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閉じるSWaPを最適化することで、電力効率を高める
モハーベ砂漠の端には、高さ25mのアンテナ塔が設置されており、その先端に配備された5G対応のRFトランシーバーは、灼熱とも言えるレベルの高温にさらされています。そのトランシーバーには、小型化、軽量化が図られたコンポーネントが適用され、電力効率がより高い電子システムが組み合わせられています。そのようにして熱の発生量を抑えることで、トランシーバーを低い温度に保ち、正常な動作を確保しているのです。また、モハーベ砂漠の近くには、敷地面積が1000エーカー(4.047km2)以上に達するデータ・センターが開設されています。そこには、サーバ機器が何列にもわたって配備されており、需要の高い処理が実行されています。何百万回もの検索処理などが行われ、情報に飢えた世界に対して大量のデータが供給されています。このような膨大なデータを集中的に扱う場合、高速に遷移する大電流に対応しなければなりません。加えて、コンポーネントについては非常に高い電力密度を達成することが求められます。これらの要件を満たすことにより、運用効率を最大限に高め、コンテンツを迅速に配信することが可能になります。

通信の世界では、引き続き技術の進化が求められています。この分野のアプリケーションで使用されるパワー・エレクトロニクスについては、技術的な難易度が非常に高い課題を解決する必要があります。その課題とは、SWaP(サイズ、重量、消費電力)を可能な限り低く抑えるというものです。あらゆるアプリケーションでは小型化と軽量化が進んでいます。その一方で、必要な電力の量は増える傾向にあります。パワー・エレクトロニクスの業界は、SWaPを最適化したいというニーズによって牽引されています。現在のデータ・センターや通信システムは、先進的なパワー・マネージメント技術によって支えられていると言えるでしょう。
電力コストの最小化
消費電力は、運用コストに大きな影響を及ぼします。そのため、消費電力の削減に注力するのは財政的な意味でも理に適っています。5Gに対応する通信システムをはじめ、データ・レートの高いシステムが登場した結果、データ・センターの処理能力に対する要求は非常に厳しくなりました。標準的なデータ・センターでは、電力供給に関連するコストがトータルのコストのほぼ半分を占めています。そのうちの30%~40%は、建物に設置する冷却システムに関連して費やされています1。電源システムの効率が低いと、多くの熱が生成されます。そうすると、冷却にかかるコストが増大します。逆に、電源システムの効率を高められれば、必要なコストを削減することが可能になります。つまり、運用に必要なエネルギー、冷却システムのために必要なスペース、ファンやヒート・シンクといった温度管理用のコンポーネントを削減できるということです。
インテリジェントなパワー・マネージメントにおける4つのベクトル

通信会社は、極めて多くの電流を必要とする機器に電力を供給する必要があります。そのため、もはや既製のコンポーネントによって、目標とするレベルの節電を達成しようとは思っていません。画期的な素材やパッケージング方法を活用することで、より小型かつ軽量な5G通信のシステムを実現すべく取り組みを行っています。電子回路についても、金属やプラスチック、その他の資源の使用量を少なく抑えて小型化を図ることが必須になっています。このことは、サステナビリティに関する目標の達成を目指すテクノロジー・リーダーにとって重要な意味を持ちます。
SWaPの削減

フットプリントの低減

軽量化

供給電力の増大、
効率の向上
データ・センターや通信の分野において、SWaPを低減したいというニーズは不変のものです。データ・センターを運営する企業2、ソーシャル・メディア企業、コネクテッド・デバイスのメーカー、クラウド・サービスのプロバイダ、検索エンジン大手などは、サステナビリティに関する課題の達成に向けて取り組みを行っています。
ワイヤレス端末のSWaPと効率の改善
ワイヤレス・システムの端末側では、電力密度と効率を最大化しつつ、サイズを小さく抑えることに重点が置かれています。5G通信のアプリケーションでは、機能/能力を追加で組み込めるだけの柔軟性を提供することも重要です。より小さなスペースで運用できるということは、より高いコスト・パフォーマンス、より高い効率で機能を提供できるということを意味します。ワイヤレス通信には進化の余地が大いにあります。SWaPの低減に貢献する新たなパッケージング技術もその一例です。そうした技術は、部品点数やフットプリントの削減といった効果をもたらします。基板上の実装面積を削減できれば、解放されたスペースを利用し、AI(人工知能)や音声認識といった新技術/新機能を統合することが可能になります。
システムのノイズを小さく抑えれば、必要なシールドの量を削減できます。そうすれば、システムの小型化/軽量化が図れます。
ノイズの低減
システムを適切に運用する上では、電力変換の効率向上が鍵になります。ただ、そのためにはサイズが犠牲になることが少なくありません。小型化を図るための手法としては、電力変換に使用するスイッチング周波数を高めるというものが挙げられます。ただ、高いスイッチング周波数を使用すると、変換効率が低下し、EMI(電磁干渉)ノイズが増加するという問題が生じます。EMIのレベルが高ければ、5G通信のネットワークで使用されるRFトランシーバーのような感度の高いデバイスの機能が妨げられてしまうかもしれません。アナログ・デバイセズは、Silent Switcher®技術を採用したパワー・コンバータ製品を提供しています。そうした画期的な技術を活用すれば、スイッチング周波数を高めつつ、EMIを含む電源システム全体の性能を向上することが可能になります。
5G通信を導入すれば、携帯電話とインターネットのサービスを世界中で利用できるようになります。そうすると、人々のコミュニケーション、学習、仕事、遊びの在り方が一変します。それだけでなく、医療従事者や緊急対応要員にも好影響が及ぶでしょう。そうした人達の業務は、役割を果たす上で不可欠なコミュニケーションを実現する技術や、異常事態(インシデント)を知らせるアラートの管理を実現する技術に依存しているからです。

