マむクロステッピングを掻甚し、モヌション・コントロヌルの粟床を高める

抂芁

モヌション・コントロヌルのアプリケヌションの䞭には、非垞に高い粟床が求められるものがありたす。そうしたアプリケヌションでは、滑らかな動きず高い分解胜での䜍眮決めを実珟しなければなりたせん。そのために䞍可欠な芁玠がステッピング・モヌタヌステッパ・モヌタヌです。ただ、求められる芁件を満たすためには、ステッピング・モヌタヌに適甚する制埡方匏が重芁になりたす。特に、フルステッピング制埡、ハヌフステッピング制埡、マむクロステッピング制埡の違いを把握しおおくこずが肝芁です。本皿では、たずマむクロステッピング制埡の基本を抌さえた䞊で、フルステッピング、ハヌフステッピングずの違いを明らかにしたす。たた、マむクロステッピング制埡を利甚するために最適な補品矀などを玹介したす。

はじめに

ステッピング・モヌタヌを䜿甚する堎合、比范的シンプルな制埡方匏によっお高い粟床を埗るこずができたす。そのため、産業分野や医療分野のアプリケヌションなどで広く利甚されおいたす。䟋えば、3DプリンタやCNC工䜜機械Computer Numerical Control Machineなど、3軞の䜍眮決めを必芁ずするシステムが代衚的な甚途です。ACモヌタヌやブラシレスDCモヌタヌでも、高い粟床は埗られたす。ただ、ステッピング・モヌタヌには、粟床が高いだけではなく、オヌプンルヌプ制埡による動䜜が可胜で、䜎速でも高いトルクが埗られるずいう長所がありたす。たた、倚くのステッピング・モヌタヌは費甚察効果が高いものだず蚀えたす。しかも、サヌボ・モヌタヌほど耇雑ではありたせん。曎に、ブラシ付きDCモヌタヌずは異なり、ステッピング・モヌタヌでは倧きなトルクによっお䜍眮を保持するこずができたす。

本皿で取り䞊げるマむクロステッピングは、ステッピング・モヌタヌで䜿甚される非垞に有甚な制埡方匏です。これを利甚すれば、モヌタヌをより小刻みにより现かいステップで動かすこずができたす。぀たり、1回転圓たりの離散的な䜍眮の数を倧幅に増やすこずが可胜です。その結果、モヌタヌからの隒音や振動を倧幅に䜎枛できるようになりたす。なお、アナログ・デバむセズは、モヌション・コントロヌル甚の補品矀ずしお「ADI Trinamic」を提䟛しおいたす。ADI Trinamicには、ステッピング・モヌタヌ甚のドラむバICや、ボヌド・レベルのモゞュヌル、最倧256のマむクロステップでステッピング・モヌタヌを駆動するための完党な゜リュヌションが含たれおいたす。

ステッピング・モヌタヌの基本

たずは、ステッピング・モヌタヌに関する基本的な事柄に぀いお説明したす。

モヌタヌの構造

ステッピング・モヌタヌは、磁石をベヌスずするロヌタずコむルをベヌスずするステヌタで構成されたす。図1に瀺したのは、ハむブリッド2盞ステッピング・モヌタヌの䟋です。この皮のモヌタヌでは、2぀の磁石カップを備えるロヌタを䜿甚したす。通垞、各磁石カップには50個の歯が付いおいたす。たた、これらの磁石は逆の極性を瀺し、物理的には互いにオフセットされおいたす。ステヌタは、䞭倮のロヌタを囲むよう耇数の䜍眮に配眮された2぀のワむダ補コむルで構成されたす。各盞に順に通電するこずにより、モヌタヌが回転したす。

Figure 1. Hybrid stepper motor construction. (a) 8-pole stator. (b) Permanent magnet rotor. 図1. ハむブリッド型ステッピング・モヌタヌの構造。aは8極のステヌタ、bは氞久磁石をベヌスずするロヌタです。
図1. ハむブリッド型ステッピング・モヌタヌの構造。aは8極のステヌタ、bは氞久磁石をベヌスずするロヌタです。

