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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-ADICUP3029 ($52.97) ADuCM3029 Arduino Form Factor Compatible Development System
  • EVAL-CN0415-ARDZ ($153.01) Robust Soleniod Measurement and Drive System
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回路機能とその特長

図1.
図1.

図1に示す簡略化した回路図は、比例ソレノイド・アクチュエータおよび2状態ソレノイド・アクチュエータを正確かつ効率的に駆動するための高信頼性ソリューションです。アプリケーションとしては、モーション・コントロール、ラッチ、クランプ、ブレーキ、クラッチ、比例ガス・バルブ、比例液体バルブなどがあります。

2状態ソレノイドのアプリケーションでは、この回路は正確なクローズドループ電流制御を提供し、広範囲の電源電圧で低電圧ソレノイドを使用できます。初期引き込み電流、引き込み時間遅延、およびホールド電流を個別に調整できるため、ソレノイドを継続的に通電するアプリケーションにおいて消費電力が大幅に削減されます。

比例バルブのアプリケーションでは、この回路はフル機能のドライバ・ソリューションを提供します。すなわち、パルス幅変調(PWM)のデューティ・サイクルと周波数は外部PIDコントローラによって直接制御可能で、周波数と振幅がプログラマブルなディザ電流を有効にして機械摩擦を低減できます。

高電圧の電流シャント・モニタにより瞬時ソレノイド電流が測定され、この測定値は更にソフトウェア制御用にデジタル化されます。フルスケール電流は2.0Aですが、1つのシャント抵抗を変えることで変更できます。冗長な過電流制限回路がソレノイド電流を継続的にモニタし、トリップ時にラッチオフしてコントローラに通知し、ハードウェアまたはソフトウェアの故障が発生した場合にソレノイドを保護します。電源入力回路には、最大60Vの過電圧イベントと最大–40Vの逆電圧に対する保護が含まれ、6V~24Vの有効ウィンドウ内でのみ電力が有効化されて、電源過渡状態、例えばコールド・クランク時の低電圧またはロード・ダンプによる過電圧に対して予測可能な動作が確保されます。

回路説明

ソレノイド・アクチュエータの基礎

一般的なソレノイド・アクチュエータの電気的特性は、主に誘導性および抵抗性です。ソレノイド・アクチュエータの端子間に印加される電圧により、電圧/インダクタンス(V/L)の初期勾配で電流が上昇し、最終的に電圧/抵抗(V/R)の定常状態電流に達します。このV/L/R 特性が、ソレノイドに通電したときに電流が直ちに最大レベルに達しない主な理由です。ソレノイドは集中磁場の形で電力量を蓄えます。導線内に電流が流れるときは常に、導線の周囲に磁界が発生します。ソレノイドのように導線を巻いてコイルにすると、磁界が集中します。この電磁石は電気信号によって機械式バルブを制御できます。ソレノイドに印加される実効電圧を減少させる(したがってソレノイドの電流を制御する)のにPWM を使用可能で、実効電圧は以下のように表されます。

V × デューティ・サイクル

一般に、ソレノイドは図2 に示すように、円筒形チューブの周囲に巻かれた電気コイルと、コイル本体の内外に自由に移動もしくはスライド可能な強磁性のアクチュエータまたはプランジャで基本的に構成されます。 

 

図2. プル型リニア・ソレノイド構造
図2. プル型リニア・ソレノイド構造

 

ソレノイドの電機子にかかる力は電流にほぼ比例し、電機子とコアとの間のギャップの二乗に反比例します。したがって、2状態ソレノイドには一般に線形応答のリターン・スプリングがありますが(リターン・スプリングがない場合もある)、比例ソレノイドは電機子の変位がソレノイド電流に比例するような非線形スプリングを使用します。電機子の動きはソレノイド電流に影響を与えますが(図3 参照)、この動きは通常、回路動作に大きな影響を与えることはありません。

 

図3. 代表的なソレノイド電流
図3. 代表的なソレノイド電流

 

