質問:
容量センサーが民生用電子機器で使用されているのは 知っていますが、過酷な工業環境で使えるほど堅牢でしょうか?

回答:
答えは、もちろん「はい」です。容量センサーは、圧力レベル、近接レベル、位置レベル、液面などの工業用の高精度測定にすでに使用されています。工業用アプリケーションでも民生用でも、人とマシンの間のインターフェースとしてスイッチ、ボタン、スクロール・バー、ジョグ・ホイールよりも容量センサーが好まれ、急速に取って代わりつつあります。
容量センサーICは、基本的に複数のパッドの間の電界変化を検出することによって機能します。この電界は容量センサーが生成します。物体が電界の中を通ると、電界に変化が起きます。電界の変化は容量の変化に比例します。容量デジタル・コンバータ(CDC)が容量の変化を処理して、デジタル出力を出しますが、これをマイクロコントローラやその他のデジタル・インターフェースに接続することができます。センサーには機械的な可動部品がないため、初期の機械式センサーに比べて本質的に信頼性が向上します。
過酷な工業用アプリケーションでは、制御デバイスは温度の大幅な変動、湿気、ほこり、静電放電(ESD)、液体のこぼれ、湿気に長時間さらされるという条件に耐えなければなりませんが、この点で容量センサーは優れています。また、工業用使用環境の制御デバイスにふさわしい「タッチ感覚」を選択できることも長所となります。
容量センサー・パッドは、保護プラスチックの薄膜層に覆われています。したがって、パッド内部にほこりや液体が侵入することはありません。プラスチックの厚さは、アプリケーションによって異なります。こうした場合、プラスチックの厚さの違いを補償するようセンサーを調整できます。水濡れするアプリケーションの場合や液体、湿気、洗剤にセンサー・パッドが頻繁にさらされる場合は、この機能が特に重要になります。保護プラスチック・バリアによって、センサーのオンチップESD保護も強化されます。
容量センサーは耐久性があるだけでなく、ローカル環境に自動的に対応させることができます。新しいタイプのデバイスには環境適応型補償機能(AEC)アルゴリズムが備わっており、センサーの容量レベルを持続的に監視し、周囲温度や湿度などの変化のみならず、センサーの誘電体の経時変化さえも補償します。ローカル環境がどのようなものであろうと、AECによって信頼できる正確な動作が実現します。
次回設計するときに、スイッチ、ボタン、スクロール・バー、ジョグ・ホイール、あるいは高精度の測定が必要になったら、こうした機能に対応できる容量センサーがあると考えていただいて間違いありません。容量センサーは、従来のデバイスよりスマートで堅牢なソリューションとなります。