広帯域アプリケーションでゼロドリフト・アンプを活用する方法

概要

本稿では、広帯域に対応するアプリケーションにおいてゼロドリフト・アンプを活用する方法について解説します。ゼロドリフト・アンプは、チョッピング、オートゼロといった技術を適用することによって実現されています。ただ、ゼロドリフト・アンプでは、それらの技術に起因する固有のアーティファクトが発生します。本稿では、そうした理論について簡単に説明した上で、アンプ製品(IC)の設計者がアーティファクトの影響を軽減するために使用しているいくつかの手法を紹介します。更に、高精度のシグナル・チェーンにおいてACアーティファクト(残留成分)の影響を最小限に抑えるために、システム・レベルで行うべき対処策について詳しく解説します。主要な対処策としては、入力ソース・インピーダンスのマッチング、フィルタリング、周波数プランニングなどが挙げられます。

はじめに

ゼロドリフト・アンプは、チョッピング、オートゼロ、またはその両方の手法を適用することによって実現されます。それらの技術により、オフセットや1/fノイズなど、周波数の低い不要な成分が除去されます。ただ、そうした動的な手法が原因となって、ゼロドリフト・アンプでは周波数の高いアーティファクトが発生します。そのため、この種のアンプは従来、帯域の低いアプリケーションでしか使用されていませんでした。しかし、実際にはより広い帯域幅のアプリケーションでも、ゼロドリフト・アンプの優れたDC性能を活かすことができます。そのために必要なのは、システムを設計する際、リップル、グリッチ、相互変調歪み(IMD:Intermodulation Distortion)といった周波数の高い成分について十分に配慮することです。

ゼロドリフト技術

まずは、ゼロドリフト・アンプを実現するために使われている各種の技術について解説しておきます。

チョッピングの概要1~7

ゼロドリフトを実現するための1つ目の技術はチョッピングです。これは、変調を利用して、誤差の成分をより高い周波数帯に追いやるというものです。それにより、信号成分からオフセットや低周波のノイズを分離することができます。

ここで、図1をご覧ください。図1(a)は、ゼロドリフト・アンプへの入力信号を表しています。図1(b)は、チョッピングによって入力信号が方形波に変調された様子を表しています。その信号がアンプで処理(増幅)され、その後、図1(c)に示すように出力でDC信号に復調されます。同時に、アンプの低周波の誤差成分(赤色の波形)は、図1(c)に示すように、出力で方形波に変調されます。最後に、図1(d)に示すように、ローパス・フィルタ(LPF)によってフィルタリングが施されます。

図1. 時間領域で見たチョッピング処理。青色が入力信号、赤色が誤差成分です。(a)は入力部、(b)はV1、(c)はV2、(d)はVOUTにおける波形を表しています。
図1. 時間領域で見たチョッピング処理。青色が入力信号、赤色が誤差成分です。(a)は入力部、(b)はV1、(c)はV2、(d)はVOUTにおける波形を表しています。

図2は、図1の動作を周波数領域で表したものです。入力信号(青色の信号)は、図2(b)に示すように、チョッピングの周波数に変調されます。続いて、fCHOPにおいてゲイン段による処理が適用されます。その後、図2(c)に示すように、出力部でDCに復調されます。最後に、図2(d)に示すように、LPFでフィルタリングされます。アンプのオフセットとノイズ成分(赤色の信号)は、ゲイン段によってDCで処理された後、図2(c)に示すように、出力のチョッピング用のスイッチによってfCHOPに変調されます。そして、図2(d)のように、LPFでフィルタリングされます。方形波変調を使用していることから、変調後の成分は変調周波数の奇数倍の周波数付近に現れます。

図2. 周波数領域で見たチョッピング処理。青色が入力信号、赤色が誤差成分です。(a)は入力部、(b)はV1、(c)はV2、(d)はVOUTにおけるスペクトルを表しています。
図2. 周波数領域で見たチョッピング処理。青色が入力信号、赤色が誤差成分です。(a)は入力部、(b)はV1、(c)はV2、(d)はVOUTにおけるスペクトルを表しています。

現実のLPFは、理想的なブリック・ウォール特性は示しません。そのため、周波数領域/時間領域の図からわかるように、変調されたノイズとオフセットの成分は大幅に低減されるものの、ある程度は残留誤差として残存することになります。

オートゼロの概要1~3、5~7

ゼロドリフトを実現するための2つ目の技術はオートゼロです。この技術では、アンプ内の低周波の誤差成分をサンプリングして差し引くという処理を行います。つまり、これも動的な補正手法です。

