概要
設計リソース
評価用ボード
型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。
- EVAL-CN0582-USBZ ($750.00) USB 3.0 Quad-Channel IEPE Vibration Sensor Measurement System
- SW-CN0582-API ($10000.00) CN0582 Application Programming Interface
デバイス・ドライバ
コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。
AD5686 GitHub Linux Driver Source Code (SPI)
AD7768 GitHub Linux Driver Source Code
機能と利点
- 4チャンネルのアナログ入力
- 4~20mAのIEPEセンサーに対応
- 周波数発生器出力
参考資料
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競争優位:自動車試験ソリューション2023/08/18
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CN0582: USB 3.0 クワッドチャンネル IEPE 振動センサー計測システム (Rev. 0)2022/11/22PDF731 K
回路機能とその特長
電子回路内蔵圧電素子(Integrated electronics piezoelectric: IEPE)および IEPE互換加速度センサーや速度センサーは、状態基準保全(CbM)、ビルディング・モニタリング、構造解析アプリケーションなど、広い範囲にわたって用いられています。多くの場合、複数のチャンネルが使用され、1 地点での 3次元加速度測定、またはいくつかの地点での複数の 1 次元測定が行われます。
ベンチトップ型のデータ・アクイジション(DAQ)システムは、研究やキャリブレーション環境では使用できますが、通常こうしたシステムは大型かつ高コストであるため、そのままでエンド・アプリケーションでの使用に供されることはありません。
図 1 に示す回路は、USB ベースの自己完結型クワッド入力チャンネル IEPE データ・アクイジション・システムです。4 つのチャンネルが 24 ビットの分解能で同時にサンプリングされ、サンプル・レートは最大 256kSPS に達します。シグナル・チェーンはDC 結合されており、0Hz までの周波数応答能力があります。また、回路を DC オフセットすることでダイナミック・レンジを最大化できます。各入力チャンネルには、標準的な IEPE センサーに給電できる定電流源があります。すべてのデータ信号と電源レールは、単一の USB 3.0 接続で伝送できます。
また、システムには、ダイレクト・デジタル合成(DDS)信号発生器が備わっており、これを使用することで電子的なキャリブレーションを行ったり、振動台や振動校正器の励起源として用いることでセンサー・レベルやシステム・レベルのキャリブレーションを行ったりできます。
データは付属のソフトウェア・アプリケーションで取得および分析ができます。また、付属のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を用いることでカスタム・ソフトウェアを開発できます。

