概要
設計リソース
設計/統合ファイル
- Schematic
- Bill of Materials
- Gerber Files
- Allegro Files
- Assembly Drawing
機能と利点
- ベースバンド・コンバージョン・ダイレクトIF
- ダイナミック帯域幅調整
- 750MHz~1150MHzの範囲のローカル発振器(LO)
参考資料
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MT-101: Decoupling Techniques2015/02/14PDF954 kB
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MT-031: データ・コンバータのグラウンディングと、「AGND」および「DGND」に関する疑問の解消2009/03/20PDF144 kB
回路機能とその特長
この回路は、柔軟で周波数即応性に優れたダイレクト・コンバージョンIF/ベースバンド・レシーバです。変換ゲインが5dB一定のため、カスケード接続のノイズ指数が低減されます。可変ベースバンド・ゲインを使って信号レベルを調整します。ベースバンドADCドライバにはプログラマブル・ローパス・フィルタも内蔵されていて、チャンネル外のブロッカーやノイズを除去します。
このフィルタの帯域幅は、入力信号の帯域幅の変化に応じてダイナミックに調整することができます。これにより、回路が駆動するADCで利用可能なダイナミック・レンジをフルに活用できます。
回路のコアはフラクショナルN型PLLとVCOを内蔵したIQ復調器です。1つの(可変)基準周波数だけで、PLL/VCOは750MHz~1150MHzの範囲のローカル発振器(LO)を実現できます。高精度な直交バランスと低出力DCオフセットにより、エラー・ベクトル振幅(EVM)の劣化を最小限に抑えることができます。
この回路の部品間のインターフェースは全て完全差動です。各段間でDC結合が必要な部分では、隣接する段のバイアス・レベルは互いに互換性があります。

回路説明
レシーバの構成
この回路ノートでは、ダイレクト・コンバージョン(ホモダインまたはゼロIFとも呼ばれる)構成のレシーバについて解説します。ダイレクト・コンバージョン・レシーバは、複数回の周波数変換を行うスーパーヘテロダイン・レシーバと比べ、周波数変換は1回だけです。周波数変換が1回であることが利点の理由は以下のとおりです。
- レシーバの複雑さと必要段数を低減することにより、性能向上と低消費電力を実現する
- イメージ除去の問題と不要な混合積を防止し、ベースバンドで必要なのはLPFが1つだけ
- 高い選択特性(隣接チャンネル除去比[ACRR])を持つ
図1はシステムの基本的な簡略回路図で、フラクショナルN型PLLとVCOを内蔵した直交復調器の後段にベースバンド・ゲインが可変のプログラマブル・ローパス・フィルタが接続されています。シグナル・チェーンの最終部分はアンチエイリアシング・フィルタとデュアルA/Dコンバータです。
理論上、初段の入力と最終段の出力によってシステムのダイナミック・レンジ(信号対ノイズ比)が設定されますが、実際にはそうはなりません。
IQ復調器、フラクショナルN型PLLとVCO
入力信号はADRF6801直交復調器に与えられ、ここで周波数がゼロIFに変換されます。ADRF6801は自身の周波数シンセサイザを内蔵し、必要なLO信号を供給します。この周波数シンセサイザはフラクショナルN型PLLとVCOで構成され、標準的な閉ループ・モードのときのLOの周波数範囲は750MHz~1150MHzです。
ADRF6801はIチャンネル用とQチャンネル用の2つのダブル・バランスド・ミキサーを使用しています。ミキサーに供給されるLO信号は2分割直交位相スプリッタで生成されます。これにより、IチャンネルとQチャンネルにそれぞれ0°の信号と90°の信号が供給されます。ADRF6801のRF入力からベースバンドのI出力とQ出力までの変換ゲインは約5dBです。
ローパス・フィルタ、ベースバンドの可変ゲイン・アンプ(VGA)、およびADCドライバ
ローパス・フィルタ、ベースバンド・ゲイン、およびADCドライバの機能は全てADRF6510で実現されます。I経路とQ経路に分離された信号はADRF6510に供給されます。ここで信号はまずプリアンプによって増幅され、次に不要な帯域外信号やノイズを抑制するためにローパス・フィルタを通り、最後にVGAによって増幅されます。
