同じI²Cバス上における複数のDS1859デバイスの接続
要約
一部のアプリケーションでは、複数のDS1859デバイスを同じI²Cバス上に接続する必要があります。このアプリケーションノートでは、2個のDS1859デバイスが同じI²Cバス上に一緒に接続される場合に、DS1859デバイスのいずれか1つのI²Cスレーブアドレスを変更する方法について示します。続いて、説明された手順をそのバスに追加されるどの追加DS1859デバイスにも拡大し、適用することができます。また、このノートでは、デバイスの補助スレーブアドレスへのアクセス方法についても説明します。
はじめに
デュアル温度制御抵抗のDS1859では、外部端子を使って、I²Cスレーブアドレスを変更することはできません。その代わりに、このデバイスは、メインメモリ用のプログラマブルなI²Cスレーブアドレスを備えています。アプリケーションでは、場合によっては複数のDS1859デバイスを同じI²Cバス上に接続する必要があります。どのDS1859デバイスも同じ出荷時デフォルトのI²Cスレーブアドレスを備えているため、これらのデバイスがI²Cバスに接続されている間に、1個以上のデバイスのI²Cスレーブアドレスを変更する必要があります。
このアプリケーションノートでは、2個のDS1859デバイスが同じI²Cバス上に一緒に接続されている場合に、DS1859デバイスのいずれか1つのI²Cスレーブアドレスを変更する方法について説明します。続いて、同じ原則を複数デバイスに拡大することができます。この記事では、ユーザがDS1859のWPEN端子を必要に応じてロジックハイまたはロジックローに切り替えることができることを仮定しています。
また、DS1859は各デバイスごとに以下のように2個のスレーブアドレスを備えているため、ユニークなデバイスです。1つはプログラマブルな、メインメモリにアクセスするためのアドレスで、もう1つは補助メモリにアクセスするための固定アドレス(A0h)です。補助メモリへのアクセスは、このアプリケーションノートの末尾で説明します。
同じI²Cバス上における2個のDS1859デバイスの接続
2個のDS1859を同じI²Cバスに接続するには、1個のデバイスのデバイスアドレスを変更し、もう1個のデバイスをデフォルトアドレスのA2hに維持する必要があります。これは、以下の手順を使って実行することができます。
- 1個のDS1859 (デバイス1)のWPEN端子を信号グランドにしてください。
- もう1個のDS1859 (デバイス2)のWPEN端子をハイにしてください。
- デバイス2のMPENビットをハイに設定してください(スレーブアドレスA2h、テーブル01h、レジスタ89h、ビット2)。この設定によって両デバイスのMPENビットが設定されますが、デバイス1のWPEN端子はグランド接続されているため、デバイス2のみが書込み保護されます。このステップの後はスレーブアドレスA2hによるどの書込みも、デバイス1にのみ影響を与えます。
- デバイス1のスレーブアドレスを希望する値に変更してください(A2h以外の00h~FEh)。設定用に、スレーブアドレスA2h、テーブル01h、バイト8Chを使用してください。
- デバイス1のADFIXビットをハイに設定してください(スレーブアドレスA2h、テーブル01h、レジスタ89h、ビット4)。
- これでデバイス1のスレーブアドレスは、ステップ5で設定されたアドレスを使用するように設定されます。
- 次に、WPEN端子を希望するロジックレベルにすることができます。その後に、MPENビットを元のデフォルト値(0b)に変更することができます。
追加DS1859デバイスのシステムへの追加
複数のDS1859デバイスを同じI²Cバス上に接続するには、この同じ手順に従う必要があります。いずれの場合も、デバイスアドレスの変更が必要なデバイスを除き、全デバイスが書込み保護されます。
補助メモリへのアクセス
ユーザは、メインデバイスアドレスのみが変更可能であることに留意する必要があります。どのデバイスの補助メモリアドレスも変更不可であり、常にA0hです。アドレスA0hで、I²Cバス上の複数デバイスのうち1個のデバイスのみが、補助メモリにアクセスすることができます。ただし、テーブル00hでメインデバイスアドレスを通じて、他のデバイスの補助メモリにアクセスするようにADENビットを設定することができます。
結論
このアプリケーションノートでは、システム内でPCBにすでに半田付けされ、同じI²Cバスに接続された、同じデフォルトのI²Cアドレスを持つ複数DS1859のI²Cスレーブアドレスを変更する方法について説明します。
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