回路説明
Rev.0 を翻訳したものです。最新版は英語資料をご覧ください。
CN0582 は、付属のソフトウェアまたは API ライブラリを使用してアナログ・センサーのデータを測定できる、フル機能のソリューションです。
このシステムは、様々なセンサー応答を読み出すためのテスト・スティミュラスとして外部振動台を駆動する、可変振幅および可変周波数のサイン波信号を生成します。
このソリューションには、全ボード機能を完全に制御する評価ソフトウェアが付属しています。これらの機能には、電流源および AC または DC カップリングの有効化、入力バイアス調整、時間および周波数の両領域におけるデータ・キャプチャ、単一トーンまたは掃引サイン波、データ・エクスポートなどがあります。
オプションのソフトウェア API ライブラリは、多くの多様な環境に対応可能で、LabVIEW、C#、Python を用いてテストされています。API を使用することで、ユーザ独自のカスタム機能を開発し、アプリケーションを完成できます。
このソリューションの主な特長は次のとおりです。
- 4 チャンネルの同時データ・アクイジション
- オンボードの IEPE 励起
- IEPE 入力チャンネルのオフセット
- 信号発生器:
- 単一トーンまたは線形掃引
- 電子的ループバック・テスト
- 振動台励起
- CN0582 評価用ソフトウェア
- システム設定
- グラフィカル表示
- ファイル・エクスポート(データ・アクイジション、振動テスト)
仕様 | 最小値 | 代表値 | 最大値 | 単位/備考 | |
電源条件 | |||||
入力 | 電圧 | 4.5 | 5 | 6 | V |
電流 | 500 | 600 | mA | ||
アナログ入力 | |||||
IEPE | フルスケール | 0.1m* | 10 | V | |
バイアス | 13 | VDC |
|||
電流源 | 4 | mA | |||
4mA~20mA(CH3) | 抵抗 | 249 | Ω | ||
消費電力 | 0.25 | W | |||
THD + N | −87 | −84 | dB、1kHzで3.3Vp-p | ||
SNR | 99 | dB、20Hz~20kHzで10Vp-p | |||
精度 | 1 | %誤差(100mVを超える電圧の場合) | |||
アナログ出力 | |||||
電圧 | 0.5 |
7 | V、ピークtoピーク | ||
周波数 | 0.02 |
25 | kHz | ||
THD + N | -52 | -55 | dB、20Hz~20kHzで7Vp-p | ||
精度 | 1 | %誤差 |
* PGA の設定は 1。
振動センサーのタイプ
圧電センサーと MEMS センサーの比較
従来、圧電型加速度センサーは振動モニタリングのベンチマークとなっており、現在でも、最高感度が要求されるアプリケーションや非常に大きな加速度が発生するアプリケーションにおいて選択されるセンサーです。これまでマイクロマシン(MEMS)センサーは、帯域幅、g 範囲、周波数全体でのノイズ性能が限られていたため、使用できないものと考えられていました。
しかし、最近の MEMS センサー技術(特に周波数応答およびノイズ性能)の進歩により、多くの CbM アプリケーションにおいて MEMS センサーは現実的な代替センサーとなっています。通常、MEMS センサーの方がより小型かつ低コストで、DC(0Hz)まで延びる周波数応答を備えています。その 1 つの例が CN0532で、これは、回路に IEPE インターフェースを備えた、代表的なMEMS ベースのセンサーです。
CN0582 は、圧電型 IEPE センサーに対応する他、他の技術に基づく IEPE 互換センサーにも対応します。励起電流源は無効化できるため、電圧出力センサーに接続できます。
IEPE インターフェース
未調整の圧電型センサーは出力インピーダンスが高く、任意の長さのケーブルを駆動することは困難または不可能です。また、これらのセンサーは、ケーブルの動きや電磁干渉にも敏感であり、高精度で高インピーダンスのシグナル・コンディショニング回路が必要となります。
IEPE は一種の標準となっており、シグナル・コンディショニング用電子回路がセンサーに統合されています。内蔵された電子回路が、高インピーダンスの電荷出力を低インピーダンスの電圧信号に変換するため、伝送が容易になります。また、IEPE では、1 つの導体を用いて電力と信号の両方を供給するため、ケーブルが複雑になるのを最小限に抑えることができます。
図 2 に、IEPE インターフェースのハイレベル・ブロック図を示します。電力は定電流源を通じてセンサーに供給されます。その後、センサーは、測定した振動に応じて出力電圧を変調します。それにより、信号が電源と同じラインで測定できるようになります。

IEPE の励起と制御
IEPE センサーを適切に動作させるには、定電流源を用いて給電する必要があります。2mA~20mA の定電流範囲以外に、電流源のコンプライアンス電圧を 24V~30V とする必要があります。この値は、代表的な IEPE バイアス電圧である 8V~12V の 2 倍以上です。図3 に、LT3092をベースとする IEPE高電圧定電流源回路を示します。

式 1 を用い、CN0582 の定電流源は 4mA に設定されています。

ここで、
IOUTは定電流出力、
ROUTは電流出力設定抵抗、
RSETは電流入力設定抵抗です。
電流源は、ADG5401 高電圧低抵抗スイッチによって、有効化や無効化が可能です。
ソフトウェアからボードに送られるコマンドによって、対応するチャンネルが目的の状態に切り替えられます。
電流源と同じ 26Vの電源でADG5401への給電を行うことで入力電圧を制限値内に維持できる一方、6.5Ω のオン抵抗は十分小さい値で、信号レベルに対し有効です。
電流源を無効化すると、各チャンネルの入力は典型的な高インピーダンス電圧入力 A/D コンバータ(ADC)の測定値として機能します。チャンネル 3 にはオンボードの負荷抵抗があり、これを用いて 4mA~20mA のセンサー・データを接続し測定できます。また、この値は式 2 を用いて計算できます。

