セトリング時間計算器のチュートリアル

要約

セトリング時間計算器(STC)は、単極RCフィルタのステップ応答の解析および設計に役立ちます。このプログラムは、HP® 50g計算器または無料のPCエミュレータで使用します。

はじめに

経験豊富なアナログ設計エンジニアであるSteve Edwardsは、繰り返し行われる作業を自動化するために、数種類の計算器を作成しました。これらのツールは、アナログ回路の選択、仕様決定、および特性評価を行う他のアナログ設計エンジニアの役に立つように公開されています。以下では、それらのツールの1つである、セトリング時間計算器の機能について概説します。

セトリング時間計算器(STC)は、HP50g計算器用に書かれたプログラムで、単極RCフィルタのステップ応答の解析および設計に役立ちます。STCは、出力電圧がステップ入力電圧(Vstep)に応答して、最終値の指定された割合(Accu)内に安定するまでにかかる時間(ts)を算出します。3つの追加の回路パラメータ(時定数、カットオフ周波数、および立上り時間)が算出されます。

図1

図1

10種類のパラメータの入力または算出が可能です。

抵抗(R、単位:kΩ) 精度(Accu、単位:%)
容量(C、単位:nF) 精度(Accu、単位:µV)
セトリング時間(ts、単位:µs) 精度(Accu、単位:LSB)
精度(Accu、単位:τ) 電圧ステップサイズ(Vstep、単位:V)
精度(Accu、単位:PPM) 分解能(Res、単位:ビット)

STCは、これらのパラメータのいずれも他のパラメータの関数として算出することができるため、設計と解析の両方に役立ちます。

3つの追加の回路パラメータが算出されます。

  • 時定数(τ、単位:µs)
  • カットオフ周波数(Fc、単位:kHz)
  • 立上り時間(tr、単位:µs)

図2

図2

グラフ表示の主な要素を下図に示します。

図3

図3

この計算器のユーザーガイドでは、STCを使用して、さまざまな負荷条件での高精度デジタル-アナログコンバータ(DAC)の出力電圧のセトリング時間を予測する例について詳しく説明しています。セトリング時間、精度、および負荷の間のトレードオフを検討します。高精度DACのMAX542Aを例として使用します。アプリケーション回路を下図に示します。

図4

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