします。

アイソレーション・アンプ（絶縁アンプ）は、フォトカプラやシャント・レギュレータを使用する電源設計に比べて高い性能のアイソレーション技術をシングルチップで提供します。アナログ・デバイセズのADuM3190とADuM4190絶縁型エラー・アンプは、400kHzの帯域幅を持ち、25℃での標準初期精度は0.5%、－40～＋125℃の拡張温度範囲での合計精度は1%です。これにより、AC/AC電源やDC/DC電源のメーカーは、速度と温度範囲を大幅に向上し、過渡応答を5倍も改善できます。

アナログ・デバイセズのデジタル・アイソレータは、最大6チャンネルの高い柔軟性がある磁気絶縁iCoupler製品により堅牢なソリューションを実装する設計を可能にします。防爆区域用の設計に対応するアナログ・デバイセズの本質安全証明済みデジタル・アイソレータによるIS-IS絶縁能力など、厳格な安全基準を満たす製品です。また、自動車用の認証済みバージョンも提供しています。これらの絶縁ソリューションは、iCoupler®技術とisoPower®技術により、フォトカプラに伴う制約がない設計を実現します。

絶縁LVDS（低電圧差動伝送）デバイスは、LVDSレシーバ入力に印加された差動信号を絶縁バリアを隔てて反対側の出力に結合させ、ビット・ストリームやクロックをLVDSとして再伝送します。アナログ・デバイセズのドロップインLVDSアイソレータを使うことで、ポイントtoポイント・アプリケーションやマルチドロップ・アプリケーション向けに堅牢で高速な差動伝送の設計が可能となります。iCoupler^®チップ・スケール・トランス技術を超高速データ・エンコーディング用に拡張することで、これらのLVDSアイソレータは、10Gbpsの合計帯域幅に対しチャンネルあたり最大2.5Gビットのデータ・レートに対応します。高価なファイバ実装、スタンダード・デジタル・アイソレータやフォトカプラ経由のデシリアライズ・リンク、トランスや高電圧コンデンサを使用し設計に労力のかかる特注ソリューションなどとは異なり、アナログ・デバイセズのギガビット・デジタルLVDSアイソレータは、10Gbpsでの包括的な高性能絶縁を実現する唯一の集積化製品です。高性能のガルバニック絶縁は、アナログ・フロント・エンド（AFE）、プロセッサ間のシリアル通信、またはビデオおよび画像データ（HDMIアイソレータなど）や、ボード間絶縁またはLVDSやCMLシグナル・チェーン用のケーブル・インターフェースでの絶縁などのアプリケーションで採用されています。

アナログ・デバイセズは、データ・コンバータの世界的なリーディング・サプライヤとして、システム・アーキテクチャを主導する新しいA/Dコンバータ（ADC）を継続的に提供しています。モーター制御の領域では、アナログ・デバイセズのコンバータが電流および電圧監視、光エンコーダ・フィードバック、レゾルバ／デジタル変換に伴う課題を解決します。3.75kVのスタンドオフ電圧を持つ絶縁型ADCの投入は、設計負担を緩和するためにアナログ・デバイセズが実現した、性能と集積化におけるブレークスルーの一例です。

アナログ・デバイセズの絶縁型CAN（コントローラ・エリア・ネットワーク）トランシーバは、データ層リンク、ハードウェア・プロトコル（たとえばアナログ・デバイセズのBlackfin®プロセッサに組み込まれているもの）、CANバスの物理的配線の間の差動物理層インターフェースとなります。 アナログ・デバイセズのポートフォリオにはiCoupler®およびisoPower®絶縁機能が組み込まれたトランシーバがあり、既製の完全絶縁CAN PHYとして使用できます。

絶縁型RS-232はTIA/EIA-232-Fにより定義されるシリアル通信規格であり、終端処理されていない単純な多心ケーブルを通じてデータを転送するものです。元の仕様はモデムに向けたものでしたが、後続のRS-232トランシーバーは最大1Mbpsのデータ・レートで汎用シリアル・インターフェースをサポートしています。アナログ・デバイセズは、ロジック・レベルのインターフェースとライン・トランシーバーを絶縁することでグラウンド・ループを除去し、データが損なわれないように電圧スパイクやコモンモード・トランジェント現象から保護して、DC/DC電源コンバータを内蔵したオプションを提供する幅広い絶縁型iCoupler^®およびμ‎Module^® RS-232トランシーバーを提供しています。iCouplerデジタル・アイソレーション技術ソリューションは、PCB上のスペースを最小化し、ノイズの多い環境でシステムの信頼性を確保するために必要な電源絶縁および信号絶縁を実現します。μ‎Module RS-232トランシーバーは、外付け部品なしで電力が最大1W向上した絶縁型RS-232ソリューションを提供します。

RS-485は、シングル（2線）バスで最大32個のドライバと32個のレシーバーを仕様規定するTIA-485-A/EIA-485-A規格により定義された、マルチポイント通信ネットワークです。最新のトランシーバーでは同じバス上で256ノードの接続を実現するよう改良されています。差動伝送方式と広いコモンモード許容誤差により、長距離および過酷な環境での高速通信において優れたノイズ耐性を実現します。アナログ・デバイセズのRS-485/RS-422準拠トランシーバーは、工業用フィールドバス、ModbusおよびPROFIBUS®、プロセス制御ネットワーク（PLC）、ビルディング・オートメーション（HVAC）、モータ・コントロール・サーボ・ドライブおよびエンコーダなどのアプリケーションに対応しています。半二重／全二重モデルおよびオプション（温度拡張、超低スキュー、駆動強度強化、完全なフェイルセーフおよびホット・スワップ・サポート、低電圧ロジック・インターフェース、統合ターミネーション、RS-485通信リンク設計でのIECサージ、EFT、ESD、過電圧故障に対する広範なEMC保護）も利用可能です。

アナログ・デバイセズの小型フォーム・ファクタ絶縁型ゲート・ドライバは、SiC（炭化ケイ素）および GaN（窒化ガリウム）などの電力スイッチ・テクノロジに求められる高速スイッチングとシステム・サイズ制約に合わせて設計されていますが、同時に IGBT（絶縁型ゲート・バイポーラ・トランジスタ）および MOSFET（金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ）設定向けのスイッチング特性も信頼性高く制御します。これらの絶縁型ゲート・ドライバは、CMOS とモノリシック・トランス技術を組み合わせたアナログ・デバイセズの実績ある iCoupler 絶縁技術を利用して、コモンモード過渡耐圧（CMTI）性能を犠牲にすることなく超低伝搬遅延を実現します。高パルス忠実度のアーキテクチャにより、モータ出力効率は新しい効率レベルを満たすことができ、タイミング性能の安定性が増しますので電圧歪みが減り、さらにはソーラー・インバータの調波および出力容量が低下します。