ここで、
VSENSORは変換後のセンサー電圧、
RLOADは負荷抵抗(249Ω)、
ISENSORはセンサー出力電流です。
入力保護
入力回路のどの部分もオーバードライブされることのないよう、電圧トランジェント圧縮(TVS)ダイオードが入力コネクタに付加されています。これらのダイオードによって、入力が最大40V の電圧に耐えられるようになるため、影響を受けやすいアナログ入力回路を危険な電圧レベルから保護できます。
AC/DC カップリング
AC カップリングと DC カップリングのどちらが適切かは、センサーによって異なります。DC カップリングは、応答がゼロ Hzまで延び、オフセット電圧が明確に規定された小さな値のセンサーに適用できます。AC カップリングは、本質的にハイパス応答で動作条件によって変化する大きな DC オフセットがあるセンサーに適しています。
図 4 に、ADG5436 ラッチアップ・プルーフの高電圧デュアルSPDT スイッチに制御された AC カップリングおよび DC カップリングのパスを示します。

このスイッチは、−5V または 26V のバイポーラ・電源で給電され、代表的なIEPEセンサー出力に対応する他、0V~5V、±5V、0V~10V の各範囲の電圧出力のセンサーにも対応できます。ACカップリング・パスにはハイパス・フィルタがあり、そのカットオフ周波数は式 3 で計算できます。

ここで、
fc はハイパス・カットオフ周波数です。
IEPE 入力のオフセット
IEPE 信号は本質的に、DC バイアスが高く、また複数のピークto ピーク値があるため、範囲の狭い一般的なコンバータとインターフェースを取ることは困難です。この課題を克服するため、レベル・シフト回路が用いられています。
図 5 に、ADA4522 をベースとするレベル・シフタの回路例を示します。入力の中心を可能な限りゼロに近づけることで±4.096Vの ADC 入力範囲全体を利用できるよう、減衰と電圧のシフト量が設計されています。

必要な電圧シフトは、式 4 を用いて計算することができます。

ここで、
VSHIFTはレベル・シフト電圧、
VIEPE_INPUTは入力バイアス電圧、
VIEPE_SHIFTEDは 2.52(VOCM に等しいことが必要)、
G は 0.3( RFB/RINで計算)です。
レベル・シフト電圧(VSHIFT)は、AD5686R D/A コンバータ(DAC)から供給されます。VSHIFTの値は、式 5 を用いてプログラムできます。

ここで、VSHIFTはレベル・シフト電圧、
VREFは AD5686R の電圧リファレンス、
Gain は AD5686R のゲイン設定値、
D はデジタル・コード、
N は AD5686R のビット数(16 ビット)です。
プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)
入力信号カップリング・オプションやレベル・シフト・オプション以外に、CN0582 はより小さな入力信号にゲインを追加する機能も備えています。ゲインはアナログ入力チャンネルごとに設定できます。
図 6 に、LTC6910 を使用する PGA 回路例を示します。他のシグナル・コンディショニング段からのコモンモード電圧は、AGND ピンに接続され、アンプ用リファレンスの役割を果たします。

選択するゲイン・オプションに応じて、CN0582 の有効入力範囲も変化します。表 2 は、各ゲイン設定で許容可能な入力電圧範囲を示しています。有効入力範囲外の電圧は、信号の歪みやクリッピングの原因となります。
PGA設定 | 最大AC入力 |
1 | 10 Vp-p |
2 | 5 Vp-p |
5 | 2 Vp-p |
10 | 1 Vp-p |
20 | 500 mVp-p |
50 | 200 mVp-p |
100 | 100 mVp-p |
注:システムは 100µVp-p の信号振幅を測定できますが、S/N 比(SNR)は低下します。そのため、推奨する最小入力振幅は 500µVp-p です。
完全差動アンプ(FDA)
PGA の出力信号はコモンモード2.5V の疑似差動信号であるため、ADC のフル・スケール入力範囲 8.192Vp-p を最大限に利用するには、これを増幅して完全差動信号に変換する必要があります。
図 7 に、PGAの疑似差動信号を ADC 用の完全差動信号に変換するために用いられる、ADA4945 完全差動 ADC 用ドライバを示します。

