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Robot giving lab worker a vial of red liquid
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Jen Lloyd,

高精度技術/プラットフォーム担当バイス・プレジデント

Analog Devices

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Jen Lloyd
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デジタル・アイソレーション技術:安全性とデータ・インテグリティを終始一貫して確保する


現在は、電動化とデジタル化が世界中で急速に進んでいる状況にあります。そうしたなか、人間はもちろん、高価なアセット(設備)や重要なデータを、高電圧などの破壊的な現象から保護するのは従来にも増して重要なことになっています。実際、FAシステム、電気自動車(EV)、高度なデジタル医療用機器においては、安全性とデータ・インテグリティを確保することが不可欠です。そのための有効な手段の1つがデジタル・アイソレーション技術です。

多くの分野では、高性能かつ繊細な電子システムの利用が急速に進んでいます。そうしたあらゆるシステムには、デジタル・アイソレーション(デジタル絶縁)を適用しなければなりません。デジタル・アイソレーション技術では、電気的バリアを使用することで、破壊的なEMI(電磁干渉)からデータを保護します。また、そのバリアは、高電圧と人間/設備/データの間の安全な境界として機能します。このような絶縁技術を必要とする分野は、医療用機器、EV、産業用設備など多岐にわたります。絶縁境界を活用することにより、アプリケーションにおいて機能と安全性に関する目標を達成できるという確信を持って設計を行うことができます。

デジタル・アイソレーションは、あらゆる設計に必要な技術です。絶縁については、妥協は許されません。

デジタル・アイソレーション技術で何を保護するのか?

Icon of person in an m.r.i. machine

産業用ロボットの運用、EVの充電、CATスキャン(コンピュータX線体軸断層撮影)の実行など、様々な状況下で電子機器を利用する人々の安全を守ります。

Icon of three wind turbines on a platform with trees

設備

高価な設備/装置を、電気的なサージや過酷な環境から守ります。

Icon of various data servers connected in a blockchain

データ

特に、過酷な産業環境において、データが破損することなくデバイス間で伝送されるように保護します。


デジタル・アイソレーション技術では、電気的バリアを使用することで、破壊的なEMI(電磁干渉)からデータを保護します。また、そのバリアは、高電圧と人間/設備/データの間の安全な境界として機能します。

電子機器を利用する人々の安全を守ります

患者に関する信頼性の高いデータにより、質の高い医療診断を実現

Technician reviews patient’s m.r.i. brain scan results

医療用の計測機器、バイタル・サインの監視機器、除細動器など、デジタル技術を活用した医療用機器は飛躍的な進化を遂げています。ここで言う進化とは、単に計測精度が向上しているということではありません。計測に携わる人を、高電圧やEMIから保護するためのデジタル・アイソレーション技術も進化しています。高電圧やEMIの影響を排除し、得られた計測値を適切に伝送することができれば、データ・インテグリティは大幅に向上します。より良いデータは、より正確な診断結果と適切な洞察をもたらします。そして、最終的にはより良い医療が実現されます。

デジタル・アイソレーション技術は、高いRF耐性を備えています。それにより、医療用システムで使用されるヘルスケア関連の重要なデータが、患者の健康状態を正確に反映したものであることを保証します。

医療用の電子機器は、静電気放電(ESD)の影響を受けやすい装置です。ESDによって、信頼性が低下したり、危険な状態に陥ったりすることがあります1

デジタル・アイソレーション技術は、医師がヘルスケアに関するデータから正確な洞察を導き出せるようにする上で重要な役割を担います。また、医師が患者に対して「First Do No Harm(何よりもまず、害を与えないこと)」を遵守できるよう支援します。また、デジタル・アイソレーション技術を活用することにより、検査技師が高電圧の診断システムを安全に運用することが可能になります。

今後に向けては、より高い画質とより高速な検査を実現するためのギガビット・アイソレーション技術が開発されています。それにより、患者に対しては、更に侵襲性の低い検査が提供されるようになります。また、検査の実施場所やシステム設計の柔軟性が高まり、より質の高い診断が可能になります。

最も過酷な環境からのデータを正確かつ迅速に提供

Worker standing next to industrial robots welding

現在、多くの工場はデジタル・トランスフォーメーションによって抜本的に刷新されつつあります。工場の全体から取得した正確なデータに基づいて意思決定を行うことにより、自動化、柔軟性、カスタマイズ性のレベルが高められています。それにより、新しい需要に対応することが可能になります。一方で、メーカーはそうした高価な製造設備の状態を完全に把握する必要があります。信頼性の高い一貫した動作を長期にわたって保証するには、どうすればよいでしょうか。例えば、ダウンタイムの計画を立案する際には、マシンの状態を表す完全なデータが必要になります。また、予知保全の仕組みを導入することも不可欠です。ビジネスに関する極めて重要なデータは、破損を防いで完全な状態で宛先に届けなければなりません。デジタル・アイソレーション技術は、そうしたシステムに必須の要素です。同技術を活用することにより、最適なノイズ耐性を確保して信頼性の高いデータ通信を行うことが可能になります。このことは、システムの正確かつ堅牢な運用と最大限のアップタイムにつながります。

