製品概要

製品概要

デモ回路2929Aは、LT8638Sを搭載した、スペクトラム拡散周波数変調付きの42V、10A(12Aピーク)の同期型降圧Silent Switcher 2です。このデモ・ボードは、3.9V~42Vの入力で3.3Vの出力を供給するように設計されています。入力範囲が広いため、​オートモーティブ・バッテリや工業用電源などの様々な入力源で使用できます。LT8638Sはコンパクトな超低放射、高効率、高速同期整流モノリシック降圧スイッチング・レギュレータです。集積化されたバイパス・キャパシタによって高速電流ループが最適化され、レイアウト感度が取り除かれることでEMI放射を最小化しやすくなっています。選択可能なスペクトラム拡散モードにより、EMI性能が更に改善されるため、ノイズの影響を受けやすいアプリケーションに最適なソリューションとなります。 

25nsの最小オン時間を持つピーク電流モード制御により、高い周波数でも高い降圧変換が可能です。LT8638Sのスイッチング周波数は、発振器抵抗または200kHz~3MHzの範囲の外部クロックによってプログラムすることができます。デモ回路2929Aのデフォルト周波数は2MHzです。

デモ用ボードDC2929AのSYNC/MODEピンは、デフォルトでは低リップルのBurst Mode®(バースト・モード)動作用にグラウンド(JP1のBURST位置)に接続されています。これはJP1およびSYNC端子を通じて異なる動作モードに構成可能です(表1)。

デモ・マニュアルの図1は、バースト・モードでの12V入力および24V入力の場合の回路の効率を示しています。正確で効率的な測定値を得るため、VINセンス端子で入力電圧を測定し、VOセンス端子で出力電圧を測定します。

図2は、連続負荷電流下における、バースト・モードでの12V入力および24V入力の場合のDC2929Aデモ用ボードのLT8638Sの温度上昇を示しています。LT8638Sでは、12Aのピーク出力電流を短時間供給できます。図3は、ケース温度上昇とパルス幅1kHz、負荷12Aのデューティ・サイクルの比較を示しています。LT8638Sは、熱抵抗を低くするためのエクスポーズド・パッドが付いた5mm x 4mm LQFNパッケージを採用しています。定格最大連続負荷電流は10Aです。ただし、特定の入力電圧および熱条件ではディレーティングが必要になることがあります。

表1. 動作モードの設定
JP1位置 SYNC(E5)入力 動作モード
SPREAD-SPECTRUM N/A 強制連続モード(スペクトラム拡散有効)
BURST N/A 超低リップルバースト・モード®
FCM/SYNC フロート状態 強制連続モード(スペクトラム拡散有効/無効)
FCM/SYNC 外部クロック 強制連続モード(同期有効)

このデモ用ボードにはEMIフィルタが備わっています。ボードのEMI性能は、デモ・マニュアルの図4に記載されています。EMI性能の赤色の線がCISPR25クラス5の制限値です。この図は、回路が広いマージンでテストに合格することを示しています。図4で示すようにEMI性能を実現するには、入力EMIフィルタが必要で、入力電圧をVIN_EMI端子に印加する必要があります。テスト設定は、CISPR25規格を基準にしています。入力がVIN端子に適用されると、EMIフィルタはバイパスされます。

LT8638Sのデータシートには、部品、動作、アプリケーションに関する全詳細が記載されています。データシートは、デモ回路2929A用デモ・マニュアルと併せて参照してください。低EMI動作と最大の熱性能を実現するためのレイアウトに関する推奨事項は、データシートの「Low EMI PCB Layout and Thermal Considerations and Peak Output Current(低EMI PCBレイアウトと熱に関する考慮事項およびピーク出力電流)」セクションに記載されています。サポートについては、アナログ・デバイセズのアプリケーション・エンジニアにお問い合わせください。