VOCM を基準とする PGA 出力は、ADA4945 によって式 6 に示すゲインで完全差動信号に増幅され変換されます。

入力とゲインの組み合わせによって低電圧または過電圧となる場合、ADA4945 は出力を+VS または−VS にクランプし、後段の敏感な ADC 入力段を保護します。
全シグナル・チェーン・ゲイン
アナログ入力パスでの合計ゲインは、レベル・シフタ、FDA、PGA によって生じ、式 7 を用いて計算できます。

G は CN0582 の全システム・ゲイン、
G1 はレベル・シフトによる減衰のゲイン(0.3)、
G2 は FDA のゲイン(2.667)、
GPGA は PGA のプログラマブル・ゲイン(1、2、5、10、20、50、100)です。
アナログ入力パスで許容可能な最大ACまたは DC 電圧は、各チャンネルのゲイン設定に直接関係します。式 8 は、PGA のゲイン設定を1とした場合の DC 入力電圧の計算方法を示すものです。

最大の DC バイアス入力電圧は次のとおりです。

ここで、
VINDC_MAXは CN0582 に印加できる最大 DC 電圧、
VSHIFT_MAXは AD5686R の最大出力電圧(5V)、
G1 はレベル・シフトによる減衰のゲイン(0.3)、
VOCM は AD7768-4 のコモンモード電圧(2.52V)です。
PGA ゲイン設定を 1 とすると、AC 入力電圧は式 9 を用いて計算できます。

ピーク to ピーク入力電圧振幅の最大値は次のとおりです。

VINAC_MAXは CN0582 に印加できる最大 AC 入力電圧、
VREF_ADCは AD7768-4 の内部電圧リファレンス(4.096V)、
G2 は FDA のゲイン(2.667)、
G1 はレベル・シフトによる減衰のゲイン(0.3)です。
AC 入力振幅の理論値は 10.23Vp-p ですが、CN0582 ではアンプのヘッドルーム条件を満たすために、10Vp-p までしかテストを行っておりません。同じ考え方は最大 DC バイアスにも当てはまり、テストは 13VDC までしか行っておりません。VSHIFT を調整して ADC の出力がゼロを中心とすることで、IEPE_SHIFTED 信号は VOCM に等しくなります。
データ・キャプチャとデジタル・コントローラ
A/D変換は、4チャンネルの24ビット同時サンプリングΣ-Δ ADCである AD7768-4によって行われます。このデバイスには電力スケーリング、フィルタ、サンプル・レート・オプションがあり、ノイズ、帯域幅、消費電力などの様々な制約事項に対し最適化できます。
AD7768-4 は、ソース同期トランスミッタとして機能し、各チャンネルのデータは 4 つのデータ・ラインのいずれかでシリアライズされます。データはデジタル・コントローラで受信され、USB を介してホスト・コンピュータにストリーミング送信されます。
また、デジタル・コントローラは、アナログ入力チャンネルの設定も担い、電流源の有効化、ADC モードの設定、波形発生器の設定を行います。
電源アーキテクチャ
CN0582 は 5V/900mA を供給する USB 3.0 ポート 1 つを使用して給電され、複数の DC/DC コンバータが必要な電圧レールを生成します。システムのパワー・ツリーは、アナログ回路のノイズを最小限に抑えるためのリニア・ドロップアウト・レギュレータを伴う昇圧コンバータと、デジタル回路の効率を最大化するための降圧コンバータで構成されています。図 8 に、CN0582 のパワー・アーキテクチャの全体像を示します。

波形生成と制御
CN0582 は、IEPE センサーのテストやキャリブレーションの際に有用な振動台の励起や制御に用いる波形発生器を備えています。
図 9 に、600mVp-p の定電圧出力と 0Hz~12.5MHz の間で設定可能な 28 ビットの分解能の周波数出力を備えたプログラマブル波形発生器、AD9833を用いるブロック図を示します。出力周波数は式 10 を用いて計算できます。

FOUTは出力周波数、
FREFはリファレンス・クロック周波数、
FREQは周波数レジスタの値です。.

