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閉じる製造分野の次のステップ
インダストリ4.0に基づく製造への移行を先導するイノベーション
今日の製造業において、最も重要なリソースとは何でしょうか。それは、鉄鋼でも、石炭でも、電力でもありません。答えはデータです。各企業は、インダストリ4.0に基づく製造への移行を進めようとしています。つまり、AI(人工知能)と大規模なネットワーク接続を推進力として、新たな産業革命を起こそうとしているということです。
製造分野は新たな時代を迎えようとしています。センサーやデジタル・システムによって生成されたデータを活用することにより、物理的な世界で実行されるプロセスを監視できるようになるのです。その結果、より柔軟性に富んだ生産方法の基盤を築くことが可能になります。実際、消費者のニーズの変化に対応するには、このようなアプローチが必要になるはずです。
しかし、ニーズの変化への対応というのは、インダストリ4.0が注目されている理由の1つにすぎません。現在は、経済、地政、環境、人口に関する問題/危機が世界中に波及している状況にあります。それによる影響は、労働力の供給やサプライ・チェーンに対して、かつてないレベルで及んでいます。例えば、2020年にはCOVID-19のパンデミックが発生しました。その結果、高度な技術、リアルタイムのデータ、柔軟な製造方法/サプライ・チェーンの必要性に注目が集まることとなりました。
自動化の技術が進化すれば、反復的な作業や危険な作業をロボットに任せられるようになります。そうすれば、人が行うべき仕事により多くの人を割り当てられるようになります。結果として、生産の継続性を維持することが可能になるでしょう。労働者は単調な作業や危険な作業から解放され、自身の知的能力を活用できるようになります。また、従来は海外の拠点に振り分けていた自動化された作業や反復的な作業を再び国内に戻すことが可能になります。ウィスコンシン大学マディソン校の准教授でIoTシステム研究センターの副所長を務めるKaibo Li氏は、「IoT(Internet of Things)、ロボット、拡張現実など、製造現場での利用に向けてより多くの技術が俎上に載るようになっています」と述べています。その上で同氏は、「近い将来、製造プロセスから収集されるデータの精度がより一層高くなり、より多くの場面でリアルタイムに意思決定が行えるようになるのを目の当たりにすることになるでしょう」と語ります。
製造企業は、新たな種類のニーズに応えるために、運用方法の変更を迫られています。すなわち、製造施設を現地のニーズに合わせて最適化したり、様々なバッチ・サイズに応じて迅速に再構成できる生産ラインを設計したりすることが求められています。Nicola O’Byrne
アナログ・デバイセズ コネクテッド・モーション&ロボティクス・グループ マーケティング・マネージャ|アナログ・デバイセズ
より地域に密着したサプライ・チェーンは、製造に新たな柔軟性をもたらします。また、輸送の複雑さを軽減することで、環境への影響を低減できるというメリットも生まれます。最終的に目指すべきことは、信頼性の高いリアルタイムのデータと簡単に再構成できるシステムを使用できるようにすることです。それにより、製造企業は、メンテナンスのスケジューリング、機械の設定の調整、製造品目の切り替え(例えば、シャツからマスクへの切り替え)といった意思決定を迅速に行えるようになります。
次代の産業革命であるインダストリ4.0には、登場が待たれている要素と既に実現されつつある要素が存在します。前者の例としては、建設、復旧、救助といった高度な作業を支援する自律型ロボット群が挙げられます。後者の例としては、分散型の3Dプリンティング設備があります。この先進的な製造技術を利用すれば、製品化までの時間や顧客に製品を届けるまでにかかる時間を短縮することができます。今日の製造企業は、適切なパートナーとの連携を図るべきです。それにより、インダストリ4.0による効率、安全性、生産性の向上というメリットを享受できるからです。このことは、製造分野が次のステップへ移行するための足がかりとなります。
第4次の革命
第3次の産業革命は、電子機器、コンピュータ機器、電気通信機器をもたらしました。それらの基盤となるデジタル技術も同革命の産物です。それらの機器や技術により、製造企業は、少品種の製品、場合によっては単一製品の大量生産に対応できる工場を設計できるようになりました。今日の消費者は、1920年代、あるいは2000年代の初頭に提供されていたカスタマイズの選択肢やレベルが得られることを期待しています。そのため、柔軟性の水準を高めるのは非常に重要なことだと言えます。
「実際、自動車を購入したいと思った場合、多くのオプションの中から好きなものを選ぶことができます」――こう語るのは、アナログ・デバイセズでバイス・プレジデントを務めるKevin Carlinです。Kevinは状態基準保全(Conditional Based Maintenance)向けのAI技術「OtoSense」を担当しています。「製造企業は、何十万あるいは何百万もの異なる構成に対応できるようにしなければなりません。そのためには、工場とサプライ・チェーンの全体をリアルタイムの対応が図れるように管理する必要があります。その上で、あるモデルから別のモデルに工場を変化させられるように構成しなければなりません」とKevinは指摘します。
このような飛躍的な進化を実現するのは容易なことではありません。大半の工場は、既存の、場合によっては時代遅れの技術的なエコシステムに依存しています。古い設備をすべて新しい設備で置き換えるという手法は、多くの場合、コストなどの理由から現実的ではありません。インダストリ4.0への移行は、置き換えで実現するのではなく、増強によって実現するものだとも言われます。つまり、現代のITによって利用可能になったインテリジェントな機能を製造フロアの既存設備に適用するということです。
アナログ・デバイセズは、製造企業がインダストリ4.0に移行する際にパートナーとして貢献します。例えば、製造現場にワイヤレス・センサー・ネットワークを導入し、製造企業が状態基準保全に代表される新たな技術によるメリットを享受できるよう支援します。特定の機械や部品の健全性をセンサーで監視することで、異常が問題として露呈する前に、あるいは完全な故障に至る前に、異常を検出し、診断を行い、問題を解決することが可能になります。このようなリアルタイムの監視を行うことにより、設備の寿命を延ばし、スループットを高めることができます。予定外のダウンタイムによって発生するコストは、トータルの製造コストの約1/4に達するおそれがあります。このことを考慮すると、予知保全は大きなコスト削減と生産性の向上を実現できる力を秘めていると言えます。
ダウンタイムによって発生するコスト
計画外のダウンタイムが生じると、製造企業にとって痛手になる多大なコストが発生します。この問題を防ぐことが、インダストリ4.0を特徴づける技術にとっての大きな目標になります。
