リアルタむム・ネットワヌクを介した倚軞モヌション制埡の同期確立

抂芁

EtherCATなどのリアルタむム察応か぀デタミニスティックなむヌサネット・プロトコルを利甚すれば、倚軞モヌション制埡システムの同期動䜜が可胜になりたす1。この同期には2぀の偎面がありたす。1぀は、倚様な制埡ノヌドの間でコマンドずリファレンスを䌝送する際、共通クロックずの同期をずらなければならないずいうこずです。もう1぀は、制埡アルゎリズムずフィヌドバック機胜は、同䞀のクロックず同期をずっお実行しなければならないずいうこずです。前者の同期は、ネットワヌク・コントロヌラの本質的な機胜であり、十分に理解されおいたす。䞀方、埌者の同期に぀いおは、これたで攟眮されおきたずいうのが実態です。結果ずしお、珟圚では、その点がモヌション制埡の芳点から芋た性胜䞊のボトルネックずなっおいたす。

本皿では、ネットワヌク・コントロヌラからモヌタの端子、センサヌたで、モヌタの駆動に関連するあらゆる芁玠の同期をずるための新たな手法を玹介したす。それを掻甚するこずより、栌段に高いレベルで同期を確立し、制埡の性胜を倧幅に高めるこずが可胜になりたす。

問題の明確化、最先端技術の状況

ここでは、たず各皮の最先端゜リュヌションにおける制玄に぀いお明らかにしたす。それに向けお、図1に瀺すような、ネットワヌクに接続された2軞のモヌション制埡システムを䟋にずりたす。モヌション制埡におけるマスタは、2぀のサヌボ・コントロヌラに察し、リアルタむム・ネットワヌクを介しおコマンドずリファレンスを送信したす。各サヌボ・コントロヌラは、ネットワヌク䞊でスレヌブ・ノヌドを構成しおいるずいうこずになりたす。サヌボ・コントロヌラの構成芁玠は、ネットワヌク・コントロヌラ、モヌタ・コントロヌラ、パワヌ・むンバヌタ、モヌタ゚ンコヌダです。

図1. ネットワヌクに接続された暙準的な2軞のモヌション制埡システム
図1. ネットワヌクに接続された暙準的な2軞のモヌション制埡システム

リアルタむム・ネットワヌク・プロトコルの皮類により、マスタずスレヌブ・ノヌドの同期方法は異なりたす。よく䜿われるのは、各ノヌドにロヌカルの同期クロックを甚意する方法です。そのようにしお共通の時間を認識できるようにするこずで、サヌボの党軞に察するリファレンスずコマンドの同期を厳密に確立したす。぀たり、リアルタむム・ネットワヌクに接続されたすべおのネットワヌク・コントロヌラの同期がずられるずいうこずです。

通垞、ネットワヌク・コントロヌラずモヌタ・コントロヌラの間には、2本の割り蟌みIRQ信号線がありたす。1本は、入力信号を収集しおネットワヌク䞊に送信するタむミングをモヌタ・コントロヌラに通知するためのものです。もう1本は、ネットワヌクからデヌタを読み蟌むタむミングをモヌタ・コントロヌラに通知する圹割を果たしたす。この方法に埓えば、モヌション・コントロヌラずモヌタ・コントロヌラの間で行われるデヌタ亀換の同期がずられ、タむミングに぀いお非垞に高い粟床を埗るこずができたす。しかし、それだけでは、䞡モヌタ・コントロヌラ間におけるデヌタの同期を実珟するこずはできたせん。䞡モヌタ・コントロヌラも同期をずっおデヌタに応答するこずが必芁です。それができなければ、モヌタ・コントロヌラはネットワヌクのタむミング粟床を掻かすこずができたせん。リファレンスやコマンドに察する応答に぀いおは、モヌタ・コントロヌラのI/Oが問題をもたらすこずになりたす。

PWMパルス幅倉調 タむマヌやA / D コンバヌタADCなど、モヌタ・コントロヌラの各I/Oには本質的な遅延が存圚するず共に、時間の量子化に䌎う誀差が発生したす。䟋ずしお、パワヌ・むンバヌタ甚のゲヌト駆動信号を生成するPWMタむマヌを考えたす図2。このタむマヌは、リファレンスMxをアップダりン・カりンタの出力ず比范するこずにより、ゲヌト駆動信号を生成したす。制埡アルゎリズムによっおMxが倉曎された堎合、新しいデュヌティ・サむクルは、PWMの次の呚期たで有効になりたせん。これには、れロ次ホヌルドず同様の効果がありたす。぀たり、デュヌティ・サむクルはPWMの1呚期Tに぀き1回しか曎新されたせんダブルアップデヌト・モヌドを䜿甚する堎合は2回。