電流検出

ソレノイド電流の測定は、特にPWM 技術が関係している場合には困難な作業です。このシステムは、ハイサイド電流検出とローサイド・スイッチからなる回路を使用します。この場合、PWM 制御スイッチはグラウンドを基準とします。誘導性負荷(ソレノイド)は電源に直接接続され、スイッチと負荷の間に抵抗シャントが配置されます(図4 参照)。 

 

図4. ローサイド・スイッチを使用したハイサイド電流検出
図4. ローサイド・スイッチを使用したハイサイド電流検出

 

ハイサイドにシャントを配置すると、スイッチがオフになっている間でもシャントがループ内にとどまるので、循環電流を含むすべての電流を測定できるようになります。更に、ハイサイドに配置したシャントにより、グラウンドへの短絡も検出できるので、制御ループの診断機能が強化されます。

この構成では、検出抵抗のコモンモード電圧は、グラウンド(MOSFET がオン時)と入力電源より0.4V 高い電圧(MOSFETがオフ時)の間をスイングします。単電源で動作するAD8210は、コモンモード電圧が大きい場合に小さな差動電圧を増幅するのに理想的な差動アンプです。5V 単電源で給電された場合、動作入力コモンモード電圧範囲は–2V~+65V です。アンプのゲインは20V/V で、高精度かつ低ドリフトの内部抵抗によって設定され、250mV ピークの最大入力フルスケール範囲から5Vの出力電圧が得られます。AD8210の出力は、式1で計算します。

数式-01

フルスケール設計の電流は2A です。0.1Ω の検出抵抗では4V の出力になり、ADCのフルスケール入力である4.096Vより若干低くなります。

検出抵抗の電力定格はフルスケール電流に対応する必要があります。設計電流が2Aの場合、消費電力は以下のようになります。

数式-02

この設計では1W の抵抗を使用しているので、2.5 倍の安全余裕があります。

 

図5. 電圧出力とR_SENSE での電流入力の関係を示すシミュレーション結果
図5. 電圧出力とR_SENSE での電流入力の関係を示すシミュレーション結果

 

AD8210の−3dB帯域幅は450kHzで、最大45kHzのPWM周波数に対して十分な帯域幅です。AD8210の出力は過電流保護回路によって直接モニタされます。図5に示すように、AD8210の入力に1次ローパス・フィルタを配置すると、電流検出信号がデジタル化される前にリップルを低減するのに役立ちます。カットオフ周波数f−3dBは、式3で求められます。 

数式-03

ここで、

RFILTER = 50Ω およびR5

CFILTER = 4.7µF およびC2、その結果、カットオフ周波数は677Hz 

信号経路には、デフォルトではバイパスされる追加のRCローパス・フィルタが用意されています。

 

ADC データ・アクイジション 

ソレノイド電流は、14 ビット、500ksps のサンプリングADC であるLTC2312-14 によってデジタル化されます。LTC2312-14 は電圧リファレンスを内蔵しており、3.3Vまたは5Vの電源電圧に対して入力範囲をそれぞれ2.048Vまたは4.096Vに自動的に最適化します。 

内部リファレンスは低インピーダンス(代表値1Ω)なので、追加のバッファリングを必要とせずに他の回路に使用できます。EVAL-CN0415-ARDZ はADC のリファレンスを使用して過電流閾値を正確に設定し、オプションで電流モニタのオフセットをハーフスケールに設定するのに使用することもできます。精度条件がさほど厳しくないアプリケーションでは、ソレノイド電流をマイクロコントローラのアナログ入力に接続できます。

 

FET ドライバ 

パルス幅変調(PWM)は、電源のオン/オフを完全に切り替え、オン時間とオフ時間の比率を変えることによってDC 電源電圧を変える方式です。周期(オン時間とオフ時間の合計)に対するオン時間の比が、PWM信号のデューティ・サイクルです。

