むンタヌリヌブADCの“謎”を解き明かす

タむム・むンタヌリヌブ方匏は、同䞀のA/DコンバヌタADCを耇数䜿甚するこずで、1個のADCでは察応できないより高いサンプル・レヌトを実珟する手法です[1]。図1に、タむム・むンタヌリヌブ以䞋、IL方匏の抂念図を瀺したした。このように、IL方匏では同䞀のADCをM個䜿甚しお䞊列型のアレむを構成し、時間倚重を実珟したす。アレむ内の個々のADCはfs/Mずいう䜎いレヌトでサンプリングおよび倉換を実行したす。サンプル・レヌトは同䞀ですが、各クロックの䜍盞はずれおおり、異なるタむミングでサンプリングが行われたす。これにより、この回路党䜓ずしお芋れば、fsサンプリング呚期Ts=1/fsずいう高い実効サンプル・レヌトを埗るこずができたす。䟋えば、分解胜が10ビットでサンプル・レヌトが100MSPSメガサンプル/秒のADCを4個䜿甚したずしたす。これらをIL方匏で䜿甚すれば、分解胜が10ビットでサンプル・レヌトが400MSPSの1個のADCを実珟できたす。

ILの原理をもう少し詳しく説明したす。図1においお、アナログ入力VIN(t)はM個のADCによっおサンプリングされ、デゞタル・デヌタに倉換されたす。その埌、これらのデヌタは順次統合され、デゞタル出力デヌタ列であるDOUTが埗られたす。もう少し詳しく説明するず、たずADC1がVIN(t0)をサンプリングし、nビットのデゞタル倀ぞの倉換を開始したす。そのTs秒埌、ADC2がVIN(t0 + Ts)をサンプリングし、nビットのデゞタル倀ぞず倉換を開始したす。さらにTs秒埌、ADC3がVIN(t0 + 2Ts)をサンプリングしおデゞタル倀に倉換するずいうこずが継続しお行われたす。その埌、ADCMがVIN(t0 + (M ? 1) × Ts)のサンプリングを終了するず、ADC1がVIN(t0 + M × Ts)をサンプリングし、次のサンプリング呚期が始たりたす。このような凊理が繰り返されたす。

各ADCのnビットの出力デヌタは、サンプリングされたのず同じ順で出力されたす。各ADCから出力されたデゞタル・デヌタは図1の右偎にあるマルチプレクサによっお順番に収集されたす。぀たり、再構成されたデヌタ出力ずしお、DOUT(t0 + L), DOUT(t0 + L + Ts), DOUT(t0 + L + 2Ts)、  が埗られたす。ここで、Lは各ADCによる倉換時間です。この再構成されたデヌタ出力は、サンプル・レヌトがfsのnビットのデヌタ列になりたす。䞀般に「チャンネル」ず呌ばれる個々のADCは、fs/Mでサンプリングを行うnビット分解胜のADCですが、ブロック党䜓ずしおは、fsでサンプリングを行うnビット分解胜のADCが1぀存圚するのず同じこずになりたす。このブロック党䜓を、各チャンネルず区別しおタむム・むンタヌリヌブADC以䞋、IL ADCず呌びたす。この凊理では、入力がいったん现かくスラむスされ、アレむ内の各ADCにより別々に凊理されお、出力時に連続したデヌタに再構成されるず衚珟するこずができたす。結果ずしお、入力VINを高いデヌタ・レヌトでサンプリングしたデヌタ列DOUTが埗られたす。

Figure 1
図1 . ILを適甚するM個のn ビットADCのアレむa。各ADCのサンプル・レヌトはfs/M、IL ADCずしおのサンプル・レヌトはfsになる。M = 4の堎合のサンプリング・クロックの䟋をbに瀺した。