図3に示したのは、基本的なオートゼロ・アンプの例です。オフセットとノイズを伴うアンプ、入力と出力を再構成するためのスイッチ、オートゼロを実現するためのサンプリング用コンデンサで実現されています。

図3. 基本的なオートゼロ・アンプ
図3. 基本的なオートゼロ・アンプ

オートゼロ・フェーズΦ1では、回路の入力は共通の電圧に短絡されます。そして、コンデンサCAZによって入力オフセット電圧とノイズがサンプリングされます。このフェーズでは、アンプによる信号の増幅は行われません。したがって、オートゼロ・アンプを連続的に動作させたい場合には、代替策が必要になります。代表的な方法は、同一の2つのチャンネルをインターリーブ動作させるというものです。この手法は、ピンポン方式のオートゼロと呼ばれています。

増幅フェーズΦ2では、入力部の接続が信号のパスに戻されます。つまり、アンプによって信号が増幅される状態になります。低周波のノイズ、オフセット、ドリフトは、オートゼロ動作によって除去されます。このオートゼロ技術を適用した場合にも残留誤差が生じます。現在の値と、その前のサンプルの誤差の差分が残留誤差となります。低周波の誤差は、Φ1からΦ2までの間にあまり変化しません。そのため、減算の処理がうまく機能します。その一方で、高周波のノイズがベースバンドに折り返されることから、ホワイト・ノイズのノイズ・フロアが上昇することになります(図4)。

上述したように、オートゼロではノイズの折り返しが発生します。また、連続動作を実現するためにはチャンネルを追加しなければなりません。そのため、単独のオペアンプで考えれば、チョッピングの方がより電力効率の高いゼロドリフト技術だと言えるかもしれません2

チョッピング・アーティファクト1~3、5~7

チョッピングは、不要なオフセット、ドリフト、1/fノイズを除去するための有用な技術です。但し、その処理に伴って、出力リップルやグリッチといった不要なACアーティファクトが生じます。アナログ・デバイセズの場合、最近のゼロドリフト・アンプ製品に対しては、そうしたアーティファクトを低減したり、より高い周波数に追いやったりするための対策を適用しています。その効果により、システム・レベルでのフィルタリングが容易になります。

リップル・アーティファクト

チョッピングでは、変調処理を行うことによって、低周波の誤差成分をチョッピング周波数の奇数次の高調波に移動させます。その基本的な結果としてリップルが生じます。アンプ製品(IC)の設計者は、リップルの影響を低減するために、以下のような多くの方法を活用しています。

製造時におけるオフセットのトリミング:公称オフセットは、初期トリミングを 1 回実行することによって大幅に低減できます。但し、オフセット・ドリフトと 1/f ノイズは除去できません。

チョッピングとオートゼロの併用:この場合、まずオートゼロの処理を行い、次にチョッピングを実行します。それにより、ノイズ・スペクトル密度(NSD)の増大につながる成分を高い周波数に変調します。図 4 は、両手法を適用した結果得られるノイズ・スペクトルを表しています。

図4. ノイズの電力スペクトル密度(PSD)。チョッピングまたはオートゼロ(AZ)の適用前、オートゼロの適用後、チョッピングの適用後、チョッピング+オートゼロの適用後の状態を示しています。
図4. ノイズの電力スペクトル密度(PSD)。チョッピングまたはオートゼロ(AZ)の適用前、オートゼロの適用後、チョッピングの適用後、チョッピング+オートゼロの適用後の状態を示しています。

自動補正帰還(ACFB:Autocorrection Feedback):ローカルの帰還ループを使用し、変調されたリップルを出力で検出することによって、低周波の誤差成分をその発生源でゼロに抑えます。

グリッチ・アーティファクト

グリッチとは過渡的なスパイクのことです。チョッピングを適用したアンプでは、スイッチからの電荷注入のミスマッチによってグリッチが発生します。その大きさは、信号源のインピーダンスや電荷のミスマッチの量など、様々な要因によって異なります1。グリッチは、チョッピング周波数の偶数次高調波の周波数におけるアーティファクトの原因になります。それだけでなく、残留DCオフセットも引き起こします。このオフセットの大きさは、チョッピング周波数に比例します。図5(左)は、それらのスパイクが図1のV1(チョッピング・スイッチの内側)とV2(チョッピング・スイッチの後段)でどのように見えるのかを表しています。チョッピング周波数の偶数次高調波の周波数にグリッチ・アーティファクトが追加されるのは、図5(右)に示すように、アンプの帯域幅が有限であるからです。