動䜜

ステッピング・モヌタヌの動䜜は、離散的なものになりたす。぀たり、1回転に盞圓する角床360°を等間隔のステップに分割し、そのステップを単䜍ずしお回転したす。䟋えば、1回転圓たり200の離散的な䜍眮を備えるステッピング・モヌタヌの堎合、そのステップ角は1.8°ずなりたす。ステップ角は、以䞋の匏1に瀺すように、360°をフルステップの数で割るこずによっお求められたす。

691207 数匏 01

図2に瀺すように、モヌタヌのコむルに電流を流すず、氞久磁石をベヌスずするロヌタを匕き寄せたり反発したりする磁界が生じたす。この磁界に応じおロヌタが回転したす。モヌタヌを回転させ続けるためには、各コむルに亀互に通電し、磁界がロヌタの前方にある状態を維持する必芁がありたす。

691207 fig 02 図2. ハむブリッド型ステッピング・モヌタヌの動䜜
図2. ハむブリッド型ステッピング・モヌタヌの動䜜

ステッピング動䜜の詳现

ここからは、ステッピング・モヌタヌのステッピング動䜜に぀いお詳しく説明しおいきたす。それに向けお、図3に瀺した2盞ステッピング・モヌタヌのモデルを䟋にずるこずにしたす。このモデルは1぀の磁極察を備えおいたすが、党䜓ずしおは簡略化されたものになっおいたす。

Figure 3. A simplified 2-phase stepper motor with permanent magnet rotor. 図3. 2盞ステッピング・モヌタヌの簡略化されたモデル。氞久磁石をベヌスずするロヌタを備えおいたす。
図3. 2盞ステッピング・モヌタヌの簡略化されたモデル。氞久磁石をベヌスずするロヌタを備えおいたす。

フルステッピング制埡

フルステッピング制埡では、ドラむバによっお2぀のコむルに正たたは負の電流を流したす。䞡方の盞が同時に通電するので、最倧のトルクが埗られたす。モヌタヌのシャフトは、コむルに流す電流の向きを切り替えるこずによっお回転したす。切り替えのパタヌンは、倚くの堎合、転流commutationず呌ばれ、通垞は図4に瀺すような呚期的なシヌケンスに埓いたす。この制埡方匏では、以䞋の4぀の状態が存圚するこずになりたす。

数匏 2
Figure 4. Full-step mode for 2-phase stepper motor. 図4. 2盞ステッピング・モヌタヌのフルステッピング制埡
図4. 2盞ステッピング・モヌタヌのフルステッピング制埡

フルステッピング制埡を採甚すれば、高粟床のステップ、正確な速床制埡、高い保持トルクholding torqueを実珟できたす。たた、フルステッピングでは、モヌタヌの高速動䜜時に最倧のトルク出力を埗るこずが可胜です。しかし、フルステッピング制埡では、図5に瀺すような問題が起きる可胜性がありたす。぀たり、モヌタヌの動䜜に䌎っお過剰な振動や倧きな隒音が発生するかもしれないのです。この振動ず隒音は、䞻にモヌタヌが目暙の䜍眮からオヌバヌシュヌトしおしたうこずが原因で生じたす。このオヌバヌシュヌトはポゞション・ゞャンプposition jumpず呌ばれおいたす。振動や隒音が生じた結果、特定の速床で倧きな共振が発生し、それに䌎っおトルクが䜎䞋したす。

Figure 5. Fullstepping overshoot and ringing. 図5. フルステッピングで生じるオヌバヌシュヌトずリンギング
図5. フルステッピングで生じるオヌバヌシュヌトずリンギング

単䞀の磁極察を備えるシンプルなモヌタヌでは、フルステップの転流を䜿甚するこずで、1回転圓たり4぀の離散的な䜍眮を埗るこずができたす。これを50の磁極察を備えるモヌタヌに拡匵するず、1回転圓たりのフルステップ数は200になりたす以䞋参照。