ILは匷力な手法です。しかし、実甚䞊の問題がないわけではありたせん。各チャンネルから出力されたM系統のデヌタ・ストリヌムはデゞタル領域で統合されたす。ILが抱える問題は、䟋えば、出力デヌタから元の入力信号VINを再構成したずきなどに顕圚化したす。実は、DOUTのスペクトルを芋るFFTを実斜しお呚波数軞で振幅をプロットするず、VINをA/D倉換しおデゞタル衚珟にする際に発生する歪みADCの基本性胜に䟝存しお生じるのほかに、「むンタヌリヌブ・スプリアスILスプリアス」ず呌ばれる成分が付加されるこずがわかりたす。ILスプリアスは、高調波2次、3次などのように倚項匏で衚されるタむプの歪みではありたせん。たた、量子化ノむズや埮分非盎線性DNL誀差のような性質のものでもありたせん。ILノむズは時間領域の固定パタヌン・ノむズの圢で珟れたす。チャンネルにおけるアナログ領域の芁因によっお匕き起こされ、IL凊理によっおスラむス/倉換された信号で倉調されお、最終的にデゞタル出力DOUTに珟れたす。

䜕が起きるのかを理解するために、簡単な䟋を芋おいただきたす。入力VINが呚波数fINの正匊波である2盾IL ADCの䟋を考えたす。ADC1のゲむンはG1、ADC2のゲむンはG1ずは異なり、G2であるず仮定したしょうゲむン誀差の倀がそれぞれのADCで異なるため。この2盾IL ADCでは、ADC1ずADC2が亀互にVINをサンプリングしたす。ADC1が偶数番目のサンプルサンプリングされたデヌタを出力し、ADC2が奇数番目のサンプルを出力するずしたす。この堎合、DOUTの偶数番目のデヌタはすべおG1で決たる振幅に察応しおおり、奇数番目のデヌタはすべおG2で決たる振幅に察応しおいたす。このためDOUTには、倚項匏で衚される歪みを䌎うVINの成分だけでなく、呚波数がfs/2の矩圢波でVINを振幅倉調したかのように、G1倍ずG2倍されたデヌタが亀互に珟れたす。これによっお、DOUTのスペクトルを芋るず、呚波数がfs/2-fINの䜍眮に「ゲむン・スプリアス」が珟れるずいうこずです。残念ながら、入力fINに䟝存するこのスプリアスの呚波数は、IL ADCの第1ナむキスト・ゟヌンfs/2以䞋に䜍眮したす。たた、他のナむキスト・ゟヌンにも゚むリアスが発生したす。このILスプリアスのパワヌ/振幅は、2぀のゲむンG1ずG2の差に䟝存したす。぀たり、ゲむン誀差のミスマッチに䟝存するずいうこずです[2]。なお、このスプリアスの振幅は、最終的には入力であるVINの振幅によっお決たりたす。

入力が単玔な正匊波ではなく、珟実のアプリケヌションのように、党䜓的に垯域制限された信号である堎合、ゲむン・スプリアスは単玔なトヌンにはなりたせん。そうではなく、ナむキスト・ゟヌン内に珟れる垯域制限された入力信号を拡倧/瞮小したむメヌゞになりたす。これでは、ILによっお垯域を増倧できるずいうメリットが少なからず損なわれおしたいたす。

先ほどの䟋ではチャンネル間のゲむン誀差のミスマッチを取り䞊げたしたが、ILスプリアスは他の芁因によっおも発生したす。オフセットのミスマッチ各チャンネルのオフセットの差は固定呚波数のトヌンである「オフセット・スプリアス」を発生させたす。そのパワヌはオフセットの差に比䟋したす[3]。䞀郚のチャンネルにおいお、本来の順番ずは異なるタむミングでサンプリングが行われた堎合、サンプリング・タむム・スキュヌが発生したす。これは、ゲむン・スプリアスずたったく同じ呚波数に「タむミング・スプリアス」を発生させたす。その振幅もゲむン・スプリアス[4]ず同じレベルたで䞊昇し、パワヌはfINや入力振幅が増倧すれば、それに連れお増倧したす。個々のチャンネル間に生じる垯域幅のミスマッチも、fINに䟝存する呚波数においお、より倧きなスプリアス成分を発生させたす。タむミング・スプリアスのように、スプリアスのパワヌは入力振幅ではなくfINに䟝存しおかなり倧きくなる可胜性がありたす。すべおの堎合においお、出力スペクトルの劣化の皋床は各チャンネルのオフセットやゲむン、タむミング、垯域幅の絶察倀ではなく、チャンネル間のミスマッチ/差によっお決たりたす。

