質問:
アナログICの未使用端子を どうしたらいいでしょうか?

回答:
優しさと思いやりを持って取り扱い、決して無視しないでください。
ゲーテ曰く、「活かされぬ命は、早死にしたも同然(An unused life is an early death)」1 同様に、アナログIC上の未使用ピンは、静電放電(ESD)によってその早死にのリスクが大幅に高まることがあります。未使用の出力は、未接続のままにすることがあります(そして、一般にはそうすべきです)が、未使用の入力(アナログとデジタル)ピンは一般に電源に接続するのがベストです。一般的な接続先は、単電源システムではマイナス・アース、両電源システムではセンター・レールです。しかし、重要な例外があります。いつものように、信頼できるデータシートを読み2、その勧めに従うことが不可欠です。しかし、このテーマについての記載がない場合、一般には接地するのが最善の策です。
未使用アンプ入力は、重要な例外の1つです。RAQ Issue 463で説明したように、アンプの未使用入力ピンを接地するとその消費電流を増やすことがあります。したがって、ここでの最善の策(通常は唯一の安全な策)は、アンプをバッファとして接続し、入力ピンを電源レール間のどこかの電位に接続することです。
CMOSスイッチとマルチプレクサは対称デバイスです。その信号入力端子と出力端子は交換可能(双方向性)であるため、未使用端子はすべて(出力ではなく)入力であると見なします。したがって、これらのピンはすべて接地します。その理由は、RAQ Issue 34で詳しく説明しています。
内部プルアップまたはプルダウン抵抗は、入力を正側電源(プルアップ)またはグラウンド(プルダウン)に接続します。未使用入力ピンにこれらのいずれかの内部抵抗がある場合、未使用入力ピンへの接続は必要ありません。しかし、ピンがタイダウンされる場合は、その抵抗と同じ電源に接続します。それ以外の接続では、電流が抵抗に流れ込み、電力を消費することになります(消費される電力はきわめて少量ですが、どんな無駄でもできれば避けるべきです)。
未使用のロジック入力ピンについては、場合によっては未使用時にロジック1に接続する必要があるため、特に注意を払うことが重要です。また、ロジック入力によってはオープン・サーキット状態がロジック状態と定義され、(2つではなく)3つの状態を持ちます。このような入力は、未接続のままにする必要があります。
要約すると、未使用ICピンの接続に注意を払うことは、アナログ回路設計プロセスの重要な一部であり、決して見落としてはいけないのです。
1 Johann Wolfgang von Goethe - 戯曲"Iphigenie in Tauris"(『タ
ウリス島のイフィゲーニエ』、1779年)から
2 RAQ Issue 4 -「 買主の危険負担に気をつけて!」
3 RAQ Issue 46 -「 未使用のオペアンプをどうすりゃいいのか?」
4 RAQ Issue 3 -「 重要なディテールの分離(あるいは人魚と酢漬けの
ニシンの昼食)」