先進的なギガビット・アイソレーション技術は、アナログ・フロント・エンドとプロセッシング・ノードの間で、より大量のデータを迅速にやり取りすることを可能にします。同時に、過酷な産業環境において干渉に対する堅牢性を高める役割も果たします。

50億米ドル
エレクトロニクス業界でESDによって発生する年間被害総額²

デジタル・アイソレーション技術は、過酷な産業環境で作業する人間の安全性の確保にも貢献します。技術の進化に伴い、製造フロアという同じ空間でロボット/コボットが人間と共に作業を行うようになりました。その際、人間の安全性を確保するためには、ロボットなどを含む各種の装置に高度な絶縁技術を適用する必要があります。また、そのような作業環境を構築するには、非常に高度なセンシング・ソリューションも活用しなければなりません。それにより、信頼性の高いデータを送受信することで、ロボット/コボットを予測が可能な形で動作させ、作業員の安全性を高いレベルで維持する必要があります。

安全かつクリーンで、持続可能な未来を構築する

風車の横で電気自動車が充電されます

電動化への依存度は、世界中でますます高まっています。それに伴い、風力や太陽光といった再生可能エネルギーを利用する発電設備の整備も急速に進められています。そうした設備の性能を改善するためのイノベーションも継続的に実現されています。例えば、再生可能エネルギーを利用する発電設備では間欠性の問題が発生します。すなわち、太陽光発電では夜間に、風力発電では無風状態のときに、発電が中断してしまうということです。このような問題を解消するために、再生可能エネルギーを利用する発電設備では、バッテリや蓄電ストレージに関する最新技術が採用されるケースが増えています。また、太陽光発電では、インバータの電力密度が増加すると共に、エネルギー・ストレージにおけるバランシングの必要性が高まっています。こうしたことに伴い、太陽光発電では、システムのすべての要素を対象とした大規模な監視/制御を行えるようにすることが求められています。このようなニーズに対応する際にも、デジタル・アイソレーション技術は、通信インターフェースと電力変換制御に対する安全性と信頼性に優れた堅牢なソリューションとなります。

更に、電力関連の分野では、SiCやGaNなどの新たなワイド・バンドギャップ材料の利用が急速に進んでいます。それに伴い、ゲート駆動技術にも、先進的な絶縁機能が導入されるようになっています。この種の技術は、再生可能エネルギーの電力変換やそれに伴うバッテリへのエネルギーの貯蔵を実現するための重要な要素になります。バッテリをベースとするエネルギーの貯蔵は、間欠的なエネルギー源によって家庭に電力を供給したり、EVをより急速に充電できるようにしつつ、必要な充電回数を減らしたりする上で中心的な役割を担います。

400-800 V
EV用のバッテリの平均出力電圧³

デジタル・アイソレーション技術は、EVを扱う人間の保護にも役立ちます。EVの所有者は、有害物質の排出量を抑えているという満足感を得つつ、安全に運転や充電を行うことができます。

電動化と自動化が進んだ未来のデジタル社会では、従来にも増して最大限の安全性とデータ・インテグリティが重要になります。つまり、デジタル社会の中心に位置する、より高度で繊細な電子機器を保護する仕組みが求められます。デジタル・アイソレーション技術を利用することで、人間と設備を高電圧から守り、重要なデータを破壊的な電気干渉から保護することが可能になります。

次世代の画期的な製品を設計するにあたっては、ぜひアナログ・デバイセズが提供する革新的なソリューションの採用を検討してください。デジタル・アイソレータを発明したのはアナログ・デバイセズであり、当社こそが議論の余地なくこの分野のリーダーであるからです。デジタル・アイソレーション技術についてはぜひ当社にお任せください。それにより、お客様は持続可能な未来の構築に専念することが可能になります。


References

1Mehdi Kohani、Michael Pecht「Malfunctions of Medical Devices Due to Electrostatic Occurrences: Big Data Analysis of 10 Years of the FDA’s Reports(静電気に起因する医療用機器の誤動作:10年分のFDA報告書を対象としたビッグ・データ解析)」 IEEE.org、2018年3月9日
2Richard Strube「Challenges of Electro-Static Discharge (ESD) in the Electronics Industry(エレクトロニクス業界における静電気放電(ESD)に関する課題)」Universal Instruments、2015年7月6日
3Erik Johnson「Introduction to Electric Vehicle Battery Systems(電気自動車のバッテリ・システムの概要)」All About Circuits、2019年7月31日