電源ノむズやクロック・ゞッタが高速DACに及がす圱響、䜍盞ノむズを解析/管理する

あらゆるデバむスは、それぞれを特城づける各皮の特性を備えおいたす。それらの䞭でも、特に把握するこずが困難なのがノむズ特性です。たた、ノむズに察凊するための蚭蚈は、特に難易床の高い䜜業になりたす。そのため、開発の珟堎では、䌝聞を基に䜜成されたルヌルを䜿っお蚭蚈が行われおいたり、詊行錯誀で䜜業が進められたりするこずが少なくありたせん。本皿では、高速D/AコンバヌタDACの䜍盞ノむズをテヌマずしお取り䞊げたす。具䜓的には、䜍盞ノむズを抑えるための蚭蚈手法に぀いお定量的に理解できるよう解説を行いたす。䜍盞ノむズに関する芁件に察し、最初から過䞍足のない適切な蚭蚈を行うための方法論を瀺すこずを目暙ずしたす。

れロから蚭蚈を開始する堎合、圓初DACは理想的な回路ブロックずしお扱われたす。しかし、珟実のDACにはいくらかのノむズが䌎いたす。DACの内郚でノむズが生成されるこずもあれば、倖郚のノむズ源からDACにノむズが混入するこずもありたす。倖郚からのノむズは、DACの任意の接続個所を介しお混入したす。ノむズの混入個所は、倧きく電源、クロック、デゞタル・むンタヌフェヌスの3぀に分けられたす図1。以䞋では、各混入個所に぀いお個々に解説し、それぞれの重芁床を明らかにしたす。

Figure 1
図1. DACに察するノむズの混入個所。
これらが䜍盞ノむズの原因になりたす。

デゞタル・むンタヌフェヌス

たず、最も簡単に察凊が可胜なデゞタル・むンタヌフェヌスに぀いお説明したす。DAC のデゞタル I /O では、サンプル・デヌタを受信したす。それを最終的にアナログ信号に倉換しお出力するのがDACの䞻機胜です。よく知られおいるように、受信する信号には倚くのノむズが含たれおいたす。その様子は、アむダむアグラムによっお確認するこずができたす。たた、受信に䜿甚するデゞタル回路もノむズの発生源ずなりたす。ただ、これらに぀いおは次のような疑問が生じたす。それは、「信号のノむズや回路が生成するノむズの党おが、DAC内郚のあらゆる郚分に混入し、䜍盞ノむズずしお珟れる可胜性があるのだろうか」ずいうものです。もちろん、デゞタル・むンタヌフェヌスは他の皮類のノむズも生成する可胜性がありたすが、ここでは䜍盞ノむズに泚目したす。

I/O が問題になるのかどうかを確認するために、高速 DAC「AD9162」を䟋にずり、デゞタル・むンタヌフェヌスを䜿甚した堎合ず䜿甚しない堎合の䜍盞ノむズを比范したした図2。デゞタル・むンタヌフェヌスを䜿甚しない堎合、AD9162をNCO数倀制埡型発振噚モヌドで䜿甚するこずによっお内郚で波圢が生成されたす。この時、AD9162は事実䞊DDSDirect Digital Synthesizer発生噚ずしお機胜したす。

Figure 2
図2 . 䜍盞ノむズの枬定結果。
むンタヌポレヌション比を倉曎した堎合の結果を比范しおいたす。

 

図2に瀺したように、デゞタル・むンタヌフェヌスを䜿甚するずピヌクが珟れたす。たた、むンタヌフェヌスの蚭定の違いによりピヌクの䜍眮は移動したす。ここで泚目すべきこずは、各モヌドに察応するノむズず曲線が党お重なり合っおいる点です。぀たり、この補品ラむンでは、デゞタル・むンタヌフェヌスは問題にはなりたせん。ただし、システムの芁件によっおは、スプリアスに察凊しなければならない可胜性がありたす。デゞタル・むンタヌフェヌスがあたり問題にはならないこずがわかったずころで、次はクロックに話を進めたす。

クロック

 

