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閉じるwBMSを採用したLotusが、高性能のEVの未来を拓く

「産業界は、地球の健全性を維持することを可能にする新たな技術に軸足を移そうとしています。EVやクリーン・エネルギーは、私たちの日常生活の中に急速に広まっています。アナログ・デバイセズは、Lotusとのコラボレーションを通じ、同社の象徴的な車種に革新的な製品であるwBMSを提供できることを光栄に思っています。」Patrick Morgan
自動車の電動化およびサステナブル・エネルギー担当コーポレート・バイス・プレジデント | アナログ・デバイセズ
世界中の自動車メーカーは電気自動車(EV)への移行を進めつつあります。これは時代の流れに即した動きだと言えるでしょう。実際、各社のラインナップを見ると、電動化された新モデルが増加していることがわかります。レーシング・カーやロード・カーなど高性能の車種に注力しているメーカーも例外ではありません。そうしたメーカーも、世界の流れに乗り、内燃機関から電動モータへの移行を強力に推進しています。
EVを支える技術は、数多くのメリットを提供してくれます。その例としては、より優れた加速性能、より大きな馬力、始動時のより大きな最大トルクなどが挙げられます*。電動モータには、最小限の可動部品しか使われていません。そのため、信頼性が高く、メンテナンスはほぼ不要です。しかも、トラクション・コントロールや横滑り防止制御を非常に正確に行うことができます。また、摩擦や熱の発生が少なく冷却の必要性が低いので、高い効率が得られます。EVは、あらゆる指標から見て優れたものであると言えます。ただ、1つだけ例外があります。それはバッテリの重量です。
アナログ・デバイセズは、EV向けの製品としてwBMS(Wireless Battery Management System)を開発しました。その主たる役割は、バッテリの信頼性を高めることです。しかし、wBMSがもたらすメリットはそれだけではありません。バッテリ・ハーネスや多くのケーブルが不要になるため、EVのバッテリの重量を低減することにも大きく貢献します。つまり、wBMSはEVの欠点を解消する画期的な技術だということです。
シンプルに、そして軽量に
Lotus Cars
Lotus(Lotus Cars)は、レーシング・カーやロード・カーといった高性能車の分野のリーディング・メーカーです。同社は、未来に向けて車両の軽量化と全電動化を図るというビジョンを掲げています。これを実現するために、同社は今後5年以内に出荷が予定されているEVの新たな量産車種に、アナログ・デバイセズのwBMSを採用するという決断を下しました。それに向けて、アナログ・デバイセズとLotusは、EV業界に大きな変革をもたらす統合システムを開発しました。具体的には、超軽量なパワートレイン向けのアーキテクチャと、ワイヤレスのバッテリ管理(バッテリ・マネージメント)システム(以下、ワイヤレス・バッテリ管理システム)を共同で実現しました。このシステムを採用することで、設計の柔軟性、拡張性、修理の可能性を高めることができます。これらの技術は、将来にわたってLotusのEVの進化を支えるために開発されました。この大きな成果を活かすことで、環境の持続可能性を高め、地球の健全性を維持することが可能になります。
*シミュレーションに基づく目標仕様をベースとしています。
Lotusの概要
事業内容
Lotusは、1人の男の「機能が形をつくる」という哲学から生まれた自動車メーカーである。次世代のドライバを奮い立たせる、エレガントかつ驚異的なエンジニアリングを提供している。また、世界でも屈指の急成長を遂げている浙江吉利控股集団の一部門として、持続可能なEVの未来を実現することにもコミットしている。
アプリケーション
将来のすべての量産型EVを対象とする新たな軽量型アーキテクチャに、世界初のワイヤレス・バッテリ管理システムを組み込む。アナログ・デバイセズのwBMSのハードウェア、ソフトウェア、セキュリティ・ソリューションをフルに活用し、サービスのレベルとメンテナンス性を最大限に高める。同時に、車両の価値を維持したまま、バッテリの寿命の延伸を図る。
課題
設計と技術の限界を打破し、柔軟性と拡張性の高いワイヤレス・バッテリ管理システムをEVに組み込む。同時に、重量と複雑さを低減し、バッテリの密度と修理の可能性を高める。
目標
最先端の技術を有するパートナーと協力し、設計とエンジニアリングに関わる最も難易度の高い課題を解決する。それにより、軽量かつ高性能の電動ロード・カーの将来の製品ラインを開発する。同時に、安全性の確保、信頼性の向上、ダイナミックなドライビング体験の提供を実現する。
