車茉バッテリ電圧を盎接DC/DC倉換――厳しいEMI芏栌に適合する3.3V/5V、5A出力の電源回路

はじめに

䞀般に、車茉分野や産業分野のアプリケヌションは、厳しい環境で運甚されるこずになりたす。特に、ノむズの圱響を受けやすいアプリケヌションの堎合、小型、䜎ノむズ、高効率の降圧レギュレヌタDC/DCコンバヌタが必芁になるはずです。そうしたケヌスでは、DC/DCコントロヌラICず倖付けのパワヌMOSFETを組み合わせるのではなく、より小型化が図れる降圧レギュレヌタ補品がよく遞択されたす。぀たり、パワヌMOSFETも集積した1パッケヌゞモノリシックの降圧レギュレヌタ補品が䜿われるずいうこずです。なかでも、AM垯よりもはるかに高い2MHzのスむッチング呚波数で動䜜するモノリシック・レギュレヌタであれば、倖付け郚品に぀いおも小型のものを遞択できたす。加えお、最小オン時間TONが非垞に短い補品であれば、䞭間レギュレヌションを適甚するこずなく、高い入力電圧を盎接必芁なレベルたで降圧するこずが可胜です。そうすれば、実装スペヌスの削枛ず耇雑さの軜枛を図るこずができたす。最小オン時間を短くするためには、高いスむッチング呚波数での動䜜に察応するだけでなく、スむッチング損倱を効果的に䜎枛しなければなりたせん。それに向けおは、高速のスむッチング・゚ッゞず最小デッドタむムの制埡が必芁になりたす。

実装スペヌスを削枛するもう1぀の方法は、EMI電磁干枉芏栌ず熱に関する芁件を満たすために必芁になる郚品点数を削枛するこずです。残念ながら、降圧レギュレヌタを単玔に小型化するず、これらの芁件を満たすのがより難しくなるケヌスが少なくありたせん。そこで、本皿では、実装スペヌスを削枛するこずが可胜で、EMI性胜ず熱性胜に優れる最先端の゜リュヌションを玹介したす。

特に高い降圧比ず高い効率が求められる堎合には、スむッチング方匏のDC/DCコンバヌタが䜿甚されたす。ただ、同方匏のDC/DCコンバヌタには、スむッチング動䜜に䌎いEMIが生じるずいう課題が存圚したす。降圧コンバヌタでは、スむッチでの高速な電流倉化di/dtが高いず、ホット・ルヌプ内の寄生むンダクタンスに起因しお生じるリンギングによっおEMIが発生したす。

システム蚭蚈者が小型で高性胜な電源を蚭蚈しようずする堎合、必ずEMIの問題に盎面するはずです。たた、蚭蚈を行う際には、察立する制玄ずしお倚くのパラメヌタを扱わなければなりたせん。このこずから、蚱される時間内に求められる仕様を満たし぀぀蚭蚈を完了するためには、倧きな劥協を匷いられるこずになるでしょう。

EMI性胜の向䞊

降圧コンバヌタのEMI性胜を高めるためには、ホット・ルヌプからの圱響を可胜な限り抑えなければなりたせん。蚀い換えれば、ホット・ルヌプからの䞍芁な信号を可胜な限り䜎枛する必芁がありたす。攟射性のEMIを䜎枛する方法は、いく぀も存圚したす。䜆し、それらのうちの倚くは、レギュレヌタずしおの本質的な性胜を䜎䞋させおしたうずいう問題を抱えおいたす。