ADRF6510の各チャンネルは次の3つの段に分けることができます。
- プリアンプ
- プログラマブル・ローパス・フィルタ
- VGAと出力ドライバ
プリアンプのゲインはGNSWピンによって6dBまたは12dBに設定できます。ローパス・フィルタのコーナー周波数は、SPIポートを介して1MHz~30MHzに1MHzステップでプログラムできます。VGAのゲイン範囲は50dBで、30mV/dBのゲイン勾配があります。VGAのゲインはGAINピンによって制御され、その範囲はGNSWピンをローにしたとき−5dB~+45dB、GNSWピンをハイにしたときは+1dB~+51dBにすることができます。出力ドライバはHD2とHD3を60dBcより良好に保ちながら、1kΩ負荷を1.5V p-pの差動信号で駆動できます。
ADRF6510のHDを許容可能なレベルに維持しながら、ローパス・フィルタに供給できる連続波(CW)信号の最大値は2V p-pで、このときのゲインは最小です(GNSW = 0V、GAIN = 0V)。
AD9248のようなA/Dコンバータ(ADC)にADRF6510からIQ信号を与えることができますが、その際には段間にパッシブ・ローパス・フィルタを入れる必要があります。
アンチエイリアシング・フィルタ
I信号とQ信号は以下の役割を果たすアンチエイリアシング・フィルタを通ります。
- 帯域外ノイズを低減する
- 特に高いゲインでADRF6510の出力ノイズを低減する
- ADCからの電荷キックバックを低減する
- 帯域外ブロッカーを低減する(ただし、ADRF6510のフィルタ処理によって低減されている必要あり)
アンチエイリアス・フィルタは、コーナー周波数がほぼ30MHz~120MHzの範囲になるように設計されたローパス・フィルタです。信号のスペクトル成分が30MHz未満であることが分かっていれば、低いコーナー周波数を選択することができます。
このシステムでは合計5つのアンチエイリアシング・フィルタをテストしました。最初にテストした3つのアンチエイリアシング・フィルタは、図2に示す差動RCタイプです。フィルタ1ではR = 33ΩとC = 18pFです。この場合、ローパス・フィルタのコーナー周波数は約134MHzになりました。

フィルタ2ではR = 33ΩとC = 39pFで、ローパス・フィルタのコーナー周波数は62MHzになりました。最後に、フィルタ3ではR = 33ΩとC = 68pFで、コーナー周波数は35.5MHzになりました。
図3のフィルタ4はコーナー周波数が33MHzのLCフィルタで、図4のフィルタ5はコーナー周波数が同じ33MHzのRLCフィルタです。


A/Dコンバータ
信号はアンチエイリアシング・フィルタからADCに供給されます。AD9248デュアル14ビット、65MSPS 3V ADCは、高性能サンプル&ホールド・アンプと電圧リファレンスを内蔵しています。
測定結果: ADRF6510およびADRF6510とADRF6801の組合せのEVM
4-QAM、5MSPSで変調された信号をADRF6801直交復調器の入力へ供給し、エラー・ベクトル振幅(EVM)を測定しました。2つのAD8130-EBZ評価ボードを使って、ADRF6801とADRF6510の差動出力をシングルエンド信号に変換しました。テスト・セットアップの詳細については、「回路の評価とテスト」のセクションを参照してください。
EVMはデジタル・トランスミッタやレシーバの性能品質の測定指標で、図5に示すように、振幅誤差と位相誤差による実際のコンステレーション・ポイントの理論位置からの偏差を測定したものです。

図6は、ADRF6801のみと後ろにADRF6510を接続さしたADRF6801の入力電力に対するEVMを示しています。ADRF6801とADRF6510の曲線では、ADRF6801への入力電力を掃引したときにADRF6510でゲインが変化して出力電圧を1.5V p-pに維持しています。ADRF6510のプリアンプのゲインは6dBに設定されています。
ADRF6801だけをテストした場合、高信号レベルでは約+5dBmの入力電力になるまでEVMは劣化しないことに注意してください。しかし、ADRF6801がADRF6510を駆動しているときは、EVMは約0dBmの入力電力で劣化し始めます。これはADRF6510のローパス・フィルタが2V p-pしか処理できないからです。この場合、プリアンプのゲインが6dBに設定され、アナログ・ゲインが最小時のADRF6510の入力ピンでは1V p-pです。信号レベルがこの値を超えるとEVMを劣化させる歪みが生じ始めます。