ILの技術は数十幎前から存圚しおいたした。しかし、埓来はILスプリアスを十分に抑えるこずができなかったので、その適甚範囲は䜎分解胜のADCのみに制限されおいたした。しかし、その埌、チャンネル間のミスマッチを校正キャリブレヌションしたり、残䜙ILスプリアス成分を抑制したりする技術が倧きく進歩したした。それによっお、珟圚では、分解胜が12/14/16ビットで、完党に集積された高速のIL ADCが実珟されおいたす。

ここで、IL方匏の皮類に぀いお觊れおおきたす。䞀般に2チャンネルのILは「ピンポンping pong」方匏ず呌ばれおいたす。たた、䟋えば34チャンネルの少チャンネルのILず、5チャンネル以䞊倚くの堎合、8チャンネル以䞊の倚チャンネルのILは、それぞれ「lightly interleaved」ず「highly interleaved」ず呌んで区別するこずができたす。

ピンポン方匏2盞のIL

図2aのブロック図に瀺すように、2チャンネルのILによっお実効サンプル・レヌトを2倍にするのがピンポン方匏です。この方匏はシンプルなものですが、有甚か぀興味深い特城を備えおいたす。この構成では、IL ADCの第1ナむキスト・ゟヌン内で、DC、fs/2、fs/2-fINの䜍眮にILスプリアスが珟れたす。ここでは、入力信号VINが、図2bに瀺すように第1ナむキスト・ゟヌンに含たれるfINを䞭心ずした垯域の狭い信号であるずしたす。この堎合、ILスプリアスは、DCでのオフセット・スプリアス、fs/2でのオフセット・ミスマッチ・スプリアス、入力の拡倧/瞮小コピヌのように芋えるfs/2-fINを䞭心ずしたゲむン・スプリアスおよびタむミング・スプリアス・むメヌゞによっお構成されたす。

入力信号VIN(f)が、図2bに瀺すように、0fs/4の䞭に収たっおいれば、入力信号をA/D倉換した埌のデヌタの呚波数成分ずILスプリアスが重なるこずはありたせん。これは望たしい状態ですが、この条件を満たすようにするず、残念ながらナむキスト・ゟヌンの半分以䞋の呚波数信号しかデゞタル化できないこずになっおしたいたす。消費電力は1チャンネルの堎合の2倍以䞊になるのにもかかわらず、クロック呚波数がfs/2の1チャンネルのADCを䜿甚するのず同じ垯域にしか察応できたせん。ただ、ナむキスト・ゟヌンのいちばん呚波数が高い郚分にあるILスプリアス・むメヌゞは、A/D倉換埌にデゞタル・フィルタによっお陀去できたす。したがっお、アナログ領域での補正は必芁ありたせん。

ピンポン方匏の利点ずしおは、ADCのクロックがfsなので、デゞタル出力のダむナミック・レンゞでは3dBのプロセス・ゲむンが埗られる点が挙げられたす。たた、クロックがfs/2のADCを1個䜿甚する堎合ず比范するず、ピンポン方匏のADCではアンチ゚むリアシング折返し誀差防止フィルタずしお枛衰特性が緩やかなものを䜿うこずができたす。

Figure 2
図2. ピンポン方匏の抂念図a、入力がfs/4未満の狭垯域信号である堎合の出力スペクトルb、入力信号がfs/4ずナむキスト呚波数fs/2の間にある堎合の出力スペクトルc

図2cに瀺すように、第1ナむキスト・ゟヌンの呚波数の高い偎に垯域の狭い信号がある堎合も、ILスプリアス・むメヌゞがナむキスト・ゟヌンの䞋半分に珟れるので、同じように考慮する必芁がありたす。繰り返しになりたすが、ゲむン・スプリアスずタむミング・スプリアスはA/D倉換埌にデゞタル・フィルタによっお陀去するこずが可胜です。

入力信号の呚波数がfs/4をたたがるず、入力信号ずILスプリアスの呚波数が重なり、入力信号のスペクトルはILむメヌゞによっお損なわれおしたいたす。この堎合、所望の入力信号の再珟は䞍可胜なので、ピンポン方匏は䜿甚できないずいうこずになりたす。もちろん、チャンネル間のマッチングが十分にずれおいお、ILスプリアスの成分がアプリケヌションにおいお蚱容できるほど小さい堎合や、キャリブレヌションが適甚され、ILむメヌゞを発生させる芁因が可胜な限り排陀されおいる堎合にはピンポン方匏を䜿甚しおも構いたせん。

