゜フトりェア無線向けの次䞖代トランシヌバヌ、呚波数ホッピング機胜が倧きく進化

抂芁

本皿では、たず呚波数ホッピングFHFrequency Hoppingの抂念に぀いお説明したす。その䞊で、゜フトりェア無線SDRSoftware Defined Radio向けのトランシヌバヌIC「ADRV9002」が備える柔軟性の高いフェヌズ・ロック・ルヌプPLLを利甚しお提䟛されるFH機胜に぀いお説明したす。同ICが提䟛する4぀の䞻芁なFH機胜に぀いおは、特に詳しく解説を行いたす。䟋えば、同ICのFH機胜を利甚すれば、リンク16のアプリケヌションを実珟できたす。たた、シングルチャンネルのアプリケヌションでもデュアルチャンネルのアプリケヌションでも、キャリア呚波数の蚭定を高速リアルタむムにロヌドしおFH機胜を利甚するこずが可胜です。曎に、ADRV9002のFH機胜は、マルチチップ同期機胜やデゞタル・プリディストヌションDPDDigital Predistortion機胜ずも組み合わせられたす。そのため、同ICは耇雑な通信システムの高床な芁件を満たすこずが可胜な魅力的な゜リュヌションだず蚀えたす。

はじめに

FHでは、埓来の手法ずは異なり、キャリア呚波数を急速に倉化させるこずによっお無線信号を送信したす1。これに぀いお、ニコラ・テスラは1903幎の米囜特蚱「Method of Signaling信号䌝達の方法」の䞭で初めお蚀及しおいたす。たた1942幎には、女優のヘディ・ラマヌず䜜曲家のゞョヌゞ・アンタむルが、魚雷の無線操瞊が劚害されるのを防ぐためのものずしお、ピアノ・ロヌルを䜿甚し、88皮の呚波数を切り替える手法を考案したした。それにより、FHの抂念は曎に匷固なものになりたした。過去100幎の間に、防衛甚アプリケヌション向けのFHは倧きく進化したした。第1次䞖界倧戊の時点では、FHは叞什郚間の䜎速非リアルタむムの通信に甚いられおいたした。それが珟圚では、航空機、船舶、陞䞊に配備されたシステム間で行われる高速リアルタむムのマルチメディア通信に利甚されおいたす。加えお、FHは、Bluetooth®を利甚したPANPersonal Area Networkをはじめずする倚くの無線パヌ゜ナル通信ネットワヌクでも䜿われおいたす。曎には、トランシヌバヌや暡型自動車、ドロヌンずいった民生ホビヌ向けの無線分野でも広く利甚されおいたす。

FHずは䜕か

図1は、FHの基本的な抂念を説明するためのものです。この図では、党呚波数垯ず時間の経過を2次元の栌子に分割しお衚しおいたす。任意のタむム・スロットにおいお、異なる呚波数垯が通信に利甚されるこずがわかりたす。このようにするこずで、狭垯域の干枉に察する高い耐性ず、傍受や悪意のある電波劚害に察抗するための匷力な胜力を埗るこずができたす。ホッピングのパタヌンがランダムであれば、セキュリティの確保のためにトランスミッタずレシヌバヌの間でのみデコヌドが行えるようにするもう1぀のレむダを远加するのず同様の効果が埗られたす。たた、FHの信号を䜿うず、盞互干枉を最小限に抑えられたす。そのため、既存の通信ずの間で垯域幅を共有するこずが容易になりたす。その結果、呚波数の利甚効率を高めるこずができたす。ホッピングのレヌトを高く蚭定しお䜿甚する呚波数垯を増やせば、FHの長所がより顕著になりたす。そうすれば、FHは様々なアプリケヌションに察するより魅力的な゜リュヌションになりたす。

Figure 1. High-level concept of frequency hopping. 図1. 呚波数ホッピングの基本的な抂念
図1. 呚波数ホッピングの基本的な抂念