アナログ・デバイセズのwBMS――完全統合型のシステム製品
アナログ・デバイセズのwBMSは、40個のハードウェア・コンポーネントで構成されます。システム全体は、ターンキーのソフトウェア、極めて堅牢性が高くセキュアなエンドtoエンドのネットワーク、バッテリ・セルの監視に用いるソフトウェア一式(アプリケーション機能、安全性機能に用いるソフトウェアを含む)と共に動作します。
wBMSを構成するコンポーネントの1つは「ADBMS6815」です。このICによって、バッテリ・セル/バッテリ・パックの充電レベルを正確に測定します。パワー・マネージメントを担うのは、降圧型のスイッチング・レギュレータ「LT8618」です。同ICはコンパクト、高速、高効率、同期整流型のモノリシック製品です。更に「ADRF8800」によって、堅牢性と信頼性に優れるワイヤレス接続を実現します。

「アナログ・デバイセズのwBMSは、バッテリのリサイクルと蓄電システムでの再利用にも対応しています。そのため、循環型経済の実現にも貢献できます。競合他社の製品も、おそらく必要なハードウェアはすべてそろっているでしょう。しかし、それらを連携動作させるためのソフトウェアは用意されていないはずです。アナログ・デバイセズのwBMSを採用した場合、お客様は同システム用のソフトウェアを開発する必要はありません。そのため、車両の他の部分の設計に力を注ぐことができます。」Roger Keen
E-Mobility担当ゼネラル・マネージャ | アナログ・デバイセズ
迅速な評価の実現
「wBMSのワイヤレス・ネットワークを入手し、実際に動作させてテストを実施するには、どれくらいの時間がかかるのか――。これが、お客様が最初に発する質問です」。アナログ・デバイセズのオートモーティブ・テクノロジー・グループで製品マーケティング・エンジニアを務めるShane O'Mahonyは、このように述べています。その上で「もし何ヵ月もかかるとしたら、お客様は全く関心を示さないでしょう。当社は、この問題を克服したのです」とO'Mahonyは語ります。
アナログ・デバイセズはwBMS用の評価キットを提供しています。この評価キットは、箱から取り出したらすぐに立ち上げて動作させることができます。複数のボード、ソフトウェア、サイバーセキュリティ機能などを網羅したエンドtoエンドの完全なwBMSが提供されます。O'Mahonyは「各種のコンポーネントを入手してシステムを一から構築しなければならないとしたら、どうなるでしょうか。おそらく、プロトタイプを動作させるだけで何ヵ月もの時間が必要になるでしょう」と指摘しています。
wBMSを採用することにより、実装のしやすさ、短期間での市場投入、拡張性の高さといったメリットを享受することができます。
軽量化、修理の可能性、柔軟性を追求するLotus
Lotusは、70年以上にわたってロード・カーとレーシング・カーの世界に変革をもたらしてきました。同社は、高性能車の分野で最先端の地位を確保しつつ、電動化への移行の面でもリーディング・カンパニーでありたいと考えていました。そのために導き出されたのが、アナログ・デバイセズの画期的なwBMS技術を活用するという方策です。
2020年、世界はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックに見舞われました。そうしたなか、Lotusはアナログ・デバイセズの技術者に将来の量産型EVに関する話を持ちかけました。Lotusが求めていたのはアナログ・デバイセズとのコラボレーションでした。その結果として、Lotusは、アナログ・デバイセズのwBMSを軽量かつ高性能なロード・カーの新車種に採用することになりました。アナログ・デバイセズに求められた役割の1つは、wBMSを提供することです。ただ、Lotusからの要求はそれだけではありませんでした。同社は最高の業績を得るために、修理の可能性と柔軟性を提供することを事業モデルの中核として位置づけていました。アナログ・デバイセズには、その事業モデルと整合性のとれるシームレスな統合を実現することが求められました。
また、Lotusは、同社のEVで使われるパワートレインの軽量型アーキテクチャと、アナログ・デバイセズのwBMSを組み合わせることにより、更なる効果を得ることを望んでいました。それらを組み合わせることにより、設計の簡素化と複雑さの解消を図りつつ、更なる軽量化を実現したいと考えていたのです。両社は、このような課題に焦点を絞って議論を重ねました。