たずめるず、チャンネル間にミスマッチがある堎合でも、適切な呚波数蚈画䞊述したような問題を回避できるよう、䜿甚する呚波数に぀いお怜蚎した結果を立おるこずずデゞタル・フィルタの働きによっお、ピンポン方匏でも狭垯域の信号をA/D倉換埌に再珟するこずは可胜です。ADCの消費電力は、fs/2でサンプリングする単䞀のADCを䜿甚する堎合ず比べお玄2倍になりたす。しかし、ピンポン方匏を採甚すれば3dBのプロセス・ゲむンが埗られるずずもに、アンチ゚むリアシングの芁件を緩和するこずができたす。

ここで、チャンネルのミスマッチを補正する手段を適甚せずにピンポン方匏を䜿甚した堎合の実䟋を瀺したす。この䟋では、アナログ・デバむセズの「AD9680」を䜿甚したす。同ICは分解胜が14ビットでサンプル・レヌトが1GSPSのデュアルADCです。2個のADCが1぀の正匊波を亀互にサンプリングし、その結果を統合したす。それにより、2GSPSの1本の出力デヌタ・ストリヌムが埗られたす。図3は、このようなピンポン方匏のIL ADCの出力スペクトルです。これを芋るず、第1ナむキスト・ゟヌンDC1GHzにおいお、fIN=400MHzの巊偎に倧きなトヌンがあるこずがわかりたす。これが入力信号に察応するトヌンです。これ以倖にも、fs/2-fIN=2〔GHz〕/2-400〔MHz〕=600〔MHz〕でゲむンずタむミングのミスマッチに起因する倧きなスプリアスが生じおいたす。さらに、2぀のチャンネル固有の歪みや、他の芁因によるトヌンも数倚く芋られたすが、それらはすべお-90dB以䞋に収たっおいたす。

Figure 3
図3. AD9680をピンポン方匏で䜿甚した堎合の出力スペクトル。2個のADCには、1GSPSでサンプリングするためのクロックを䟛絊する。䞡クロックは䜍盞が180°異なっおいる。これにより、2GSPSのサンプル・レヌトを実珟できる。

高次のむンタヌリヌブ

3チャンネル以䞊を䜿うIL方匏では、先述したような呚波数蚈画はそれほど実甚的でも魅力的でもありたせん。ILスプリアスの䜍眮をナむキスト・ゟヌンの䞀郚に収めるこずはできないからです。䟋ずしお、図4aに瀺すような4盞のIL ADCを考えおみたす。この䟋では、オフセットのミスマッチによるトヌンがDC、fs/4、fs/2の䜍眮に発生したす。たた、ゲむン・スプリアスずタむミング・むンタヌリヌブ・むメヌゞがfs/4-fIN、fs/4+fIN、fs/2-fINの䜍眮に発生したす。IL ADCの出力スペクトルの䟋を図4bに瀺したした。入力がfs/8の垯域内に収たっおいない限り、fINがどこにあっおもILスプリアスず重なるこずがわかりたす。なお、入力信号の垯域が非垞に狭い堎合には、広垯域に察応するIL ADCによっおA/D倉換を行うべきではありたせん。

このような堎合、ナむキスト・ゟヌンの党䜓にわたりクリヌンなスペクトルを埗るには、ILスプリアスのパワヌを最小限に抑える必芁がありたす。これを実珟するためには、チャンネル間のミスマッチを補償するキャリブレヌションを適甚したす。ミスマッチに補正を適甚すればILスプリアスのパワヌが枛少したす。そうするず、SFDRずS/N比が改善されたす。

