DN-325: スイッチとショットキ・ダイオードを内蔵した高効率ThinSOT白色LEDドライバ
はじめに
LT®3465白色LEDドライバは、携帯電話、PDA、デジタル・カメラなどのバッテリ駆動の小型携帯機器のバックライト回路に最適です。LT3465は、大きな突入電流を防ぐ自動ソフトスタート、開放LED保護、ショットキ・ダイオードの内蔵などの重要な機能を省スペースのために高さの低い(<1mm)ThinSOT™パッケージに収めています。LT3465は2個~4個の白色LEDとリチウムイオン・バッテリ入力を備えたカラー・ディスプレイ用のバックライト・アプリケーション向けに最適化されています。ただし、内蔵30Vスイッチは直列接続された6個までのLEDをドライブする能力を備えています。
LT3465には定電流ステップアップ・アーキテクチャが使われており、このアーキテクチャはLED電流を直接制御し、各LEDの順方向電圧降下の差に関係なく、各LEDの光度と色を一定に保証します。スイッチング周波数が1.2MHzに固定されているので、小型の外付け部品を使用することができ、入力と出力のノイズを小さくする必要のあるアプリケーション向けに入力と出力の両方のリップルを最小に抑えます。LT3465は内部で補償されているので、出力コンデンサの条件としては0.22μFのセラミック・コンデンサ1個で十分です。出力コンデンサに対する条件がもっと厳しい補償方式に比べてスペースとコストを大幅に節約できます。
200mVの帰還電圧、高効率内部パワー・スイッチおよび内部ショットキ・ダイオードにより、LT3465内部の電力損失が最小に抑えられるので、標準効率は80%になります。LT3465はスイッチング周波数が2.7MHzのバージョン(LT3465A)も供給されるので、チップ・インダクタのようなさらに小さな部品を使用できます。
4個の白色LED用のリチウムイオン駆動ドライバ
図1に示されている小型白色LEDドライバ回路は携帯電話やPDAなどのワイヤレス機器に収まるように設計されています。定電流ステップアップ直列LEDアーキテクチャを採用しているので、この回路の効率は、並列アーキテクチャのスイッチトキャパシタをベースにしたドライバの効率よりも高くなります。
図1a.リチウムイオン・バッテリを使った4個の白色LED用ドライバ
図1b.リチウムイオン・バッテリを使った4個の白色LED用ドライバ
このデザインでは、リチウムイオン・バッテリまたは5Vのアダプタ入力から15mAの定電流が供給され、直列に接続された4個のLEDがドライブされます。ショットキ・ダイオード、ソフトスタート機能および開放LED保護が内蔵されているので、回路が簡素化され、性能が改善されます。周波数が1.2MHzに固定されており、最適化された補償回路が内蔵されているので、小型0603サイズのセラミックの入力コンデンサと出力コンデンサ、小型インダクタなどの小型部品を使用することができます(LT3465Aではさらに小さなチップ・インダクタを使用することができます)。LED電流は、帰還ピンに抵抗R1を使い、次の簡単な式にしたがってプログラムします。
ILED = 200mV/R1またはR1 = 200mV/ILED(表1を参照)。
FULL ILED (mA) | R1 (Ω) |
5 | 40.2 |
10 | 20.0 |
15 | 13.3 |
20 | 10.0 |
非常に精確なLED電流を必要とするアプリケーションには精密抵抗(1%)を推奨します。
調光制御
LT3465はシングル・ピン・シャットダウン機能と調光制御機能を備えています。0.2V~約1.5VのDC電圧(図2a)をCTRLピン(ピン4)に印加すると、帰還電圧は25mVから200mVに変化します。20mAのLED電流のアプリケーション(RFB = 10Ω)の場合、CTRLピンの電圧を0.2V~1.5Vの範囲で変化させるとLED電流が2.5mA~20mAの範囲で変化します。CTRL電圧が50mVより低いとデバイスはシャットダウンします。図3の曲線はVFBとVCTRLの相関を示しています。
図2a.DC電圧調光
図3.VFBとVCTRLの相関曲線
DC電圧、フィルタをかけたPWM信号、およびロジック信号による3つの調光方法を図2に示します。最初の2つの方法では、CTRLピンの電圧を変えてLEDの輝度を調節します。ロジック信号を使う方法では、帰還電圧を直接変えて輝度を調節します。
図2bに示されているフィルタをかけたPWM調光はDC電圧による調光と同様に動作しますが、VDC入力がフィルタをかけたPWM信号からくる点が異なります。フィルタは5kΩ、100nFのRC回路で、PWM信号をPWM信号のデューティ・サイクルに比例したDC電圧に平滑化します。この場合、LED電流はPWM信号のデューティ・サイクルに比例して増加します。100%のデューティ・サイクルは全LED電流に対応し、0%のデューティ・サイクルはゼロLED電流に対応します。フィルタをかけたPWM調光には2Vの3kHzの周波数を推奨します。
図2b.フィルタをかけたPWM調光
ロジック信号による調光方法(図2 c )では、NチャネルMOSFETとRINCを使って、ロジック信号がMOSFETをオンするときR1の値を減らします。R1の値が低い方のLED電流を設定し、RINCとR1の並列接続が高い方のLED電流を設定します。この簡単な回路ではひとつの調光ステップが可能です。2レベル以上のLED電流にするには、さらにMOSFET-RINC回路を並列に追加します。各電流設定用に個別のロジック信号が必要で、LED電流の計算には各RINC(n)の並列抵抗値が関係してくることに留意してください。n個のスイッチがオンしているとき、ILED(n) = 200mV[R1||RINC(1)...||RINC(n)]となります。さらにLED電流を制御するため異なった抵抗がスイッチで接続されても、依然としてCTRLピンを使うができます。
図2c.ロジック信号による調光
まとめ
LT3465はリチウムイオン・バッテリ入力から2個~4個のLEDをドライブするのに最適化された白色LEDドライバです。36V、1.2MHzのパワー・スイッチ、ショットキ・ダイオード、自動ソフトスタート、開放LED保護および最適化された内部補償を内蔵しています。LT3465は小さな回路サイズ、高効率、および整合したLED輝度を必要とするワイヤレス・デバイスに最適です。