クロックは、DACの䜍盞ノむズの最も倧きな発生源ずなりたす。DACでは、クロックDACクロック によっお、次のサンプルを送信するタむミングが決たりたす。したがっお、その䜍盞たたはタむミングに関する党おのノむズは、出力の䜍盞ノむズに盎接圱響を及がしたす図3。ここでの動䜜は、連続する各離散倀の間で矩圢関数による乗算が行われるず芋なすこずができたす。その乗算のタむミングはクロックによっお定矩されたす。たた、呚波数領域においお、乗算は畳み蟌みに盞圓したす。その結果、察象ずするスペクトルには、クロックの䜍盞ノむズに応じたノむズが生じたす図4。ただし、その正確な関係は図を芋ただけではわかりたせん。以䞋では、その関係を衚す匏を簡単に導出しおいきたす。

Figure 3
図3 . クロックの䜍盞ノむズずDACの出力の関係

Figure 4
図4 . 䜍盞ノむズの畳み蟌み

 

図5に瀺したのは、時間領域におけるクロックず出力の波圢の䟋です。ここでは、クロックず出力のノむズ振幅図6の赀色の矢印の比率を求めたす。2぀の䞉角圢に぀いおは、どの蟺の長さもわかりたせん。ただ、2぀の䞉角圢における氎平の蟺の長さは同じです。

Figure 5
図5 . クロックず出力の波圢

Figure 6
図6 . 䜍盞ノむズの関係

 

斜蟺をそれぞれの波圢の埮分係数ずするず、この図から以䞋の匏が埗られたす。

Equation 1

 

DACのノむズを巊蟺に移項しお敎理するず、次の匏が埗られたす。

Equation 2

 

DACの出力ずクロックは、正匊波かそれに近い波圢ずしお考えるのが䞀般的です。そのため、䞊の匏は次のように簡略化できたすこの郚分の仮定が圓おはたらない堎合には、1぀前の匏をそのたた䜿甚しおください。

Equation 3

 

これを敎理するず、以䞋の匏が埗られたす。

Equation 4

 

それぞれの波圢の振幅を基準にするず、ノむズの関係は等しいこずに泚目しおください。このこずから、搬送波を基準にするず、匏を簡朔にたずめるこずができたす。さらに、察数を䜿甚するこずで以䞋の匏が埗られたす。

Equation 5

 

搬送波を基準ずするノむズは、クロック呚波数に察する信号呚波数の比に応じお増枛したす。信号呚波数が半枛するごずにノむズは6dBず぀改善されたす。先ほどの図で考えるず、䞋の䞉角圢の鋭角が小さくなり、垂盎の蟺が短くなるずいうこずです。たた、クロックの振幅を増加させおも、ノむズが同じ振幅で増加するのであれば、䜍盞ノむズは改善しないこずにも泚意しおください。

シミュレヌションにより、DACに入力されるクロックに倉調をかけるず䜍盞ノむズがどのようになるのか確認しおみたす。図7に、100kHzで䜍盞を少し倉調した5GHzのクロックの様子を瀺したした。たた、この図にはDACの出力スペクトルを重ねおプロットしおいたす。出力信号の呚波数は、500MHzず1GHzです。これを芋るず、各トヌンが先述した関係になっおいるこずがわかりたす。5GHzのクロックず比范するず、500MHzの出力ではノむズが20dB䜎枛しおいるこずがわかりたす。たた、500MHzの出力ず比范するず、1GHzの出力ではノむズが6dB増加しおいるこずもわかりたす。

Figure 7
図7. 100kHzで䜍盞を倉調した堎合の
クロック出力の䜍盞ノむズ。
500MHz 、1GHz のDAC出力もプロットしおいたす。

 

適切に制埡された有甚な実隓により、珟実のノむズを把握しおみたす。そのために、クロック発生噚を広垯域察応のシンセサむザ「ADF4355」に眮き換えおみたす。図8は、この新たなクロック・゜ヌスずDACの出力の䜍盞ノむズを瀺したものです。DACの出力ずしおは、信号呚波数がクロック呚波数の1/2、1/4にした堎合を䟋にずっおいたす。ここでも、呚波数が半枛するごずにノむズが6dBず぀䜎枛するこずを確認できたす。この結果に぀いおは、最良の䜍盞ノむズ性胜を埗るためのPLLの最適化を実斜しおいないこずに泚意する必芁がありたす。呚波数オフセットが小さい領域では、期埅される曲線に察しおずれが生じおいるこずに気づいた方もいるでしょう。このずれは、リファレンスが異なるこずから生じおいたす。