50%のデューティ・サイクルでは、電圧は周期の50%の間オンになり、残りの50%の間オフになります。したがって、時間平均電圧はDC 入力電源電圧の50%となり、ソレノイドを流れる電流はそれに比例して少なくなります。更に、ソレノイドへの電流は最大電流の50%だけです。PWM信号の周波数(周期の逆数)はアプリケーションによっては可変の場合もありますが、固定値に設定される場合もよくあります。多くの場合、特定のアプリケーションで動作する周波数の範囲は、以下の基準を満たす必要があります。

  • PWM周波数は、システム/アクチュエータの機械的応答より十分大きくなくてはならない 
  • PWM周波数は、過度のスイッチング損失を防ぐのに十分低くなければならない

CN-0415 で使用するEVAL-ADICUP3029 プラットフォーム・ボードには、PWM生成ペリフェラルが内蔵されています。コントローラの出力はスイッチングMOSFET を直接駆動できません。すなわち、3.3V のロジック・ハイ電圧ではMOSFET を完全にエンハンスするのに十分ではなく、駆動強度もMOSFET を迅速に切り替えるのに十分ではないため、MOSFET が飽和状態を経て遷移することで消費電力が増加します。

LTC4441 N-MOSFET ゲート・ドライバは、6A の電流で最大8Vのゲート駆動電圧を供給し、MOSFET を迅速にスイッチングして損失を最小限に抑えることによってこれらの問題を解決します。ロジック入力はTTL 互換で、3.3V CMOS ロジックと直接インターフェースします。ドライバをディスエーブルするため、あるいはチップを強制的に電源電流が12µA未満のシャットダウン・モードにするために、デュアル機能の制御入力が用意されています。低電圧ロックアウトおよび過熱保護回路は、アクティブ時にドライバ出力をディスエーブルします。

 

過電流保護回路 

通常の動作では、ソレノイド電流はソフトウェアによって制御されます。ソフトウェアの不具合や誤動作に備えて、フェイルセーフの過電流回路を組み込むことが賢明です。故障検出信号は、割込み駆動にするか、比例積分微分(PID)ループで検出できます。

CN-0415 では、出力ラッチ付きのLT1671 高精度コンパレータでAD8210 の出力を連続的にモニタすることによって、このPID 制御ループを実現しています。過電流閾値はR14 とR15 で設定され、これらはLTC2312-14 の4.096V リファレンスで作動する抵抗分圧器を形成します(図6 参照)。式4 はトリップ電圧の式で、デフォルトでは3.41V に設定されており、1.7A のソレノイド電流に対応します。

数式-04

過電流状態が発生すると、コンパレータの出力によりLTC4441がディスエーブルされてラッチされます。ソフトウェアがこの状態を検出し、それに応じて動作できるように、出力はマイクロコントローラの汎用入出力(GPIO)ピンにも接続されます。故障が解消すると、コンパレータはQ3 のゲートの立上がりエッジでリセットされます。図6 では、ソフトウェア故障によってリセット信号がハイ・レベルのままになることがあるため、レベル・センシティブのリセットの代わりに立上がりエッジ検出器を使用しています。

 

図6. 過電流保護
図6. 過電流保護

 

電源と保護 

LTC4367 の過電圧、低電圧、および逆電源保護コントローラは、信頼性の高い電源入力保護を提供します。LTC4367 は、出力が安全な動作範囲内に収まるように外付けN チャンネルMOSFETペアのゲート電圧を制御することにより、電源入力電圧が高すぎる、低すぎる、更には負になる可能性のあるアプリケーションを保護します。また、32ms のターンオン遅延により50Hz または60Hz のAC がブロックされます。LTC4367 は–40V~+100Vの電圧に耐え、2.5V~60V の動作範囲で動作し、消費電流は通常動作では70µAにすぎません。

LTC4367 は、VINの過電圧状態と低電圧状態をモニタするための2つの高精度コンパレータを内蔵しています。調整可能な過電圧閾値を入力電源が超えると、外付けMOSFET のゲートが直ちにオフになり、負荷が入力から切断されます。同様に、調整可能な低電圧閾値を入力電源が下回ると、外付けMOSFET のゲートが直ちにオフになります。 