数匏 3

このような構成により、ロヌタの歯ずコむルの磁界が揃ったずきにモヌタヌを特定の䜍眮に向けるこずが可胜になりたす。

ハヌフステッピング制埡

ステップのサむズを小さくすれば、䜍眮のオヌバヌシュヌト、振動、隒音の問題を改善できたす。では、ステップのサむズを小さくするにはどうすればよいのでしょうか。これは、新たな電流の状態を導入するこずによっお実珟できたす図6。ハヌフステッピング制埡のモデルでは、ロヌタの䜍眮の数を1磁極察圓たり8぀に増やしたす。それにより、䜍眮の分解胜が2倍になりたす。ハヌフステップの動䜜は、モヌタヌ甚のドラむバによっお、1盞励磁ず2盞励磁を亀互に実行するこずで実珟できたす。䞊蚘のずおり、ハヌフステッピング制埡では、振動を抑え぀぀䜍眮の分解胜を高められたす。䜎速における回転トルクはわずかに増倧したすが、新たなハヌフステップの䜍眮における保持トルクは䜎䞋したす。その䜎䞋したトルクは、䞀般に増分トルクincremental torqueず呌ばれおいたす。

Figure 6. Half-step mode for 2-phase stepper motor. 図6. 2盞ステッピング・モヌタヌのハヌフステッピング制埡
図6. 2盞ステッピング・モヌタヌのハヌフステッピング制埡

䞊蚘のような改善が埗られるものの、ハヌフステッピング制埡には問題がないずいうわけではありたせん。同制埡を適甚したずしおも、䟝然ずしお比范的倧きなポゞション・ゞャンプが生じおしたうからです。これは、モヌタヌの回転が完党に滑らかに行われるわけではないずいうこずを意味したす。この問題は、特に䜎速な動䜜においお顕著になりたす。その結果、求められるようになったのが、マむクロステッピング制埡ずいう技術です。

マむクロステップ

マむクロステッピング制埡ずは䜕か

マむクロステッピングは、䞊述した課題を解決する制埡方匏です。この方匏では、各フルステップを等間隔のマむクロステップに分割したす。そしお、ステッピング・モヌタヌがマむクロステップを単䜍ずしお動䜜するようにしたす。぀たり、フルステップの間の耇数の䞭間䜍眮たで回転できるように制埡するずいうこずです。そのためには、図7のような構成を䜿甚したす。通垞、この方匏は、䜎速動䜜時により高い䜍眮分解胜ずより滑らかな回転を埗るために䜿甚されたす。マむクロステップの分解胜を高めるずより现かく分割するず、モヌタヌの移動距離が短くなりたす。その結果、䜍眮のオヌバヌシュヌトずリンギングが䜎枛され、振動ず隒音が改善されたす。

Figure 7. Current through each coil while microstepping. 図7. マむクロステッピングの構造ず各コむルに流れる電流
図7. マむクロステッピングの構造ず各コむルに流れる電流

 

Figure 8. Comparison of current waveforms and position overshoot/ringing in different step modes. 図8. 各ステッピング制埡における電流波圢。䜍眮のオヌバヌシュヌトリンギングの様子も瀺したした。
図8. 各ステッピング制埡における電流波圢。䜍眮のオヌバヌシュヌトリンギングの様子も瀺したした。

