インダクタが不要な安定化LCDバイアス発生器
要約
このデザインアイディアは、安定化されたLCDバイアスジェネレータがどのようにインダクタを必要としないのかについて示しています。安定化された反転チャージポンプMAX868をベースとしたチャージポンプ設計がスイッチモード設計と置き換わりLCDバイアス用の負電圧を生成します。反転負チャージポンプのフィードバック経路にいくつかの部品を配置するとインバータ・クワドラプラ回路ができます。
同様のアイデアが「Electronic Design」の1998年3月9日号に掲載されました。
情報携帯端末(PDA)やパームトップコンピュータ用のプリント基板はその高さサイズが厳しく制限されているので、スイッチモード電源に高さの低い高価なインダクタを使用する必要性に迫られています。しかしその置換え用として、ある特定のスイッチモード電源回路の代わりにチャージポンプを基本とした回路(図1)を使用することが可能です。例として示すこの回路は、LCDのバイアシングに最適な安定化された負電圧を生成します。
図1. IC1回路の帰還経路に僅かな数の低価格部品を追加すると、約−4VINの非常に高い安定化出力電圧を生成することが可能です。
IC1回路には−2VINの非常に高い出力電圧を生成する安定化された反転チャージポンプが内蔵されており、その電源電圧(VIN)を+1.8Vから+5.5Vまでの電圧範囲とすることができます。このICは最大周波数が450kHzのパルス周波数変調(PFM)によってVOUTを安定化します。このICの消費電流は小さいため(30µA)、全負荷能力を損なうことなく優れた軽負荷効率を提供します。
IC1回路の帰還経路にディスクリート構成の外部チャージポンプ(C3、C4およびショットキダイオードで構成)を挿入すれば、下記の数式に従って帰還抵抗R1とR2の比によってその安定化出力レベルが設定される「インバータ・クワドラプラ」回路が形成されます。
VOUT = −VIN (R1/R2)
回路を図のように構成すると、VOUT = −18V時で15mAまでの電流が供給され、76%の変換効率と60mVの出力電圧リップルが維持されます。VOUTを小さくすると、出力電流は更に高くなり、VOUT = −15Vのときに20mAそしてVOUT = −12Vのときに30mAの出力電流がそれぞれ供給されます。