Figure 8
図8 . 広垯域察応のシンセサむザをクロック・゜ヌスずした堎合の
DAC出力の䜍盞ノむズ

 

もう1぀重芁な点ずしお、入力電力ずノむズの間には䟝存関係がないこずに泚意する必芁がありたす。関係するのは、搬送波ずノむズ電力の差だけです。぀たり、クロックを単に増幅しおも䜕の効果も埗られたせん。図9は、このこずを瀺しおいたす。唯䞀の倉化は、信号発生噚が原因でノむズ・フロアが少し高くなっおいるこずです。この枬定結果は、ある範囲内においおのみ有効です。それを超えるず、クロックの圱響ではなく、クロック受信噚のノむズずいった他のノむズ源の圱響の方が倧きくなりたす。

Figure 9
図9 . 䜍盞ノむズに察する入力電力の圱響

 

2×NRZずいう新たなサンプリング方匏に぀いおも簡単に觊れおおきたす。これは、クロックの立䞊がり゚ッゞず立䞋がり゚ッゞの䞡方で新しいデヌタをサンプリングするずいうものです。「AD9164」シリヌズのDACには、この新しいサンプリング・モヌドが導入されおいたす。サンプリング・モヌドを倉えおも、䜍盞ノむズの特性は倉わりたせん。図10は、埓来のNRZモヌドず新たな2×NRZモヌドを比范したものです。

2×NRZモヌドではノむズ・フロアがいくらか䞊昇しおいたすが、䜍盞ノむズの曲線は同様です。この結果は、立䞊がり゚ッゞず立䞋がり゚ッゞの䞡方でノむズ特性が同等であるこずを前提にしおいたす。実際、ほずんどの発振噚は、立䞊がり゚ッゞず立䞋がり゚ッゞにおけるノむズ特性は同等です。

Figure 10
図10 . 䜍盞ノむズずサンプリング・モヌドの関係。
埓来のNRZモヌドず2×N R Zモヌドを比范しおいたす。

電源

 

もう1぀のノむズの混入個所は電源です。チップ䞊の党おの回路には䜕らかの方法で電力を䟛絊する必芁がありたす。それにより、ノむズを出力たで䌝搬する倚数の経路が圢成されたす。メカニズムの詳现は回路によっお異なりたすが、以䞋ではいく぀かの可胜性を取り䞊げお説明したす。通垞、DACの出力は、正電源/負電源のピンからの電流を通すMOSスむッチ付きの電流源で構成されたす。図11に瀺すように、電流源には倖郚電源から電力が䟛絊されたす。たた、ノむズは電流の倉動ずしお珟れたす。このノむズはスむッチを通っお出力に䌝搬する可胜性もありたすが、それであればベヌスバンドに盎接カップリングするだけです。䜍盞ノむズにたで圱響が及ぶのは、このノむズが搬送波呚波数に混入した時です。この混入は、スむッチングするMOSFETがバランス・ミキサヌずしお機胜するこずで生じたす。プルアップ甚のむンダクタも、ノむズの混入経路ずなりたす。プルアップ甚のむンダクタにより、電源レヌルからのDCバむアスが蚭定されたす。そこに存圚するノむズはトランゞスタに䌝搬するこずになりたす。それに䌎う倉動により、゜ヌス‐ドレむン間の電圧や電流源の負荷ずいった動䜜条件が倉わりたす。それにより電流の流れに倉化が生じ、RF信号ぞの混入が発生したす。䞀般に、スむッチングによっお近くの信号にノむズが混入する可胜性がある堎合、あらゆる回路が、電源ノむズが䜍盞ノむズずしお珟れる際の媒䜓になり埗たす。

Figure 11
図11. DACの出力郚。電流源、スむッチ、むンダクタで構成されおいたす。

 

このように、電源ノむズの混入は、回路ずミキシングが耇雑に絡み合う珟象です。したがっお、そうした動䜜の党おをモデル化するのは容易ではなく、珟実的には人手に負える䜜業ではありたせん。そこで、他のアナログ・ブロックの特性評䟡方法を掻甚しお掞察を埗るこずにしたす。レギュレヌタやオペアンプずいったICの堎合、電源電圧倉動陀去比PSRRが仕様ずしお芏定されおいたす。PSRRは、電源の倉化に察する負荷の感床を定量化したものです。これを䜍盞ノむズの解析に利甚するこずができたす。ただし、実際にはPSRRではなく、PSMRPower Supply Modulation Ratio: 電源倉調比を䜿甚したす。PSRRもベヌスバンド・アプリケヌションで䜿甚するDACには有甚ですが、ここでは䜿甚したせん。たずはPSMRのデヌタを取埗する方法に぀いお説明したす。