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製造ロス
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ロボットとコボット
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製造ロス
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ロボットとコボット
製造フロアにITを適用
インダストリ4.0の導入を目指す製造企業は、コンピュータをベースとする従来のインフラから、新たなネットワーク・ソリューションへの移行を進めることになります。それにより、プロセスの高速化やデータ管理の改善を図り、エネルギー効率の向上を推進します。
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スマート・オートメーション
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インテリジェントなエッジ・ノード
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ロボットとコボット
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リアルタイム/デタミニスティック対応のイーサネット
工場へのハードウェアの導入
インダストリ4.0の心臓部とも言えるのが、相互運用性として知られる概念です。ここで言う相互運用性とは、数多くの産業用IoTデバイスの間でリアルタイムにデータをやり取りする能力のことを指します。製造現場では、様々なメーカー製の設備や様々なソフトウェア・プロトコル、独自のネットワークが使用されています。従来は、そうした多様なプロトコル間やネットワーク間で相互に通信を実施するための標準的な手法は存在しませんでした。この問題は、TSN(Time Sensitive Networking)の登場により初めて解決されることになります。
今日のスマート・ファクトリでは大量のデータが生成されます。そのことを考慮すると、堅牢なオンサイトのネットワークが相互運用性を実現するための前提条件になります。その基盤になる技術の1つは、リアルタイム/デタミニスティック対応のイーサネットです。この技術を導入することで、コネクテッドな工場で生じる大量のデータをより適切に管理することが可能になります。アナログ・デバイセズは製造企業のパートナーとして、センサー技術の導入を先導するだけでなく、新たなハードウェア(リアルタイム/デタミニスティック対応のイーサネット・スイッチなど)を開発し、工場において中央神経系に相当するものを創出しています。
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「広い帯域幅によって各システムの間の接続にリアルタイム性を持たせることで、様々な製造プロセスを、よりきめ細かく制御することができます。このことが効率向上の推進力となります。」Martin Cotter
Senior Vice President Global Vertical Business Units and President, EMEA | Analog Devices
アナログ・デバイセズでワールドワイド・セールス&デジタル・マーケティング担当シニア・バイス・プレジデントを務めるMartin Cotterは、「アナログ・デバイセズは、物理量をデジタル・データに変換するという役割を担っています。それによってエッジで生成した知見を、工場内にあるその他すべてのものに伝達しなければなりません」と述べています。その上で、「広い帯域幅によって各システムの間の接続にリアルタイム性を持たせることで、様々な製造プロセスを、よりきめ細かく制御することができます。このことが効率向上の推進力となります。また、生産の確実性を高め、次世代の産業プロセスを牽引する役割も果たします」と説明します。
相互運用性の基盤が整っていれば、製造企業は、工場で人と一緒に作業を行うことができるロボットやコボットなど、インダストリ4.0で得られる最も飛躍的な進歩を現場に導入することができます。そうした機械は、自律走行車と同様に、周囲を3次元的にとらえる先進的なセンサー・ソリューションのサポートを得て機能します。そのため、高い安全性を確保しながら、反復的で複雑な作業を実行することが可能です。
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明日の工場
次世代のソリューションにより、インダストリ4.0が秘める可能性を具現化し、生産性、効率、安全性、柔軟性を高めることができます。
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ロボットとコボット
センサーを利用した分析により、機械類が故障して製造が中断する前に、問題を特定して解決を図ることが可能になります。
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ワイヤレス・センサー・ネットワーク
産業用途向けにカスタム開発したネットワーク製品により、無線接続に障害が発生し得る過酷な製造現場でも、IoTデバイス間の通信を実現できます。
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ロボットとコボット
高度なモーション・コントロールとセンサー・ソリューションにより、ロボットと人間の協働作業を、SFの世界ではなく工場の現場で実施することができます。
アナログ・デバイセズは、製造企業のパートナーとして、ロボットやコボットをより正確に制御するための技術を提供します。そうした技術は、ビジョンやToF(Time of Flight)のような様々なセンシング・モダリティを、デタミニスティックなイーサネットに代表される接続手法と組み合わせることで実現します。ある報告によれば、このような新技術を活用することにより、米国の製造企業は年に404億米ドル(約4兆2200億円)のコストを削減できると言います。
「アナログ・デバイセズは、いわばデータの発信源です。当社の製品からデータが生成されます。当社は、50年にわたって最も難易度の高いエンジニアリング領域の課題を解決することで人々の信頼を得てきました。この分野における当社の経験は、将来に向けてお客様と共に築きつつあるすべての進化の基盤になっています。」Martin Cotter
Senior Vice President of Worldwide Sales and Digital Marketing | Analog Devices
製造企業にとって、未来に向けた次のステップは、工場の自動化と柔軟性の向上を支える技術に対して更なる投資を行うことです。その結果、物理的な世界がデジタルの世界と出会うセンサー駆動型の製造現場に、インダストリ4.0による真のメリットがもたらされます。