質問:
小型パッケージのオペアンプや類似のデバイスのダイ温度を 測定する一番良い方法は何でしょうか?

回答:
デバイスの接合温度あるいはダイ温度を測定するには、いくつか方法がありますが、その中には良い方法やそれほどでもないものもあります。まず最初の方法として、下記の古典的なジャンクション温度式を紹介します。
TJ = TA + PDθJA
ジャンクション温度(TJ)は、周囲温度(TA)にデバイスの消費電力(PD)×デバイスの熱抵抗(θJA)を加算した値に等しくなります。私の経験では、この計算はかなり慎重な見積もりに従っており、メーカーによっては実際のジャンクション温度よりも約30~50%高いジャンクション温度になります。
もう1つの方法は熱電対を使用するものです。これは、大きなパッケージでは良好な結果が得られますが、小さいパッケージに応用するには問題があります。たとえば、SC70やSOTなどの小型パッケージには熱電対を接続する場所が十分にありません。たとえパッケージに接続できても、熱電対の熱量がヒート・シンクとして機能し、デバイスの熱の一部を奪うため、誤った結果となります。
3番目の方法は赤外線(IR)カメラを使用するものです。この方法は、パッケージの外部ケース温度を正確に測定し、小さなパッケージでのダイ温度について優れた目安を与えてくれます。ほとんどの場合、ケース温度とジャンクション温度の差はほんの数度です。この方法の欠点は、IRカメラがかなり高価であり、数万ドルもかかることです。
最後の方法は、ダイ温度を最も安価に、しかも最も正確に測定する方法で、オンチップ・ダイオードを温度センサとして使用します。半導体の物理特性から、PN接合部に定電流を印加すると、ジャンクション電圧が温度範囲で約-1 ~-2mV/℃変化することを覚えていますね。ダイオード電圧の温度特性を明らかにすれば、ダイオード電圧を測定し、そこからすぐにダイ温度を求めることができます。コツは、オペアンプ上でセンサとして使用できるダイオードを見つけることです。大部分のオペアンプにはこのような目的の専用ダイオードはありません。しかし、既存のダイオードを再利用して、この機能を実行させることができます。全部ではないにしても、現代のアンプの大部分は、入力保護ダイオードだけでなく、静電放電(ESD)保護ダイオードも内蔵しています。ESD保護用ダイオードは、内部でオペアンプの入力端子から電源ライン端子に出力されるように接続されています。したがって、これらのダイオードにアクセスして、上述のようにオペアンプのダイ温度を測定するために使用することができます。この測定方法の詳細については、下記の技術情報誌 Analog Dialogue「ESD Diode Doubles as Temperature Sensor」をご覧ください。