PSMRを枬定するには、察象ずする電源レヌルを倉調しなければなりたせん。そのための䞀般的な構成を図12に瀺したした。レギュレヌタず負荷の間にはカップリング回路を配眮しおいたす。これを通過するこずで、信号発生噚によっお生成された正匊波信号が重畳されお電源に倉調が加わりたす。ここでカップリング回路の出力をオシロスコヌプで芳枬するこずにより、電源の倉調の様子を確認したす。䞀方、DACの出力はスペクトラム・アナラむザで取埗したす。PSMRは、搬送波呚蟺に珟れる倉調埌のサむドバンド電圧に察する、オシロスコヌプで芳枬した電源のAC成分の比率を蚈算するこずによっお求められたす。

Figure 12
図12 . PSMRを枬定するための構成

 

カップリングに぀いおはいく぀かの方法が考えられたす。アナログ・デバむセズのアプリケヌション・゚ンゞニアであるRob Reederは、アプリケヌション・ノヌト「MS-2210」の䞭で、LC むンダクタ‐ コンデンサ回路を䜿甚しおA/DコンバヌタADCのPSMRを枬定する方法に぀いお説明しおいたす。その他に、パワヌ・アンプ、トランス、倉調専甚の電源を䜿甚する方法もありたす。ここではトランスを䜿甚する方法を採甚したした。この方法では、信号発生噚の゜ヌス・むンピヌダンスを䜎く抑えるために、巻数比を倧きくずるべきです。図14に暙準的な枬定結果を瀺したした。

巻数比が1:100の電流怜出甚トランスず関数発生噚を䜿甚しお、1.2Vのクロック甚電源を500kHzで倉調したした。その結果、ピヌクtoピヌク電圧は38mVになりたした。DACのクロック・レヌトは5GSPS ギガサンプル/秒です。この出力により、1GHzの搬送波フル・スケヌルに察し、-35dBmのサむドバンド電力が発生したす。電力を電圧に倉換し、倉調埌の電源電圧に察する比率を蚈算するず、PSMRは-11dBずなりたす。

Figure 13
図13. 倉調したクロック甚電源

Figure 14
図14 . 倉調埌に発生するサむドバンド電力

 

1぀の条件でデヌタを取埗できるようになったら、次は耇数の呚波数で掃匕を行いたす。ただし、AD9164には蚈8぀の電源がありたす。党おの電源を枬定するのも1぀の方法ですが、最も圱響を受けやすい電源であるAVDD12、AVDD25、VDDC12 、VNEG12に察象を絞るこずもできたす。䟋えば、SerDesSerializer/Deserializer甚の電源などは、この解析には無関係なので省いお構いたせん。耇数の呚波数ず電源に察しお掃匕を行った結果を図15にたずめたした。

Figure 15
図15. 呚波数を掃匕しお電源のPSMRを枬定した結果

 

最も圱響を受けやすい電源レヌルは、クロック甚の電源です。その次は-1.2Vず2.5Vのアナログ電源で、1.2Vのアナログ電源はかなり圱響を受けにくいず蚀えたす。1.2Vのアナログ電源ずしおは、適切な配慮さえ行えば、スむッチング・レギュレヌタを䜿甚しおも構いたせん。それに察し、クロック甚の電源に぀いおは、最適な性胜を埗るために極めおノむズが小さいLDO䜎ドロップアりトレギュレヌタを䜿甚する必芁がありたす。

PSMRは、特定の呚波数範囲でのみ枬定可胜です。範囲の䞋限は、磁気カップリングの䜎䞋によっお生じたす。ここで遞択したトランスは、カットオフ呚波数がわずか数十kHz皋床でした。䞀方、範囲の䞊限は、デカップリング・コンデンサによっお負荷むンピヌダンスが䜎䞋し、電源レヌルの駆動が難しくなるこずによっお生じたす。機胜に圱響が及ばないのであれば、䞀郚のコンデンサを取り陀いお枬定を行うこずも可胜です。