マむクロステッピング制埡の仕組み

図8に瀺すように、マむクロステッピング制埡はモヌタヌに正匊波圢の電流を䟛絊するこずによっお実珟したす。モヌタヌ甚のドラむバは、電流のレギュレヌションを利甚し、各モヌタヌ・コむルに察しお正匊波圢の電流を正確に䟛絊したす。ずはいえ、完党な正匊波を生成するのは䞍可胜です。正匊波の質、぀たりマむクロステッピング制埡の質は、ステッピング・モヌタヌ甚のドラむバが備えるA/DコンバヌタADCずD/AコンバヌタDACの分解胜によっお制限されたす。ADI Trinamicに含たれる各ステッピング・モヌタヌ甚ドラむバは、分解胜が最小でも8ビットのADCずDACを搭茉しおいたす。そのため、1フルステップに察しお最倧256のマむクロステップを蚭定するこずが可胜です。通垞、ハむブリッド型のステッピング・モヌタヌでは1回転圓たりのフルステップの数が200です。したがっお、256マむクロステップの制埡を適甚するず、1回転圓たり最倧5侇1200の離散的な䜍眮を実珟できたす。その結果、0.00703125°ずいう極めお高いステップ分解胜が埗られたす。

考慮すべき重芁な事柄 - 䜍眮粟床ず増分トルク

マむクロステッピングを採甚すれば、倚くのメリットが埗られたす。しかし、この制埡方匏にも重芁な課題が存圚したす。課題になるのは、䜍眮粟床ず増分トルクの2぀です。

䜍眮粟床ずは、モヌタヌの実際の䜍眮ず指瀺された䜍眮ずの差分誀差のこずを指したす。マむクロステッピング制埡では、離散的な䜍眮が増えるため䜍眮分解胜が向䞊したす。しかし、䜍眮粟床も向䞊するわけではありたせん。他の制埡方匏を䜿甚する堎合ず倉わらず、モヌタヌの粟床は構造の公差、モヌタヌの負荷、ドラむバがモヌタヌのコむルに所望の電流レベルを正確に䟛絊する胜力によっお巊右されたす。これらの芁因は、フルステッピングかマむクロステッピングかにかかわらず、モヌタヌの粟床に圱響を及がすずいうこずです。

増分トルクは、モヌタヌが停止しおいるずきに、モヌタヌをその䜍眮から匕き離すために必芁なトルクの倧きさずしお定矩されたす。フルステッピングを䜿甚する堎合、磁石をベヌスずするロヌタはモヌタヌのコむルに察しおぎったりず揃っおいたす。その堎合、モヌタヌの仕様ずしお芏定された保持トルクに等しい最倧保持トルクが生成されたす。それに察し、マむクロステッピングを䜿甚する堎合には、モヌタヌが保持されおいるマむクロステップの䜍眮に応じお増分トルクが䜎䞋したす。

増分トルクの倧きさは以䞋に瀺す匏によっお近䌌できたす。

数匏 4

ここで、各倉数の意味は以䞋のずおりです。

  • TINCN・mを単䜍ずする増分トルク
  • THOLDN・mを単䜍ずするフルステップの保持トルク
  • SDRステップ分割比たたは匏5を玄分した分数の分母

䞊蚘のSDRの説明にある匏5は以䞋のようなものです。

数匏 5

増分トルクに぀いおは、いく぀かの具䜓的な䟋を芋おいただくほうがわかりやすいでしょう。䟋ずしお、256のマむクロステップを䜿甚するモヌタヌがハヌフステップの䜍眮で停止しおいるケヌスを考えたす。぀たり、匏5に぀いおは以䞋のようになりたす。

数匏 6

SDRの倀は、玄分した分数の分母の倀です。぀たり、この䟋では2になりたす。この堎合、以䞋に瀺すように、増分トルクはモヌタヌの保持トルクの70.709%に䜎䞋したす。

691207 数匏 07

もう1぀の䟋ずしお、モヌタヌが7/256マむクロステップの䜍眮で停止しおいるケヌスを考えたす。その堎合、以䞋の匏が成り立ちたす。

数匏 8

この堎合のSDRは256です。そのため、以䞋に瀺すように、増分トルクはモヌタヌの保持トルクの0.61%たで䜎䞋したす。

数匏 9

衚1に、SDRず増分トルクの関係をたずめたした。

衚1. 増分トルクずSDRの関係
SDR TINC / THOLD
1 100.00%
2 70.709%
4 38.267%
8 17.508%
16 9.801%
32 4.907%
64 2.454%
128 1.227%
256 0.614%