図5. グリッチの影響。(左)は、図1のV1(チョッピング・スイッチの内側)とV2(チョッピング・スイッチの後段)において、電荷注入によって生じるグリッチの電圧を表しています。(右)は、図1のV1とV2において、アンプの帯域幅が有限であることから生じるグリッチを表しています。
図5. グリッチの影響。(左)は、図1のV1(チョッピング・スイッチの内側)とV2(チョッピング・スイッチの後段)において、電荷注入によって生じるグリッチの電圧を表しています。(右)は、図1のV1とV2において、アンプの帯域幅が有限であることから生じるグリッチを表しています。

リップルの場合と同様に、アンプ製品の設計者は、ゼロドリフト・アンプのグリッチの影響を低減するために、以下に示すような手法を利用しています。

電荷注入のトリミング:トリミング用の電荷をチョッパ・アンプの入力に注入することにより、電荷のミスマッチを補償することができます。それにより、オペアンプの入力部における入力電流の量が減少します。

マルチチャンネル・チョッピング:グリッチの大きさを低減するだけでなく、それをより高い周波数領域に移動させ、フィルタリングを容易にするというものです。この手法を適用すると、グリッチの発生頻度が高くなりますが、より高い周波数で単純にチョッピングする場合と比べてグリッチは小さくなります。図 6 は、マルチチャンネル・チョッピングの効果を示したものです。「ADA4522」では、この手法を採用してグリッチの影響を大幅に低減しています。図 6 では、ADA4522 と一般的なゼロドリフト・アンプ(アンプ A)を比較しています。

図6. マルチチャンネル・チョッピングの効果。ADA54228では、電圧スパイクがノイズ・フロアのレベルまで低減されています。
図6. マルチチャンネル・チョッピングの効果。ADA54228では、電圧スパイクがノイズ・フロアのレベルまで低減されています。
図7. チョッパ・アンプで生じるアーティファクト。高い周波数に変調されたリップルや電荷注入に起因するグリッチなどが発生します。
図7. チョッパ・アンプで生じるアーティファクト。高い周波数に変調されたリップルや電荷注入に起因するグリッチなどが発生します。

ここまでの内容をまとめておきます。図7に示したのは、チョッパ・アンプの出力電圧です。これには、以下に示す成分が含まれています。

リップル:オフセットと 1/f ノイズを変調することによって、チョッピング周波数の奇数倍の周波数に現れます。

グリッチ:チョッピングに使用するスイッチによって生じる電荷注入のミスマッチとアンプの有限の帯域幅によって、チョッピング周波数の偶数倍の周波数に現れます。

システム・レベルで考慮すべき事柄

ここからは、システムのレベルで配慮すべき事柄について説明していきます。例として、データ・アクイジション用のソリューションでゼロドリフト・アンプを使用するケースを考えます。その場合、アーティファクトがどの周波数で発生するのかを把握し、それに従って周波数プランニングを実施することが重要です。

データシートでチョッピング周波数を確認する

通常、チョッピング周波数はデータシートに明記されています。あるいは、ノイズ・スペクトルのプロットを見て判断することも可能です。アナログ・デバイセズが提供する最新のゼロドリフト・アンプの場合、データシートにはアーティファクトがスペクトルのどこで発生するのかを示した図が掲載されています。

例えば、「ADA4528」のデータシートを見ると、「アプリケーション情報」のセクションにチョッピング周波数として200kHzという値が明記されています。それだけでなく、図8のノイズ密度のプロットでも同周波数をはっきりと確認することが可能です。

図8. ADA4528のノイズ密度
図8. ADA4528のノイズ密度

また、ADA4522の場合、データシートの「動作原理」のセクションを見ると、チョッピング周波数は4.8MHzであることがわかります。加えて、オフセットとリップルの補正ループは800kHzで動作すると記載されています。図9に示したADA4522のノイズ密度でも、それらの周波数にノイズのピークが現れています。更に、6MHzでもノイズが増大しています。これはユニティ・ゲインで使用する場合にループの位相余裕が減少することによるものです。ただ、これはゼロドリフト・アンプに限ったことではありません。

図9. ADA4522のノイズ密度
図9. ADA4522のノイズ密度

但し、データシートに記載されている周波数は代表値です。つまり、同じ品番でも個々のデバイスごとに値が異なる可能性があることには注意が必要です。例えば、システムで差動信号のコンディショニングに2つのチョッパ・アンプを使用する必要がある場合には、デュアルアンプ製品を使うべきです。シングルアンプ製品を2つ使うと、それぞれのチョッピング周波数がわずかに異なる可能性があるからです。そうすると、両者の相互作用によって新たなIMDが生じてしまうかもしれません。