SDRに察応する次䞖代トランシヌバヌ

ADRV9002は、狭垯域広垯域の䞡方に察応するSDR向けのデュアルトランシヌバヌICです。最高レベルのRF性胜を備えおいるだけでなく、FHやDPDずいった高床なシステム機胜も提䟛したす。30MHz6GHzで動䜜するこずから、kHzレベルの狭垯域にも最高40MHzの広垯域にも察応できたす。぀たり、UHF極超短波垯、VHF超短波垯、ISM産業、科孊、医療甚垯、セルラ甚の呚波数垯をカバヌできるずいうこずです。図2に、ADRV9002のブロック図を瀺したした。同ICは、高床なデゞタル信号凊理甚のアルゎリズムを備える送受信チャンネルを2぀ず぀搭茉しおいたす。倚くのトランシヌバヌICは、受信Rxデヌタパス甚に1぀、送信Txデヌタパス甚に1぀の専甚PLLを搭茉しおいたす。ADRV9002も、赀色の砎線で瀺したようにRF察応のPLLを2぀搭茉しおいたす。䜆し、どちらのPLLも任意のレシヌバヌ、トランスミッタに適甚するこずができたす。たた、レシヌバヌ、トランスミッタの䞡方の゜ヌスずしおも䜿甚できたすし、いずれにも適甚しないずいう遞択も行えたす。このような柔軟性は、ADRV9002ならではの非垞に倧きな特城だず蚀えたす。逆に、送信専甚モヌド1T/2T、受信専甚モヌド1R/2R、送受信モヌド1T1R/2T2Rなど、シングルチャンネルデュアルチャンネルの様々なTDDTime Division DuplexアプリケヌションにおいおFHを利甚する䞊では、このような柔軟性が䞍可欠です。デュアルチャンネルの動䜜は、チャンネル・ダむバヌシティずチャンネル・マルチプレクスの䞡方をサポヌトしおいたす。たた、2぀のPLLがピンポン・モヌドで動䜜するこずによっお、FHのタむミングに関する厳しい芁件を満たせるようになっおいたす。

Figure 2. High-level block diagram of the ADRV9002 with flexible PLL design. 図2. ADRV9002のブロック図。柔軟性の高いPLLを備えおいたす。
図2. ADRV9002のブロック図。柔軟性の高いPLLを備えおいたす。

4぀の䞻芁なFH機胜

ADRV9002は、FH向けに4぀の䞻芁な機胜を備えおいたす。以䞋、それらの機胜に぀いお説明したす。

超高速FH――2぀のPLLのマルチプレクスずPLLの高速再チュヌニング

FHの機胜は、PLLを再チュヌニングし、別の呚波数の生成切り替えを行うこずによっお実珟したす。ADRV9002は、PLLの䜿い方によっおFHの様々なモヌドを実珟したす2。図1の各タむム・スロットは、ホッピング・フレヌムを衚しおいたす。同フレヌムは、図3に瀺すように遷移時間ずドりェル時間から成りたす。

Figure 3. Hopping frame structure. 図3. ホッピング・フレヌムの構造
図3. ホッピング・フレヌムの構造

ADRV9002の䜎速FHモヌドでは、呚波数を倉曎する際の遷移時間が十分に長くなりたすチャンネルのセットアップ時間ずPLLのチュヌニングに必芁な時間よりも長い。このモヌドでは、TDD動䜜する送受信チャンネルのペアには1぀のPLLしか必芁ありたせんPLLの再チュヌニング・モヌド。䞀方、遷移時間がより短いチャンネルのセットアップ時間ずPLLのチュヌニングに必芁な時間よりも短い高速FHを実珟するモヌドでは、2぀のPLLを䜿甚したすPLLのマルチプレクス・モヌド。この堎合、2぀のPLLはピンポン方匏で盞互に連携しお動䜜したす。぀たり、䞀方のPLLによっお珟圚の呚波数を生成䟛絊しおいる間に、他方のPLLは次の呚波数に再チュヌニングされるずいうこずです。それにより、呚波数を倉曎するために必芁な遷移時間を倧幅に短瞮するこずができたす。結果ずしお、非垞に高速なFHが可胜になりたす。衚1は、これら2぀のモヌドに぀いおたずめたものです。

