質問:
変動する信号を どうやって測定するのですか?

回答:
とても慎重に測定します。アルキメデスは、冠に含まれる金の量を測定しましたが、不定形の波形を測定することはさらに困難です。
変動信号の最も簡単な指標は、ある時間間隔でのその平均値です。しかし、これは誤解を招くことがあります。1:1のマークスペース比と1V p-pの振幅を持つ矩形波があると想定します。その平均値はどうなるでしょう。
+1Vという正側のピークと0Vという負側のピークでは、平均値は0.5Vです。0.5Vという正側のピークと-0.5Vという負側のピークでは、平均値は0Vです。しかし、この信号が抵抗に印加された場合、抵抗は熱を持ちます。0Vの定常信号ではそうなりません。
そこで、電力を目的とする場合、おそらく極性を無視する必要があるのではないでしょうか。上の2番目のケースで、符号または極性を取り除いてから平均をとった場合、最初のケースと同様に、「絶対値平均」の値は0.5Vとなります。しかし、これらの2つの信号を同じ抵抗に印加すると、最初の信号では2番目の信号の場合よりも抵抗の温度上昇ははるかに大きくなります。したがって、変動する電圧や電流の平均値は、その加熱効果を論じるには不十分です。同じ平均電圧であっても、DC、サイン波、矩形波、のこぎり波、ガウス・ノイズでは、加熱効果は大きく異なります。
その理由は、抵抗性負荷の電力が印加電圧の2乗に比例するからです。実際、私たちが必要とする指標は、変動信号の2乗平均平方根(つまりrms)値です。これは信号の2乗の平均値の平方根です。きわめて数学的な話になってしまうかもしれませんが、数学にこだわる必要はありません。A/D変換と高速デジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)を用いて変動信号のrms値を求めることはできますが、同じ処理は乗算器とオペアンプを用いた簡単なアナログ回路でもっと正確に行うことができます。このアナログ回路は、簡単に構築できますが、ICとして購入すればさらに簡単で安価です。
このようなRMS/DCコンバータICは、デジタル技術ではなくアナログ技術の方が効果的な信号処理の好例です。アナログRMS/DCコンバータは、対応するDSPに比べて消費電力とボード・スペースが抑えられLF(低周波信号)から約10GHzまでのRF(無線周波数帯)で使用できます(まだDSPでは太刀打ちできません)。