増分トルクは、各マむクロステップの䜍眮でモヌタヌを保持するために利甚できるトルクを䜎䞋させたす。ただ、回転トルクはほずんどその圱響を受けないずいう点が重芁です。぀たり、モヌタヌが回転しおいる間、増分トルクの䜎䞋の圱響は顕圚化したせん。実甚的な芳点から蚀えば、高い保持トルクが必芁な堎合には、モヌタヌがフルステップたたはハヌフステップの䜍眮で停止するように制埡する必芁がありたす。

マむクロステッピングを適甚すべきアプリケヌション

ステッピング・モヌタヌを䜿甚する倚くのアプリケヌションは、制埡方匏ずしおマむクロステッピングを採甚するこずでメリットを享受しおいたす。䟋えば、3Dプリンタで高品質のプリントを行うためには、䜍眮分解胜を高め぀぀振動を最小限に抑える必芁がありたす。たた、医療甚むメヌゞング機噚や手術甚のロボットでは、患者にずっおの快適さず安党性を確保しなければなりたせん。そのためには、静かな動䜜ず正確な䜍眮決めを実珟する必芁がありたす。マむクロステッピングは、こうした芁件を満たすために最適な技術です。

マむクロステッピングでは、ステップのサむズが小さくなるので、䜍眮のオヌバヌシュヌトが倧幅に䜎枛されたす。それにより、振動の枛少、効率の向䞊、より滑らかな動きずいった倚くのメリットが埗られたす。特に、機械的な振動が発生するず゚ネルギヌが無駄に消費されたす。CNC察応のフラむス盀のような䞀郚のアプリケヌションでは、振動によっお摩耗が進んで信頌性が䜎䞋したす。マむクロステッピングを採甚すれば、機械的な振動や隒音を䜎枛できたす。その結果、モヌタヌ制埡システムの動䜜に関連する無駄なコストや゚ネルギヌが削枛されたす。

マむクロステッピングは、䞊述した以倖のアプリケヌションでも利甚されおいたす。䟋えば、医療分野で䜿われる研究甚の機噚や、バルブ制埡システム、゚ア・ポンプ、CCTVClosed-circuit Television、ロボット、ファクトリ・オヌトメヌションFA機噚などが挙げられたす。

ADI Trinamicが提䟛する補品技術

ADI Trinamicの゜リュヌションにはステッピング・モヌタヌ補品が含たれおいたす。それらの補品は、マむクロステッピング制埡の実装に圹立぀様々な機胜を提䟛したす。ADI Trinamicのすべおのステッピング・モヌタヌ補品は、最倧256マむクロステップに察応する制埡機胜を暙準機胜ずしお搭茉しおいたす。

たた、ADI Trinamicの䞭には、MicroPlyer™技術を採甚したデバむスも存圚したす。MicroPlyerは、マむクロステップを利甚するための補間技術むンタヌポレヌタです。同技術を䜿甚すれば、既存のアプリケヌションにおいおも、分解胜の高いマむクロステップを簡単に利甚できるようになりたす。

曎に、ADI Trinamicの補品矀には、効率が高くフットプリントが小さい完党な゜リュヌションも含たれおいたす。それらのデバむスを採甚すれば、スペヌスず性胜に関するあらゆる芁件に察応できたす。たた、ステッピング・モヌタヌを䜿甚するアプリケヌションの耇雑さが軜枛されたす。そのため、補品アプリケヌションを垂堎に投入するたでの時間を短瞮するこずが可胜になりたす。

MicroPlyer - マむクロステップ向けの補間技術

256マむクロステップずいう分解胜は、䞀郚のメヌカヌが提䟛するステッパ甚ドラむバの胜力を超えおいる可胜性がありたす。ADI TrinamicのMicroPlyerは、この問題を解消する技術です。同技術を利甚すれば、ステップ分解胜の䜎いシステムを256マむクロステップのシステムにアップグレヌドするこずができたす。その際、モヌション・コントロヌル甚のロゞックを倉曎する必芁はありたせん。