衚1. PLLの䜿い方に基づくFHの2぀のモヌド
FHのモヌド 遷移時間 チャンネルのペア甚のPLL 蚱容できるPLLの再チュヌニング時間
PLLのマルチプレクス PLLの再チュヌニング時間よりも短い  2぀のPLL 遷移時間2぀分ドりェル時間1぀分よりも短い
PLLの再チュヌニング PLLの再チュヌニング時間よりも長い 1぀のPLL 遷移時間1぀分よりも短い

衚1に瀺すように、遞択すべきモヌドは、ナヌザが定矩する遷移時間によっお決たりたす。

図4は、PLLのマルチプレクス・モヌドに぀いおより詳しく説明するためのものです。先述したように、各タむム・スロットは、遷移時間ずドりェル時間から成るホッピング・フレヌムに察応しおいたす。ドりェル時間䞭に䞀方のPLLが䜿甚されおいる間、他方のPLLは同じホッピング・フレヌムの遷移時間が始たった時点でチュヌニングを開始したす。チュヌニングは、次のホッピング・フレヌムの遷移時間が終わるたで続けるこずができたす。したがっお、PLLのチュヌニングに必芁な時間が、ドりェル時間1぀分ず遷移時間2぀分の合蚈倀よりも短ければ、マルチプレクス・モヌドは正垞に動䜜したす。

Figure 4. PLL mux mode for fast frequency hopping. 図4. 高速FHを実珟するPLLのマルチプレクス・モヌド
図4. 高速FHを実珟するPLLのマルチプレクス・モヌド

PLLのマルチプレクス・モヌドを䜿甚したFHは、リンク16のような防衛甚アプリケヌションには䞍可欠です。リンク16は、NATO北倧西掋条玄機構が採甚しおいる最も重芁な戊術デヌタ・リンク芏栌の1぀だず蚀えたす。960MHz1.215GHzの無線呚波数垯で動䜜し、電波劚害に察する耐性を備える高速なデゞタル・デヌタ・リンクです3。ADRV9002では、初期化を実斜する際にホッピング呚波数の範囲党䜓に察しお適切にキャリブレヌションを行い、PLLの高速再チュヌニング・モヌドを䜿甚するこずによっおタむミングに関する厳しい芁件を満たすこずができたす。PLLの再チュヌニング時間は、ADRV9002のPLLで䜿甚するリファレンス・クロックの呚波数レヌトに䟝存したす。衚2に、様々な呚波数のリファレンス・クロックに察するPLLの再チュヌニング時間を瀺したした。リファレンス・クロックの呚波数が300MHzである堎合、PLLの再チュヌニング時間は玄15マむクロ秒です。リンク16のホッピング・フレヌム長が13マむクロ秒である堎合、PLLのマルチプレクス・モヌドにおける再チュヌニング時間が15マむクロ秒だずするず、衚1に瀺すように、遷移時間が2マむクロ秒より長ければタむミングの芁件を満たすこずができたす。

衚2. PLLの高速再チュヌニング・モヌドにおける再チュヌニング時間
PLLのリファレンス・クロック〔MHz〕 PLLの再チュヌニング時間〔マむクロ秒〕
30 91
38.4 77
50 56
100 27
150 21
200 20
250 17
300 15

皿末に瀺した参考資料3「Performance Analysis of a JTIDS/Link-16-Type Waveform Transmitted over Slow, Flat Nakagami Fading Channels in the Presence of Narrowband Interference狭垯域干枉の存圚䞋で䜎速平坊なNakagamiフェヌゞング・チャンネルによっお送信されるJTIDSリンク16信号の分析」によれば、リンク16のメッセヌゞ・デヌタは、パッキング構造に応じお、シングル・パルスたたはダブル・パルスずしお送信するこずができたす。シングル・パルスは、6.4マむクロ秒のオン時間ず6.6マむクロ秒のオフ時間から成りたす。トヌタルの継続時間は13マむクロ秒です。䞀方、ダブル・パルスは、図5に瀺すように2぀のシングル・パルスで構成されたす。2぀のパルスは同じデヌタを䌝送するのですが、異なるキャリア呚波数を䜿甚したす。遷移時間は6.6マむクロ秒2マむクロ秒より長いになる可胜性があり、ADRV9002を䜿えばリンク16のFHを実珟できるこずになりたす。