入力ソース・インピーダンスのマッチング

過渡的な電流によるグリッチは、入力ソース・インピーダンスと相互作用を起こす可能性があります。その結果、差動電圧に誤差が生じてしまうかもしれません。そうすると、チョッピング周波数の倍数の周波数に新たなアーティファクトが生じるおそれがあります。図10(下)は、ADA4522の入力ソース抵抗がマッチングしていない場合のノイズ密度です。ご覧のように、スパイクが生じています。この潜在的な誤差要因を軽減するために、システム設計者はチョッパ・アンプの各入力から見たインピーダンスが同一になるように配慮する必要があります。そうすれば、図10(上)のような結果が得られます。

図10. ADA4522のノイズ。入力ソース抵抗がマッチングしている場合(上)とマッチングしていない場合(下)の例を示しました。
図10. ADA4522のノイズ。入力ソース抵抗がマッチングしている場合(上)とマッチングしていない場合(下)の例を示しました。

IMDとエイリアシング・アーティファクト

チョッパ・アンプを使用する場合、入力信号はチョッピング周波数fCHOPとミキシングされる可能性があります。そうすると、fIN±fCHOP、fIN±2fCHOP、2fIN±fCHOP、……といった周波数にIMDが発生してしまうかもしれません。それらIMDの成分は、特にfINがチョッピング周波数に近い場合、対象とする帯域内に現れる可能性があります。この問題を回避するには、チョッピング周波数が入力信号の帯域幅よりはるかに高いゼロドリフト・アンプ製品を選択します。また、周波数がfCHOPに近い干渉成分がアンプ段の前で確実にフィルタリングされるようにします。

チョッピング・アーティファクトは、アンプの出力をA/Dコンバータ(ADC)でサンプリングする場合にも折り返される可能性があります。図11は、ADCでサンプリングを行った結果、グリッチのエイリアシングによってIMD成分が生じるケースを表したものです。これらのIMD成分は、グリッチやリップルの大きさに依存し、デバイスごとに異なる可能性があります。シグナル・チェーンを設計する際には、このIMDを低減するためにADCの前にアンチエイリアシング(折返し誤差防止)フィルタを配置する必要があります。

図11. アンプの出力をADCでサンプリングする例。グリッチがサンプリングされ、エイリアスに起因するIMDがfSAMPLE - 2fCHOPに発生しています。
図11. アンプの出力をADCでサンプリングする例。グリッチがサンプリングされ、エイリアスに起因するIMDがfSAMPLE - 2fCHOPに発生しています。

チョッピング・アーティファクトのフィルタリング

システムのレベルで考えた場合、高周波のアーティファクトに対処する最も効果的な方法はフィルタリングです。ゼロドリフト・アンプとADCの間にLPFを配置することにより、チョッピング・アーティファクトを低減し、エイリアシングを回避することができます。また、チョッピング周波数が高いゼロドリフト・アンプを採用すれば、LPFの要件が緩和され、より広い信号帯域幅に対応できることになります。

図12は、ADA4522にフィルタリングの手法を適用した例です。図13を見れば、それらの手法によってチョッピング・アーティファクトがどのように軽減されるのかがわかります。閉ループ・ゲインを高める、帰還抵抗と並列にコンデンサを使用するといった手法により、軽減効果を得ることができます8

図12. アーティファクトをフィルタリングするための構成
図12. アーティファクトをフィルタリングするための構成
図13. 1次のフィルタを適用した場合のADA4522の電圧ノイズ密度。(左)に示すように、ゲインを高めるとアンプの帯域幅が狭くなり、ノイズのピークが減衰します。(右)はRCフィルタを適用した場合の例です。
図13. 1次のフィルタを適用した場合のADA4522の電圧ノイズ密度。(左)に示すように、ゲインを高めるとアンプの帯域幅が狭くなり、ノイズのピークが減衰します。(右)はRCフィルタを適用した場合の例です。

システムによって、帯域外のノイズをどの程度除去しなければならないのかは異なります。場合によっては、より高次のアクティブ・フィルタが必要になるかもしれません。アナログ・デバイセズは、フィルタの設計に役立つリソースを数多く提供しています。例えば、「Multiple Feedback Filters(多重帰還フィルタ)」というチュートリアルや「アナログ・フィルター・ウィザード」などがあります。