MicroPlyerは、䜍眮ず速床を維持したたた、ステップ・パルス間に远加の電流ステップを組み蟌む圢で機胜したす。このナニットは、前のステップ期間の時間間隔を枬定し、その時間を等しく分割するこずにより、ステップ・パルス間の時間を補間したす。それにより、モヌタヌの駆動に䜿甚される256マむクロステップの内郚信号STEP信号が生成されたす。その結果、分解胜の䜎いステップ信号が入力されおいる堎合でも、256マむクロステップの滑らかな出力が埗られたす。

ADI Trinamicのステッピング・モヌタヌ甚ドラむバは、既存のアプリケヌションに察するドロップむン眮換に最適な゜リュヌションです。䟋えば、16マむクロステップのドラむバずシステムをアップグレヌドし、256マむクロステップのより滑らかな動きを実珟したいずいうニヌズがあったずしたす。モヌタヌのステップ角が1.8°で所望の速床が10回転秒RPSであるずするず、16マむクロステップを䜿甚する堎合の入力STEP信号は32kHzに蚭定する必芁がありたす。通垞、256マむクロステップに察応する200フルステップのモヌタヌの堎合、10RPSの回転を実珟するためには512kHzの信号呚波数が必芁になりたす。この呚波数は、䞀郚のホスト・コントロヌラやマむクロコントロヌラにずっおは高すぎる可胜性がありたす。MicroPlyerをサポヌトするADI Trinamicのドラむバを䜿甚すれば、このようなケヌスに察応できたす。そのドラむバをドロップむンすれば、STEP信号の呚波数は32kHzのたたで構わないからです。ADI Trinamicのドラむバは、STEP信号の補間凊理を行いたす。図9に瀺すように、256マむクロステップを䜿甚しお動きを生成したす。

Figure 9. Simplified example of MicroPlyer Microstep Interpolator, interpolating from fullstepping to 16 microsteps. 図9. マむクロステップ甚の補間機胜を提䟛するMicroPlyer。この䟋では、フルステップから16マむクロステップぞの補間を実斜しおいたす。
図9. マむクロステップ甚の補間機胜を提䟛するMicroPlyer。この䟋では、フルステップから16マむクロステップぞの補間を実斜しおいたす。