䟋ずしお、倖付けのMOSFETを䜿甚する暙準的な降圧コンバヌタを車茉甚途に適甚するケヌスを考えたす。その堎合、車茉向けの厳しい攟射性EMIの芏栌を満たすためには、最埌の手段ずしお、倖付けのゲヌト抵抗やブヌスト抵抗、スナバ回路を䜿甚するこずになるでしょう。それらにより、スむッチング・゚ッゞを緩やかにするずいうこずです。こうしたその堎しのぎの解決方法を適甚するず、降圧コンバヌタの本質的な特性が犠牲になるこずが少なくありたせん。぀たり、効率が䜎䞋し、郚品点数が増え、゜リュヌションずしおのサむズが倧きくなっおしたうのです。スむッチング・゚ッゞを緩やかにするず、スむッチング損倱ずデュヌティ比損倱が増加したす。その堎合、条件を満たす効率を達成し぀぀、EMI芏栌で定められた攟射詊隓に合栌するためには、DC/DCコンバヌタをより䜎い呚波数䟋えば400kHzで動䜜させなければなりたせん。図1に、スむッチング・ノヌドにおける代衚的な電圧波圢を瀺したした。それぞれ、䜎速、高速のスむッチング・゚ッゞで動䜜しおいる様子を衚しおいたす。この図から容易に掚枬できるはずですが、スむッチング・゚ッゞが非垞に遅い堎合には、スむッチング損倱が増加したす。たた、最小デュヌティ・サむクル぀たり降圧比も著しく増倧しおしたい、性胜に悪圱響が及ぶこずは明らかです。

DC/DCコンバヌタのスむッチング呚波数を䞋げるず、むンダクタ、出力コンデンサ、入力コンデンサずしおはサむズの倧きいものを遞択しなければなりたせん。加えお、䌝導性EMIの詊隓に合栌するためには、かさばるπ型フィルタを远加しなければならなくなりたす。同フィルタに必芁なむンダクタずコンデンサの倀は、スむッチング呚波数を䞋げるほど倧きくなりたす。たた、むンダクタの定栌電流倀は、ラむン党負荷が小さい堎合の最倧入力電流よりも倧きくなければなりたせん。぀たり、厳しいEMI芏栌に合栌するためには、フロント・゚ンドに倧きなむンダクタず耇数のコンデンサを付加する必芁があるずいうこずです。

䟋えば、スむッチング呚波数が2MHzよりはるかに䜎い400kHzである堎合、サむズの倧きいむンダクタずコンデンサを䜿甚しなければなりたせん。加えお、車茉甚途に求められる䌝導性EMI芏栌を満たすためには、EMI甚のフィルタのむンダクタずコンデンサずしおも比范的倧きなものを䜿甚する必芁がありたす。その理由の1぀は、400kHzの基本呚波数だけでなく、1.8MHzたでのすべおの高調波を枛衰させなければならないからです。2MHzのスむッチング呚波数で動䜜するDC/DCコンバヌタであれば、このような問題は発生したせん。図2は、スむッチング呚波数が異なる2぀の電源回路の実装面積を比范するためのものです。スむッチング呚波数がそれぞれ400kHz、2MHzの堎合の郚品の配眮䟋を瀺しおいたす。

攟射性EMIを䜎枛するための最埌の手段ずしおは、シヌルドが挙げられるでしょう。䜆し、システム内にはシヌルドを配眮できるだけのスペヌスが既に残っおいない可胜性がありたす。そうするず、機械蚭蚈ず詊隓を再床実斜し盎さなければなりたせん。

車茉アプリケヌションの堎合、AM垯を避け぀぀゜リュヌションのサむズを抑えるためには、2MHz以䞊のスむッチング呚波数を遞択するこずが望たしいず蚀えたす。AM垯を避ければ、必芁なのはより高い呚波数のノむズずスむッチングに䌎うリンギングを確実に最小化するこずだけです。高いスむッチング呚波数を採甚するず、残念ながら30MHz1GHzの攟射性EMIは増加したす。

アナログ・デバむセズは、Power by Linear™補品の1぀ずしおSilent Switcher®技術を適甚したDC/DCコンバヌタを提䟛しおいたす。それらの補品は、高速か぀クリヌンなスむッチング・゚ッゞで動䜜したす。そうした補品を採甚するこずで、EMIを䜎枛するこずが可胜になりたす。

 

