質問:
SPICEシミュレーションは完璧だったのに、量産バッチになると仕様に適合 しません。

回答:
アナログ回路のシミュレーションは、この20年間に出現した最も貴重なツールです。当社でも優れたSPICEモデルを提供して回路設計者を支援しています。しかし、シミュレーションは現実のものではありません。SPICEモデルでは2次的/3次的効果をすべてエミュレートすることはめったにせず、そのためにアナログ回路の設計が大変な作業となります。
ただ果てしなくシミュレーションを繰り返すだけでなく、アナログ設計で実際のハードウェア版を作成して、徹底的にテストすることがきわめて重要です。
高周波で特に高精度な設計を行う場合は、できる限り最終的な量産用のレイアウトに類似したプロトタイプを作成することが重要になります。これは、PCボードからの寄生インダクタンスと寄生容量がHF性能に大きな影響を与えるため、シミュレーション、ブレッドボード、最終的な量産品の間に大きな違いが出ることがあるからです。
アナログの世界では幾百もの設計が宙に漂う
シリコンバレーのアイデア、小心なアイデアも大胆不敵なアイデアもある
真珠のような設計もあればゴミのような設計もある
そして、使われないまま終わる設計もある
電子機器があるところ 至るところに回路がある
抽象的なたくさんの回路と現実的なたくさんの回路
どう考えても魅力的な回路もたくさんある
それなのに、組み立てて電源を入れたときまともに動くのはごくわずか
ちゃんと回路を知る方法があればいい
見分ける目印があればいい
どれが電源を入れたときにまともに動く
すばらしい回路なのか
そんな回路だけを自由に公開できれば悲しみに暮れることもない
そうすればすばらしい回路を考えた我が社の評判も上々だ
しかし、いくらじっと見つめてもそんなうまい方法は見つからない
成功することが間違いなく予想できる方法なんて天井には弔いのお香の煙が上がる
ブレッドボードの上で早死にし日の目を見なかった設計のために
(A. E. ハウスマンにお詫び申し上げます。)
これは、ハウスマンの「A Shropshire Lad(シュロップ シャーの若者)」という詩の1つ(XXIII)のパロディです。