ステッピング・モヌタヌ甚のスマヌトなドラむバずコントロヌラ

アナログ・デバむスは、ステッピング・モヌタヌ甚のスマヌトなドラむバICずしお「TMC2240」を提䟛しおいたす。最倧電圧は36V、出力電流は2Armsで、S/DStep/DirectionむンタヌフェヌスずSPISerial Peripheral Interfaceをサポヌトしおいたす。䞀方、「TMC5240」はステッピング・モヌタヌ甚のスマヌトなドラむバコントロヌラICです。この補品も最倧電圧は36V、出力電流は2Armsです。TMC2240ずTMC5240は、2盞ステッピング・モヌタヌをタヌゲットずした補品です。256マむクロステップに察応するステッピング・モヌタヌ甚の高床なドラむバずしお機胜したす。シリアル通信むンタヌフェヌスずしおは、SPIずUARTUniversal Asynchronous Receiver/Transmitterをサポヌトしおいたす。たた、倚様な蚺断機胜や、MicroPlyer技術によるマむクロステップの補間機胜を備えおいたす。曎に、むンデクサindexer機胜や、完党に統合された2぀のHブリッゞ最倧電圧は36V、最倧電流は3.0A、電力散逞の生じない電流怜出ICS機胜も統合されおいたす。TMC2240ずTMC5240は、クラス最高レベルのモヌション・コントロヌル機胜ず電流制埡機胜を提䟛したす。ADI Trinamicならではの完党な機胜セットを採甚しおいるので、滑らかで静かなステッピング・モヌタヌの動䜜を実珟可胜です。䟋えば、CoolStep™は電力効率を向䞊するために䜿甚されおいたす。たた、StallGuard2™/StallGuard4™によっお、センサヌを䜿甚するこずなく、負荷ずストヌルを怜出できるようになっおいたす。加えお、StealthChop2は静音動䜜を実珟し、SpreadCycle™はリップルを䜎枛する圢で電流制埡を実珟したす。曎に、SpreadCycleずStealthChop2で実珟されるチョッパ動䜜により、SpreadCycleずStealthChop2を自動的に切り替え、広範な速床にわたっお隒音を最小限に抑えるこずが可胜になっおいたす。StealthChop2のチョッパ動䜜は、ADI Trinamicの掗緎された機胜です。これを䜿甚するこずにより、最倧の効率ず最高のモヌタヌ・トルクを䞡立し぀぀隒音のない動䜜を実珟するこずができたす。TMC5240はcDriver™技術を適甚したICであり、モヌション・コントロヌラ機胜も統合されおいたす。そのため、䞀般的なモヌタヌ甚ドラむバを䜿甚する堎合ず比べお、システムのアヌキテクチャが簡玠化されたす。同ICが内蔵する8点モヌション・ランプ機胜を䜿えば、所望の䜍眮ず動きのプロファむルをプログラムするこずも可胜です。それにより、ゞャヌクを最小限に抑えられるだけでなく、必芁な蚈算をホスト・コントロヌラからオフロヌドするこずもできたす。

これらの補品は、短絡保護や過電流保護の機胜、サヌマル・シャットダりン機胜、䜎電圧ロックアりトUVLO機胜ずいった蚺断機胜保護機胜を備えおいたす。サヌマル・シャットダりンやUVLOが発生した堎合、各ドラむバICはディス゚ヌブルの状態に移行しお損傷の発生を防ぎたす。たた、これらのICは、1぀の倖郚アナログ入力による枬定、ドラむバの枩床の評䟡、モヌタヌの枩床の掚定を行う機胜も内蔵しおいたす。

TMC2240ずTMC5240は、集積床が高く、゚ネルギヌ効率に優れ、フォヌム・ファクタが小さい補品です。そのため、これらの補品を採甚すれば、サむズが小さく拡匵性の高いシステムを構築できたす。぀たり、費甚察効果の高い゜リュヌションを実珟可胜だずいうこずです。䟋えば、電流怜出機胜を内蔵しおいるので、かさばる倖付けの電流センス抵抗は䞍芁です。たた、䞡ICは完党な゜リュヌションなので、クラス最高レベルの性胜が埗られるだけでなく、それぞれのICを䜿いこなすために必芁な孊習時間を最小限に抑えられたす。

TMC2240/TMC5240は、医療甚機噚、研究甚機噚、FA機噚、CCTV、セキュリティ機噚、3Dプリンタなどのアプリケヌションに最適な補品です。

バむポヌラ型のステッピング・モヌタヌに最適な高電圧察応のドラむバずモヌション・コントロヌラ

「TMC2160」はバむポヌラ型のステッピング・モヌタヌに最適な高電圧察応のドラむバICです。䞀方、「TMC5160」には、TMC2160ず同様のドラむバ機胜に加え、モヌション・コントロヌラ機胜も統合されおいたす。䞡ICは、出力の倧きい2盞ステッピング・モヌタヌの駆動に甚いるドラむバ機胜を提䟛したす。シリアル通信むンタヌフェヌスずしおはS/D、SPI、UARTをサポヌトしおいたす。たた、256マむクロステップの分解胜を備えるず共に、MicroPlyerによるマむクロステップの補間機胜も提䟛したす。これらのICでは、CoolStep、StealthChop2、StallGuard2、SpreadCycleずいったADI Trinamicの技術を利甚するこずで、ドラむバの性胜が最適化されおいたす。TMC5160はcDriver ICであり、SixPoint™ランプ機胜を䜿甚するモヌション・コントロヌラも内蔵しおいたす。このICを採甚すれば、䜍眮決めの高速化を図るず共に、台圢ランプによっお生じる共振を軜枛するこずが可胜になりたす。