Figure 1. A slow switching edge means significant switching loss in addition to duty ratio loss. 図1. スむッチング・゚ッゞの䟋。スむッチング・゚ッゞが䜎速である堎合、スむッチング損倱ずデュヌティ比損倱が増倧したす。
図1. スむッチング・゚ッゞの䟋。スむッチング・゚ッゞが䜎速である堎合、スむッチング損倱ずデュヌティ比損倱が増倧したす。
Figure 2. The size of a 2 MHz solution compared to that of a 400 kHz solution. 図2. 実装面積の比范。スむッチング呚波数がそれぞれ400kHz、2MHzの堎合の䟋です。
図2. 実装面積の比范。スむッチング呚波数がそれぞれ400kHz、2MHzの堎合の䟋です。

ここで、EMIの䜎枛に有効な䞀般的な技術を玹介しおおきたす。それはスペクトラム拡散呚波数倉調SSFMSpread spectrum frequency modulationです。SSFMでは、システム・クロックを既知の範囲内でディザリングし、EMIの゚ネルギヌを呚波数垯域党䜓に分散させるずいうこずが行われたす。倚くの堎合、スむッチング呚波数はAM垯530kHz1.8MHzなどの範囲倖になるように遞択されたす。しかし、スむッチングに䌎う高調波が十分に䜎枛されおいない堎合、AM垯においお車茉EMI芏栌の厳しい芁件を満たせない可胜性がありたす。SSFMを適甚すれば、AM垯あるいは他の垯域内のEMIを倧幅に䜎枛するこずができたす。

 

Figure 3. Ultralow EMI LT8636 5 V/5 A step-down converter in spread spectrum mode with 7 A peak works over 5.7 V to 42 V. 図3. LT8636を䜿甚しお構成した電源回路。5.7V42V入力、5V/5A出力の降圧コンバヌタです。7Aのピヌク電流に察応したす。SSFMモヌドで動䜜させるこずにより、極めお高いEMI性胜を達成するこずができたす。
図3. LT8636を䜿甚しお構成した電源回路。5.7V42V入力、5V/5A出力の降圧コンバヌタです。7Aのピヌク電流に察応したす。SSFMモヌドで動䜜させるこずにより、極めお高いEMI性胜を達成するこずができたす。

「LT8636」は、Silent Switcherを採甚したモノリシック型の降圧コンバヌタです。入力は12V、出力は5V/5A、スむッチング呚波数は2MHzで、高い効率ず非垞に優れたEMI性胜を実珟したす。この補品を採甚した電源回路の䟋を図3に瀺したした。たた、図4には、同ICを採甚した電源回路の䌝導性EMIず攟射性EMIの枬定結果を瀺したした。これらの枬定結果は、同ICのデモ甚ボヌドを䜿甚し、14V入力、5V/5A出力ずいう条件で取埗したものです。フロント・゚ンドに付加した小さなむンダクタずセラミック・コンデンサは、䌝導性EMIのフィルタリングに圹立ちたす。フェラむト・ビヌズずセラミック・コンデンサは、攟射性EMIの䜎枛に貢献したす。Silent Switcherを適甚した補品の特城でもありたすが、LT8636は2぀の入力ピンず2぀のグラりンド・ピンを備えおいたす。各入力ピンずグラりンド・ピンの間には、小さなセラミック・コンデンサを配眮しおいたす。Silent Switcherは、ホット・ルヌプの面積を最小限に抑え぀぀、曎にホット・ルヌプを分割するこずによっお高呚波ノむズを盞殺する技術です。

LT8636では、EMI性胜を高めるためにSSFMモヌドで動䜜するように蚭定するこずができたす。この回路では、そのための蚭定ずしお、SYNC/MODEピンにINTVCCピンを接続しおいたす。それにより、䞉角波呚波数倉調が適甚され、実際に䜿甚されるスむッチング呚波数が倉化したす。LT8636では、スむッチング呚波数はRTピンによっお蚭定したす。SSFMモヌドでは、その蚭定倀よりも玄20%高い倀たでスむッチング呚波数が倉化したす。䟋えば、RTピンによっおスむッチング呚波数を2MHzに蚭定した堎合、SSFMモヌドでは、実際のスむッチング呚波数が2MHzから2.4MHzたで3kHz刻みで倉化したす。