過電圧(OV)/低電圧(UV)の抵抗値は、以下の表1 に示すパラメータで決定されます。

 

表1. OV/UV 抵抗のパラメータ値
Parameter Value
VOS 3 mV
ILEAK 10 nA
UVTH 2.2 V
OVTH 24 V

 

関連するデータシートの式を式5~式7 に示します。

数式-07

これにより、分圧器の各値は表2 に示すようになります。

表2. 分圧器の値
Resistor Value
R4 272.5 kΩ
R5 27.5 kΩ
R8 1.02 MΩ

産業、オートモーティブ、およびバッテリ駆動のアプリケーションでは、回路がロード・ダンプやコールド・クランクなどの様々な過渡的状況にさらされることがよくあります。オートモーティブ・アプリケーションでオルタネータによる充電中にバッテリが切り離されると、ロード・ダンプが発生し、電源電圧が急激に上昇します。エンジンの始動時(またはその他の高負荷状態)にコールド・クランクが発生すると、バッテリの電圧が低下します(低温で悪化します)。LT3433 の電流モード・スイッチング・レギュレータは、単一インダクタを使って昇圧と降圧の両方のレギュレーションを提供するため、これらの状況に対処できます。この回路は4V~60V の入力電圧範囲で動作し、入力電圧範囲の広い様々なアプリケーションでの使用に適しています。

 

図7. システム電源の出力電圧のシミュレーション結果
図7. システム電源の出力電圧のシミュレーション結果

 

 

5V電圧の安定化出力電源をアンプとデジタル・コンバータに供給する、高電圧昇降圧DC/DC コンバータ・スイッチング・レギュレータ回路の特性を図7 に示します。 

 

システムの消費電力 

システムが消費する推定静止電流は、表3 に示すように、約13mA あるいは約180mWです。これは、6V~24V 範囲の電圧入力電源を12V に設定した場合のシステムの消費電流(シミュレーション値)に相当します。

 

表3. システムの合計消費電力の計算値
IC Devices VSUPPLY (V) IQ1 (A) Watts (W)
AD8210 5 0.002 0.01
LTC4441 24 0.006 0.144
LT1671 5 0.001 0.005
LTC4367 24 0.00009 0.00216
LT3433 5 0.00094 0.0047
LTC2312-14 5 0.003 0.015
Total N/A2 0.01303 0.18086

1 IQ は静止電流。

2 N/Aは該当なし。

デジタルPID 制御 

PID 制御ループによりソレノイド電流を正確に制御することが可能となり、電源電圧とコイル抵抗の変動が補償されます。この動作モードにより、2 状態ソレノイドに最適な駆動電流が得られ、消費電力が最小限に抑えられます。追加機能により、高い初期引き込み電流を短時間印加することが可能で、その後、電流は低い保持電流まで低下します。PID コントローラをデジタル実装する場合、標準形式のPID コントローラは離散化する必要があります。離散化したPID コントローラは式8 で表されます。ここで、Kp、Ki、Kd は最初に適正値で調整する必要があります。

数式-08

ソフトウェア・ルーチンに関してすべてを網羅した情報と詳細については、CN-0415 Software wiki を参照してください。


バリエーション回路

電流検出アンプ用に低オフセット・ドリフトを必要とし低電圧入力で動作するシステムでは、AD8418 をAD8210 の代わりに使用できます。AD8418アンプのオフセット・ドリフトは0.1µV/°Cであり、2.7V~5.5V で動作できるため、ポータブル・アプリケーションに対する互換性が向上します。

回路の評価とテスト

以下のセクションでは、CN-0415 回路設計のテスト手順と結果の収集について概説します。ハードウェアとソフトウェアのセットアップの詳細については、CN-0415 ユーザ・ガイドを参照してください。