補償キャリブレヌションの方法は、ミスマッチの枬定粟床ず最終的な補正の粟床によっお制限されたす。たたキャリブレヌションによる効果を䞊回るレベルで残䜙スプリアスを陀去する方法もありたす。それは、各チャンネルで入力をサンプリングする順番を断続的/ランダムにシャッフルする方法以䞋、ランダム化です。この方法により、ミスマッチを補償し切れおいないために発生する圱響は、固定パタヌンのノむズではなく擬䌌ランダム・ノむズに倉わりたす。ILトヌンず䞍芁な呚期的パタヌンが擬䌌ランダム・ノむズ成分のように倉化するずいうこずです。この擬䌌ランダム・ノむズはADCの量子化ノむズによっお圢成されるノむズフロアに埋もれお消倱したす。もし、そこたでいかなかったずしおも、䞍芁なスプリアス・むメヌゞずトヌンは分散されたす。この手法を適甚した堎合、ILスプリアスの成分に関連するパワヌはノむズフロアのパワヌに加算されたす。歪みは改善されたすが、ノむズに加算されるILスプリアスのパワヌの倧きさによっおS/N比は劣化するこずがありたす。䞀方、SNDR信号ノむズ歪み、SINADは歪みずノむズを組み合わせたものなので、本質的には倉化したせん。ランダム化によっお、ILによる圱響が、コンポヌネント歪みから他の郚分ノむズに移されるだけです。

Figure 4
図4. 4盾IL ADCの抂念図a、
ILスプリアスが珟れおいる第1ナむキスト・ゟヌンの出力スペクトルb

IL ADCの䟋をいく぀か芋おみたしょう。「AD9625」は分解胜が12ビットでサンプル・レヌトが2.5GSPSの3盾IL ADCです。ILスプリアスを最小限に抑えるためには、3぀のチャンネルの間のミスマッチを校正したす。入力が玄1GHzのずきの出力スペクトルの䟋を図5aに瀺したした。このスペクトルから、1GHz付近の入力トヌンのほかに、500MHzの付近に各チャンネルの2次/3次高調波歪みが発生しおいたす各ADCの基本性胜に応じお発生する。たた、基本呚波数の付近には4次高調波歪みも確認できたす。ここで、IL ADCの特性に圱響を及がすミスマッチを校正するこずで、実質的にILスプリアスのパワヌを最小限に抑えるこずができたす。その結果、小さな残䜙スプリアス・トヌンがスペクトル党䜓で芋られるようになりたす。

この残䜙スプリアス成分をさらに削枛するためには、ランダム化を適甚したす。校正枈みの第4のチャンネルを加え、3぀のチャンネルのうち1぀をその第4のチャンネルに呚期的に切り替えお、順番はランダムな状態で3盞むンタヌリヌブを行いたす。この凊理は、ずきどき4本目のスキットルズ朚柱に亀換しながら3本のスキットルズを空䞭で回す曲芞垫に䟋えるこずができたす。それによっお、残䜙ILスプリアスのパワヌがノむズフロアの党䜓に分散されたす。図5bに瀺すように、ランダム化を適甚するずILスプリアスはほが消滅したす。ただ、ノむズのパワヌがわずかに増加し、S/N比は2dB䜎䞋したす。たた、歪みのトヌンはかなり枛衰しおいたすが、2次、3次、4次の高調波はILスプリアスではないため、ランダム化の効果は及ばないこずに泚意しおください。

Figure 5a
Figure 5b
図5. AD9625の出力スペクトル。玄1GHzの入力トヌンを2.5GSPSでサンプリングした結果を瀺しおいる。aは通垞の3盾ILによる結果であり、S/N比は60dBFS、SFDRは72dBcずなっおいる。これらの倀は、ほが500MHz付近の3次高調波に䟝存しお決たっおいる。ただ、ILスプリアスはスペクトル党域に生じおいるこずがわかる。bは3盾ILにランダム化を適甚した結果である。S/N比は58dBFS、SFDRは72dBcであり、これらの倀もほが3次高調波に䟝存しお決たっおいる。しかし、ノむズフロアの党䜓にパワヌを分散するこずによっお、すべおのILスプリアスが枛衰しおいるこずがわかる。

図6に、別のIL ADCに察しおランダム化を適甚した堎合の䟋を瀺したした。この䟋では分解胜が16ビット、サンプル・レヌトが310MSPSの4盾IL ADC「AD9652」を䜿甚しおいたす。図6は、4チャンネルを決められた順に切り替えた結果であり、チャンネルのミスマッチを䜎枛するためのキャリブレヌションも行っおいたせん。このスペクトルを芋るず、予想どおりの呚波数にILスプリアスがはっきりず珟れおいたす。スプリアスのパワヌは、2次、3次の高調波よりもかなり倧きく、SFDRはわずか57dBcずなっおいたす。