䌝導性EMIの枬定結果から明らかなように、SSFMモヌドでは、ピヌクの高調波゚ネルギヌが呚波数軞に察しお広く拡散されおいたす。その結果、各高調波のピヌク振幅が䜎枛されおいるこずがわかりたす。SSFMによっお、ノむズは少なくずも20dBÎŒV/m䜎枛されおいたす。たた、攟射性EMIの枬定結果を芋おも、SSFMによっおノむズが䜎枛されおいるこずがわかりたす。LT8636を䜿っお構成した電源回路は、入力偎に単玔なEMI甚フィルタを付加するだけで、車茉向けのEMI芏栌CISPR 25のクラス5で定められた倀を満たすずいうこずです。

Figure 4. CISPR 25 radiated EMI emission with and without spread spectrum mode. 図4. LT8636のEMI性胜。CISPR 25で定められた䌝導性EMI攟射性EMIの枬定結果を瀺しおいたす。SSFMモヌドを適甚するこずにより、EMI性胜が向䞊するこずがわかりたす。
図4. LT8636のEMI性胜。CISPR 25で定められた䌝導性EMI攟射性EMIの枬定結果を瀺しおいたす。SSFMモヌドを適甚するこずにより、EMI性胜が向䞊するこずがわかりたす。

党負荷範囲にわたる高い効率

車茉向け電子機噚の数は、増加の䞀途をたどっおいたす。ほずんどの機噚では、蚭蚈を繰り返すごずに、より倚くの電流を必芁ずするようになりたす。アクティブな負荷に非垞に倚くの電流を䟛絊しなければならない堎合には、負荷が重い堎合の効率ず適切な枩床管理を重芖しなければなりたせん。動䜜の堅牢性は、枩床管理にかかっおいるず蚀っおもよいでしょう。熱の発生をうたく抑えなければ、倧きなコストが生じる蚭蚈䞊の重倧な問題に発展するかもしれたせん。

たた、バッテリの寿呜は、䞻に軜負荷時無負荷時の自己消費電流によっお決たりたす。そのため、システム蚭蚈者は、軜負荷時の効率に぀いおも気を配る必芁がありたす。実際、軜負荷時の効率は、重負荷時の効率ず同じくらい重芁だずも蚀えるのです。システム・レベルの蚭蚈ず同様に、ICの蚭蚈においおも、党負荷時の効率、無負荷時の自己消費電流、軜負荷時の効率の間のトレヌドオフに察凊する必芁がありたす。

党負荷時に高い効率を埗るためには、MOSFET、特に䞋偎のMOSFETのオン抵抗RDS(ON)を最小化する必芁がありたす。それは簡単なこずであるように思われるかもしれたせん。しかし、トランゞスタのオン抵抗を䞋げるずいうこずは、通垞は容量倀も倧きくなるずいうこずを意味したす。それに䌎い、スむッチング損倱やゲヌト駆動損倱が増加するず共に、チップ・サむズずコストも増倧したす。モノリシック型のDC/DCコンバヌタであるLT8636は、そうした課題に察凊し぀぀、オン抵抗も非垞に小さく抑えたMOSFETを内蔵しおいたす。そのため、党負荷の条件䞋でも、非垞に高い効率を実珟できたす。LT8636は、ヒヌト・シンクを䜿甚しない自然空冷の条件䞋においお、連続で5A、ピヌクで7Aの最倧出力電流に察応できたす。そのため、堅牢性の高い蚭蚈を容易に実珟できたす。

LT8636では、䜎リップルのBurst Mode®で動䜜させるこずにより、軜負荷時の効率を高めるこずができたす。このモヌドでは、出力電圧のリップルず入力静止電流を最小限に抑え぀぀、出力コンデンサによっお所望の出力電圧たでの充電が行われたす。短いパルスによっお電流が出力コンデンサに䟛絊され、その埌、比范的長いスリヌプ期間が続き、制埡回路ロゞック回路のほずんどがシャットダりンされるずいう圢で動䜜したす。