CN0582 の周波数出力は 25kHzに帯域が制限されていますが、この周波数はほとんどの振動アプリケーションや CbM アプリケーションに適したものです。その後、この出力周波数は、ADA4522をハイパス・フィルタ構成で用いて増幅およびコンディショニングが施されます。これによって、多くの振動台入力の条件である DC オフセット除去が行われます。
ADA4522 の最大設定ゲインは、式 11 を用いて計算できます。

Output_AmplitudeMAXは ADA4522 で設定される最大振幅、
Rf は 102kΩ、
Rdiff は 7.5kΩ です。
信号発生器は、最大 8.16Vp-p の信号を発生できますが、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)では出力電圧が 7Vp-pに制限されています。
CN0582 の信号発生器の出力振幅は、図 10 に示すように電流/電圧変換トポロジで設定された、AD5543 電流出力 DAC により制御されます。

振幅は式 12 に従って制御できます。

Output_Amplitude は変調された出力振幅、
D はデジタル・コード値です。
目的の出力振幅と周波数を設定した後は、広帯域ノイズを低減するために、必要に応じてポスト・フィルタリング回路を使用することもできます。この回路の DAC 出力には、安定性と高入力インピーダンス特性を備えていることから、ADA4522 がサレンキー・ローパス・フィルタ構成で用いられています。カットオフ周波数は 26kHz に設定されていますが、これは式 13 を用いて計算できます。

カットオフ周波数は、減衰が無視できる程度になるよう、目的の IEPE 帯域幅(10kHz)の 2 倍以上となるように調整されています。
図 11 に示す出力セレクタ段では、振幅コントローラのフィルタリング出力と未フィルタリング出力の間に ADG1219 スイッチを用いています。その後、選択された出力がバッファされ、回路は出力コネクタから絶縁されます。

バリエーション回路
16 ビット 33MSPS の DAC である AD3552R は AD9833 の代替品で、高分解能低歪みであることに加え任意波形発生能力を備えていますが、データ・ソースが必要です。
ADG5436F は、フォルト保護機能を備えた ADG5436 の代替品であり、フォルト検出機能に加え、入力フォルトに対する保護機能が付加されています。
ADC に対しては、アプリケーションが IEPE の帯域幅を超えて動作する必要がある場合の優れた代替品が AD4134 です。このデバイスは、サンプリング・レートが高く、全体的な性能も向上しています。
より高チャンネル数のシステムも、AD7768 を用いることで実現できます。既存のコントローラには既に、8 チャンネル入力に対する備えがなされているため、取得されるチャンネルを現行システムに増加することは比較的容易です。
CN0549 は、シングルチャンネルの IEPE に対応した、CbM 開発プラットフォームで、ソフトウェア開発に最適なものとなっています。
回路の評価とテスト
回路のテストと評価のデモンストレーションでは、C#をベースとする Windows PC アプリケーションを用いた EVAL-CN0582-EBZの機能に焦点を合わせます。ハードウェアとソフトウェアの仕様に関する詳細については、CN0582 ユーザ・ガイドを参照してください。
必要な装置
- EVAL-CN0582-USBZ 評価用ボード
- CN0582 評価用ソフトウェア
- ホスト PC(Windows)
- 振動発生器(9363-ED-2F4K-5N、King Design)
- リファレンスおよびテスト・センサー(リファレンス:PCBM352C67)
- オーディオ・アナライザ(Audio Precision© APX525)
- オシロスコープ(Rohde & Schwarz® RT1004)
- USB Type-C ケーブル
- SMA ケーブル
- BNC - BNC ケーブル
開始にあたって
このセクションでは、EVAL-CN0582-USBZ の評価テストを設定するための一般的な手順を説明します。
この設定では、CN0582 評価用ソフトウェアをインストールしたWindows PC に EVAL-CN0582-USBZ を接続し、更に、被験デバイス(DUT)を測定するための振動源として機能する振動発生器に接続します(図 12 参照)。