低入力信号レベルでは、SNRが低くなってEVM測定値が劣化し始めます。ADRF6801だけをテストした場合、EVMは約−25dBmで劣化し始めました。ADRF6801がADRF6510を駆動しているときは、EVMは−40dBmまで劣化し始めることはありません。両方のデバイスを低信号レベルで測定するとEVMに劣化が見られますが、主にADRF6510によって生じるノイズに起因するものです。ただし、バスタブ曲線の底の部分は、よりフラットで安定しています。また、小さな信号の識別能力は、ベースバンド可変ゲインがあることによりADRF6801がADRF6510を駆動しているときの方が、はるかに優れています。
ADRF6510とADRF6801のEVMの測定の詳細については、それぞれのデータシートを参照してください。
測定結果:ADCを含む全シグナル・チェーン
図7~図16では、シグナル・チェーンにADRF6801、ADRF6510、およびAD9248が含まれています。3つのデバイスは全て互いにDC結合されています。ADRF6801とADRF6510の間の同相電圧は2.6V、ADRF6510とAD9248の間の同相電圧は2.0V、ADCのフルスケール電圧は2Vでした。ADRF6801への入力電力を掃引してADRF6510のゲインを変化させ、ADC入力の信号レベルを適正な値(−3dBFS)に設定しました。SNR、SFDR、THD、HD2およびHD3は、ADCとビジュアル・アナログ・ソフトウェアを使って測定しました。サンプリング・レートは、Agilent 8665B低位相ノイズ信号発生器で65MSPSに設定しました。ADRF6510の2つの異なるフィルタ帯域幅5MHzと30MHzを使用しました。また、ADRF6510のプリアンプのゲインは6dBから12dBに変化させました。ADRF6801に供給するRF信号を895MHzにし、LO信号を900MHzに設定した結果、5MHzのIFトーンが生成されました。リファレンスには100MHzを使用しました。このリファレンスを4分周して25MHzのPFD周波数を生成しました。100MHzの信号はModel 119-3651-00 Wenzel水晶発振器で生成しました。
この回路ノートで収集したデータから、AD9248 ADCのSNR性能(71.6dB)とSFDR性能(80.5dBc)がADRF6801とADRF6510を組合わせた場合の性能より優れていることが分かります。システム全体のSNRとSFDRは主にADRF6510の出力ノイズによって制限されます。この値は30MHzのフィルタ帯域幅、ミッドバンドでの測定でゲインが20dBのときに−130dBV/√Hzと規定されています。(ADRF6510のゲイン対 ノイズと帯域幅の設定の詳細については、ADRF6510のデータシートを参照してください。)
ADRF6510のフィルタは高電力入力レベルで圧縮を行い(この場合は低ゲイン)、これにより高調波歪みが増加します。低入力電力レベルではADCは基本的にADRF6510の出力ノイズフロアを測定しており、HD2とHD3のトーンはノイズフロアを下回ります。ADRF6510の出力ノイズフロアは、低入力電力時に高ゲインになることによって上がります。
図7と図8はADCを含むシグナル・チェーン全体のSNRを示しています。低消費電力レベルでは、SNRはデシベルにほぼ比例して低下します。ADRF6510のゲインは最大で、低入力電力レベルでは−3dBFSを供給することはできません。ノイズが相対的に一定のままのときに信号振幅が減少するため、SNRは低下します。信号とゲインが十分な大きさになり−3dBFSを実現すると、SNRは一定レベルに近づきます。最良のSNRはアンチエイリアシング・フィルタ3で得られましたが、フィルタによるSNRの違いは、他のフィルタよりもSNRが低下したアンチエイリアシング・フィルタ1を除き、わずか1dB程度でした。
図8に示すように、ADRF6510のフィルタを30MHzに設定したときの最大入力電力でSNRは急激に低下します。これはHD2とHD3を急激に劣化させるADRF6510のフィルタの圧縮によるもので、全ノイズフロアが大幅に上がります。