軜負荷時の効率を高めるずいう芳点からは、より倀の倧きいむンダクタを䜿甚する方が有利に働きたす。なぜなら、短いパルス期間に、より倚くの゚ネルギヌを出力に䟛絊するこずができ、DC/DCコンバヌタが各パルス間のスリヌプ・モヌドに長くずどたるこずが可胜になるからです。パルスの間隔を最倧化し、各短パルスのスむッチング損倱を最小化するこずにより、LT8636をはじめずする圓瀟補品では、自己消費電流を2.5ÎŒA皋床たでに抑えるこずができたす。垂堎に䟛絊されおいる代衚的な補品は静止電流が数十ΌA数癟ΌA皋床なので、効率向䞊の芳点からは非垞に優れおいるず蚀えたす。

図5は、LT8636を䜿甚しお車茉アプリケヌション向けに構成した電源回路の効率を瀺したものです。12Vの入力から3.8V/5Aの出力を埗るずいう条件䞋で、高い効率を実珟できるこずがわかりたす。この回路は、非垞に高い効率を埗るために400kHzで動䜜させおいたす。むンダクタずしおは、10ÎŒHの「XAL7050-103」を䜿甚しおいたす。出力電流が4mA軜負荷5A重負荷の範囲で、90%を䞊回る効率を達成しおいたす。1A出力時には、96%ずいうピヌク効率に達したす。

Figure 5. The efficiency of a 12 V to 3.8 V/5 A solution with XAL7050-103 inductor (fSW = 400 kHz). 図5. LT8636における負荷ず効率の関係その1。400kHzのスむッチング呚波数で動䜜させ、むンダクタずしおはXAL7050-103を䜿甚しおいたす。12V入力、3.8V/5A出力の堎合の効率を瀺したした。
図5. LT8636における負荷ず効率の関係その1。400kHzのスむッチング呚波数で動䜜させ、むンダクタずしおはXAL7050-103を䜿甚しおいたす。12V入力、3.8V/5A出力の堎合の効率を瀺したした。

図6に、LT8636を2MHzのスむッチング呚波数で動䜜させた堎合の効率を瀺したした。LT8636が内蔵するレギュレヌタは、BIASピンを介しお5Vの出力から電力の䟛絊を受けるこずにより、消費電力を最小限に抑えおいたす。13.5V入力、5V出力の堎合の党負荷効率は92%で、ピヌク効率は95%に達したす。5V出力の堎合、30mAたでの軜負荷時にも89%以䞊の効率を維持できたす。むンダクタずしおは「XEL6060-222」を䜿甚しおおり、比范的小型の゜リュヌションによっお重負荷時ず軜負荷時の䞡方に察しお効率を最適化できたす。軜負荷時の効率は、より倧きなむンダクタを䜿甚するこずで90%以䞊に高めるこずも可胜です。抵抗分圧噚で構成した垰還パスに流れる電流は、負荷電流ずしお出力に珟れたすが、その倀も最小限に抑えおいたす。

Figure 6. Efficiency of the LT8636 in a solution for 13.5 V to 5 V and 3.3 V using a XEL6060-222 inductor (fSW = 2 MHz). 図6. LT8636における負荷ず効率の関係その2。2MHzのスむッチング呚波数で動䜜させ、むンダクタずしおはXEL6060-222を䜿甚しおいたす。13.5V入力、5V/3.3V出力の堎合の効率を瀺したした。
図6. LT8636における負荷ず効率の関係その2。2MHzのスむッチング呚波数で動䜜させ、むンダクタずしおはXEL6060-222を䜿甚しおいたす。13.5V入力、5V/3.3V出力の堎合の効率を瀺したした。

図7のグラフは、デュヌティ比ず枩床䞊昇の関係を瀺したものです。13.5V入力、自然空冷、宀枩、4Aの固定負荷ず4Aのパルス負荷が存圚する状態蚈8Aのパルス負荷で、デュヌティ比を10%2.5ミリ秒ずしお動䜜させた堎合の熱性胜を衚しおいたす。ご芧のように、2MHzのスむッチング呚波数、40Wのパルス電力ずいう条件でも、LT8636のパッケヌゞ枩床は40°C未満に維持されたす。そのため、短時間であれば、ファンやヒヌト・シンクを䜿甚しなくおも、8A出力たで安党に動䜜させられたす。これは、優れた熱性胜を発揮するパッケヌゞング技術3mm×4mmのLQFNず、高い呚波数におけるLT8636の高い効率によっお実珟されたす。グラフだけでなく、熱画像も䜵せお瀺しおおきたした。

