DSP(デジタル信号処理)とは?
初心者のためのデジタル信号処理ガイド

アナログ・デバイセズでは、さまざまなアプリケーションに対応するプロセッサをご用意しています。プロセッサ、および高精度アナログ・マイクロコントローラの詳細については、以下からご覧ください。

 

以下の資料では、デジタル信号処理(DSP)の基本的な概念を説明しています。また、より詳細な情報についての様々な推奨文献リンクも含まれています。 

Digital Signal Processor (DSP) in MP3 Demo

DSPについて

デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)とは、デジタル化された音声、オーディオ、映像データや、温度、加速度などのセンシング情報に対して、フィルタリングや解析、伝送のための算術演算を高速に実行するプロセッサのことです。DSPは、加算、減算、乗算、除算などの数学関数を特に高速に実行するために設計されています。

信号に含まれる情報の表示や解析、あるいは別の種類の信号に変換して利用するために信号をまず処理する必要があります。実世界では、音、光、温度、圧力などの信号をアナログ製品が検出します。次に、A/Dコンバータなどのコンバータがこの実世界の信号を受け取って、1と0のデジタル形式に変換します。ここからがDSPの仕事です。DSPはこのデジタル化した情報を取得して処理してから送り返し、実世界で利用できるようにします。出力はデジタル形式か、D/Aコンバータを介したアナログ形式のいずれかになります。これらすべてがきわめて高速に処理されます。

この仕組みがよくわかるように、下の図にMP3オーディオ・プレーヤでDSPを使用する方法を示します。録音では、レシーバやその他のソースを介してアナログ音声が入力されます。このアナログ信号はA/Dコンバータでデジタル信号に変換され、DSPに送られます。DSPはMP3エンコーディングを実行し、そのファイルをメモリに保存します。再生では、メモリからこのファイルが取り出され、DSPでデコードされてからD/Aコンバータでアナログ信号に変換し直され、スピーカ・システムで出力できるようになります。もっと複雑な例では、音量制御、イコライゼーション、ユーザ・インターフェースなどのその他の機能もDSPが実行します。

DSPの情報は、セキュリティ、電話、ホームシアター・システム、ビデオ圧縮などの制御を行うコンピュータも使用できます。別の場所へ信号を迅速かつ効率的に転送できるように信号を圧縮することもあります(たとえば、テレビ会議では音声と映像を電話回線で転送することが可能です)。また、信号を操作することで、信号の品質を高め、人間が感知しない情報を提供することもできます(たとえば、携帯電話やコンピュータ処理の医療画像におけるエコー・キャンセル)。実世界の信号はアナログ形式で処理できますが、信号をデジタル処理するほうが高速性と高精度の面で優れています。

DSPはプログラマブルであるため、広範なアプリケーションで使用できます。独自のソフトウェアを作成したり、アナログ・デバイセズやそのサードパーティが提供するソフトウェアを利用して、アプリケーションに対応したDSPソリューションを設計することができます。

DSPを使用して実世界の信号を処理する利点についての詳細は、Analog Dialogueの記事『Why Use DSP? Digital Signal Processing 101- An Introductory Course in DSP System Design』の第1部Digital Signal Processing 101- An Introductory Course in DSP System Designをご覧ください。 

insideDSP

DSPの内部構成について

DSPは、主に以下のコンポーネントで構成されています。

  • プログラム・メモリ: DSPがデータ処理に使用するプログラムを格納します。
  • データ・メモリ: 処理する情報(データ)を格納します。
  • 計算エンジン: プログラム・メモリ内のプログラムとデータ・メモリ内のデータにアクセスして数値演算処理を実行します。
  • 入出力: 外部に接続するためのさまざまな機能を提供します。

推奨資料

デジタル信号処理は、経験豊富な DSP の専門家さえも悩まされる複雑な課題です。アナログ・デバイセズはこれまでも一般的な概要を提供してきましたが、デジタル信号処理に関するさらに詳しい情報として以下の資料を提供しています。

Analog Devices DSP Education Library


DSP Workshops and Webcasts

DSPワークショップでは、アナログ・デバイセズのDSPチップの使い方を短時間に効率的に学ぶことができます。このワークショップは、講義と実践的な演習を通じてアナログ・デバイセズDSPについて実用的な知識を習得できるように考えられています。