アナログ・デバイセズのwBMSは、自動車業界に真の変革をもたらします。これを採用することにより、バッテリ用のハーネスや、有線式の標準的なバッテリ管理システムに伴う数多くのワイヤ/コネクタを不要にすることができるからです。実際、アナログ・デバイセズのwBMSは、バッテリ・パックの配線を最大90%、バッテリ・パックの体積を最大15%削減することを可能にします。ワイヤを減らせば、車両の重量と材料のコストを低減することができます。加えて、バッテリの安全性、信頼性、修理の可能性を高められるというメリットも得られます。「wBMSを採用すれば、ワイヤ・ハーネスを大幅に削減できます。つまり、Lotusは、性能の最適化を可能にする軽量化の手段を手にすることができるのです。結果として、同社はそのブランドにふさわしい高い性能を実現することが可能になります」とKeenは説明しています。
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コラボレーションの効果
この分野を専門とするアナログ・デバイセズの技術者は、Lotusの設計技術者と協力して課題の解決に努めました。その結果、LotusのEVで使われる新たなパワートレインのアーキテクチャにwBMSを組み込むことに成功しました。なお、そのアーキテクチャは、LEVA(Lightweight Electric Vehicle Architecture)と呼ばれています。
Lotusで駆動系/シャーシ系エンジニアリングの担当ディレクタを務めるRichard Lively氏は「当社は、アナログ・デバイセズと緊密に連携し、当社の新たなLEVAにwBMSを組み込みました。これは、将来にわたって当社の全EVの基礎になるでしょう」と述べています。その上で同氏は、「当社のブランド力は、優れた操作性と高い性能を備える自動車をお届けすることで維持されています。wBMSによってワイヤ・ハーネスを大幅に削減することで、当社のブランドにふさわしい最適化された性能につながる軽量型のソリューションを確実に提供できるようになります」と語ります。
この取り組みを成功に導くためには、設計に柔軟性を持たせることが不可欠でした。アナログ・デバイセズは、Lotusの要求に真摯に応えました。wBMSを適用することで、バッテリ関連の設計を迅速、容易、シンプルに再構築できるようになりました。また、より最適化されたバッテリ・パックの組み立てが可能になり、合理化された製造プロセスを実現することができました。バッテリ管理システムをワイヤレス化したことで、Lotusは将来のEVのモデルをより効率的に拡張できるよう設計の柔軟性を高めることに成功しました。
Lotusとアナログ・デバイセズの設計エンジニアリング・チームは、COVID-19による制限が加わった状態でのコラボレーションを強いられました。作業が止まるのを避けるために、電話会議や、コラボレーション用の高度なソフトウェア、ステップ・バイ・ステップのハウ・ツー・ビデオを使って取り組みを進めました。
LEVAが備える高い柔軟性
LotusのLEVAは、ミッドシップ(ミッドエンジン)型の高性能車を対象として設計されています。ドライバが座る場所は、フロントのコンソールとステアリング・ホイールの後ろになります。それ以外のあらゆるものは、ドライバの後ろに配置されます。4つの車軸の中央に車両の重量の大半が存在することになり、重量の配分、安定性、ハンドリングが良好になります。この設計によって、安全性の向上や摩耗の減少といったメリットも生まれます。Lotusは、他の車両の設計や将来の量産モデルでもLEVAが備える柔軟性の高さを活用する予定です。
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車両の軽量化が性能にもたらす効果
革新的なエンジニアリングと画期的な技術を導入することで、Lotusは車両の軽量化を図り、卓越した性能を実現できるようになりました。車体の重量を低減するのは、ドライバ、自動車、道路の間の真のつながりを実現するための最も効果的な手段です。O'Mahonyは「当社との協業を始めた当初、Lotusはバッテリ管理システムの性能を最適なレベルに維持しつつ、ワイヤの削減などによって、あらゆるものの軽量化を図ることに主眼を置いていました」と語ります。
バッテリ管理システムをワイヤレス化すれば、ワイヤやコネクタを排除して車両を軽量化することができます。また、バッテリ・パックのハーネスを排除するということは、信頼性を高めることにつながります。よく知られているように、ケーブルやコネクタは、システムにおいて故障の発生個所になるケースが少なくないからです。また、バッテリ・パックにワイヤが接続されていなければ、設計の柔軟性と拡張性を容易に高められるようになります。