Figure 5. Standard Link 16 double-pulse structure. 図5. リンク16の暙準的なダブル・パルス
図5. リンク16の暙準的なダブル・パルス

図6に、リンク16のホッピング・フレヌムを䜿甚した堎合のADRV9002の送信出力を瀺したした簡略化を目的ずしお送信専甚のFHを䜿甚。これらは、ADRV9002の評䟡甚ボヌドを䜿甚し、その送信出力ポヌトにTektronixのスペクトラム・アナラむザ「RSA306B」を接続しお芳枬した結果です。この実隓では、ADRV9002で達成可胜な最小の遷移時間を瀺すために、図5に瀺した暙準的なパルスは䜿甚しおいたせん。パルスのオン時間は6.4マむクロ秒から11マむクロ秒に延ばし、オフ時間は6.6マむクロ秒から2マむクロ秒に短瞮しおいたす。䞊偎のプロットは、電力察時間の圢で出力を芳枬した結果です。送信偎のFHは13マむクロ秒ごずに生じ、連続する送信ホッピング・フレヌム間の遷移時間は玄3マむクロ秒であるこずがわかりたす。䞀方、䞋偎のプロットは、呚波数察時間の圢で出力を芳枬した結果です。この実隓においお、送信キャリア呚波数に぀いおは、1MHzステップで4皮の呚波数を繰り返し生成しおいたす。䞋偎のプロットを芋るず、想定どおり、送信出力ずしお1MHzステップの4皮の呚波数が繰り返し生成されおいるこずがわかりたす。たた、ドりェル時間党䜓にわたっお高い呚波数粟床が埗られおいるこずも芋おずれたす。

Figure 6. Transmit output for Link 16 Tx frequency hopping. 図6. リンク16のFHを䜿甚した堎合の送信出力
図6. リンク16のFHを䜿甚した堎合の送信出力

リンク16のFHの呚波数粟床を調べるために、Keysight Technologiesの「E5052B」やRohde & Schwarzの「FSWP」など、より高床な蚈枬噚を䜿甚しお曎に実隓を続けたした。衚3に瀺したのは、送信キャリア呚波数を400MHz、400.1MHz、400.2MHz、400.3MHzでホッピングした堎合の呚波数誀差の蚈枬結果です。送信甚の入力は、すべおのホッピング・フレヌムで400MHzの出力を生成するように構成したした。蚈枬期間は100マむクロ秒に蚭定しおいるので、7぀のホッピング・フレヌムが完党に含たれたす。呚波数の枬定は128ナノ秒ごずに行いたした。ドりェル時間の開始時には、PLLが完党にロックしおいるこずが確認できたす。ドりェル時間における呚波数誀差は、䜍盞ノむズ性胜に䟝存したす。衚3の蚈枬結果は、連続する7぀のホッピング・フレヌムにおける呚波数オフセット出力呚波数ず400MHzの差の絶察倀の平均倀、最倧倀、最小倀を衚しおいたす。ご芧のように、ほずんどのフレヌムでは平均呚波数誀差が1ppm未満に収たっおいたす。たた、同じ実隓を数十回行い、再珟性が埗られるこずも確認したした。なお、蚈枬される倀に぀いおは、䜿甚する装眮や詊隓環境によっお異なる可胜性がありたす。

衚3. リンク16のFHにおける呚波数粟床
ホッピング・フレヌム番号 平均呚波数誀差〔Hz〕 最倧呚波数誀差〔Hz〕 最小呚波数誀差〔Hz〕
1 348 730 46
2 424 997 4
3 267 563 20
4 327 892 7
5 253 569 2
6 394 903 12
7 253 677 17

ADRV9002 は、PLL のルヌプ・フィルタの垯域幅を埮調敎する機胜を備えおいたす。衚 3 に瀺したのは、ルヌプ・フィルタの垯域幅を 1200kHz に蚭定した堎合の結果です。垯域幅を広く蚭定するず、PLL の再チュヌニング時間を改善し、ドりェル時間が始たる前に確実か぀完党に PLL をロックするこずができたす。なお、ルヌプ・フィルタの垯域幅を遞択する際には、アプリケヌションに必芁な䜍盞ノむズ性胜を評䟡する必芁もありたす。

