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Elderly man wears the Tempo watch while being hugged by his daughter.
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CarePredictのウェアラブル・デバイス、データの力を活用して高齢者の生活の質を改善する


高齢者の介護は重大な問題です。大切な家族を束縛したり、自分自身を犠牲にしたりすることはあってはなりません。この条件を満たしつつ、高齢者の生活の質を高めるにはどうすればよいのでしょうか。

多くの家庭にとって、高齢者となった父母を自分の家に引き取り、注意深く見守り続けるのは容易なことではありません。ほとんどの人は、そのための財力も、医療に関する知識も有していないでしょう。それに加えて、フルタイムはもちろん、パートタイムでの介護に割ける時間の余裕もないはずです。その一方で、多くの人は大切な家族を高齢者介護施設や老人ホームに預けることをためらう傾向があります。特に、両親が自律的に生活できている段階でそうした施設に頼るのは、人として冷たすぎる(あるいは単に早すぎる)と感じてしまうのです。

ウェアラブルなデジタル・ヘルス機器は、大切な家族の介護に役立つソリューションになる可能性を秘めています。そのような考えに基づき、CarePredictは手首に装着するタイプのヘルス・モニタリング機器「Tempo」を開発しました。その開発を支えたのがアナログ・デバイセズの先進的なウェアラブル・テクノロジーです。その力を得た結果、CarePredictは開発期間を10ヵ月も短縮することができました。

6人に1人
2030年までに60歳以上の人が世界人口に占める割合
1万人
米国で1日あたりに65歳に達する人の数

CarePredictの概要

事業内容

CarePredictは、米フロリダ州フォート・ローダデールの近郊に本社を構える技術企業。高齢者の生活の質を改善することを目的としたモニタリング・システムを開発している。

目標

高精度のデータをリアルタイムかつ非侵襲的に生成することで、介護対象者の潜在的な健康上の問題を介護担当者が常に把握できるようにする。同時に、家族に対して介護対象者に関するインサイトと安心感を提供する。

課題

ヘルス・モニタリング機器であるTempoは、高精度のバイオセンサーや残量ゲージ、電力効率の高いスイッチング・レギュレータ、高性能のオーディオ・アンプなどによって構成される。それらを手首に装着可能なサイズのウェアラブル機器として実現する必要があった。また、バッテリによって長時間動作できるようにしなければならなかった。

ソリューション

CarePredictは、Tempoの技術的な課題を解決するために、アナログ・デバイセズと協業することにした。それにより、血中酸素濃度と心拍数をモニタリングするためのセンサー・モジュールを開発した。その開発期間は、一般的な例の数分の1にあたる6週間に抑えることができた。

介護を支援するために連携したCarePredictとアナログ・デバイセズ

CarePredictの開発チームはいくつかのIC企業の評価を実施しました。その結果、アナログ・デバイセズが提携先として選ばれました。当社との連携と共創を通じ、CarePredictの開発チームは、その選択が正しかったことを実感しました。当社は、CarePredictが正に必要としていたものを提供できたからです。当社は、CarePredictのプラットフォームを適切に構築するために必要な技術とサポートを供与することで開発に貢献しました。

アナログ・デバイセズは、迅速かつ容易に開発を進めることを可能にする高品質のコンポーネントを数多く提供しています。CarePredictにとって、数多くの選択肢の中から最適なものを選択できることが大きなメリットになりました。また、ウェアラブル・ヘルス機器では、低消費電力、高精度、小型のフォーム・ファクタという条件を満たすことが必須です。アナログ・デバイセズとの提携により、CarePredictはそうした課題を解決することができました。

先進的なセンサーには大きな革新がもたらされました。大きな進化を遂げた最新のセンサーを採用すれば、従来と比べてはるかに詳細で実用的なデータを取得することができます。例えば、旧来のモーション・センサーは、単に基本的な動きを追跡することしかできませんでした。詳細なインサイトを提供するためには、そのような機能だけでは不十分です。

CarePredictは、寝室、キッチン、浴室など、装着者がどこにいたとしても、Tempoによってモニタリングを継続できるようにすることを目指していました。また、Tempoで実現したかったのは、データとAIを組み合わせることで、健康上の深刻な問題の兆候となり得る微妙な変化を検出できるようにすることでした。そうした変化の例としては、食事の量の減少、睡眠の質の低下や睡眠時間の短縮、座っている時間の増加といった事柄が挙げられます。つまり、そうした微妙な変化を家族や介護担当者が認識できるようにすることが目標でした。

Tempo watch sits next to a laptop PC and smart phone running the Tempo app.
Tempoのプラットフォームを利用すれば、健康上の問題の兆候となり得る行動の傾向を、より深刻な状態になる前に把握することができます。このプラットフォームは、 デスクトップPC上でもモバイル機器上でも利用可能です。
Headshot of CarePredict CEO Satish Movva.
「最近では、三世代以上が同居する世帯は少なくなってきました。当社は、ご家族と離れて暮らす高齢者を継続的にモニタリングするための先進的なプラットフォームを開発しています。」

Satish Movva氏

CarePredict 最高経営責任者

Tempoは高齢者の介護にどのように貢献するのか?

