想像できたでしょうか
アインシュタインが予言した重力波の存在を、
実際に検出できることを・・・


13 億年前の事象に到達

2015 年 9 月 14 日の午前 4 時、人類史上初めて重力波が検出されました。重力波の発生源は地球から 13 億光年離れた 2 つのブラックホールです。これらが激しく衝突して、宇宙に存在する全恒星の合計エネルギーの 10 倍もの重力波パワーが放出されました。

これは、私たちの時代で最も注目に値する科学的かつ精密な検知による発見の 1 つとして、科学雑誌、マスメディア、Late-night talk show のような米国の有名番組等さまざまなメディアで取り上げられ、世界中に反響が広がっています。

権威ある物理雑誌である Physical Review Letters に論文が発表されるやいなや、多くの報道機関がこの話題を取り上げ、これまでに同誌に掲載されたあらゆる論文の中で最も大きなニュースになりました。The New York Times によれば、グラハム・ベルの「ワトソン君、ちょっと来てくれ」に並ぶ、科学界の偉大な音声記録の仲間入りをするに違いありません。

この革新的な出来事の背景には、何があるのでしょうか?それは、LIGO の精密工学とアナログ・デバイセズが提供する革新的なテクノロジーです。

宇宙からの声に耳を傾ける

LIGO は、ワシントン州ハンフォードとルイジアナ州リビングストンの2か所の重力波観測施設を一対として運用しています。重力波は電磁スペクトルに痕跡を残さず、観測することができません。LIGO の目標は、天空に “耳を傾け” 重力波が存在する証拠を捕えることです。

各 LIGO 施設には、1辺が4kmの管をL字型に配置した超真空システムがあります。管が直角に交わる部分から、4km先の鏡に向けて2方向にレーザー光を同時に放出し、反射してきた光を組み合わせます。

重力波が通過すると、周囲の時空(時間と空間)が伸縮して、それぞれの管が相対的に、陽子の幅の約 1/10,000 程度、わずかにずれます。これによって受信光学系に入射する反射光の相対位相が変化し、光センサーに光が放出され、信号、いわゆる “宇宙のさえずり” を測定できます。

LIGO が活用したアナログ・デバイセズの技術

LIGO は、アナログ・デバイセズの高集積製品を多数活用しています。これらの製品は、精密工学の頂点に達する製品を開発する、というアナログ・デバイセズのコミットメントを体現しており、革新的かつミッションクリティカルなアプリケーションを将来に向かってさらに推し進めるものです。

LIGO は、可能性のあるすべての周辺ノイズ源を予測して補償すると同時に、レーザー振幅の変動が、搬送波に対する約 100 Hz のオフセットで 2x10-9 以内におさまるような、極めて高い安定度を維持することを要求しています。

そのままの状態のレーザーでこれを実現するのは不可能なので、LIGO チームは光出力を測定して振幅を制御するフィードバックシステムを必要としていました。これには、非常に高性能の超低ノイズ・アンプが必要になります。LIGO の専門委員会はさまざまな検討を行った上で、アナログ・デバイセズの AD797 オペアンプを採用しました。

レーザー周波数を安定させるためには、AD590 高精度温度センサーが選ばれました。レーザーを収容したガラス真空管の平均温度を測定しています。

レーザーの元の出力は標準的ですが、出力は管の共振空洞内で最大数 kW まで急速に上昇します。これにより実際にガラスミラーの音響共鳴を形成するのに十分な力が生じるので、ADA4700 高電圧オペアンプを使用して、ミラーの共振を能動的に減衰してアライメントを維持する、静電アクチュエータを駆動しています。

AD736 RMS-DC変換IC もソレノイドに供給されるパワーの測定に使用されています。ソレノイドは、LIGO のミラー・サスペンション・システムを駆動し、必要な傾きや、ピッチ、ヨー(偏揺れ)を実現します。

アインシュタインの想像を超える可能性

100 年前、アルバート・アインシュタインが重力波の存在を提言しました。ただし、アインシュタインは、重力波が存在するという仮説を数学的に導きながらも、実際にそれを検出するのは事実上、不可能だと考えていました。重力波は非常に微小なためです。

重力波を測定する高精度の測定器とは、たとえて言うならば、地球上のすべての砂浜の砂を拾い集めて、 1 粒が消失したことを検出できるほど精密でなければなりません。LIGO はこの 1 粒の消失を検出できたのです。

LIGO はアナログ・デバイセズが誇る優れたテクノロジーを利用しています。




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