中国地上波TV放送規格GB20600用のMAX2165シングルループAGC制御ソリューション

要約

このアプリケーションノートでは、MAX2165ゼロIFチューナ用のシングルループAGC制御ソリューションを紹介します。このソリューションは、中国地上波TV放送規格GB20600の試験に供用されます。最大信号性能は公称0dBmです。感度は64QAM、符号化率(CR) 0.8において-81dBmです。

はじめに

このシングルループAGC制御ソリューションは、MAX2165ゼロIFチューナを使用しており、ハードウェアとソフトウェアの両方が必要となります。復調器のPWM信号出力は、いくつかのディスクリートの抵抗とコンデンサのみを使用して、MAX2165上のBBAGCとRFAGCの両方を制御します。復調器のソフトウェアに組み込むためのLNAスイッチングアルゴリズムは提供されます。

このソリューションは、中国地上波TV放送規格GB20600の試験に供用されます。最大信号性能は公称0dBmです。感度は64QAM、符号化率(CR) 0.8において-81dBmです。

シングルループAGC制御の回路図

図1. シングルループAGC制御の回路図

図1. シングルループAGC制御の回路図

図1は、単一のPWM出力でRFAGCとBBAGCの両方を制御するための閉ループ手法を示しています。フィルタリングされたPWM出力は、RFAGCを制御します。同様に電圧分割およびフィルタリングされた同じPWM出力は、BBAGCを制御します。RCフィルタは、RFAGCについては5Hzのフィルタ帯域幅を、BBAGCについては16kHzの帯域幅を設定します。PWM出力端の160kHzRCフィルタは、PWMからの高周波のエッジ成分を低減します。

ピン11 (OVLD_DET)は、オープンのままにすることができます。また、OVLD_DETのパワーがオフである限り、別のノードに接続することもできます。

LNAスイッチングソフトウェアのアルゴリズム

図2. LNAスイッチングソフトウェアのアルゴリズム

図2. LNAスイッチングソフトウェアのアルゴリズム

図2は、推奨するLNAスイッチングアルゴリズムを示しています。図3は、対応するRFAGC曲線を示します。ソフトウェアは実際には、前述したRFAGC電圧に対応するPWMコードを使用します。

また、MAX2165 OVLD_DETはパワーをオフにする必要があります。これを行うには、レジスタ0x08のビット1を1に設定してください。

使用する復調器に応じて、ソフトウェアのアルゴリズムは、デコーダCPU IC、USB CPUコントローラIC、または復調器ICに常駐することができます。

MAX2165のCコードドライバは入手可能です。ドライバのリクエストは、最寄りのマキシムのフィールドアプリケーションエンジニアまたはアカウントマネージャにご連絡ください。

キャリア対ノイズ比(CNR)とRFAGCの応答

図3. LNAスイッチングヒステリシスを備えたCNRとRFAGCの応答

図3. LNAスイッチングヒステリシスを備えたCNRとRFAGCの応答

図3は、CNRが、感度点の18.3dBから上昇し、最大信号で44dBにまで達したことを示しています。LNAのスイッチングは、10dBのヒステリシスを持ち、-40dBmの入力レベル前後で発生します。入力レベルが感度点から上昇する場合、RFAGCが0.85Vまで減少すると、LNAのスイッチがオフになります。逆に、入力レベルが最大信号から減少する場合、RFAGCが1.45Vにまで上昇するとLNAのスイッチがオンになります。

簡単にするため、BBAGCは図3には含まれていません。BBAGCは電圧分割によりRFAGCの91%に設定されるからです。この設定は通常、RFAGCよりも0.08V~0.17V低い値になります。

中国地上波規格(GB20600)での性能

Figure 図4. 4QAMと64QAMの場合のMAX2165の感度

Figure 図4. 4QAMと64QAMの場合のMAX2165の感度

図4は、感度が、0.4CRの4QAMの場合で少なくとも-95dBm、および0.8CRの64QAMの場合で少なくとも-81dBmであることを示しています。

図5. 4QAMおよび64QAMについてLNAをオフにした場合のMAX2165の最大信号

図5. 4QAMおよび64QAMについてLNAをオフにした場合のMAX2165の最大信号

図5は、LNAをオフにした(すなわち、LNAスイッチングが組み込まれている)場合の最大信号性能を示します。これは、0.4CRの4QAMの場合で少なくとも-6dBm、および0.8CRの64QAMの場合で少なくとも-7dBmです。

帯域全体にわたって0dBmの最大信号性能が必要な場合、最寄りのマキシムのフィールドアプリケーションエンジニアまたはアカウントマネージャにご連絡ください。

図6. LNAをオンした場合のMAX2165の最大信号

図6. LNAをオンした場合のMAX2165の最大信号

図6は、LNAをオンにした(すなわち、LNAスイッチングが組み込まれていない)場合の最大信号性能を示します。これは、0.4CRの4QAMの場合で少なくとも-23dBm、および0.8CRの64QAMの場合で少なくとも-24dBmです。

結論

MAX2165用のシングルループAGC制御の方法を提示しました。また中国の地上波TV放送規格GB20600に対する特性データを示しました。