テストに必要な機器 


  • USB ポート付きでWindows® 7 以降を搭載のPC 
  • EVAL-CN0415-ARDZ 回路評価用ボード
  • EVAL-ADICUP3029 評価プラットフォームまたは同等のインターフェース
  • CrossCore®Embedded Studios(インタラクティブ開発環境(IDE))
  • 電源:6V~12V のベンチ電源または同等品 

設計の開始にあたって


CN-0415 ユーザ・ガイドの指示に従って、サンプル・コードをCrossCore Embedded Studios IDE にロードします。 


機能ブロック図 


テスト・セットアップの機能ブロック図を図8 に示します。このテストでは、システム負荷として6V~25V の範囲の電源とソレノイド・アクチュエータが必要です。


図8. テスト・セットアップの機能ブロック図
図8. テスト・セットアップの機能ブロック図

セットアップ


図9 に示すように、Arduino 互換ヘッダーとそれに対応するヘッダーを使用して、EVAL-CN0415-ARDZをEVAL-ADICUP3029 ボードに取り付けて接続します。

 

図9. EVAL-CN0415-ARDZ とEVAL-ADICUP3029 間の接続
図9. EVAL-CN0415-ARDZ とEVAL-ADICUP3029 間の接続

テスト


サンプル・コードを作成し、ソレノイド・アクチュエータを接続したEVAL-ADICUP3029 およびEVAL-CN0415-ARDZ にロードすると、デバイスはPC と通信し、UART を介して各種コードをデバイスに書き込むことができます。PWM周波数、デューティ・サイクル、およびアクチュエータの電流負荷など、評価目的に使用できる様々なコマンド・ラインを使用して回路をテストします。テスト・セットアップおよびソフトウェアとハードウェアを組み合わせた使用方法の詳細については、CN-0415 ユーザ・ガイドを参照してください。EVAL-ADICUP3029 ボードの詳細は、EVAL-ADICUP3029 ユーザ・ガイドを参照してください。

このシステムは、インダクタンスが20mH、DC 抵抗が12Ω の12V ソレノイド・アクチュエータを使用してテストしました。使用したアクチュエータはDC プッシュプル・ソレノイドです。12V電源で動作し、50%のデューティ・サイクルで6 ニュートン(N)を生成できます。なお、電気的性能をテストする目的では、インダクタを代替負荷として使用できます。AD8210 から実際に出力される電圧を図10 に示します。

 

図10. AD8210 の実際の電圧出力
図10. AD8210 の実際の電圧出力

PWM ドライバの精度テスト


PWM信号はマイクロコントローラから生成され、いくつかのアクティブ・デバイスを通過しますが、ここでデューティ・サイクルがある程度歪められます。複数のPWM 周波数で測定された、PWMの誤差とデューティ・サイクルの関係を表すグラフを図11 に示します。この結果は、PWM 周波数が高くデューティ・サイクルが低い場合に、歪みによる誤差が明確になることを示しています。クローズドループ電流制御動作モードではADC からの高精度フィードバックによりこの誤差が補正されるため、この影響はそれほど重要ではありません。

図11. PWM の実際と理想
図11. PWM の実際と理想

クローズドループ・システムのテスト


システムは、クローズドループ電流モードでもテストしました。クローズドループ電流動作モードでは、誤差の大部分はフィードバック経路内の要素(電流検出抵抗、電流検出アンプ、およびリファレンス内蔵ADC)によって支配されます。PWM 歪み、電源電圧の変動、ソレノイド・コイルの温度係数による誤差はすべて補正されます。

 

図12. PID クローズドループのフルスケール誤差(アンペア)
図12. PID クローズドループのフルスケール誤差(アンペア)

 

様々なPWM 周波数に対する、フルスケール誤差と設定した電流の関係を図12 に示します。ゲイン誤差は最大約2.8mA、オフセットは最大3mA(フルスケールの約0.5%)です。サンプル・ソフトウェアにはキャリブレーション・ルーチンが含まれているため、初期誤差の補正が可能で、残留誤差は1mA(フルスケールの約0.16%)未満となっています。