質問:
アンプを評価するときの最良の方法は、広い帯域幅と高いスルーレートを備えたアンプを選べばいいのでしょうか?

回答:
そうとは限りません。オペアンプには、ふつう30種類以上のパラメータがあります。 あなた(そして回路にも)にとって何が最も重要なパラメータかは、行おうとしている業務によって異なります。アンプや部品の評価に際しては、仕様、テスト条件、テスト・データの収集方法、そしてデータがどのように表現されているかを理解することが重要です(同じパラメー タでも、メーカーによって表現が異なることがあ ります)。デバイスの比較に際しては、テスト条件と回路のニーズを知ることが不可欠です。帯域幅とスルーレートが話題になったので、その仕様を見てみましょう。
一部には「帯域幅は大きいほど良い」と思っている人もいますが、経験豊富なアナログ技術者は、 あまりに過剰な帯域幅よりも適度な帯域幅のほうがよいことを知っています。パラメータを評価する最善の方法は、データシートを読んでプロットを見ることです。プロットは、アンプが実際にどのように動作するかを明らかにします。帯域幅の プロットに過剰なピーキングがあるとしたら、メー カーによっては大きめの-3dB帯域幅として片付けるでしょうが、デバイスの安定性に問題があることを示しているのかもしれません。-3dB 帯域幅が 大きいように見えても、アンプのゲイン平坦性が ピーキングによって低下することがあります。したがって、広帯域幅のアンプでも安定性と基板レイアウトに注意が必要なことを考慮し、必要なだけの帯域幅を指定するようにしてください。
スルーレート(SR)とは、アンプ入力の急激な変化 に起因するアンプ出力の変化率で、一般にマイクロ 秒当たりのボルト(V/μs)で測定します。最大の大信号動作周波数を決定するには、式F=SR/(2πVp) を使用します。ここで、Vpはピーク電圧です。アンプによっては非常に大きなスルーレートを特色に していて、大きな数値で技術者をびっくりさせようとしている場合が見受けられます。しかし、最大の動作周波数は歪みの制限を受けるため、大きなスルーレートは必ずしも必要ありません。これをチェックする最も簡単な方法は、対象となる周波数の歪みプロットを調べることです。アプリケー ションにとって許容できる歪みレベルになってい るでしょうか? この場合も、システム条件を知る ことは絶対条件です。次に、この周波数をスルーレー トの式に代入し、どれくらいのスルーレートが必 要かを調べます。
数が大きいからといって、必ずしもそれだけ性能が向上するわけではありません。回路とその目的を知ることが大切です。念のために少し余裕を加え、プロットを調べます。プロットが真実を語ってく れるでしょう。