ボードの基本機能をテストするには、次の手順に従います。
- ソフトウェア・インストール・ガイドに記載された手順に従い、CN0582 評価用ソフトウェアをホスト PC にインストールします。
- ソフトウェアのインストール後、SMA ケーブルを用い、EVAL-CN0582-USBZ ボードの各センサーを次のチャンネル割当てに従いアナログ入力のいずれかに接続します。
- CH0 は圧電リファレンス・センサー。
- CH1~CH3 は DUT のセンサー(IEPE、MEMS など)。
- USB Type-C ケーブルを EVAL-CN0582-USBZ に接続し、次いでホスト PC に差し込みます。
- ソフトウェアを開き、単純なデータ・キャプチャを行うためにウィンドウ・オプションから図 13 に示すように DAQ を選択します。

- ソフトウェアを、入力信号のカップリング、オフセット、ゲインなど、センサーが必要とする様々な設定に設定します。表 3の推奨設定を、図 14 に示すように、対応する GUI フィールドに入力します。
電流源スイッチ | CH0、CH1はオン CH2、CH3はオフ |
カップリング | すべてのチャンネルでDC |
ゲイン | すべてのチャンネルで×1 |
レベル・シフト電圧 | 各チャンネルで10500~13000 接続されたセンサーに応じてチャンネルごとに調整 |

- 表 4 に示す振動発生器に適した入力値に従い、GUI の右上部で信号発生器の出力パラメータを設定します。
振幅 | 500 mVp-p |
周波数 | 1000 Hz |
- [Channel Selector]フィールドで CH0 と CH1 をオンにして、グラフを表示します。必要とするグラフ結果に応じて、データ・キャプチャの[Mode]ボタンを切り替えます。
- BNC - BNC ケーブルを用いて、EVAL-CN0582-USBZ のアナログ出力を振動発生器に接続します。
注:機器の損傷を防ぐため、EVAL-CN0582-USBZ へのファームウェアのアップロードをソフトウェアが完了している場合にのみ、アナログ出力を振動発生器に接続してください。
- [Start]ボタンをクリックすると、時間領域と周波数領域のデータがADC から取得され表示されます。
アナログ入力のテスト結果
入力チャンネルの精度を確保するため、高精度オーディオ・アナライザを入力源として使用します。この入力源は、任意の振幅および周波数でパーセント誤差が 1%未満であることが必要です。表 5 に、機器のテスト・パラメータに対応して GUI に表示される 4 チャンネルの測定値を示します。
振幅が 100mVp-p 未満の場合、最大誤差は±2mVp-p です。これに対し、振幅が 100mVp-p を超える場合、平均誤差は 1%未満です。
DC BIAS = 6 V | ゲイン = 1でのテスト振幅 (mVp-p) | |||||
10 | 100 | 1000 | 5000 | 10000 | ||
テスト 周波数 (kHz) |
0.1 | 10.96 | 100.60 | 1000.51 | 4996.04 | 9992.53 |
1 | 10.96 | 100.93 | 1000.70 | 4996.11 | 9993.93 | |
5 | 10.93 | 100.74 | 999.68 | 4991.07 | 9984.00 | |
10 | 10.93 | 100.48 | 996.35 | 4975.71 | 9953.88 | |
25 | 10.80 | 98.46 | 975.81 | 4871.66 | 9745.64 |
アナログ出力のテスト結果
信号発生器を評価するには、オシロスコープを用いて出力波形を測定します。入力チャンネルと同様、任意の振幅および周波数設定に対し、平均誤差は 1%未満であることが必要です。表 6 に、オシロスコープで取得したサイン波のプログラムされた周波数と振幅を示します。いずれも 1%以内の誤差となっています。
信号生成 (フル帯域幅) |
テスト振幅(mVp-p) | |||||||
100 | 500 | 1000 | 2000 | 3000 | 3500 | 7000 | ||
テスト 周波数 (kHz) |
0.1 | 100.2 | 500.6 | 1001 | 2000.6 | 2998 | 3492 | 6976 |
1 | 100.2 | 499.7 | 1004 | 1994 | 3004 | 3500 | 6988 | |
5 | 100 | 500.5 | 999.8 | 2000 | 2998 | 3502 |
6983 | |
10 | 100.5 | 502.4 | 1004 | 2007 | 3010 | 3520 | 6999 | |
25 | 100.1 | 504.7 | 1008 | 2014 | 3022 | 3526 | 6970 | |
50 | 102.5 | 512 | 1023 | 2042 | 3062 | 3285 | 6510 |