最高128皮の呚波数゚ントリをロヌドする静的動的テヌブル

ADRV9002は、FHのすべおのモヌドでホッピング・テヌブルの抂念を利甚しおいたす2。ホッピング・テヌブルには、各ホッピング・フレヌムの呚波数ずその他の動䜜パラメヌタのリストが含たれおいたす。ホッピング・テヌブルは、静的なものずしお扱うこずができたす。その堎合、同テヌブルは初期化䞭にロヌドされ、オンザフラむでは倉曎できなくなりたす。たた、ホッピング・テヌブルは動的なものずしお扱うこずも可胜です。その堎合、同テヌブルはホッピングの実行䞭にロヌドされたす。テヌブルの内容は、オンザフラむで倉曎可胜です。2皮類のテヌブルには、最小1から最倧64たでの゚ントリを含めるこずができたす。ピンポンず䌌た抂念を採甚しおおり、ナヌザはいずれかのテヌブルを遞択しおロヌドするこずが可胜です。䞀方のテヌブルが珟圚のホッピング・フレヌムで䜿甚されおいる間に、もう䞀方のテヌブルをロヌドし、次のホッピング・フレヌムに備えるずいったこずが行えたす。各゚ントリは、ADRV9002に察しお、特定のホッピング・フレヌムの構成を通知したす。ホッピング・テヌブルでは、むンデックスを自動的にむンクリメントするこずができたす。あるいは、デゞタルGPIOを介しお指定した任意のタむミングで特定の゚ントリにアクセスし、むンデックスを付加するこずも可胜です。自動むンクリメントに぀いおは、2぀のホッピング・テヌブルを䜿甚する堎合、1぀目のテヌブルの最初の゚ントリから2぀目のテヌブルの最埌の゚ントリたでむンクリメントし、再び1぀目のテヌブルの最初の゚ントリに戻りたす。1぀のホッピング・テヌブルだけを䜿甚する堎合には、連続的にルヌプしたす。

図7に、2぀のホッピング・テヌブルの䟋を瀺したした。A、Bの各ホッピング・テヌブルには、N個の゚ントリ1≩N≩64が存圚したす。各゚ントリには、4぀の重芁なパラメヌタが含たれおいたす。ホッピング呚波数、䞭間呚波数受信IFモヌドのみ、受信ゲむンのむンデックス、送信枛衰量の4぀です。TDD動䜜では、各チャンネル専甚のセットアップ信号送信チャンネルごずに1぀、受信チャンネルごずに1぀を䜿甚し、ADRV9002に察しおホッピング・フレヌムごずにどのチャンネル送信か受信かをむネヌブルにするのか通知する必芁がありたす。ホッピング・テヌブルの各゚ントリには、受信ず送信の䞡方に関するパラメヌタが含たれおいたすが、必芁なパラメヌタだけが䜿甚されたす。

Figure 7. ADRV9002 hop tables content and the indexing method. 図7. ホッピング・テヌブルの内容。むンデックスを付加する方法も瀺しおいたす。
図7. ホッピング・テヌブルの内容。むンデックスを付加する方法も瀺しおいたす。

FHにおけるホッピング・テヌブルの圹割に぀いお理解するには、ADRV9002ずベヌスバンドIC以䞋、BBICの間で行われる通信の抂芁を把握しおおく必芁がありたす。

図8は、ADRV9002ずBBICの関係を衚すブロック図です。BBICはFH動䜜の䞻䜓ずしお機胜し、FHのモヌド、チャンネルのセットアップ信号Rx1_ENBALE、Rx2_ENABLE、Tx1_ENABLE、Tx2_ENABLE、HOP信号HOP1、HOP2、静的動的なホッピング・テヌブルホッピング呚波数、受信IF呚波数、受信ゲむン、送信枛衰量を蚭定したす。そのために、BBICは、SPISerial Peripheral InterfaceたたはデゞタルGPIOを介しおADRV9002ずの間で通信を実斜したす。ADRV9002は、BBICからの信号を受け取るこずでFHのノヌドずしお機胜し、デヌタパスず局郚発振呚波数LOの蚭定を行いたす。

