負荷変動が大きい車載アプリケーション向けの多相降圧コンバータ、その応答速度と効率を高めるには?

質問:

車載アプリケーションでは、電流のスルー・レートと効率に対する要求が高まっています。それに関連して、アナログ・デバイセズが特許を取得した結合インダクタ技術に興味を持ちました。その技術を適用すると、多相降圧コンバータの性能はどのくらい向上するのでしょうか?

Enhancing Speed and Effiiency for High Transient Automotive Applications

回答:

車載アプリケーションでは、より多くの電流を供給できるようにしつつ、高速な負荷過渡応答を実現する必要があります。アナログ・デバイセズが特許を取得した結合インダクタは、そうした課題に対処するために特別に設計されています。高い効率を実現したい場合、理想的には値の大きいインダクタを使用して電流リップルを小さく抑えるべきです。一方で、高速な負荷過渡応答を実現するためには値の小さいインダクタを使用する必要があります。結合インダクタでは、定常状態において値の大きいインダクタのように振る舞う独自の結合メカニズムを利用します。それにより、電流リップルが効果的に低減されます。それだけでなく、結合インダクタは、負荷の変動が生じている際には高速に応答できる値の小さいインダクタとして機能します。そのため、負荷に1V未満の電圧を供給するために不可欠な高い効率を維持しつつ、サイズを小さく抑えることが可能になります。また、この設計は応答時間の短縮につながります。そのため、結合インダクタを採用した多相降圧コンバータは、性能を損なうことなく、非常に大きな負荷変動に対処できます。ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)や大電流を必要とするその他のアプリケーションでは、先進的なICによって一連の処理を行う必要があります。それらのICでは、電圧の許容誤差、効率、負荷過渡応答について非常に厳しい仕様が定められています。値を最適化した結合インダクタを使用して多相降圧コンバータを設計すれば、それらの仕様を満たすことが可能になります。

はじめに

多くの場合、低い電圧で動作しつつ大電流を消費するアプリケーションでは、多相降圧コンバータが用いられます。その実装方法はいくつか考えられます。図1(a)に示すのは、従来の典型的な実装方法です。この実装では、ディスクリートのインダクタ(Discrete Inductor。以下、DL)を使用しています。一方、図1(b)に示す構成では、DLを結合インダクタ(Coupled Inductor。以下、CL)に置き換えています。CLでは巻線が磁気的に結合されます。そのため、電流リップルを相殺できるというメリットが得られます16

図1. 多相降圧コンバータの実装方法。(a)はDLを使用する方法、(b)はCLを使用する方法を表しています。
図1. 多相降圧コンバータの実装方法。(a)はDLを使用する方法、(b)はCLを使用する方法を表しています。

車載アプリケーションの代表的な例としてはADASが挙げられます。このシステムでは、特に高速な負荷変動が生じる状況下で電源電圧に関する厳しい制約を満たす必要があります。すなわち、GPUやASICに供給する0.4V~1Vの電源電圧を厳密にレギュレートしなければならないということです。一般に、負荷が加わったときの遷移として、各相に対応するすべてのスイッチング・ノードの電圧VXはVINまで上昇します。そして、各相に対応するインダクタの電流が以下の式に示すスルー・レートで増加します。ここで、VINは入力電圧、VOUTは出力電圧、Lはインダクタの値です。一方、負荷が取り除かれたときの遷移としては、すべての相の電圧がGNDまで低下します。それに伴い、インダクタの電流も減少します。これについては以下の式が成り立ちます。ここでは出力電圧が低い(VOUT < 1V)ことを前提とし、通常の入力電圧は5V以上であると仮定しましょう。その場合、式(1)と式(2)を比較すると、負荷が取り除かれたときの遷移によって主な問題が起きることがわかります。これは、電流を減少させるための電圧がわずかしかないことによるものです。

数式 01

数式 02

簡単な解決策としては、出力コンデンサCOUTとして使用するセラミック・コンデンサの数を増やす方法が考えられます。しかし、その手法は、サイズとコストの面で非現実的なものであることがすぐにわかるはずです。一般に、自動車業界で使われるDC/DCコンバータでは、2MHz以上の比較的高いスイッチング周波数FSが使用されます。このことは、クラウド・ベースのアプリケーションや産業用のアプリケーションで使用されるDC/DCコンバータとは対照的だと言えるでしょう。車載分野では、その環境に特有の電磁干渉(EMI)の要件を満たすために、高いスイッチング周波数を使用しなければならないのです。それにより、値の小さいインダクタを使用できるという効果が得られますが、他の問題への対処も必要になります。

