DS1870を使用する場合の外付け抵抗による範囲/分解能について
要約
DS1870は、RFパワーアンプにバイアスをかけるために使用します。外付け抵抗を使用しない場合、バイアス範囲は5Vレファレンスの場合、3V~5Vです。このアプリケーションノートでは、外付け抵抗を使用して範囲と分解能を調整する方法について説明し、また表計算へのリンクを示しています。外付け抵抗を加えたときの新しい実効温度係数は表計算によって算出することができます。
範囲分解能の計算
図1は3つの外付け抵抗R1、R2、R3を示しています。これは最も柔軟性のあるトポロジです。当然ですが、リファレンス電圧がアプリケーションに最適な電圧であれば、ほとんどの場合、R1を省略することができます。また、チャネルが2つ存在するため、両チャネルを使用する場合には、各チャネルに対応する各値の並列合成値としてR1の値を決める必要があります。8ビットポテンショメータには256のポジションがあるため、その範囲は分解能に256を乗じた値に等しくなります。たとえば、HCOMからL1までの範囲が256mVであれば、1mVの分解能が保証されます。
図1
温度係数
外付け抵抗を使用せずに(R1をショートで置き換える)、リファレンスをHCOMに加えて、固定ワイパー位置を指定した場合、W1の電圧は内部抵抗の温度依存の関数として変化します。この変化はレシオメトリック温度係数と呼ばれ、ppm/℃で表わされます。外付け抵抗を使用したときにも同じ概念が適用されます。
リンク先(http://pdfserv.maximintegrated.com/en/an/AN3090Calc.xls)にある表計算によって、外付け抵抗を使用したときの実効温度係数を算出することができます。R1、R2、及びR3の各値と温度係数を入力すれば、レシオメトリック実効温度係数が計算されます。この数値はRSS様式で算出され、入力値として入力された数値についての処理シグマを示します。たとえば、R1、R2、及びR3の各温度係数が3シグマ数値である場合、得られる解答は3シグマ数値になります。さらに、内部抵抗の温度係数についても考慮されています。
表計算を使用するには、薄紫色の領域に値を入力します。解答はオレンジ色のセルに表示されます。