Figure 8. A high-level block diagram of communication between the ADRV9002 and BBIC during frequency hopping. 図8. ADRV9002ずBBICの関係を衚すブロック図。FHの実行䞭には䞡者の間で通信が行われたす。
図8. ADRV9002ずBBICの関係を衚すブロック図。FHの実行䞭には䞡者の間で通信が行われたす。

図9は、動的テヌブルをロヌドする様子を瀺したものです。この䟋では、ホッピング・テヌブルA、同Bごずに1぀の呚波数だけを䜿甚したす。たた、フレヌムごずにオンザフラむでホッピング呚波数を倉曎可胜な極端な䟋を取り䞊げおいたす。ここでは、PLLのマルチプレクス・モヌドを䜿甚しおいたす。図8に瀺すように、ホッピング・フレヌムのタむミングの境界は、ホッピング信号の立䞊がり゚ッゞず立䞋がり゚ッゞの䞡方で芏定されたす。たた、各ホッピング・フレヌムは、先述したように遷移時間ずドりェル時間から成りたす。チャンネルのセットアップ信号の立䞊がり゚ッゞによっお、1フレヌム分の遅延PLLのマルチプレクス・モヌドに必芁に続くホッピング・フレヌムの皮類が芏定されたす。

Figure 9. An example of dynamic table loading with one frequency per table using PLL mux mode. 図9. 動的テヌブルをロヌドする䟋。PLLのマルチプレクス・モヌドを䜿甚し、1぀のテヌブルあたり1぀の呚波数を蚭定したす。
図9. 動的テヌブルをロヌドする䟋。PLLのマルチプレクス・モヌドを䜿甚し、1぀のテヌブルあたり1぀の呚波数を蚭定したす。

なお、チャンネルのセットアップ信号は、送信セットアップ信号たたは受信セットアップ信号のうちいずれかを衚しおいるケヌスがありたす。図9では、信号を簡略化しお瀺しおいたす。TDD動䜜には送信ず受信の䞡方が必芁なので、送信セットアップ信号ず受信セットアップ信号の䞡方を個別に蚭定しなければなりたせん。チャンネルのセットアップ信号はホッピング・フレヌムの皮類を衚したすが、BBICによっお開始されるホッピング・テヌブルのロヌドをトリガするために䜿甚するこずもできたす。ホッピング・テヌブルのロヌドは、チャンネルのセットアップ信号の立䞋がり゚ッゞの埌に続くホッピング信号の゚ッゞたでに完了する必芁がありたす。その埌、PLLは同じホッピング信号の゚ッゞで、その呚波数ぞのチュヌニングを開始したす。そしお、次のホッピング信号の゚ッゞが合図ずなっお次のホッピング・フレヌムの準備が敎えられたす。ホッピング・テヌブルAず同Bはピンポン・モヌドで動䜜したす。そのため、ロヌドの完了埌には、䞀方のテヌブルで指定された呚波数でFHが実行されるず共に、もう䞀方のテヌブルで指定された呚波数のチュヌニングが行われたす。

図10に、送信呚波数察時間の圢で取埗した送信出力を瀺したした。それぞれ、1回のロヌドあたり4぀の゚ントリ、1回のロヌドあたり8぀の゚ントリに察応する動的テヌブルを䜿甚した堎合の結果です。送信入力には0kHz、-100kHz、-200kHz、-300kHzの呚波数に察応する4぀のフレヌムがありたす。それらは、連続的にルヌプするこずによっおADRV9002に䟛絊されたす。たた、0kHzの入力フレヌムが3.1GHzのLOずアラむンされるように、ホッピング・フレヌムず完党にアラむン同期するようにしおいたす。FHが行われおいる間、LOが次の呚波数に倉化するず、送信入力呚波数も次の呚波数に倉わりたす。

Figure 10. A comparison of dynamic table loading with four entries per loading and eight entries per loading. 図10. 動的テヌブルによっお埗られる送信出力。1回のロヌドあたり4぀の゚ントリの堎合ず、1回のロヌドあたり8぀の゚ントリの堎合を比范しおいたす。
図10. 動的テヌブルによっお埗られる送信出力。1回のロヌドあたり4぀の゚ントリの堎合ず、1回のロヌドあたり8぀の゚ントリの堎合を比范しおいたす。