図9と図10は、さまざまなアンチエイリアシング・フィルタのシステム全体のSFDRを示しています。フィルタ4とフィルタ5は、入力電力範囲のほとんどの部分でSFDRが40dBと性能が劣っています。これはSFDRを制限するHD3のトーンによります。その他のアンチエイリアシング・フィルタでは、ほとんどの入力電力範囲でSFDRは60dBを上回りました。低入力電力では、メイン・トーンが−3dBFSを維持しないことによるわずかな劣化が見られます。
高入力電力レベルでは、SFDRはADRF6510のフィルタの圧縮に起因する高調波によって制限されます。


図11と図12はシステムのHD2を、図13と図14はシステムのHD3を示しています。アンチエイリアシング・フィルタ4と5は、ここでも性能が劣り、HD2性能が約−55dBc、HD3ではわずか−40dBcです。フィルタ1~3ははるかに高性能で、HD2、HD3とも−70dBcより良好です。
入力電力範囲の下端では、HD2とHD3の成分はごくわずかなためノイズフロアより小さく、実際に記録されたのはノイズです。ADRF6510のゲインを出力ノイズを十分に減らすだけ下げるとHDトーンが現れ、適正な測定が可能性でした。
入力電力範囲の上端では、HD2とHD3は大幅に劣化します。これはADRF6510のフィルタの圧縮によるものです。




アンチエイリアシング・フィルタの性能まとめ
5つのアンチエイリアシング・フィルタをテストした結果を示しました。RCタイプのフィルタはLCタイプとRLCタイプに比べて高調波歪みの性能が非常に優れていました。ADRF6510を使ってAD9248を駆動する場合、あらゆる測定のアプリケーションで最高の性能を実現するため、コーナー周波数ができるだけ低いRCタイプのフィルタを使用することを推奨します。
同相掃引
ADRF6510の出力とAD9248の入力の間を2V以外の同相電圧で駆動することが可能で、良好な性能を維持します。
図15と図16は、同相掃引に対する全ての標準的な測定値を示しています。1.5V~3Vの同相範囲ではシステムは良好な性能を維持します。低い同相電圧での劣化は主にADRF6510によるものですが、高い同相電圧での劣化はADRF6510とAD9248の組合わせに起因します。ADRF6510とAD9248の組合わせでは、同相電圧を2.25Vに設定するのが最適です。


バリエーション回路
その他のIQ復調器、PLLおよびVCO、ADC
アナログ・デバイセズでは、他にもADRF6806やADRF6807などのIQ復調器集積回路を提供しています。これらのIQ復調器のRF周波数範囲は、それぞれ50MHz~525MHzと700MHz~1050MHzです。どちらのデバイスも出力同相電圧は1.65Vであり、3.3VのドライバおよびADCに、より適しています。
アナログ・デバイセズでは、シンセサイザの機能からIQ復調器の機能を分離したソリューションも提供しています。同じ周波数範囲で動作するIQ復調器はADL5380、ADL5382、およびADL5387です。これらのIQ復調器で異なるのはダイナミック・レンジと直交システムです。
VCO内蔵のシンセサイザには、135MHz~4350MHzの広い周波数範囲で動作し、位相ノイズと出力電力を可変のADF4350、ADF4351、ADF4360などがあります。
VGAのノイズ指数が直交復調器のノイズ指数より小さいと仮定した場合、直交復調器の前にADL5330などの低ノイズ可変ゲイン・アンプ(VGA)をカスケード接続すると、システムにより多くのゲインが加わるだけでなくシステム全体のノイズ性能が向上します。後続段のノイズ指数は最初のVGAのゲインによって分割されます。固定ゲイン・アンプではなくVGAを用いるもう1つの利点は、直交復調器への入力信号を一定のレベルに維持するようにAGCループを設計できることです。この機能で直交復調器と後続段に供給される信号レベルを制限し、歪みを最小限に抑えることが重要です。
回路の評価とテスト
使用する必要な装置
信号発生器
- Agilent E4438Cベクトル信号発生器
- Agilent 8665B信号発生器
- Model 119-3651-00 Wenzel水晶発振器(100 MHz)
ベースバンド信号の表示装置
- Agilent DSO90604Aオシロスコープ
EVM計算用装置
- Agilent 89600 VSAソフトウェア
- USBケーブルでAgilent DSP90604Aオシロスコープに接続されたWindows XPで動作するPC
電源
- ±5V電源。±5Vが必要なAD8130ボードを除いて全てのボードは+5Vが必要
評価用ボード
- ADRF6801-EVALZ(1台必要)