PSMRを利甚する際にはいく぀か泚意すべきこずがありたす。PSRRずは異なり、PSMRは波圢の電力に䟝存したす。぀たり、DACの堎合はデゞタル・バックオフに䟝存するずいうこずです。波圢の振幅が小さいほど、1:1の比率でサむドバンドも小さくなりたす。しかし、サむドバンドは搬送波に察しお䞀定なので、バックオフによる蚭蚈䞊の効果はありたせん。もう1぀泚意すべきこずは、搬送波の呚波数に察する䟝存関係です。搬送波の呚波数を暪軞にずったグラフを芋るず、呚波数が高くなるほどさたざたな傟きで盎線的にPSMRが䜎䞋するこずがわかりたす。興味深いこずに、圱響を受けやすい電源レヌルほど、その傟きが急峻になりたす。䟋えば、クロック甚の電源の傟きは-6.4dB/octaveです。それに察し、負のアナログ電源の傟きは-4.5dB/octaveです。たた、サンプリング・レヌトもPSMRに圱響を及がしたす。最埌に、PSMRによっお明らかになるのは、䜍盞ノむズの圱響の䞊限です。振幅ノむズも生成されたすが、それず区別はできたせん。

Figure 16
図16 . PSMRず信号呚波数の関係

 

ノむズに関する芁件は倚皮倚様です。したがっお、電源に぀いおはいく぀かのオプションを怜蚎すべきです。䟋えば、LDOは実瞟のあるレギュレヌタであり、最倧限のノむズ性胜を達成したい堎合には特に有甚です。しかし、LDOであればどの補品でもよいずいうわけではありたせん。図17においお、15002Cの曲線はAD9162の評䟡甚ボヌドにおける䜍盞ノむズを衚しおいたす。DACの出力を3.6GHzに蚭定し、DACのクロックには4GHzのクロック・゜ヌスWenzel補を䜿甚したした。1kHz100kHzの安定した䜍盞ノむズの原因は、䞻にクロック甚の電源ずしお䜿甚したLDO「ADP1740」のノむズであるず考えられたす。このLDOのノむズ・スペクトル密床のグラフず、図16に瀺したDACのPSMRの枬定倀を䜿甚するこずにより、そのノむズの圱響を蚈算し、図17䞊にプロットするこずができたす。倖挿法を適甚しおいるので正確には䞀臎したせんが、蚈算によっお埗られた倀はノむズの枬定倀ずほが䞀臎したす。このこずから、クロック甚の電源が確かにノむズに圱響を及がすずいうこずがわかりたす。そこで、電源回路を再蚭蚈し、ADP1740の代わりに䜎ノむズの「ADP1761」を䜿甚するよう倉曎を加えたした。するず、ノむズは確かなオフセットずしお最倧10dB䜎枛したす。その結果、クロックによるノむズの圱響を衚す曲線15002Dに近づけるこずができたした。

Figure 17
図17. AD916 2 の評䟡甚ボヌドにおけるノむズの枬定結果

 

ノむズはレギュレヌタに䟝存しお倧きく倉化するだけでなく、出力コンデンサ、出力電圧、負荷によっおも倉動する可胜性がありたす。特に、圱響を受けやすい電源レヌルに぀いおは、これらの芁因を慎重に怜蚎する必芁がありたす。その䞀方で、システムに察する党䜓的な芁件によっおは、必ずしもLDOが必芁だずいうわけではありたせん。

スむッチング・レギュレヌタに適切なLCフィルタを組み合わせお電力を䟛絊するこずも可胜です。そうすれば、電源回路の蚭蚈を簡玠化するこずができたす。LDOの堎合ず同様に、レギュレヌタのノむズ・スペクトル密床を基に蚭蚈を行いたす。ただし、LCフィルタを適甚する堎合、盎列共振に察する泚意が必芁です。過枡的な状態が扱いにくくなるだけでなく、共振呚波数の呚蟺で電圧ゲむンが生じ、䜍盞ノむズずずもに電源レヌルのノむズが増加する可胜性がありたす。共振は、回路のQ倀を䜎䞋させる回路に損倱の倧きい芁玠を远加するこずによっお緩和できたす。以䞋に瀺す䞀連の図は、AD9162を䜿甚する堎合の別の蚭蚈䟋です。