従来のDLを使用する多相降圧コンバータの場合、各相に対応する電流リップルは以下の式によって求めることができます。

数式 03

ここで、VOUTは出力電圧、VINは入力電圧、Dはデューティ・サイクル(VOUT/VIN)、Lはインダクタの値、FSはスイッチング周波数です。ここで、漏れインダクタンスがLKで相互インダクタンスがLMのCLについて考えます。そのCLでDLを置き換えた場合、電流リップルは以下の式で表されます6。ここで、性能指数(FOM:Figure of Merit)として定義される項FOMCLは以下のようなものになります。この式(5)で使われているNPHは結合する相の数です。また、ρは結合係数であり、式(6)で表されます。jは式(7)で表されるランニング・インデックスであり、単にデューティ・サイクルの適用可能な期間を定義します。

数式 4

数式 5

数式 6

数式 7

CLのパラメータは、漏れインダクタンスLKと相互インダクタンスLMです。特定のCLを使用した設計における式(4)と式(5)のFOMの意味は、次のように解釈できます。すなわち、FOMは、DLを使用する従来の降圧レギュレータと比較した場合の電流リップルのキャンセルに関する追加の乗数に相当します。FOMの定義とその意味は、一般化もされましたし、拡張もされました。それにより、任意の電流リップルと負荷過渡応答を持つシステムを比較できるようになりました11。本稿では、正規化された電流リップル(所望の小ささ)に対する正規化された負荷過渡応答のスルー・レート(所望の高さ)の比を使用することを提案します。つまり、以下の式(8)によってFOMを表します。ここで、負荷過渡応答のスルー・レートと電流リップルは、DLを使用したいくつかのベンチマーク用コンバータに関連する数値によって正規化します(そのため、DLを用いるシステムのFOMは1になります)。SRTRとΔILは、所望の設計/技術における負荷過渡応答のスルー・レートと定常状態の電流リップルです。一方、SRTR_DLとΔILDLは、DLを使用したベンチマーク用コンバータにおける負荷過渡応答のスルー・レートと定常状態の電流リップルを表します。

DLを使用する場合の電流のスルー・レートは、遷移が生じている状態と定常状態で同じレベルになります。この事実を利用すると、式(8)を以下の式(9)のように簡略化することができます。これにより、DLを使用する設計を実際に参照することはなくなりますが、ベンチマークを基にするという思想はそのまま引き継がれています。

数式 8

数式 9

CLを対象として、式(9)の一般化されたFOMの定義を使用すると、式(5)になります。つまり、この新たな定義には下位互換性があります。また、電流リップルと負荷過渡応答のスルー・レートの両方がDLの式とは異なる任意の技術にも適用することが可能です。そうした技術の例としては、TLVR(Trans-inductor Voltage Regulator)9などが挙げられます。

CL自体の設計において考慮すべき事柄

ここでは、CL自体の設計について解説します。それに向けて、VIN = 5V、VOUT = 0.8V、FS = 2.1MHz、NPH = 8という仕様のアプリケーションを例にとります。出発点として、高速な負荷の変動に対応するために32nHのDLを使用するケースを考えましょう。そのDLのサイズは4.2mm×4.2mm×4.2mmであるとします。これらを8相のCLで置き換えることが理想です。しかし、高さ(h)が4mmまでという要件を満たそうとすると、CLが過度に薄く長い形状になってしまいます。そのような長い製品を製造することはできません。また、製造できたとしても、ボードのたわみの影響を受けやすくなります。そのため、4相のCLを選択することにしました。そうすれば、部品の配置やレイアウトの柔軟性が高まります。ここでの目標は、より高速の負荷過渡応答を実現することです。また、CLを使用する場合、出発点であるDLを使用した場合よりもリップルの値が小さくなることがわかっています。そこで、漏れインダクタンスLKの値を最小限に抑えるために、最近開発されたノッチCL(NCL:Notch CL)の構造を選択することにしました7810。この構造を採用して実現されたCLが「NCL0804(ノッチ結合型インダクタ)」です(以下では、この製品を新規NCLと呼ぶことにします)。新規NCLは、LKが約17nH、OCL(= LM + LK)が100nH、NPHが4、相のピッチが6.9mm/相、高さ(h)が最大4.0mmという仕様で設計されています(図2)。

図2.「 NCL0804-4-R17」の外観(高さは最大4mm)
図2.「 NCL0804-4-R17」の外観(高さは最大4mm)