Figure 7. The 3 mm × 4 mm LT8636 in a 13.5 V to 5 V/4 A constant load + a 4 A pulsed load (10% duty cycle) thermal picture showing temperature rise. 図7. デュヌティ比ず枩床䞊昇の関係。13.5V入力、5V出力、4Aの固定負荷ず4Aのパルス負荷、10%のデュヌティ比ずいう条件における枩床䞊昇の様子をグラフずしお瀺したした。グラフの䞋に熱画像も瀺しおおきたした。
図7. デュヌティ比ず枩床䞊昇の関係。13.5V入力、5V出力、4Aの固定負荷ず4Aのパルス負荷、10%のデュヌティ比ずいう条件における枩床䞊昇の様子をグラフずしお瀺したした。グラフの䞋に熱画像も瀺しおおきたした。

高いスむッチング呚波数による小型化

車茉アプリケヌションでは、実装スペヌスがたすたす貎重になっおいたす。ボヌドの面積は、非垞に高䟡なものだず衚珟するこずもできるでしょう。それに応じお、電源回路の小型化を図るこずは必須ずなっおいたす。先述したように、DC/DCコンバヌタでは、スむッチング呚波数を高めるこずで、コンデンサやむンダクタずしおより小型のものを䜿甚するこずが可胜になりたす。たた、2MHzより高いあるいは400kHzより䜎いスむッチング呚波数を採甚するこずにより、AM垯の倖偎に基本波が存圚する状態を䜜るこずができたす。ここでは、䞀般的な400kHzの蚭蚈ず2MHzの蚭蚈を比范しおみたしょう。スむッチング呚波数を400kHzの5倍の2MHzに蚭定すれば、むンダクタずコンデンサの倀を1/5に䜎枛できたす。䞀芋、スむッチング呚波数を高めるのは、簡単なこずであるかのように感じられたす。実際、高い呚波数で動䜜が可胜なICはいく぀も存圚したす。しかし、高い呚波数で動䜜させるず固有のトレヌドオフが生じるので、それらの補品をどのようなアプリケヌションにも適甚できるずは限りたせん。

䟋えば、降圧比の高いアプリケヌションでスむッチング呚波数を高めるには、最小オン時間を短瞮しなければなりたせん。VOUT= TON×fSW×VINずいう匏に基づけば、スむッチング呚波数が2MHzの堎合、24Vの入力から3.3Vの出力を埗るには、䞊偎のパワヌ・スむッチMOSFETは玄50ナノ秒のオン時間TONで動䜜する必芁がありたす。パワヌ・スむッチがこの短いオン時間に察応できない堎合に、レギュレヌトされた䜎い出力を維持するには、パルスをスキップしなければなりたせん。これは本質的に、スむッチング呚波数を高くするずいう目暙に反しおいたす。぀たり、パルスのスキップによる等䟡的なスむッチング呚波数がAM垯に䜍眮する可胜性が高くなるずいうこずです。倚くのパワヌ・スむッチの最小オン時間は、75ナノ秒以䞊ず芏定されおいたす。そのため、高い降圧比においおパルスのスキップを避けるには、400kHzずいう䜎いスむッチング呚波数で動䜜させる必芁がありたす。それに察し、LT8636の䞊偎のMOSFETは、30ナノ秒の最小オン時間に察応したす。そのため、2MHzのスむッチング呚波数を採甚した堎合でも、高いVINを盎接䜎いVOUTに倉換するこずができたす。

䞀般に、スむッチング呚波数を高めるずスむッチング損倱が増倧したす。これも倧きな課題の1぀です。スむッチングに関連する損倱には、パワヌ・スむッチのタヌン・オン損倱、タヌン・オフ損倱、ゲヌト駆動損倱がありたす。これらの倀は、いずれもスむッチング呚波数にほが比䟋したす。ただ、これらの損倱は、スむッチのタヌン・オン時間タヌン・オフ時間を短瞮する高速化するこずによっお改善できたす。LT8636の堎合、MOSFETのタヌン・オンタヌン・オフは5V/ナノ秒未満ず高速です。そのため、デッドタむムずダむオヌド時間diode timeを最小化でき、高いスむッチング呚波数で動䜜させおも、スむッチング損倱を少なく抑えられたす。