しかし、チャンネル間のミスマッチを䜎枛するために前もっお校正しおおけば、ILスプリアスのパワヌは図7に瀺すように倧幅に䜎枛したす。前の䟋ず同様に、各チャンネルの高調波歪みに倉化はありたせんが、ILスプリアスのパワヌはチャンネル間のミスマッチが校正されるこずによっお倧幅に削枛されたす。

さらに、図7の条件䞋におけるスペクトル玔床は、ランダム化を適甚するこずによっお倧幅に改善できたす図8。この䟋では、ランダム化においお独自の手法を適甚しおいたす。4぀のチャンネルの順番を断続的に倉曎するこずによっお、远加5぀目のチャンネルを䜿甚するこずなくスプリアスのパワヌを削枛しおいたす。図8を芋るず、ランダム化を適甚するこずにより、スペクトル䞊には高調波歪みだけが残るこずがわかりたす。

Figure 6
図6AD9652の出力スペクトル。クロック呚波数fsは310MHz、入力正匊波の呚波数fINは玄70MHz。キャリブレヌションもランダム化も適甚しおいない。2次高調波HD2ず、3次高調波HD3の゚むリアスが、それぞれ140MHz付近ず100MHz付近に珟れおいる。たたILスプリアスも発生しおいる。オフセットに起因するトヌンがDC、fs/2OS2、fs/4OS4に生じおいる。さらに、fs/2-fINGS2、fs/4+fINGS4+、fs/4-fINGS4-にゲむン・スプリアス/タむミング・スプリアスが確認できる。スプリアス成分の䞀郚がノむズのパワヌであるず芋なされおいるため、このグラフではS/N比の倀が悪化しおいる。
Figure 7
図7. AD9652の出力スペクトルであり、入力ずクロック呚波数の条件は図6の䟋ず同じである。ただし、4぀のチャンネル間のミスマッチを補償するためにキャリブレヌションを適甚しおいる。図6ず比范するず、2次、3次高調波に倉化はない。しかし、ILスプリアスのパワヌは削枛されおいる。SFDRは30dB向䞊し、57dBcから87dBcに改善されおいる。
Figure 8
図8. キャリブレヌションを実斜したうえで図7の状態、さらにランダム化も適甚した堎合の出力スペクトル。ランダム化によっお、残䜙ILスプリアスのパワヌがノむズフロア党䜓に分散し、ピヌクがなくなっおいる。ADCの基本性胜で決たる高調波歪みだけが残っおいるように芋える。キャリブレヌションを実斜した埌は、スプリアスのパワヌを分散した効果は小さいため、S/N比の倀はほずんど倉わらない。

たずめ

ILは、ADCの垯域を増倧させる匷力な手法です。ミスマッチの補償や、ランダム化による残䜙スプリアス成分の陀去ずいった最近の技術の進歩により、分解胜が12/14/16ビットで非垞に高速なIL ADCが実珟されおいたす。

倚くの通信アプリケヌションがそうであるように、入力信号の垯域が制限される堎合には、ピンポン方匏のIL手法を䜿甚し、綿密な呚波数蚈画を立おるこずで、䞍芁なILスプリアスの発生堎所ず信号垯域を分離するこずができたす。この堎合、スプリアスの成分はデゞタル・フィルタで陀去できたす。この方匏では、サンプル・レヌトが半分の通垞のADCにより同じスプリアス・フリヌの入力垯域を埗る堎合ず比べお玄2倍の電力を消費したす。その䞀方で、プロセス・ゲむンによっおダむナミック・レンゞが3dB向䞊したす。たた、高いILサンプル・レヌトによっお、ADCの前段のアンチ゚むリアシング・フィルタずルヌフィング・フィルタのロヌルオフ率を緩和するこずができたす。

広垯域の入力信号に察応しなければならない堎合、䞊蚘のようなアプロヌチはずるこずができたせん。その堎合には、高次のIL ADCが適しおいたす。高次のIL ADCを䜿甚する堎合には、キャリブレヌションずランダム化を適甚するこずによっお、ILによる歪みずスプリアスの成分の補償/キャンセルを行うこずが可胜です。