異なる設計を比較したい場合にはFOMのプロットを使用するとよいでしょう10。DLを使用する設計では、定常状態と遷移が生じている状態における電流のスルー・レートの間のトレードオフは1:1です。そのため、DLを使用する場合、どのような設計でもFOMは1になります。それに対し、NCLの構造は、与えられたサイズでLM/LKを最大化します。そのため、一般に最高のFOMが得られます9。図3はFOMのプロットを使用して、異なる設計の比較を行った例です。これを見ると、目標とする出力電圧の付近において、新規NCLを使用した設計はDLを使用する設計と比べて約4.4倍優れていることがわかります。

図3. FOMの比較結果。新規NCL(17nHが4個)と理想的なNCL(17nHが8個)を使用した場合の出力電圧VOUTに対するFOMを、任意のDLを使用した場合のFOMと比較しています(VINは5V)。
図3. FOMの比較結果。新規NCL(17nHが4個)と理想的なNCL(17nHが8個)を使用した場合の出力電圧VOUTに対するFOMを、任意のDLを使用した場合のFOMと比較しています(VINは5V)。

図4は、各設計の電流リップルを比較したものです。また、各設計の様々なパラメータの比較結果を表1にまとめました。DLの値は、電流リップルと負荷過渡応答のスルー・レートに関する異なる妥協点に応じて広い範囲の中から選ぶことができます。ただ、新規NCLの優位性は常に4.4倍です。例えば、新規NCLを使用した場合、32nHのDLを使用する場合と比べて1.88倍も高速でありながら、電流リップルは1/2.35まで低減されます。2.35×1.88は約4.4なので、FOMが4.4倍になるという想定と一致しています。電流リップルは、100nHのDLを使用することでも低減することが可能です。そうすれば、電流リップルの大きさは新規NCLを使用する場合の1/1.33になります。しかし、新規NCLを使用すれば、100nHのDLを使用する場合と比べて5.88倍も高速になります。5.88/1.33を計算するとやはり約4.4になります。つまり、どのようなDLを使用する場合と比べても、新規NCLを使用する方が有利になります(新規NCLのFOMは4.4)。

図4. 電流リップルの比較結果。新規NCL(17nHが4個)と理想的なNCL(17nHが8個)を使用した場合の出力電圧V<sub>OUT</sub>に対する電流リップルを、32nH、100nHのDLを使用する場合と比較しています。
図4. 電流リップルの比較結果。新規NCL(17nHが4個)と理想的なNCL(17nHが8個)を使用した場合の出力電圧VOUTに対する電流リップルを、32nH、100nHのDLを使用する場合と比較しています。
表1. 4相降圧コンバータで各種のインダクタを使用した場合の比較
インダクタ 高さ〔mm〕/相対値 効率 電流リップル、相対値 負荷過渡応答、相対値 負荷過渡応答/リップルの
相対的なメリット(式9より)11
NCL0804-4 最大4.0/1倍 良好 1倍 1倍 4.4倍
DL = 32 nH 最大4.4/1.1倍大きい 低い 2.35倍大きい 1.9倍遅い 1倍
DL = 100 nH 最大6.4/1.6倍大きい 良好 1.33倍小さい 5.9倍遅い 1倍

ここで、前掲の図3に示した理想的な8相のNCLを使用した場合のFOMに注目してみましょう。仮にNPHが8のNCLを製造できるとすると、DLに対するNCLの性能の優位性は4.4倍から5.8倍に高まります。出力電圧がより低い場合、更に相対的な差が大きくなることがわかります。

したがって、今後は、NCL自体について別の設計を検討する価値があるかもしれません。例えば、フェライト・コアのアスペクト比(長さ/高さ)を低く抑えるために、相を2列に配置する方法が考えられます。そうすれば製造が容易になるはずです。その場合、NCLはプリント基板の底部で、GPU用のセラミック・バイパス・コンデンサの真上に配置し、その周囲でNCLを取り囲むように出力段を配置できる可能性があります。この手法は、垂直方向の電力供給(VPD:Vertical Power Delivery)で使われる配置に似ています。そして、負荷過渡応答とリップルのトレードオフ(実質的な過渡効率)を改善できる可能性があります。しかし、上記のような変更を行うと、既存の設計やレイアウトから大きく逸脱したものになるでしょう。その点には注意が必要です。この手法を検討するか否かは、設計者の判断に委ねられます。

