消費電流が10µA以下に低減されたロジック出力の小型光センサ
要約
このアプリケーションノートでは、ロジックゲートやシュミットトリガインバータを使ったアプローチと比較して、ロジック出力を備えた低電力光センサーが、携帯機器の自動バックライトセンサー向け設計をどのように改善するのかについて説明します。
消費電力量がほんの僅かな光センシング回路を携帯型機器の自動バックライトセンサとして使用することが可能です。この機能はロジックゲートまたはシュミットトリガインバータを使用して容易に実行できますが、この方式では大量の電源電流を消費することになります。回路IC1 (図1)はこの方式とは異なる、より優れた解決法を提供します。
図1. この光センサは、R1の値によって決定された光レベルでローからハイへの出力遷移を提供します。
消費電流対電源電圧の対数グラフ(図2)には、各種デバイスの特性比較を示しています。74HC04インバータと74HC14シュミットトリガインバータはCMOS回路として期待されている通りに、その入力が電源電圧に近づくときの消費電流は非常に低く抑えられています(< 1µA)。しかしミッドスケールに近づくと、74HC04は5V時で10mAを超える電流を消費します。74HC14の電流消費特性はそれよりも改善されていますが、それでもミッドスケール時で0.5mAを超える電流を消費します。光センシング回路のミッドスケール状態は長期間持続される可能性があるので、このような高い消費電流によって問題が発生します。
図2. この特性曲線では、図1に示すIC1回路の消費電流(MAX837, 3.6Vと表示した最も低い曲線)とその他の代替デバイスの消費電流を比較しています。
+3V電源を使用すると、消費電流は約3分の1に低減しますが、依然として消費電流は高いレベルに維持されます。ヒステリシスの追加も効果的ですが、スイッチングスレッショルドよりも僅かに高いかまたは低いポイントでこれらのCMOSデバイスは過度のA級電源電流を消費する問題が残ります。
IC1回路の消費電流を示す最も低い特性曲線は信号範囲内における変動量がほんの僅かであり、7µAを決して超えません。外部光センサとバイアス抵抗が+5V電源動作時で最大3µAの電流を消費するので、この回路の総消費電流は光レベルとは無関係に10µA以下に低減されます。他の方式とは異なり、この回路では光レベル(R1の電圧によって表わされる)を厳しく規定されていないロジックスイッチングスレッショルドと比較するのではなく、固定のリファレンス電圧と比較します。
電源電圧を+2.5Vから+11Vまでの範囲とすることが可能で、+11V時の消費電流測定値は僅か数µAに過ぎません。このIC1回路はオープンドレインバージョン(MAX836)にも内蔵されており、その出力(プルアップ抵抗に接続)はミックスド電圧システムの電源電圧よりも高くすることが可能です。サイズの小型化よりも消費電力を最小限に抑えることが重要な場合には、MAX931コンパレータ/リファレンスICを選択してください。このデバイスは(SOTパッケージのMAX837に対して) µMAX®と呼ぶ8ピンSSOPパッケージに収められていますが、その最大消費電流は僅か3µAです。MAX837にはヒステリシスが組み込まれているので、ヒステリシス抵抗を外付けする必要が全くありません。
同様のアイデアが「Electronic Design」の1998年4月6日号に掲載されました。