質問:
デジタル・アイソレータの データシートで使われている単 位が「Mbps」となっていますが、 そのためにわけがわからなくな ります。なぜMHzの単位を使わ ないのでしょうか?

回答:
デジタル・アイソレータとフォトカプラは、2つの回路の間でデータの送受信をしますが、同時にガルバニック絶縁(回路間で電流が流れるのを防ぐ)も維持します。情報は、ロジック・レベルで表されるデジタルで送受信が行われます。信号のロジック・レベルは、ローからハイまたはハイからローの遷移で変化します。遷移後のどの状態もデジタル・ビットで表されます。遷移は一定の間隔で発生する場合とそうでない場合があります。
これとは対照的に、正弦波や矩形波などの連続的に変化する信号の場合は、状態間の遷移は定期的に行われます。50%のデューティ・サイクルの場合、信号が各状態にとどまる時間はどのサイクルでも等しく一定です。信号が変化する頻度は、一般に毎秒ごとのサイクルまたはヘルツ(または短縮形のHz)で表されます。
デジタル・アイソレータを通過するデジタル・データは必ずしも連続的な信号である必要はないため、「ビット毎秒」の単位を使用しています。しかし、留意すべき重要な違いがあります。連続的な信号(Hz単位で規定)は1サイクルごとに2回状態を変化させます。すなわち、50%デューティ・サイクルの1MHzの矩形波は2Mbpsの速度でデータをデジタル・アイソレータに送ります。要するに、デジタル・アイソレータのスループット定格は、対応 可能な最大持続信号周波数のスループット定格の2倍でなければなりません。
この点をしっかり理解するために、シリアル・ペリフェラル・インターフェース(SPI)の絶縁という例を考えてみましょう。絶縁されたSPIバスには一般にシリアル・クロック(SCLK)、チップ・セレクト(CS)、シリアル・データ入力(SDI)、シリアル・データ出力(SDO)という4つの信号があります。出力データ(SDO)はSCLKの一方のエッジにラッチされ、入力データ(SDI)は反対側のエッジにラッチされます。ここで混乱されるかもしれません。1入力ビットが各クロック・サイクルにラッチされるため、SPIスループット(単位:Mbps)はクロック周波数(単位:MHz)と等しくなります。したがって、1MHz SCLKは1Mbpsで入力データを送信し、1Mbpsで出力データを送信します。しかし、SCLK信号も絶縁されるため、デジタル・アイソレータの定格は2Mbpsにする必要があります(SCLKは1MHzでトグルする)。ときどき、Mbps単位のSPIデータ・スループットとデジタル・アイソレータの所要スループット定格を間違える人がいます。