効率の評価結果

最後に、各種のインダクタを使用した場合の多相降圧コンバータの効率を比較しましょう。図6に示すように、32nHのDLをNCL0804-4で置き換えることにより効率が向上します。この改善は、主として電流リップルの大幅な低減によるものです(前掲の図4)。リップルの低減は、巻線、出力段、配線パターンにおけるRMS電流の減少にもつながります。また、図6にも現れているようにAC損失の低減にも寄与します。図5(a)に示したのは、100nHのDLを使用した多相降圧コンバータの例です。一方、図5(b)の多相降圧コンバータでは、1相あたり17nHの新規NCLを使用しています。新規NCLを使用した回路では、遷移が生じた際の電流のスルー・レートが約1.9倍高速になります。また、一般にフィードバック・ループの位相マージンが広がります。一方、100nHのDLを使用した回路では、リップルを低減させると効率が回復します(図6)。但し、そのようなDLの高さは許容可能な値(4mm)をかなりオーバーします。しかも、新規NCLよりも約5.9倍遅くなります。その結果、必要な出力コンデンサの数に極めて大きな影響が及ぶことになります。DLを使用する場合、様々な選択肢のうちいずれかのトレードオフを行うことになります。この評価結果は、新規NCLを使用すれば、DLを使用する場合と比べて明確な優位性が得られるということを裏付けています。その優位性は、FOMの推定値から予想されたとおりの結果になります。

図5. 4相降圧コンバータの実装例。(a)では100nHのDL(高さは 最大6.4mm)を使用しています。(b)はNCL0804-4(高さは 最大4.0mm)を使用した例です。この基板は、どちらのインダクタも実装できるようになっています。
図5. 4相降圧コンバータの実装例。(a)では100nHのDL(高さは 最大6.4mm)を使用しています。(b)はNCL0804-4(高さは 最大4.0mm)を使用した例です。この基板は、どちらのインダクタも実装できるようになっています。
図6. 各種のインダクタを使用した場合の4相コンバータの効率。32nHのDL(高さは4.4mm)、100nHのDL(高さは6.4mm)、4×17nHの新規NCL(高さは4.0mm)を使用した場合の効率を比較しています。VINは5V、VOUTは0.8Vです。
図6. 各種のインダクタを使用した場合の4相コンバータの効率。32nHのDL(高さは4.4mm)、100nHのDL(高さは6.4mm)、4×17nHの新規NCL(高さは4.0mm)を使用した場合の効率を比較しています。VINは5V、VOUTは0.8Vです。

まとめ

本稿では、新規NCLを具体的な例にとり、CLによって得られる効果を明らかにしました。この新規NCLを使用すれば、電源電圧が非常に低く、非常に高速な負荷過渡応答が求められるアプリケーションの性能を最適化することができます。新規NCLは、車載アプリケーションで求められる低背の仕様に適合するように設計されました。NCLの構造を採用することにより、リークを最小限に抑え、負荷過渡応答/リップルの性能を高めることができます。本稿で説明したとおり、従来のDLを使用する場合と比べて、4倍を超える優位性が得られることが実証されました。

DLを使用する場合でも、新規NCLを使用する場合と同等の効率を得ることは可能です。但し、その場合、新規NCLと比べて高さが1.6倍のDL(100nH)が必要になります。しかも、その負荷過渡応答の速度は5.9倍も遅くなります。更に、出力コンデンサのサイズとコストにも大きな影響が及びます。表1で示した比較結果を見れば、高さ、効率、電流リップル、負荷過渡応答の速度の面で、新規NCL(NCL0804-4)は際立つ優位性を示すことがわかります。

参考資料

1 Aaron M. Schultz、Charles R. Sullivan「Voltage Converter with Coupled Inductive Windings, and Associated Methods(結合誘導巻線を備える電圧コンバータおよびそれに関連する方法)」米国特許第6,362,986号、2001年3月

2 Jieli Li「Coupled Inductor Design in DC-DC Converters(DC/DCコンバータ向けの結合インダクタの設計)」理学修士論文、Dartmouth College(ダートマス大学)、2002年

3 Pit-Leong Wong、Peng Xu、P. Yang、Fred C. Lee.「Performance Improvements of Interleaving VRMs with Coupling Inductors(結合インダクタによるインターリーブ型VRMの性能の改善)」IEEE Transactions on Power Electronics(米国電気電子学会、パワー・エレクトロニクス論文集)、Vol. 16、No. 4、2001年7月

4 Yan Dong「Investigation of Multiphase Coupled-Inductor Buck Converters in Point-of-Load Applications(結合インダクタによって構成したPOLアプリケーション向け多相降圧コンバータに関する研究)」博士論文、Virginia Polytechnic Institute and State University(バージニア工科大学)、2009年7月