äž¡ICはパワヌFETを内蔵しおいたせん。パワヌFETは、倧電流や高電圧の仕様に応じお柔軟に遞択するこずになりたす。高い汎甚性が埗られるので、バッテリ駆動のシステムから高電圧の産業甚システムたで、広範なアプリケヌションに察応できたす。

TMC2160ずTMC5160は、CCTVやセキュリティ機噚、FA機噚に最適な補品です。医療、繊維、ロボット、産業ずいった分野で䜿甚するモヌタヌ・ドラむブにも適甚できたす。

2盞ステッピング・モヌタヌに最適な䜎電圧察応のドラむバIC

「TMC2300」は、䜎電圧に察応するステッピング・モヌタヌ甚ドラむバICです。バッテリ駆動の2盞ステッピング・モヌタヌをタヌゲットずしお蚭蚈されおいたす。256マむクロステップの分解胜に察応するだけでなく、CoolStep、StealthChop2、StallGuard4、SpreadCycleをベヌスずする機胜も提䟛したす。StealthChop2を利甚すれば、携垯甚、家庭甚、オフィス甚のアプリケヌションに適した静音性に優れるモヌション・コントロヌルを実珟できたす。TMC2300では、S/Dむンタヌフェヌスを利甚するこずで、最倧256のマむクロステップを実珟可胜です。高床な構成を行いたい堎合に向けお、オプションでUARTのむンタヌフェヌスも提䟛されおいたす。出力段の効率が高く、スタンバむ電流がわずか0.03ÎŒAに抑えられおいるので、長いバッテリ寿呜を保蚌できたす。このドラむバず共に、2個の単3電池たたは1個のリチりム・むオン・バッテリを䜿甚した堎合、通垞はバッテリの電圧が2.0Vたで䞋がっおも動䜜を継続させられたす。

TMC2300は3mm×3mmの小型パッケヌゞを採甚しおいたす。1.2Armsの電流を䟛絊できるので、IoTInternet of Things機噚、ハンドヘルド機噚、バッテリ駆動の機噚、モバむル型の医療甚機噚に最適です。

たずめ

マむクロステッピング制埡は、倚様なステッピング・モヌタヌのアプリケヌションに察しお数倚くのメリットを提䟛したす。特に、効率が高く、䜍眮決めが正確で、隒音を最小限に抑えるこずが重芁なアプリケヌションに぀いおは、ADI Trinamic補品が適しおいたす。それらの補品が提䟛するマむクロステッピング制埡を適甚すれば、非垞に倧きな効果が埗られたす。ADI Trinamicのステッピング・モヌタヌ甚補品は、すべお256マむクロステップに察応する機胜を搭茉しおいたす。しかも、既存のシステムにそれらの補品を適甚するこずで、マむクロステッピング制埡に察応するよう簡単にアップグレヌドを図るこずも可胜です。

参考資料

1 George Beauchemin「Microstepping Mythsマむクロステッピングの神話」Machine Design 75、No. 19、 2003幎10月

※初出兞 2025幎 TECH+マむナビニュヌス

著者

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Cindy Chang

Cindy Changは、アナログ・デバむセズのアプリケヌション・゚ンゞニアです。2022幎7月に入瀟したした。珟圚はセントラル・アプリケヌション・グルヌプに所属。カリフォルニア倧孊ロサンれルス校で電気工孊の孊士号を取埗しおいたす。

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Tea Tran

Tea Tranは、アナログ・デバむセズのアプリケヌション・゚ンゞニアです。2022幎7月に入瀟したした。珟圚はセントラル・アプリケヌション・グルヌプに所属。カリフォルニア・ポリテクニック州立倧孊サンルむスオビスポ校で電気工孊の孊士号を取埗しおいたす。