概要

設計リソース

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

AD9834 - Microcontroller No-OS Driver

AD983x GitHub no-OS Driver Source Code

AD5446 IIO DAC Linux Driver

AD9834 IIO Direct Digital Synthesis GitHub Linux Driver Source Code

回路機能とその特長

図1 に示す回路は、75 MHz 低消費電力(20mW)の波形発生器、AD9834 の出力波形の振幅を可変する簡単な制御方法です。

DDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザ)はサイン波、矩形波、三角波の出力波形を生成する事ができるので、波形発生器として応用できます。

AD9834 には位相変調および周波数変調の機能も内蔵されています。しかし出力信号を振幅変調するには、フルスケール電流を制御するために低消費電力DAC 又はデジタル・ポテン
ショメータが必要です。

電圧出力型DAC をAD9834 のFS ADJUST ピンに直列抵抗を介して接続し、そのピンの制御のために使用する事ができます。これによりフルスケールDAC 電流を決定できます。

この例で使用したDAC は、nanoDAC ファミリーの1つである12 ビットDAC のAD5620 です。AD5620 は5 ppm/°C リファレンスを内蔵しており、SPI のインターフェースを持っています。8 ピンSOT-23 又は MSOP パッケージです。AD5620は低消費電力(2.2 mW @ 3.3 V)で小型(8-lead SOT-23)なのでAD9834 で振幅変調を実現するために有効な製品です。

  

図1 AD9834 DDS のための低消費電力振幅制御回路(簡略化した回路:接続とデカップリングは示されていません)

回路説明

この回路は3 V~5 V の単電源で動作します。DAC とDDS はどちらもSPI インターフェースで動作します。多くのDDS に内蔵されているDAC にはコンプリメンタリー電流出力IOUT とIOUTB があり、DDS AD9834 でも同じです。

この内蔵DAC に供給されるリファレンス電流は、内蔵リファレンス電圧(VREF)と外部抵抗(RSET)で決まります。通常この抵抗はDAC FS ADJUST からグラウンドに対して接続します。リファレンス電流はVREF/RSET になります。ここでVREF はAD9834 内蔵のリファレンス電圧で、標準値は1.20 V です。抵抗RSET の標準値は6.8 kΩ です。

DACから出力されるフルスケール電流は、このリファレンス電流量を拡大したものになります。一例とすればAD9834のフルスケール電流は下記の式になります。

CN0156_equation1

FS ADJUST が可変電圧源(VDAC)に接続されている場合、フルスケール電流は下記の式になります。

CN0156_equation2

VDACが変わるとフルスケール電流が変わり、それによってDDSから得られる出力電圧が変わります。電圧出力DACを可変電圧源に使用する事で、DDSの電圧出力を変化させる事ができます。
AD5620 は低消費電力、小型、コスト・パフォーマンスの優れた製品です。AD5620 はnanoDAC ファミリーの1つで、5ppm/°C リファレンスを内蔵しており、8 ピンのSOT-23 又はMSOP パッケージです。AD5620 の出力電圧は0~+2.5 V です。

VDAC = 0 V (ゼロ・スケール)の時、フルスケール出力電流は最大になり、AD9834 の出力電流は約0.16 mA ~3.12 mAの間をスイングします。負荷抵抗200 Ω を接続した場合、AD9834 の出力電圧は約0.032 V~0.624 V の間をスイングします。AD9834のIOUT ピンでの電圧波形を図2 に示します。ここでDDS 出力周波数は1 MHz に設定されています。

図2 振幅制御DAC を0 V に設定した時のDDS 出力(この時最大のDDS フルスケール出力になります)


AD5620 の制御電圧出力を大きくするとAD9834 のフルスケール出力電流が小さくなります。AD5620 の制御電圧がVREF、又は1.20 V に等しい時、フルスケール電流は最小になります。

図3 は出力電流のスケールを1/4 にしたときのAD9834 出力電圧を示しています。ここでVDAC = 0.75 × VREF、 又は0.9 V です。

図3 振幅制御DAC を0.9 V に設定した時のDDS 出力(この時1/4 の大きさのフルスケールDDS 出力になります)


この回路は、広いグランドプレーンをもつ多層プリント基板に作り込む必要があります。最適な性能を実現するには、適正なレイアウト、グランディング、デカップリング技術が必要です (MT-031 TutorialMT-101 Tutorialを参照してください)。

バリエーション回路

AD5640AD5660 はそれぞれAD5620 の 14 ビット・バージョンと16 ビット・バージョンで、より高い分解能が必要とされるアプリケーションに適しています。AD9833 は振幅変調機能がありませんが、AD9834 と同じ機能になっています。

ソフトウェア

設計ツール

ADIsimDDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザ)評価ツール ー ベータ版

ADIsimDDS は、選択したデバイスの総合的な性能を数式に基づいてモデル化し、表示します。リファレンス・クロック周波数と所望の出力周波数を入力すると、ADIsimDDS が必要な FTW を計算します。また、総合的なスペクトル性能の推定値をモデル化できるため、外付け再生フィルタの効果を確認できます。