衛星ISPアプリケーションのための無線機設計ソリューションのブロック図

要約

このアプリケーションノートでは、衛星ISP用のブロック図を紹介します。MAX2114ダイレクトコンバージョンチューナICを使用します。MAX2114はチップ内の局部発振器(LO:Local Oscillator)を備え、ノイズ指数は10.8dBです。また、-25dBm~-68dBmのRF入力範囲に対応しています。MAX2721ダイレクトI/Q変調器は、制御範囲が35dBのVGA (Variable-Gain Amplifier:可変利得アンプ)を備えています。35dBcの側波帯抑制と30dBcのキャリア抑制が得られています。

概要

衛星は、インターネット接続の手段として成長しつつある選択肢の1つです。従来からの有線によるブロードバンドのインターネット接続方式、たとえば、xDSL、ケーブルテレビ、T1、ISDNなども高速なインターネット接続が可能です。しかし、衛星インターネット接続は、高速なインターネット接続を実現しながらも、設置が安価で、拡張が容易です。

衛星インターネット接続用のトランシーバには、ベースバンド処理用の高品質な信号を確保するために、広帯域で高直線性、かつ低ノイズなシステムが必要です。マキシム社の先進的な、ダイレクトアップ/ダウンコンバージョンチップセットは、このアプリケーションのための完全なソリューションを提供するものであり、高性能、低コスト、及び小型化を実現しています。以下のブロック図に代表的なアプリケーションを示します。

MAX2114:ダイレクトコンバージョンチューナIC

MAX2114は、業界最新の最先端の衛星チューナICです。MAX2114には、利得制御付き低ノイズアンプ(LNA:Low-Noise Amplifier)、I/Qダウンコンバータミキサ、ベースバンド利得制御及び周波数制御付きの内蔵ローパスフィルタ、モジュラス1/2及びモジュラス32/33のプリスケーラが含まれています。MAX2114はチップ内の局部発振器(LO:Local Oscillator)を備えており、動作に必要なものは、外付けのバラクタ同調LCタンクだけです。さらに、内蔵LOダブラにより、MAX2114は、単一のLCタンク上で1オクターブ以上の周波数をチューニングできます。このデバイスは10.8dBのノイズ指数と+8dBmの入力IP3を実現します。デバイスの幅広い利得制御範囲により、キャリア当たり-25dBm~-68dBmのRF入力範囲に対応できます。内蔵の7次ローパスフィルタにより、ベースバンドのサンプリングレート要件が緩和され、キャリア対ノイズ比(C/N:Carrier-to-Noise Ratio)が向上します。デバイスはダイレクトダウンコンバージョンのアーキテクチャを使用しているので、高価なイメージ除去用のSAWフィルタやセラミックフィルタが不要となり、レシーバの実装サイズを低減できます。MAX2114は、エクスポーズドパドル付きの44ピンQFNパッケージで提供されます。

MAX2721:VGA及びPAドライバを備えたダイレクトI/Q変調器

MAX2721は、広帯域無線通信用に設計された、低コストで高性能なダイレクトI/Q変調器です。デバイスにはI/Q変調器、可変利得アンプ(VGA)、及びパワーアンプ用のドライバが含まれています。直交変調器は差動ベースバンドI/Q信号を受け取り、2.1GHz~2.5GHzの範囲のRFキャリアを直接変調します。VGAの出力電力制御範囲は35dBです。変調器の振幅と位相バランスにより、35dBcの側波帯抑制と30dBcのキャリア抑制が得られます。デバイスにはLO周波数ダブラが備わり、これにより、外部LO源をハーフ周波数で動作させることができ、RF-LOの漏れを最小限にし、ダイレクトダウンコンバージョンのアーキテクチャにおけるDCオフセットを低減することができます。

衛星ISP:衛星インターネット接続アプリケーション
衛星ISP:衛星インターネット接続アプリケーション