5 Alexandr Ikriannikov、Di Yao「Addressing Core Loss in Coupled Inductors(結合インダクタのコアの損失に対処する)」Electronic Design News、2016年12月

6 Alexandr Ikriannikov「Coupled Inductor Basics and Benefits( 結合インダクタの基礎、その長所)」AnalogDevices、2021年

7 Alexandr Ikrianniko、Di Yao「Switching Power Converter Assemblies Including Coupled Inductors, and Associated Methods(結合インダクタを使用するスイッチング・パワー・コンバータ・アセンブリおよびそれに関連する方法)」米国特許第11869695B2号、2020年11月

8 Alexandr Ikriannikov「Evolution and Comparison of Magnetics for the Multiphase DC-DC Applications(多相DC/DCアプリケーション向けの磁性部品の進化/比較)」IEEE Applied Power Electronics Conference(米国電気電子学会、応用パワー・エレクトロニクス会議)、2023年3月

9 Amin Fard、Satya Naidu、Horthense Tamdem、Behzad Vafakhah「Trans-inductors Versus Discrete Inductors in Multiphase Voltage Regulators: An Analytical and Experimental Comparative Study(多相電圧レギュレータにおけるトランスインダクタとディスクリート・インダクタ:分析と実験による比較研究)」IEEE Applied Power ElectronicsConference、2023年3月

10 Alexandr Ikriannikov、Di Yao「Converters with Multiphase Magnetics: TLVR vs CL and the Novel Optimized Structure(マルチフェーズ向けの磁性部品を採用したコンバータ:TLVR、結合インダクタ、新たな最適化構造の比較)」PCIM Europe(電力変換/インテリジェント・モーション欧州展示会)、2023年5月

11 Alexandr Ikriannikov、Brad Xiao「Generalized FOM for Multiphase Converters with Inductors(インダクタを使用して構成した多相コンバータのFOMの一般化)」2023 IEEE Energy Conversion Congress and Exposition(米国電気電子学会、2023年 エネルギー変換に関する会議と展示会)、2023年10月

著者

Jon Wallace

Jon Wallace

Jon Wallaceは、アナログ・デバイセズのシニア・ディレクタです。2005年にMaxim Integrated(現在はアナログ・デバイセズに統合)に入社。車載用の電源やそれに関連する製品の定義を担当してきました。それらの製品による収益は、現在までで8億米ドル(約1256億円)以上に達しています。以前は、TRWAutomotiveで11年間にわたりソフトウェア/ハードウェア技術者として業務に従事。安全性に関連する電子システムのハードウェア/ソフトウェアを開発していました。これまで30年にわたり自動車業界に携わっています。車両用のバス通信とソフトウェア・アルゴリズムに関する25件の米国特許を取得。パデュー大学でコンピュータ工学と電気工学の学士号を取得しました。

Issac Siavashani

Issac Siavashani

Issac Siavashaniは、アナログ・デバイセズのプリンシパル・エンジニアです。2010年にMaximIntegrated(現在はアナログ・デバイセズに統合)に入社しました。2017年からはオートモーティブ・ビジネス・チームに所属。現在は、大電流を扱う多相システムや、低ノイズのアプリケーション向けのレーダー用PMICを担当しています。入社した当初は、Intel(コンスーマ)向けの多相降圧マネージメントICの定義と開発に注力していました。サンフランシスコ州立大学で電気工学と組み込みシステムに関する修士号を取得しています。

Alexandr Ikriannikov

Alexandr Ikriannikov

Alexandr Ikriannikovは、アナログ・デバイセズのフェローです。通信/クラウド・パワー・チームを担当しています。カリフォルニア工科大学でSlobodan Ćuk博士に師事。パワー・エレクトロニクスの研究に携わり、2000年に電気工学の博士号を取得しました。大学院では、AC/DCアプリケーション用の力率改善のプロジェクトや、マーズ・ローバー(火星探査車)用のDC/DC変換(15Vから400V)のプロジェクトなどに参画。大学院の修了後にPower Tenに入社し、数kWクラスのAC/DC電源の再設計と最適化の業務に従事しました。2001年には、2013年にMaxim Integrated(現在はアナログ・デバイセズに統合)に買収されたVolterra Semiconductorに入社。主に低電圧/大電流のアプリケーションや結合インダクタに関する業務に取り組みました。現在はIEEEのシニア・メンバーも務めています。70件を超える米国特許を保有。現在も新たな特許を出願中です。パワー・エレクトロニクスに関する複数の出版物の執筆も担当しています。