目的
ドレインとゲートを短絡したMOSトランジスタは、ダイオードとして機能します。この構成をダイオード接続と呼びます。今回は、ダイオード接続したMOSトランジスタ(NMOSとPMOS)について、電圧に対する順方向/逆方向の電流特性を調べてみます。
準備するもの
- アクティブ・ラーニング・モジュール「ADALM2000」
- ソルダーレス・ブレッドボード
- 抵抗:100 Ω(1 個)
- NMOS トランジスタ:「ZVN2110A」(1 個)
- PMOS トランジスタ:「ZVP2110A」(1 個)
NMOSの評価方法
エンハンスメント型のNMOSトランジスタの場合、ゲート‐ソース間の電圧と電流の関係は、図1のように回路を構成することで評価できます。まず、ADALM2000の任意波形ジェネレータ(AWGのW1)を抵抗R1の一端に接続します。ここには、オシロスコープの入力2+も接続します。NMOSトランジスタM1のゲートとドレインは、図に示すとおり、R1のもう一端に接続してください。そして、M1のソースは、負電源Vn(-5V)に接続してください。オシロスコープの入力2-と同1+は、M1のゲート/ドレインと同じノードに接続しましょう。オシロスコープの入力1-は、ノイズの混入を抑えるためにグラウンドに接続します。なお、回路の接続を行う際には、電源Vnを必ずオフにしておいてください。電源はすべての接続が正しく行われていることを確認してから投入します。

ハードウェアの設定
図2に示したのが、図1の回路を実装したブレッドボードです。AWGのW1は、ピークtoピークの振幅が10V、オフセットが0V、周波数が100Hzの三角波を生成するように設定します。オシロスコープの差動チャンネル2(2+と2-)により、R1(とM1)に流れる電流を測定します。オシロスコープのシングルエンド入力チャンネル1(1+)は、M1の両端の電圧を測定するために使用します。M1を流れる電流の値は、2+と2-で測定した電位差をR1の値(100Ω)で割ることにより求められます。

手順
得られたデータを「Microsoft Excel」に読み込んで、M1を流れる電流IDの値を計算します。その電流値とゲート‐ソース間電圧VGSの関係をプロットしてください。すると、図3のような結果が得られるはずです。この構成では、電流が逆方向に流れることはありません。一方、順方向の導通領域では、電圧と電流は2次関数の関係を示すはずです。次に、電流の平方根を計算し、その値とVGSの関係をプロットしてください。2つのグラフの形状を比較し、気が付いたことをメモしておきます。

PMOSの評価方法
次に、PMOSについて同じ評価を行います。接続方法は、NMOSの場合と同様です(図4)。オシロスコープの入力の極性を、先ほどとは逆にしている点に注意してください。これは、オシロスコープの画面上で電圧と電流の向きがNMOSの場合と同じになるようにするためです。トランジスタM1のソースは、正電源Vp(5V)に接続します。オシロスコープの入力2+と同1-は、M1のゲート/ドレインと同じノードに接続しましょう。回路を実装する際には、電源Vpを必ずオフにしておいてください。電源は、すべての接続が正しく行われていることを確認してから投入します。

ハードウェアの設定
図5に示したのが、図4の回路を実装したブレッドボードです。AWGのW1は、ピークtoピークの振幅が10V、オフセットが0V、周波数が100Hzの三角波を生成するように設定します。オシロスコープの差動チャンネル2(2+と2-)により、R1(とM1)に流れる電流を測定します。オシロスコープのシングルエンド入力チャンネル1(1-)は、M1の両端の電圧を測定するために使用します。M1を流れる電流の値は、2+と2-で測定した電位差をR1の値(100Ω)で割ることにより求められます。

手順
得られたデータをExcelに読み込んで電流IDの値を計算します。その電流値とゲート‐ソース間電圧VGSの関係をプロットしてください(図6)。電流は逆方向に流れることはありません。一方、順方向の導通領域では、電圧と電流は2次関数の関係を示すはずです。次に、電流の平方根を計算し、その値とVGSの関係をプロットしてください。2つのグラフの形状を比較し、気が付いたことをメモしておきます。

問題
VGSとIDの測定結果をグラフとして表示し、VTHとK(W/L)の値を求めなさい。NMOSとPMOSとでは、VTHとK(W/L)の値にどのような違いがありますか。
答えはStudentZoneで確認できます。