5つのコンパレータICで実現する3Vから5VへのレギュレータとµPリセット

要約

マルチコンパレータ回路を使って、簡素なブーストコンバータをつくり、より高い出力電圧とリセット回路を提供することができます。このアプリケーションではどのように3V電源が追加の5V出力とパワーオンリセット(POR)回路を生成できるかを示します。このアプリケーションは電圧検出器を使って、外部ブースト回路を制御し安定化された5V出力を提供するオシレータ回路をつくります。

3Vシステムは一般化してきましたが、多くの場合、少なくとも数個の5V系部品を用いなければならないことがあります。5つのコンパレータを内蔵した単一のICにより、必要な5Vを(3Vから)発生するとともに、システムマイクロプロセッサ用のパワーオンリセット信号も発生することができます(図1)。

図1. このICと関連する部品により3V電源を5Vにブーストするとともに、「5V READY」信号やµPリセット信号の発生を行うことができます。
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図1. このICと関連する部品により3V電源を5Vにブーストするとともに、「5V READY」信号やµPリセット信号の発生を行うことができます。

コンパレータIC1Aは、方形波出力(約60%のデューティサイクル)でQ1のベースを駆動するオシレータとして構成されています。Q1は、インダクタL1、キャッチダイオードD2、およびC2からなる従来型DC-DCコンバータを駆動します。VOUTが5Vを超えると、コンパレータIC1Bは、オシレータ信号をローにします(IC1のオープンドレイン出力は問題なく相互に接続することができます)。これらの総合的な効果によって、5Vへの安定化が実行されます。

IC1の最小動作電圧は2.7Vであり、この回路がこの電圧で動作しているとき、5V/2.8mAを60%の効率で供給可能です。L1は安価な1mHのインダクタで、直列抵抗は約25Ωです。より高い電流と良好な効率を得るためには、より高価なインダクタを用いて、この直列抵抗を下げる必要があります。出力リップルは、ほとんどコンパレータIC1Bに組み込まれたヒステリシスによるもので、約50mVです。

コンパレータIC1Cは、ブーストレギュレータの出力が、ほとんどの5Vロジックが動作可能なレベルである4.5Vに達すると、アクティブハイの「5V READY」信号を発生します。

コンパレータIC1DおよびIC1Eは、3V電源の電圧が低くなり過ぎると(2.83V以下)、マイクロプロセッサにリセット信号を与えます。電源電圧がこのスレッショルド値以下になるとアクティブローRESETがローとなり、スレッショルド値以上になった後も200msの間ローを保ちます。電源電圧が立上がる際には、ヒステリシスによってスレッショルドは約2.87Vまで上がります。200msのインターバルは、電源が回復した後にマイクロプロセッサを完全にリセットするための時間を保証し、回路内のすべてのコンデンサを再充電するための時間を稼ぎます。

5つのコンパレータを内蔵するIC1に関連するアプリケーションとしては、3Vデバイスが発生したロジック信号を5Vデバイスに適したレベルに変換する機能があります。