質問:
A/D コンバータを選ぶとき、クロス トークのことを考慮すべきでしょうか?

回答:
もちろんです!クロストークには、プリント回路基板上の1 つの信号チェーンから別の信号チェーンに、あるいはIC(マルチ・チャンネルIC)内の1 つのチャンネルから別のチャンネルに、または電源を介して生じるなど、さまざまな発生の仕方があります。クロストークを理解するために重要なのは、それがどこに由来し、どのように現れるかを知ることです。クロストークの発生源は、隣接するコンバータなのか、信号チェーンの別のチャンネルなのか、それとも基板の設計のせいなのかが問題です。
クロストークのテストで最も代表的なものは、隣接クロストークです。このタイプのクロストークは、試験対象のチャンネルまたは信号チェーンが切断されていて信号が存在しないときに、別の1つのチャンネルをフルスケール(またはその近く)で駆動する場合に発生します。出力周波数スペクトルを測定すると、切断されたチャンネルにノイズ・フロアを上回るスプリアスが見られます。このタイプのクロストークのテストでは、影響を受ける切断チャンネルと影響を与える駆動チャンネルの間の絶縁状態がわかります。
切断されているチャンネルが駆動された1 つのチャンネルからのクロスカップリングを受け付けないほど堅牢であることもありますが、数の力に負けることもあります。もう1 つのクロストークのテストでは、システム内の1 つを除きすべてのチャンネルを同じ周波数で駆動し、1 つのチャンネルだけを切断しておきます。この場合、影響を及ぼすチャンネルすべての強度が切断されたチャンネルで測定されます。
クロストークを測定する3 番目の方法は、複数のチャンネルを異なる周波数と信号強度で駆動し、切断されているチャンネルを調べて、駆動されたチャンネルからのクロスカップリングが混合されて漏れていないかをテストします。この場合、混合の効果から影響を及ぼしている信号が対象帯域にどれほど入り込んでいるかがわかります。
最後に、これら3 つの測定は再度オーバーレンジ(デバイスまたは信号チェーンのフルスケールを超過している)状態の入力信号で行うことができます。これによって、入力信号がクリップされた状態、またはチャンネルが飽和するような状態での切断されたチャンネルの耐性を知ることができます。
お粗末な基板設計や特定の動作条件によってクロストークが発生することがあるため、これらのテストのいずれもアプリケーションで対象となる全信号範囲と周波数範囲を調べなければなりません。また、部品を入れ替えても効果はありません。コンバータやマルチチャンネル・デバイスを徹底してテストし、使用するアプリケーションにおいて十分な堅牢性があることを確認する必要があります。