企業や消費者の間では、オンデマンドのデータやストレージに対するニーズが急激に高まっています。それに対応するためには、データ・センターにおける供給電力を大幅に増加させなければなりません。そうすると、既に逼迫している電力網のシステムを管理する上で、効率的な電力変換が必須の要件になります。データ・センターによっては、人口が8万人の都市に匹敵する電力を消費します3。そのため、パワー・マネージメント技術の進化は不可欠です。
非常に消費電力の多いICの例としては、カスタムで設計されたASICが挙げられます。アナログ・デバイセズは、その消費電力の課題に対する取り組みを行っています。具体的には、必要な量の電力を供給しつつ、電力変換に伴う損失を低減し、発熱量を抑えることが可能なソリューションを開発しています。
電源回路の小型化
業界全体で、サーバ・システムには厳しい基準に沿ったフォーム・ファクタが採用されています。一方、ASICの性能を向上させるためには、消費電力の大幅な増大を許容しなければなりません。フォーム・ファクタのサイズに対する制限が変わらないことを踏まえると、アナログ・デバイセズのソリューションが有力な選択肢になります。当社のソリューションは、高度な統合技術と独自の磁気部品によって高い電力密度を実現しています。そのため、必要なスペースを抑えつつ、高い効率でより多くの電力を供給することが可能になります。

先進的な技術
回路や磁気部品の設計、パッケージ技術、集積化技術などの改善が図られた結果、無線/有線の通信機器でも、より小型な電源システムを利用できるようになりました。アナログ・デバイセズは、μModule®という先進的な技術を採用した電力密度の高いソリューションを提供しています。従来の電源回路では、30個もの個別部品が使用されることがありました。それにより、入力バス電圧を基にしてシステムで使用する電圧が生成されます。一方、μModuleでは、単一の表面実装基板上に複数のコンポーネントを実装することができます。それにより、必要な部品一式を単一のデバイスとして提供することが可能になります。機器メーカーがμModuleデバイスを採用すれば、電源回路のフットプリントを小さく抑えられます。また、負荷の近くに電源回路を配置することが可能になります。更に、設計を簡素化し、システム性能を最適化することができます。
求められるスマート・システム・マネージメント
システムの信頼性を高めるためには、電源システムの管理/制御を担うスマート・システム・マネージメントの機能が必要になります。スマート・システム・マネージメントは、5Gの通信システムやデータ・センターのサーバ・システムにおいて、長い耐用年数と信頼性の高い機能/性能を実現するために不可欠な要素だと言えます。スマート・システム・マネージメントでは、運用に関するデータから得られる知見を活用します。それにより、事業者は時間の経過に応じてシステムの運用効率と信頼性を向上させることが可能になります。また、電力の消費量を監視し、必要に応じてオンザフライでサーバ・ラックの電源投入/シャットダウンを実行することができます。このことは、エネルギーの節約につながります。一方、スマート・システム・マネージメントが適用されていない施設では、ピーク外の時間帯でも、恐らくはサーバが無駄にオンの状態で維持されてしまうことになるでしょう。アナログ・デバイセズのスマート・システム・マネージメント技術を採用すれば、データ・センターの消費電力を削減し、電力料金を抑えることが可能になります。
安全性と信頼性
安全性と信頼性を確保するためには、障害に備えて電力を監視/制御しなければなりません。アナログ・デバイセズのインテリジェントなホット・スワップ技術を利用すれば、重要なシステムの動作を監視/制御すると共に、そのシステムの接続/切断を実現することができます。それにより、安全性と信頼性に優れた状態でデータ・センターを運用することが可能になります。ホット・スワップ向けのソリューションを適用すれば、システムの運用を中断することなく保守を実施できます。つまり、クライアントによる操作を中断することなく、障害が発生しない状態を維持できるということです。また、オペレータの安全性の確保、コンポーネントに対するストレスの低減、システムの故障の回避、耐用年数にわたる性能劣化の抑制も実現されます。ホット・スワップは、システムの故障を検出/記録したり、障害につながる故障に関する警告をシステムに対して発したり、火災などの壊滅的な障害を防いだりすることにも貢献します。
インテリジェントなホット・スワップ技術を利用すれば、ラックにマウントされたボードのレベルで電圧と電流を管理することができます。それにより、ラックやシステム全体のパワー・ダウンを実施することなく、バックアップ・ボード(またはライン・カード)を安全に設置することが可能になります。このことは、個々のユニットを確実に点検してサービスの中断を最小限に抑えることにつながります。言い換えれば、時間とコストの節約が可能になるということです。
より良いパワー・マネージメントを行うためのソリューション
ワイヤレス通信システムやデータ・センターは、携帯電話によるサービスやインターネットによるデータ・サービスのバックボーンを提供します。それにより、世界中の人々はネットワークに常時接続した状態で情報を入手できるようになりました。その規模は非常に大きいので、人々の交流に対しては非常に大きな効果がもたらされます。その一方で、消費電力の面では非常に大きな影響が及ぶことになります。この問題を解消するためには、電力を適切に管理し、エネルギーの消費量を抑えることを可能にするソリューションを生み出すことが非常に重要になります。これはデータ・センターのアプリケーションだけでなく、業界や環境にとっても極めて重要な課題です。アナログ・デバイセズは、先進的な一連の製品や技術を提供しています。それらを活用すれば、経済的に有益で、安全性と信頼性に優れたデータ・センターや通信システムを構築することが可能になります。アナログ・デバイセズは、パワー・エレクトロニクス・システムを担当する設計者が革新的な技術を容易に市場に投入できるよう全力を尽くしています。