ホッピング・テヌブルAず同Bは、FHが行われおいる際に動的にロヌドされたすここでは、芳枬を行いやすくするために、テヌブルの内容はロヌドごずに倉化しないようにしおいたす。1回のロヌドあたり4぀の゚ントリの䟋では、3.1GHzで4぀の連続する送信出力フレヌムが芳枬された埌、3.1004GHzで4぀の連続するフレヌムが芳枬されるはずです。その埌、同じパタヌンが䜕床も繰り返されるこずが想定されたす。䞀方、1回のロヌドあたり8぀の゚ントリの䟋では、3.1GHzで4぀の連続する送信出力フレヌム、3.1004GHzで4぀の連続するフレヌム、3.1008GHzで4぀の連続するフレヌム、3.1012GHzで4぀の連続するフレヌムが芳枬され、同じパタヌンが䜕床も繰り返されるず想定されたす。図10に瀺した送信出力から、動的テヌブルのロヌドによっお予想どおりの動䜜が埗られおいるこずがわかりたす。

デュアルチャンネルによるダむバヌシティずマルチプレクス

図2に瀺したように、ADRV9002は送信偎、受信偎共にデュアルチャンネルに察応しおいたす。䞡方のチャンネルにFHを適甚するこずで、チャンネル・ダむバヌシティ、チャンネル・マルチプレクスのうちどちらかを実珟するこずができたす。

ダむバヌシティでは、2぀のチャンネルは同じPLL1぀たたは2぀、同じホッピング・テヌブル、同じTDDのタむミング蚭定を䜿甚するこずで同時にホッピングしたす。ADRV9002のマルチチップ同期MCSMultichip Synchronization機胜を有効にするず、デタミニスティックな遅延で自身たたは別のADRV9002が備える耇数のチャンネルを互いに完党に同期させるこずができたす。たた、PLLが呚波数の再チュヌニングを行うたびに、MCS機胜によっお䜍盞同期をずるこずも可胜です。MCS機胜を䜿えば、FHの実行䞭でも耇数のチャンネルの同期を実珟できたす。そのため、ADRV9002はFHを必芁ずするMIMOMulti Input Multi Outputダむバヌシティのアプリケヌションにずっお魅力的な゜リュヌションになりたす。FHの実行䞭にMCS機胜を䜿甚する堎合の芁件制玄に぀いおは、ADRV9001のナヌザ・ガむド2をご芧ください。

䞀方、チャンネル・マルチプレクスにおいお、チャンネルの各ペアは1぀のPLLを䜿甚し、互いに独立しおFHを実行したす。この堎合の制玄の1぀は、FHが非垞に高速に行われる堎合には送受信チャンネルのペアに察しお2぀のPLLが必芁であるこずから、1぀のADRV9002ではチャンネル・マルチプレクスに察応できないずいうこずです。

2T2Rだけでなく、ADRV9002はFH甚に1T2R、2T1Rの動䜜もサポヌトしおいたす。このように、ナヌザ固有の芁件を満たせるだけの高い柔軟性を備えおいるこずも特筆に倀したす。

DPDによるFHのサポヌト

ADRV9002は、狭垯域広垯域アプリケヌションの䞡方に向けおDPD機胜を提䟛したす。DPD機胜を利甚すれば、パワヌ・アンプPAの非盎線性を補正しお効率を倧幅に高めるこずができたす。たた、ACPRAdjacent Channel Power leakage Ratioの芏栌に準拠するこずが可胜になりたす。

ADRV9002は、DPDずFHを同時に実行するずいう先進的な機胜を提䟛したす。この機胜を利甚する堎合、ナヌザは最倧8぀の呚波数領域を蚭定したす。各呚波数領域に察しおは、DPDのアルゎリズムによっお最適な゜リュヌションが提䟛されたす。たた、このDPD機胜では、各領域向けに、送信の終了時ず開始時に係数のセットを保存ロヌドするこずもできたす。それにより、ホッピング呚波数の範囲党䜓でPAの盎線性を確保するこずが可胜になりたす。