チョッピング・アーティファクトが発生する周波数がわかっていれば、どのようなフィルタを設計すればよいのかが明確になります。表1は、ゼロドリフト・アンプによって発生するACアーティファクトの周波数についてまとめたものです。

表1. チョッピングに伴うACアーティファクトが発生する周波数
アーティファクトの種類 周波数
リップル fCHOP、3fCHOP、5fCHOP、…
グリッチ 2fCHOP、4fCHOP、6fCHOP、…
アンプのIMD fIN ± fCHOP、fIN ± 2fCHOP、2fIN ± fCHOP、…
エイリアシング fARTIFACT ± fSAMPLE、fARTIFACT ± 2fSAMPLE、fARTIFACT ± 3fSAMPLE、…

まとめ

本稿では、ゼロドリフト・アンプで発生する高周波のアーティファクトについて解説しました。それらについて理解することにより、システム設計者は広帯域に対応するアプリケーションでも自信を持ってゼロドリフト・オペアンプを活用できます。システム設計において考慮すべき事柄としては、以下のようなものがあります。

  • ゼロドリフト・アンプの入力から見た入力ソース・インピーダンスをマッチングさせる
  • 差動信号のコンディショニングにはデュアルアンプを使用する
  • データシートに掲載されたノイズ・スペクトルで、アーティファクトの周波数を確認する
  • 動的なオフセット低減技術によって生じる高周波のアーティファクトの影響を低減するために、適切なフィルタを設計する
  • 周波数領域で高周波のアーティファクトについて理解し、それに対応した周波数プランニングを実施する

参考資料

1楠田義憲「Reducing Switching Artifacts in Chopper Amplifiers(チョッパ・アンプにおけるスイッチング・アーティファクトの低減)」Delft University of Technology、the Netherlands、2018年5月

2Christian Enz and Gabor C. Temes「Circuit Techniques for Reducing the Effects of Op-Amp Imperfections: Autozeroing, Correlated Double Sampling, and Chopper Stabilization(オペアンプの不完全性の影響を低減するための回路技術:オートゼロ、相関二重サンプリング、チョッパ安定化)」Proceedings of the IEEE、Vol. 84、No. 11、1996年11月

3Boris Murmann「EE315A: VLSI Signal Conditioning Circuits: Chapter 7, Precision Analog Circuit Techniques(EE315A:VLSIシグナル・コンディショニング回路:第7章 高精度アナログ回路技術)」Stanford University、2014年

4James Bryant「乗算器と変調器」Analog Dialogue、Vol. 47、2013年6月

5A. T. K. Tang「A 3μV Offset Operational Amplifier with 20nV/√Hz Input Noise PSD at DC Employing Both Chopping and Autozeroing(オフセットが3μVでDCにおける入力ノイズPSDが20nV/√Hzのオペアンプ、チョッピングとオートゼロの両方を適用)」IEEE、2002年2月

6Michiel Pertijs、Wilko J. Kindt「A 140 dB-CMRR Current-Feedback Instrumentation Amplifier Employing Ping-Pong Auto-Zeroing and Chopping(CMRRが140dBの電流帰還型計装アンプ、ピンポン方式のオートゼロとチョッピングを適用)」IEEE Journal of Solid-State Circuits、Vol. 45、No. 10、2010年10月

7Johan F. Witte、Kofi A. A. Makinwa、Johan H. Huijsing「A CMOS Chopper Offset-Stabilized Opamp(チョッパによりオフセットを安定化したCMOSオペアンプ)」IEEE Journal of Solid-State Circuits、Vol. 42、No. 7、2007年7月

8楠田義憲、Vicky Wong「高精度回路でも使いやすくなった新しいゼロドリフト・アンプ」Analog Dialogue、Vol. 49、2015年7月

ADA4523データシート、Analog Devices、2020年4月

AD7768-1データシート、Analog Devices、2019年5月

楠田義憲「チョッパ・アンプの入力電流ノイズの解析、偶数次高調波の折り返し効果の影響を解き明かす」Analog Dialogue、Vol. 53、2019年5月

著者

Simon Basilico

Simon Basilico

Simon Basilicoは、アナログ・デバイセズの設計エンジニアです。入社は2015年で、高精度シグナル・チェーン・グループ(カリフォルニア州サンタ・クララ)に所属しています。ミックスド・シグナルICやSiP(System in Package)ソリューションを含む高精度シグナル・チェーンの設計を担当。スタンフォード大学で電気工学の学士号と修士号を取得しています。