質問:
性能を損なうことなく、コンバータの フロントエンドを設計するには どうしたらよいでしょうか?

回答:
高周波サンプリング用のコンバータを使用する場合、設計者は数多くの難題に直面します。フロントエンドの設計は簡単ではありませんが、以下をお読みになれば解決策が見つかるかもしれません。
設計者は、ベースバンド、ナローバンド、ワイドバンドの3種類のフロントエンドから選択できます。どれが適切かはアプリケーションによります。
ベースバンド・アプリケーションは、DCまたは低いMHz値からコンバータのナイキスト周波数までの帯域幅を必要とします。相対帯域幅で言えば、約100MHz以下になります。このような設計では、アンプまたはトランス(バラン)を使用できます。
ナローバンド・アプリケーション(A/D コンバータの完全なナイキスト帯域幅に比べてナローという意味)は、通常、高い中間周波数(IF)で動作し、190MHz以上の中心周波数で、2次または3次のナイキスト領域の5 ~ 20MHzの帯域幅だけを使用するのがふつうです。この設計で必要なのはナイキスト帯域幅の一部だけですが、アンチエイリアシング・フィルタを実装するために未使用の帯域幅が必要になることもあります。このようなアプリケーションでは一般にトランスやバランが使用されますが、これらの周波数で性能が十分であればアンプを使用することもできます。
ワイドバンド設計は、コンバータの機能をフルに発揮させて帯域幅のすべてを利用します。このタイプの設計は帯域幅が最も広く、3種類の中でフロントエンドの設計が最も難しいものになります。アプリケーションでは、DCまたは低いMHz値から数GHzまでの帯域幅が必要です。現在、この設計の場合には、一般に広帯域バランが使用されていますが、帯域幅と性能の面でアンプが追い上げつつあります。
コンバータを選択してから、フロントエンドにアンプ(アクティブ)またはトランス(パッシブ)を選択します。アンプとトランスのどちらにするかは、多くのトレードオフがあり、アプリケーションによりけりですが、いくつかのポイントにまとめることができます。アンプはノイズを増大し、電源を必要とし、電力を消耗しますが、トランスとは異なりゲイン帯域幅に依存しません。また、通過帯域領域でのゲイン平坦性が優れています。トランスはパッシブであるため、ノイズの増加や電力の消耗はありませんが、動作の非対称性によってスプリアスが発生することがあります。トランスは理想的なデバイスとは言えません。正しく使用しないと、特に高周波数(>100MHz)において、寄生容量によって設計が損なわれることがあります。
以上のアドバイスによって、設計が順調に運ぶことを願っています。詳細については、参考資料をご覧になるか、私宛に電子メールをお送りください。