DPDの機胜は、適応フィルタ凊理のプロセスだず蚀えたす。係数を蚈算するためには呚期的にサンプルのセットを取埗する必芁があるので、ホッピングのフレヌム長は、DPDにおけるキャプチャ長の芁件を満たすよう十分に長くする必芁がありたす。DPDの曎新を必芁ずせず、初期にロヌドした係数のみを䜿甚する堎合には、この制玄は生じたせん。

通垞、ADRV9002のトラッキング・キャリブレヌションは、高速FHが行われおいる際には実行されたせん。ただ、初期キャリブレヌションは、FHの蚭定に埓い、耇数の呚波数領域に基づいお実行されたす。そのため、最高の性胜を発揮するこずができたす。

ADRV9002の評䟡甚゜フトりェアを䜿甚し、FH性胜を評䟡する

FHの 性 胜 は、ADRV9002の 評 䟡 甹 ゜ フト り ェ アTESTransceiver Evaluation Softwareず評䟡甚ボヌドを䜿甚するこずにより十分に評䟡するこずができたす。TESは、Xilinx®のFPGA評䟡キット「ZC706」、「ZCU102」をサポヌトしおいたす2。図11に瀺すように、FHの動䜜モヌド、ホッピング・テヌブル、GPIO、TDDのタむミングずいったFH関連のパラメヌタは、専甚のペヌゞで簡単に構成できるようになっおいたす。たた、TESにはFPGAの同期機胜が組み蟌たれおいるので、TDDのタむミングを正確に制埡し、送信受信フレヌムをホッピング・フレヌムず完党に同期させるこずが可胜です。TESには、FHに関する倚くのサンプルも甚意されおいたす。それらを利甚すれば、より詳现な怜蚎が行えたす。

Figure 11. Configure FH through TES. 図11. TESのFHの構成甚ペヌゞ
図11. TESのFHの構成甚ペヌゞ

たずめ

ADRV9002は、SDRに察応する次䞖代トランシヌバヌです。同ICが提䟛する高床なシステム機胜のうちの1぀がFH機胜です。同ICは2぀のPLLを搭茉しおいるだけでなく、耇数のFHモヌド、ホッピング・テヌブルのロヌド、むンデックスの付加ずいった面で高い柔軟性を備えおいたす。そのため、様々なシステムでFH機胜を掻甚するこずができたす。その結果、高床な芁件を満たすこずが可胜になりたす。たた、ADRV9002のTESず゜フトりェア開発キットSDKを利甚すれば、あらゆる機胜に぀いお十分な評䟡を実斜するこずができたす。

参考資料

1 John G. Proakis「Digital Communications, 3rd editionデゞタル通信 第3版」McGraw-Hill、1994幎3月

2 ã€ŒUG-1828: ADRV9001 System Development User GuideUG-1828ADRV9001 システム開発向けのナヌザ・ガむド」Analog Devices、2020幎12月

3 Kao Chin-Han「Performance Analysis of a JTIDS/Link-16-Type Waveform Transmitted over Slow, Flat Nakagami Fading Channels in the Presence of Narrowband Interference狭垯域干枉の存圚䞋で䜎速平坊なNakagamiフェヌゞング・チャンネルによっお送信されるJTIDSリンク16信号の分析」Naval Postgraduate School、2008幎

 

著者

Michelle Tan

Michelle Tan

Mizhou (Michelle) Tan は、アナログ・デバむセズのプロダクト・アプリケヌション・゚ンゞニアです。玄3幎間にわたり、RFトランシヌバヌ補品やアプリケヌションの蚭蚈開発をサポヌトしおいたす。2004幎から2018幎たでは、Agere Systems、LSI Logic、Intelでアルゎリズム、システム、゜フトりェアを担圓する技術者ずしお業務に埓事しおいたした。孊䌚や論文誌向けに15本以䞊の論文を発衚。無線通信ずデゞタル信号凊理の分野で9件の特蚱を取埗しおいたす。䞭囜の四川倧孊で電気工孊の孊士号ず修士号を取埗。2004幎にニュヌゞャヌゞヌ工科倧孊で電気コンピュヌタ工孊の博士号を取埗したした。