CarePredictのデジタル・ヘルス・プラットフォームは、高精度の位置センサーを採用しています。このプラットフォームをベースとするTempoを使用すれば、ユーザ(高齢者)の行動やそのパターン、通常の状態からの逸脱を継続的に追跡することができます。その利用場所は、高齢者の自宅であるか施設であるかを問いません。バイオセンサー、ディープ・ラーニングのアルゴリズム、予測分析を活用することにより、介護担当者に対して実用的なインサイトを提供します。そうしたインサイトは、介護担当者が高齢者の健康状態を予測する上で役に立ちます。つまり、尿路感染症、抑うつ症、転倒といった重大な状態に陥る可能性について検討できるということです。家庭用の「Tempo Series 3」は発表直後に高い評価を受け、「CES 2020」においてウェアラブル部門のイノベーション・アワードを受賞しました。同社のヘルスケア製品は2021年と2023年にも同じ賞を獲得しています。つまり、同社は前例のない3度の受賞歴を誇る企業となったのです。

Senior woman eating salad triggers an alert on the Tempo watch that she is having a meal.

ジェスチャ認識の応用

Tempoはジェスチャ認識の機能を備えています。そのため、高齢者の利き腕に装着すれば、フォークを持ち上げて口元に運んでいるといった様々な行動を識別することが可能です。しかも、Tempoは、その名のとおり個々の装着者の日々のテンポを学習することができます。その情報に基づいて行動の変化を検出/報告してくれるので、早い段階で介護行動をとれるようになります。また、装着者はTempoが備えるボタンを押すだけで介護担当者とコンタクトをとることができます。家庭用のバージョンでは、家族と話をしたりすることも可能です。

Close up of the Tempo smartphone app displaying actionable patient analytics.

実用的なインサイト

CarePredictは「TouchPoint」というアプリケーション・ソフトウェアも提供しています。これを使えば、ボタンにタッチするだけでリアルタイムのデータとインサイトが高齢者の家族に提供されます。それにより、高齢者の現在の状態を詳しく把握することができます。例えば、食事を抜いたり、以前と比べて活動的でなくなったりするなど、日常生活において気になる変化があったことを認識することが可能になるということです。

技術的な課題を迅速に解決する

Tempoは複雑でありながら使いやすいヘルス・モニタリング・システムです。このような製品を開発するためには、数々の基盤技術が必要でした。例えば、高精度のバイオセンサーや残量ゲージ、電力効率の高いスイッチング・レギュレータ、高性能のオーディオ・アンプなどです。ウェアラブル機器であるTempoは、バッテリ駆動の小型デバイスです。したがって、構成要素となるコンポーネントも、期待されるサイズと稼働時間に対応できるものでなければなりませんでした。

CarePredictの開発チームは、アナログ・デバイセズの技術者と緊密な連携を図りました。それにより、血中酸素濃度と心拍数をモニタするためのセンサー・モジュールを開発しました。通常、そうしたセンサー・モジュールを設計する場合には少なくとも1年はかかります。しかし、アナログ・デバイセズとの連携によって、CarePredictはセンサー・モジュールの開発を6週間で終わらせることができました。つまり、開発期間を10ヵ月以上短縮することができたのです。それだけでなく、精度、消費電力、フォーム・ファクタに関する目標も達成されました。センサー・モジュールの短期開発を実現できたことから、CarePredictは、ソフトウェアの改良をはじめとする設計の他の面に焦点を移すことが可能になりました。

「当社はすべての機器にアナログ・デバイセズ製の残量ゲージを採用しています。なぜなら、同社の製品が最も高い精度を実現しているからです。アナログ・デバイセズは全力で私たちに可能性を示してくれました。」

Satish Movva氏

CarePredict 最高経営責任者

最も弱い立場の人々を継続的に支援する

Happy senior woman spending quality time with her daughter outdoors.

医療が進歩したことで、より多くの人がより長く充実した人生を送れるようになりました。これは、全人類にとって歓迎すべきことです。しかし、高齢者が増えることによって新たな課題も生じました。急速に拡大する高齢者層をどのようにケアすればよいのかという複雑な問題を解決しなければならないからです。

世界保健機関(WHO)や国際連合(UN)などが明らかにしているように、高齢者の人口は、新たな世代が追いつけないほどの速さで増加しています。このように人口動態が変化する中で、高齢化に伴うニーズに対応するにはどうすればよいのでしょうか。特に問題なのは、介護担当者の数が高齢者の数に対して十分ではないことです。そのため、高齢者にサービスを提供する上では、Tempoのようなツールが重要な役割を果たすことになります。

CarePredictの最高経営責任者(CEO)を務めるSatish Movva氏は「弱い立場の人々を適切に支援するためには、継続的なモニタリングが不可欠です。アナログ・デバイセズと連携したことで、当社は、高齢者がより長く、より安全に、より健康な生活を送ることに貢献可能な製品を開発することができました。その製品は、高齢者だけでなく、その家族にも安心感をもたらします」と述べています。