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「重すぎる車体は、高性能のスポーツ・カーにとって致命傷になる。」Shane O'Mahony
オートモーティブ・テクノロジー・グループ 製品マーケティング・エンジニア | アナログ・デバイセズ
設計の自由度と柔軟性
性能の向上に向けて、車両のアーキテクチャ全体の最適化が完了したとします。その段階で、バッテリ・パックのデザイン・インはどのように行えばよいのでしょうか。
EVの開発技術者は、絶えず変化するEVのエアロダイナミックな形状を設計します。そうした技術者にとって、バッテリを柔軟に再構築できることは非常に重要な意味を持ちます。Lotusは、wBMSによって迅速かつ容易に汎用性と拡張性を高め、最適化を施す方法を手にすることができました。それだけでなく、ハーネスを排除することによって生まれた空間を利用し、新たな車両の設計において、より多くのバッテリをパックに収める手段を得ることができました。パワートレインのバッテリを増強すると、適切な条件下にあれば、電力性能を高めて航続距離を延伸できるようになります。
「従来、Lotusの技術者は、バッテリのハーネスという制約が存在する状況で、できるだけうまく自動車を設計するよう努めていました。wBMSを採用したことにより、自身が適切だと考える形で自動車を自由に設計できるようになったのです」とKeenは述べています。
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複雑さの低減、モニタリングとセキュリティの強化
バッテリ・パックは数百個ものセルで構成されます。個々のセルにはプラスとマイナスの端子が1つずつ設けられています。それらすべての端子にワイヤが接続されている状況を想像してみてください。多くのワイヤが複雑に絡み合う様は、まさに悪夢だと言えるのではないでしょうか。このような理由から、セルに対する配線に制限がある有線式のバッテリ管理システムでは、すべてのセルを個別に監視するということは行いません。各セルの劣化レベルを測定することはできないので、バッテリ全体としての充電レベルを確認して推測するしか方法がないのです。その結果、充電レベルの低いセルや完全に放電済みのセルが検出されない状態が生じることになります。
wBMSを利用する場合、バッテリ・セルのグループからワイヤレスで信号を送信し、セキュアなデータをクラウド側で受け取ってセキュアに保存することができます。Lotusの技術者や各地で働く整備士は、ノート型のPCを使用することで、バッテリ・パックにおける並列セルの各グループの充電状態や劣化状態などの多様な情報を詳細に確認することができます。また、自動車メーカーは、その本社で必要な操作を行うことにより、バッテリ用のソフトウェアを容易かつ迅速にアップグレードすることが可能になります。wBMSを採用することにより、Lotusの技術者は、複雑さを抑えつつ柔軟性を高め、クラウドのグレードでサイバーセキュリティを実現できるようになります。
人手による作業の排除
従来の有線式のバッテリ管理システムを使用する場合、多くのワイヤやコネクタを取り付ける必要があります。そのためには、バッテリ・モジュールの間に人の手を入れられるだけのスペースを確保しなければなりません。それに対し、wBMSのモジュールには端子が2つしかありません。モジュールをより密に配置できるので、より高い密度を実現してフォーム・ファクタの小型化を図ることができます。各端子の接続は、厚みのないロボット・ツールを使うことで容易に実現可能です。
ロボットによる組み立てが可能であれば、より密度の高いバッテリ・パックを実現することができます。バッテリの組み立て作業とセカンド・ライフにおける分解作業は、ロボットを使うことで迅速、安全、正確に行えるようになります。つまり、LotusのようなEVメーカーは、時間とコストの両方を節減できるようになるということです。
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「wBMSを採用すれば、バッテリ・パックの劣化レベルを測定することができます。また、ロボットによる組み立てと分解も行えるようになります。つまり、劣化したセルを特定して取り除き、バッテリ・パックを効率的に修理できるようになるということです。」Gina Aquilano
オートモーティブ・グループ 技術ディレクタ | アナログ・デバイセズ
修理の可能性――再利用を上回る効果を生み出す