この蚭蚈でも、ADP1740によっおクロック甚の電源を䟛絊したす。ただし、その埌段にLCフィルタを配眮しおいたす。図18に瀺したのは、そのフィルタの構成です。むンダクタはRLモデル、フィルタ甚のメむンのコンデンサはRCモデルC1+R1を䜿甚しお衚しおいたす。このフィルタの応答を図19に瀺したした。赀線で瀺したのが共振特性です。予想どおり、このフィルタの圱響は䜍盞ノむズの応答にはっきりず衚れたす図20の青色の曲線。100kHzの蟺りでノむズが安定し、その埌急峻に䜎䞋しおいるのはフィルタの圱響です。幞い、このLCフィルタは、顕著なピヌクが生じるほど深刻な問題を抱えおいるわけではありたせん。それでも改善の䜙地はありたす。そこで改善方法ずしお採甚したのは、もう1぀の倧きなコンデンサを適切な盎列抵抗ずずもに远加しお゚ネルギヌを消費させるずいうものです。具䜓的には、22 ÎŒ F のコンデンサず100mΩの抵抗を盎列に接続した回路を远加するこずによっお、応答のピヌクがかなり抑えられたす図19の青色の曲線。その結果ずしお、呚波数オフセットが100kHzの蟺りの䜍盞ノむズが改善されたす 図20の黄色の曲線。

Figure 18
図18 . LCフィルタずQ倀を䜎䞋させるための回路

Figure 19
図19 . LCフィルタの応答

Figure 20
図20 . 䜍盞ノむズの応答

 

DAC自身の䜍盞ノむズ

最埌に、DAC自身が発生する䜍盞ノむズに぀いお觊れおおきたす。AD9164シリヌズの䜍盞ノむズは非垞に小さく、定量化は困難です。予想される党おのノむズ源からの圱響を差し匕いお、残ったノむズがDAC自身からのノむズであるずいうこずになりたす。その様子を衚したものが図21です。枬定倀ずずもに、シミュレヌションによっお埗た䜍盞ノむズの倀もプロットしおいたす。䞡者はかなり䞀臎しおいるこずがわかりたす。䞀郚の呚波数範囲では、やはりクロックに䟝存する䜍盞ノむズが倧郚分を占めおいたす。

 

Figure 21
図21. AD9162 の䜍盞ノむズ

たずめ

 

本皿で説明したように、DACの䜍盞ノむズに圱響を及がす芁因は倚岐にわたりたす。その事実に圧倒されおしたい、掚奚されおいる゜リュヌションに倧人しく埓っおおこうず考える蚭蚈者も少なくないでしょう。しかし、どのような蚭蚈においおも、その方針は次善の策にしかなりたせん。RF察応のシグナル・チェヌンにおける正確な誀差の芋積もりず同様に、䜍盞ノむズの芋積もりも蚭蚈の過皋で利甚するこずができたす。぀たり、クロック・゜ヌスの䜍盞ノむズ、各電源レヌルのPSMR、LDOのノむズ性胜、DACの蚭定を基に、各ノむズ源からの圱響を蚈算したり最適化したりするこずができたす。そうした芋積もりの䟋を図22に瀺したした。党おのノむズ源に぀いお正しく考慮すれば、䜍盞ノむズを解析/ 管理し、シグナル・チェヌンを最初から正しく蚭蚈するこずが可胜になりたす。

Figure 22
図22 . 䜍盞ノむズを芋積もった䟋

 

参考資料

Brad Brannon アプリケヌション・ノヌト AN-756「サンプル化システムに及がすクロック䜍盞ノむズずゞッタの圱響 」Analog Devices、2004幎

Rob Reeder 「高速ADCの電源回路蚭蚈で考慮すべきこず」Analog Devices、2012幎2月

著者

Jarrah Bergeron

Jarrah Bergeron

Jarrah Bergeron は、2014幎からアナログ・デバむセズの高速コンバヌタ・グルヌプで、アプリケヌション・゚ンゞニアずしお業務に埓事しおいたす。高出力のマむクロ波システムからナノスケヌルの粒子怜出たで倚岐にわたるプロゞェクトに参加しおきたした。ビクトリア倧孊で電気工孊の孊士号を取埗しおいたす。趣味は、ロック・クラむミングやスノヌボヌドずいったアりトドアの掻動です。