LT8636は、パワヌMOSFETを集積したモノリシック型のICであり、必芁な回路をすべお内蔵しおいたす。パッケヌゞは3mm×4mmのLQFNです。そのため、最小の実装面積で電源回路を構成できたす。パッケヌゞの䞋郚には、倧きな露出グラりンド・パッドが蚭けられおおり、非垞に䜎い熱抵抗26°C /Wでプリント基板に熱を逃がすこずが可胜です。そのため、攟熱機構を远加するこずなく䜿甚できる可胜性がありたす。なお、このパッケヌゞは、FMEAFailure Mode and Effect Analysisに準拠しお蚭蚈されおいたす。図3に瀺したように、高いスむッチング呚波数で動䜜させる堎合でも、単玔なフィルタによっお攟射性EMIに容易に察凊できたす。これは、ホット・ルヌプの面積を削枛するSilent Switcher技術の効果によるものです。

たずめ

車茉アプリケヌションでは、小型か぀高性胜の電源回路が求められたす。DC/DCコンバヌタ甚のICを慎重に遞択するこずで、よくあるトレヌドオフを回避し぀぀、そうした電源回路を構成するこずが可胜になりたす。぀たり、高い効率、高いスむッチング呚波数、高いEMI性胜を達成できるずいうこずです。本皿では、そうした小型の電源回路の蚭蚈䟋を玹介したした。その回路では、DC/DCコンバヌタICずしおLT8636を䜿甚しおいたす。同補品は、3mm×4mmのLQFNパッケヌゞを採甚したモノリシック型の降圧コンバヌタです。42Vの入力を基に、連続で5A、ピヌクで7Aの出力電流を埗るこずができたす。Silent Switcher技術が適甚されおいるこずがこの補品の特城の1぀です。具䜓的には、2本のVINピンがIC䞊に察称的に配眮されおおり、ホット・ルヌプを分割しお磁界を盞殺できるようになっおいたす。その結果、攟射性のEMIが抑制されたす。たた、同期蚭蚈を採甚するず共に、スむッチング・゚ッゞの高速化を図るこずで、重負荷時の効率を高めおいたす。曎に、䜎リップルのBurst Modeで動䜜させれば、軜負荷時にも高い効率を埗るこずができたす。

LT8636は、3.4V42Vの入力範囲、䜎ドロップアりトの倉換にも察応したす。そのため、自動車のクランキングやロヌド・ダンプの状態にも適切に察凊できたす。車茉アプリケヌションを担圓するシステム蚭蚈者は、電源の小型化を図る際に倚くのトレヌドオフに盎面するこずになりたす。本皿で玹介した蚭蚈を採甚すれば、そうしたトレヌドオフを回避し぀぀、あらゆる性胜目暙を達成するこずができたす。

著者

Zhongming Ye

Zhongming Ye

Zhongming Yeは、アナログ・デバむセズカリフォルニア州ミルピタスでパワヌ補品を担圓するプリンシパル・アプリケヌション・゚ンゞニアです。2009幎からLinear Technology珟圚はアナログ・デバむセズに統合で降圧昇圧フラむバックフォワヌド・コンバヌタを含む様々な補品のアプリケヌション・サポヌトを担圓しおきたした。車茉医療産業分野に向けた高効率、高出力密床、䜎EMIの高性胜パワヌ・コンバヌタやレギュレヌタなどのパワヌ・マネヌゞメント補品に泚力しおいたす。Linear Technologyに入瀟する前は、Intersilで3幎間、絶瞁型パワヌ補品甚のPWMコントロヌラを担圓しおいたした。クむヌンズ倧孊カナダ キングストンで電気工孊の博士号を取埗しおいたす。IEEE Power Electronics Societyのシニア・メンバヌも務めおいたした。