バッテリ・パックを長年にわたって使用すると、容量が低下していきます。wBMSを適用したバッテリ・パックの場合、EV用のものとして最適な電力性能が得られなくなったら、それほど要件が厳しくない蓄電システムや送配電網などで再利用することができます。つまり、クリーンで持続可能性が高いセカンド・ライフの用途に簡単に転用できるということです。EV用としての寿命を終えたバッテリであっても、太陽光発電や風力発電の余剰電力を蓄積することは可能です。そのような形でバッテリの再利用を進めれば、電動化された未来という約束を果たせるかもしれません。
LotusのLively氏は「1つのセルや1つのセル・グループが通常よりも早く蓄電能力を失ったとします。それだけでバッテリ・パック全体を交換するのは、持続可能なビジネス・モデルだとは言えません」と指摘します。その上で、「アナログ・デバイセズのwBMSを使用すれば、バッテリ・パックの修理の可能性という要件に対応できるソリューションを実現できます。しかも、そのソリューションを利用すれば、高いコスト効率で、迅速かつ容易にバッテリの修理を実施することが可能になります」と同氏は述べています。
修理の可能性は、EVとEV用のバッテリの状態を維持する上での鍵になる。
Lotus Cars
Lotusは、どの車種にも半減期のようなものは設けていません。多くの車両が、25年あるいは30年経ってもクラシック・カーとして走行し続けています。ただ、このことは同社にとって難しい問題になっています。事実上、半減期のない自動車では、車両の耐用年数を通じてバッテリの性能を最適な状態で維持する必要があります。つまり、「いつまででも走り続けられる」ようにしなければなりません。
wBMSを採用すれば、路上の車両でもサーキット上の車両でも容易かつ迅速に保守を行えるようになります。wBMSを適用したバッテリ・モジュールは、プラスとマイナスの2つの端子しか備えていません。また、ソフトウェアによってプログラムすることができ、便利なOTA(Over the Air)によって迅速にアップデートすることが可能です。セル用のコントローラは、保守が可能なユニットとしてバッテリの寿命が尽きるまでバッテリ・モジュールと共に用いられます。このことから、シンプルなサービスのモデルを構築することが可能になります。
修理のサービスを提供するのは、目新しいビジネス・モデルではありません。住宅の補修や、家電製品の修理、歯の修復など、今日のほぼすべての業界で、修理は欠かすことのできない基盤になっています。EV用のバッテリの修理を行えるようにすれば、各地で働く整備士や、スペア部品の販売業者、自動車メーカーに対して大きなビジネス・チャンスをもたらすことができる可能性があります。このことが持続可能な世界の実現に与える影響は計り知れません。
O'Mahonyは「アナログ・デバイセズは、Lotusに対し、バッテリの修理を可能にする技術を提供しました。同じような機能を提供しているバッテリ管理システムのメーカーは他には存在しません。バッテリの修理の可能性を手に入れることで、Lotusは二酸化炭素の排出量を6tも削減できるようになります。環境に対する貢献の度合いという面で、Lotusは他のEVメーカーとは一線を画すことになるのです」と語ります。O'Mahonyは「Lotusの車を所有する人に対しては、数十年にもわたって高性能の車を運転する楽しみが得られることを保証することができます」とも述べています。
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持続可能な未来、最もスリリングな動き
アナログ・デバイセズもLotusも、消費者がより環境に優しい社会を志向していることを強く認識しています。そのため、製品の寿命を延ばすことや、高い性能を提供することに力を注いでいます。両社のコラボレーションでは、軽量化、修理の可能性、持続可能性の実現を目標としました。
エンジニアリングの面での革新的な取り組みにより、(複数の設計にわたって)高い柔軟性を提供する1つのシステムを実現することができました。そのシステムを活用することで、バッテリ・パックの設置面積と体積を削減し、ケーブルの量を大幅に削減することが可能になります。また、バッテリの拡張が容易になると共に、組み立てや分解もより迅速かつ安全に行えるようになります。更に、バッテリの修理を可能にすることで、業界や自動車メーカーに対して多くのビジネス・チャンスを提供できます。しかも、よりクリーンで健全性の高い環境を実現することが可能になるのです。
Lotusの物語は、よりスリリングな次章へと続きます。大胆な革新と先進的な考え方によって、新たな革命が成し遂げられることになるでしょう。
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