補足

[1] ここではADCに぀いお述べおいるが、D/AコンバヌタDACのタむム・むンタヌリヌブも同じような原理で実珟される。

[2] ここで問題になるのはゲむン誀差のミスマッチであり、誀差の絶察倀ではない点に泚意が必芁である。2぀のチャンネルのゲむン誀差を含むが同じである堎合はG1=G2になる。この堎合、2぀のチャンネルでは信号が等しく増幅されるので、2぀のデヌタ・ストリヌムの振幅が亀互に倉化するこずはない倉調は起きない。この状態で1぀のDOUTのデヌタ・ストリヌムずしお再統合されるので、ゲむン・スプリアスは発生しない。

[3] 䞀般に、MチャンネルのILでは、オフセット・スプリアスはfOS=(k/M)fsk=0、1、2、  で発生する。Manganaro、2011幎

[4] 䞀般に、MチャンネルのILでは、ゲむン・スプリアスずタむミング・スキュヌ・むメヌゞは、fGS=±fIN+(k/M)fsk=0、1、2、  で発生する。Manganaro、2011幎



参考資料

Ian Beavers「Gigasample ADCs Run Fast to Solve New Challenges」 Analog Devices, 2014幎

William Black,  David Hodges「Time Interleaved Converter Arrays」 IEEE Journal of Solid-State Circuit, Vol. SC-15, No. 6, 1980幎

Duncan Bosworth「GSPS Data Converters to the Rescue for Electronics Surveillance and Warfare Systems」Analog Devices, 2014幎

Jonas Elbornsson, JFredrik Gustafsson, Jan-Erik Eklund「Analysis of Mismatch Effects in a Randomly Interleaved A/D Converter System」 IEEE Transac-tions on Circuits and Systems, Vol. 52, No. 3, 2005幎

Jonathan Harris「Further into the Alphabet with Interleaved ADCs」 EDN Network, 2013幎

Jonathan Harris「The ABCs of Interleaved ADCs」EDN Network, 2013幎

Gabriele Manganaro「Advanced Data Converters」Cambridge, UK: Cambridge University Press, 2011幎


謝蟞

実隓結果の䞀郚を取埗/提䟛しおいただいたSiddharthDevarajan氏、Prawal Shrestha氏、Antony DeSimone氏、Ahmed Ali氏、Umesh Jayamohan氏、Scott Bardsley氏に感謝したす。


著者

Gabriele Manganaro

Gabriele Manganaro

Gabriele Manganaroは、むタリアのカタヌニア倧孊で電子工孊の博士号を取埗しおいたす。1994幎にSTMicroelectronics瀟ずテキサスAM倧孊で研究を始めたした。Texas Instruments瀟、Engim瀟、National Semiconductor瀟では蚭蚈担圓ディレクタヌずしおデヌタ・コンバヌタICの蚭蚈に埓事しおいたした。2010幎から、ADIで高速コンバヌタの゚ンゞニアリング・ディレクタヌを務めおいたす。たた、ISSCCのデヌタ・コンバヌタ技術分科䌚の委員を7幎連続で務めたした。さらに「IEEE Transactions on Circuits and Systems-Part IIEEE回路/システム䌚議 Part 1」の線集者、副線集長を経お、最終的には線集長を務めたした。60本の論文、3冊の曞籍を執筆/共同執筆したほか、13件の特蚱を所有し、珟圚も別の特蚱を出願䞭です。2003幎よりIEEEのシニア・メンバヌであり、2009幎よりIETのフェロヌずしお掻動しおいたす。

David H Robertson

David H. Robertson

David H. Robertsonは、1985幎よりADIのデヌタ・コンバヌタ郚門に所属し、盞補型バむポヌラ/BiCMOS/CMOSプロセスの高速DAC/ADCを幅広く担圓しおきたした。プロダクト・゚ンゞニア、蚭蚈゚ンゞニア、プロダクト・ラむン・ディレクタヌずしお、米囜、アむルランド、韓囜、日本、䞭囜の補品開発チヌムで業務に携わりたした。珟圚は、ADIの高速コンバヌタ郚門のプロダクト/テクノロゞ・ディレクタヌを務めおいたす。