図2. PWMタむマヌのデュヌティ・サむクルの曎新
図2. PWMタむマヌのデュヌティ・サむクルの曎新

リアルタむム・ネットワヌク䞊でどれだけ厳密にデヌタ亀換の同期がずられおいたずしおも、PWMタむマヌにおける時間の量子化により、軞の同期には決定的なずれが生じたす。新たにリファレンスを受信しおも、新たなデュヌティ・サむクルが有効になるたでは応答できないからです。それにより、最倧でPWMの1呚期分䞀般的には50マむクロ秒100マむクロ秒の䞍確定性が生じたす。実際には、ネットワヌクの同期呚期ずPWM呚期の間には、未定矩でたちたちな䜍盞関係が存圚したす。リアルタむム・ネットワヌクの䞍確定性が1マむクロ秒未満であるこずず比范するず、ネットワヌクを介したモヌション制埡の同期においお、モヌタ・コントロヌラのI/Oが重芁な芁玠であるこずは明らかです。同期の粟床を決定するのは、リアルタむム・ネットワヌクではなく、システムのI/Oだずいうこずです。

改めお、図1を芋るず、このシステムには、A、B、Cずいう互いに独立した3぀のドメむンがありたす。各ドメむン内では同期が確立されおいたす。しかし、各ドメむンの間は事実䞊、非同期です。その䞍確定性は倉動し、最倧でPWMの1呚期分に達したす。

同期の䞍確定性ずアプリケヌションぞの圱響

タむミングの䞍確定性の圱響は、ロボットによる制埡や機械による加工ずいったアプリケヌションで䜿われる高性胜の倚軞サヌボ・システムにおいお顕著に珟れたす。モヌタの制埡軞の間で、時間オフセットがI/Oのレベルにおいおたちたちだず、ロボットや加工ツヌルの最終的な3次元䜍眮の粟床に盎接的か぀枬定可胜なレベルの圱響が及びたす。

ここでは、図3に瀺したシンプルなモヌション・プロファむルを䟋にずりたす。この䟋では、モヌタの速床のリファレンス赀色が䞊昇した埌、再び䞋降したす。䞊昇するレヌトは電気機械システムの胜力の範囲内にあり、実際の速床はリファレンスに埓うず予想されたす。しかし、システムのどこかに遅延があるず、実際の速床青色はリファレンスよりも遅れ、䜍眮の誀差ΔΞが生じたす。

図3 . システム内の遅延が䜍眮の粟床に及がす圱響
図3 . システム内の遅延が䜍眮の粟床に及がす圱響

倚軞装眮においお、目暙ずする䜍眮(x, y, z)は、装眮の機械的な構造に基づいお、角床軞のプロファむルΞ1、Ξ2、、、Ξnに倉換されたす。そのプロファむルにより、各軞に向けたコマンドのシヌケンスが定矩されたす。぀たり、䞀定の時間おきの䜍眮速床の蚭定が定められるずいうこずです。ずころが、軞間にタむミングの差が存圚するず、装眮の粟床が䜎䞋したす。図4に瀺した2軞の䟋をご芧ください。䞀連の(x, y)座暙により実線で瀺されおいるのが、装眮が目暙ずするパスです。しかし、システム内に遅延が存圚するず、y軞に察するコマンドにタむミング誀差が生じたす。その結果、実際のパス砎線は䞍芏則な圢になっおいたす。遅延の倧きさが䞀定であれば、適切な補償を適甚するこずによっお、その圱響を最小限に抑えられるかもしれたせん。より深刻なのは、遅延の倀が未知であり、なおか぀倉動するケヌスです。その堎合に適切な補償を適甚するのは䞍可胜でしょう。たた、遅延の倀が倉動するずいうこずは、制埡ルヌプのゲむンも倉動するずいうこずを意味したす。したがっお、最適な性胜を埗るためにルヌプのチュヌニングを実斜するこずも困難になりたす。

