SDARS MAX2140 XMラジオチューナソリューション
要約
以下のノートでは、MAX2140を使用したSDARS XMラジオチューナソリューションを紹介します。復調器ブロックまでの基本RF部、アンテナから復調器までの信号経路、MAX2140チューナの特長、およびSDARSレシーバの重要なRF仕様の一部が含まれています。
はじめに
衛星ディジタルオーディオラジオサービス(SDARS)は、衛星ベースの直接放送ラジオサービスです。SDARSでは、ディジタル方式で符号化されたオーディオエンタテインメントコンテンツが、軌道上の衛星から地上ベースのレシーバに直接放送されるか、または(レシーバが衛星から遮蔽されたような位置にある場合)中継局を経由してレシーバに放送されます。マキシムのMAX2140は、RFからベースバンド信号までを処理するSDARSレシーバです。
全機能内蔵SDARSレシーバMAX2140
MAX2140全機能内蔵レシーバはSDARS用に設計されており、以下の特長を備えています。
- SAWフィルタ1個のみを必要とする完全なレシーバ
- 自己完結型RF AGCループ
- 差動I/Qインタフェース
- 完全に集積化された周波数発生器
- 外付けLNA調整用バイアス電源
- 過電流保護回路
- 低消費電力のスタンバイモード
図1にMAX2140のブロック図を示します。
図1. MAX2140のブロック図/ピン配置図1. MAX2140のブロック図/ピン配置
XMラジオチューナのブロック図
F入力から復調器までのブロック図を、次の図2に示します。
図2. SDARSラジオチューナのブロック図
- オーディオ信号は、まずアンテナで受信され、感度の要件を満たすために、ベースバンドコントローラによる制御が可能な外付けのローノイズアンプ(LNA)が必要になります。
- このチューナには、自立型のRF AGCループとベースバンド制御のIF AGCループが内蔵されており、実質的に92dB以上の総合ダイナミックレンジを提供しています。IF AGCとRF AGCの動作を付録Aに示します。
- チャネル感度は、SAWフィルタとオンチップのモノリシックローパスフィルタによって保証されます。ハイパスフィルタもバックエンドの信号経路に挿入され、DCオフセットを除去します。
- 十分なイメージ除去を達成するため、このICにはイメージ除去ミキサが内蔵されています。これには、良好なハーフIFリジェクションを保証する効果もあります。
- フラクショナルN PLLによって非常に小さな周波数ステップが実現されており、AFCループの実装が可能になっています。さらに、リファレンスは外付けの水晶とオンチップの発振器によって供給されます。リファレンスバッファ出力も提供されています。
SDARSチューナの仕様
1. 周波数とチャネル帯域幅
XMには、2338.75MHzを中心として2332.5~2345MHzに及ぶ12.5MHzのスペクトル範囲が割り当てられています。このスペクトルがおよそ1/6ずつに分割されています。4つの帯域が送信元の衛星に割り当てられ、2つが地上波中継網に割り当てられています。
Figure 3. SDARS frequency bands.
2. 変調
衛星はQPSK変調を使用し、中継局はCOFDM変調を使用して地上波放送の要件を実現しています。
3. MAX2140のRF仕様
PARAMETER | CONDITIONS | TYPICAL | UNITS |
Frequency | SDARS Band | 2320 to 2345 | MHz |
Channel Bandwidth | 12.5 | MHz | |
Input Power Range | Over RF and IF AGC Range | -91 to +3 | dBm |
Noise Figure | RF AGC is at maximum gain. IF AGC is at reference |
8.5 | dB |
Out-of-Band Input IP3 | At Maximum Gain | -9 | dBm |
Out-of-Band Input IP2 | At Maximum Gain | +38 | dBm |
付録A:IF AGCとRF AGCの動作