- ADRF6510-EVALZ(1台必要)
- AD9248-BCP-65EBZ(1台必要)
- HSC-ADC-EVALB-DCZ(1台必要)
- AD8130-EBZ(EVM測定では2台必要)
評価開始にあたって
ADRF6801、ADRF6510、AD9248、およびデータ・キャプチャ・カードを使って各デバイスのさまざまな側面を制御するには、HSC-ADC-EVALB-DCZ評価ソフトウェアが必要となります。このソフトウェアについては、各製品のWebページのTools, Software, & Simulations Modelsのリンクを参照してください。ソフトウェアをダウンロードしてインストールしたら、コンピュータと評価用ボードをUSBケーブルで接続し、制御が必要なデバイスのソフトウェアを実行してください。
機能ブロック図
受信系統のテストに使ったテスト・セットアップの機能ブロック図を図17に示します。ADRF6801の出力からAD9248の入力までの信号経路が完全差動であることに注目してください。
セットアップとテスト
レシーバをテストするためのセットアップの最初のステップは、全てのテスト装置の電源をオンにすることです。テスト装置がウォームアップしている間、このシグナル・チェーンで適切に動作するように評価用ボードを正しく設定する必要があります。
ADRF6801ボードでは、出力バランをバイパスし、ADRF6801とADRF6510の間の信号経路を完全差動のDC結合にします。
ADRF6510ボードでは以下を行います。
- 入力と出力のバランをバイパス
- COFSコンデンサを1μFのコンデンサに置き換え
AD9248ボードではバランが除去され、セミグリッド・ケーブルがバランのフットプリントに半田付けされています。これにより、ADRF6510とAD9248の間で差動のDC結合が実現しました。標準的なAD9248評価用ボードでは、バランを介したシングルエンドのAC結合の接続か、ボード上のAD8138アンプを介したシングルエンドのDC結合の接続のいずれかを行います。シングルエンドのセットアップを使用しても、同相電圧の測定を除く前述の全ての測定を行うことができます。フルスケール電圧は2Vに設定されています。AD9248評価用ボードにアンチエイリアシング・フィルタを形成しました。アンチエイリアシング・フィルタの形成に使用可能ないくつかの表面実装部品用のパッドがあります。
評価用ボードを集め、図17に示すように、全ての信号経路を互いに接続します。全てのボードを+5V電源に接続し、AD9248ボードとデータ・キャプチャ・ボードを用意した電源に接続します。電源電流が所期の値を満たしていることを確認します。
図17に示すように以下の接続を行います。
- ベクトル信号発生器の50Ωのシングルエンド出力をADRF6801評価用ボードのRFINに接続する。
- PCとオシロスコープをUSBケーブルで接続する。
- ADRF6801のREFINポートを低位相ノイズ源(ここでは、100MHzのWenzel発振器)に接続する
Agilent E4438Cベクトル信号発生器で以下の操作を行います。
- RFキャリア周波数を895MHzに設定する。
- 振幅を−30dBmに設定する。
- RFポートをオンにする。
OPCでビジュアル・アナログ・ソフトウェアを起動します。このソフトウェアで以下の操作を行います。
- AD9248を探し、FFT Averageキャンバスを開く。
- 平均値を20に設定し、Running Averageにセットする。
- ソフトウェアを実行し、ADCデータの収集を開始する。
このテスト・セットアップを使い、−50dBm~+4dBmの掃引を行ってレシーバをテストしました。ADRF6510のゲインは、常にADC入力で−3dBFSの信号レベル(差動の1.0V p-p)を実現する値に設定しましたが、信号レベルが非常に小さい場合、ADRF6510が1.0V p-pの差動レベルに達するだけの十分なゲインにならないこともあります。
EVM測定は、ADRF6801またはADRF6510のIとQの差動出力を差動からシングルエンドの信号に変換する2つのAD8130評価用ボード(AD8130-EBZ)の入力に接続して実施しました。次に、シングルエンドのI信号とQ信号をAgilent DSO90604Aオシロスコープに接続し、このオシロスコープをAgilent 89600 VSAソフトウェアが動作するWindows PCに接続しました。
