DN-462: 60個のLEDをドライブするインダクタ1個のLEDドライバによる、中型LCDのLEDバックライトのコストと複雑さの低減

はじめに

1個のインダクタ、1個のIC、1本のLEDストリング。これが、LCDディスプレイのバックライト用昇圧LEDドライバを構築する通常の方法です。これは数本のストリングしか必要としない小型LCDディスプレイには完全に受け入れられるソリューションですが、大型ディスプレイでは、制御ICとインダクタの個数がたちまち増加し、コストとPCBの必要面積の要件も同様に増加します。これは、中サイズの明るいディスプレイの分野で、堅牢かつスペクトルが優れているLEDによってCCFLを置き換える競争では大きなハードルとなります。

LEDバックライトのコストと複雑さをCCFLと同等にするにはもっと良いドライバが必要です。LT3598は、10個で構成されるLEDストリングを1本当り最大30mAで6本ドライブすることにより、要求に応えます。また、パワースイッチを内蔵しており、スペースと設計時間を節約します。全てのLEDピンの電圧をモニタする適応型帰還ループを介して全てのLEDストリングを光らせるのにちょうど十分な出力電圧を供給し、効率を最適化します。LED電流はVINがVOUTより大きいときでも安定化されます。LED電流は、NTC抵抗分割器を介して、またはダイの接合部温度のプログラミングによって、プログラムされたLED温度に基づいてディレーティングすることができます。

標準的応用例

60個のLEDをドライブしているLT3598の6チャネルを図1に示します。各ストリングは20mAにプログラムされています。CTRLピンとPWMピンはそれぞれアナログとデジタルの調光を与えます。True Color PWM調光は3000:1 の調光比でLEDの色を一定に保ちます。図2はストリング間の標準±0.5%の電流整合を示しています。これは均一な光分布を与えますが、大型バックライト・アプリケーションでは非常に重要です。

図1.60個の20mA LEDのLEDドライバ

図1.60個の20mA LEDのLEDドライバ

図2.図1の電流整合

図2.図1の電流整合

もっと電流が必要ですか?

ストリング当り30mAを超える電流を必要とするアプリケーションでは、LT3598の複数のチャネルを簡単に組み合わせて高いLED電流を得ることができます。ストリング当り最大90mAの2本のストリングをドライブする構成設定を図3に示します。125°Cの接合部温度(ワーストケース)での1000:1のPWM調光波形を図4に示します。

図3.90mA LEDの2本のストリングのLEDドライバ

図3.90mA LEDの2本のストリングのLEDドライバ

図4.図3の125°Cでの1000:1 PWM調光

図4.図3の125°Cでの1000:1 PWM調光

熱保護のためのTSETピン

TSETピンの電圧をプログラムしてLT3598の内部接合部温度を制限することができます。 図5に示されているように、この温度に達した後、接合部温度が増加し続けるとLED電流は直線的に減少します。このサーマル・レギュレーション機能は高い周囲温度で重要な保護を与え、与えられたアプリケーションを(ワーストケースではなく)標準的周囲温度に最適化することを可能にします。

図5.高温でのLED電流を減らすTSET機能

図5.高温でのLED電流を減らすTSET機能

チャネル・ディスエーブル機能

未使用のLEDピンはVOUTに接続してそれらをディスエーブルすることができます。ディスエーブルされたチャネルには電流が流れません。フォールト検出はVOUTに接続されているどのチャネルも無視します。2つのチャネルをディスエーブルした、効率が90%に達するアプリケーションを図6に示します。

図6.4本のLEDストリング(2本のチャネルはディスエーブル)

図6.4本のLEDストリング(2本のチャネルはディスエーブル)

まとめ

LT3598は多用途LEDドライバで、複数のLEDストリング用のパワースイッチを内蔵しています。高いPWM調光が可能で、堅牢なフォールト検出を備えています。さらに、全てのLEDストリングがオープンのとき電圧ループが出力電圧を安定化します。

著者

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Daniel Chen