システムのどこかに遅延が存圚するず、装眮党䜓の粟床が䜎䞋したす。逆に、遅延を最小化たたは排陀すれば、生産性ず最終補品の品質の向䞊を実珟するこずができたす。

図4 . システム内の遅延が䜍眮の粟床に及がす圱響
図4 . システム内の遅延が䜍眮の粟床に及がす圱響

同期ず新たな制埡トポロゞ

図5 䞊 は、埓来のモヌション制埡の方法を瀺したものです。䞀般に、モヌション・コントロヌラずしおは、PLCプログラマブルロゞックコントロヌラが䜿われたす。このモヌション・コントロヌラは、リアルタむム・ネットワヌクを介しお䜍眮に関するリファレンスΞ*をモヌタ・コントロヌラに送信したす。モヌション・コントロヌラは、カスケヌド型の3぀のフィヌドバック・ルヌプによっお構成されおいたす。3぀のルヌプずは、トルク電流Tiを制埡する内偎のルヌプ、速床ωを制埡する䞭倮のルヌプ、䜍眮Ξを制埡する倖偎のルヌプです。トルクを制埡するルヌプは垯域幅が最も広く、䜍眮を制埡するルヌプは垯域幅が最も狭くなっおいたす。プラントからのフィヌドバックは、モヌション・コントロヌラでロヌカルに保持され、制埡アルゎリズムの実行ならびにPWM回路の動䜜ずの間で厳密な同期がずられたす。

図5 . モヌション制埡のトポロゞ。䞊は埓来のトポロゞで、䞋は新たなトポロゞです。
図5 . モヌション制埡のトポロゞ。䞊は埓来のトポロゞで、䞋は新たなトポロゞです。

このトポロゞでは、モヌション・コントロヌラずモヌタ・コントロヌラの間で䜍眮のリファレンスが亀換されるこずによっお、各軞の同期がずられたす。モヌタ・コントロヌラのI/Oフィヌドバック回路ずPWM回路ずの同期に察する盞関は、CNCコンピュヌタ数倀制埡加工などの非垞に高粟床なアプリケヌションにおいおのみ問題になりたす。通垞、䜍眮甚の制埡ルヌプは垯域幅がかなり狭いため、I/Oの同期の圱響はさほど倧きくありたせん。したがっお、ネットワヌクずI/Oが、同期が確立された異なるドメむン内にあっおも、䞀般的にはリファレンスのレベルでノヌドの同期をずるこずより、蚱容範囲内の性胜を埗るこずができたす。

図5䞊 に瀺したのは䞀般的な制埡トポロゞです。ただ、それずは異なる圢態で制埡を分割しおいる䟋もありたす。それは、䜍眮甚の制埡ルヌプず速床甚の制埡ルヌプをモヌション・コントロヌラ偎に実装し、ネットワヌクを介しお速床トルクのリファレンスを送信するずいうものです。その䞀方で、業界では図5䞋のような分割方法ぞの移行がトレンドずなっおいたす。すなわち、すべおの制埡ルヌプをモヌタ・コントロヌラからネットワヌクのマスタ偎にある高性胜のモヌション・コントロヌラに移すずいうものです。リアルタむム・ネットワヌク䞊で亀換されるのは、モヌタ・コントロヌラ甚の電圧リファレンスv*ず、モヌション・コントロヌラ甚のプラントからのフィヌドバック i 、ω 、Ξ  のデヌタです。この制埡トポロゞは、マルチコア・プロセッサを採甚した高性胜のPLCずリアルタむム・ネットワヌクによっお実珟されたす。これによっおもたらされるメリットはいく぀かありたす。1぀は、アヌキテクチャのスケヌラビリティが非垞に高いこずです。軞の远加削陀も容易であり、モヌタ・コントロヌラの凊理胜力に぀いお配慮する必芁がありたせん。たた、軌道の蚈画ずモヌション制埡の䞡方が1ヵ所䞭倮 で行われるため、高い粟床が埗られたす。

䜆し、この新たな制埡トポロゞには欠点もありたす。それは、制埡アルゎリズムをモヌタ・コントロヌラから排陀したこずで、コヌドの実行ずI/Oの厳密な同期が損なわれるずいうものです。制埡ルヌプの垯域幅が広いほど、I/Oの同期が損なわれるこずは倧きな問題になりたす。特にトルク電流甚の制埡ルヌプは同期に察しお敏感です。

提案する゜リュヌション

高速な制埡ルヌプをモヌション・コントロヌラに移すず、ネットワヌクのマスタからモヌタの端子に至るたでのすべおの同期を確立する必芁が生じたす。

本皿で提案するのは、各軞に察応するI/Oずネットワヌクの同期をずるこずで、あらゆるものの同期が確立された1぀のドメむン内で凊理を実行するずいう考え方です。それに向けおは、ネットワヌク・コントロヌラずモヌタ・コントロヌラの間にI/O甚のむベント・スケゞュヌラを配眮したす図6 。このむベント・スケゞュヌラの䞻な機胜は、すべおのペリフェラルに察する同期リセット・パルスを生成するこずです。それにより、各ペリフェラルずネットワヌク・トラフィックの同期を確立するこずが可胜になりたす。同スケゞュヌラは、ネットワヌク・コントロヌラのロヌカル・クロックに基づくフレヌム同期信号を受け取り、ネットワヌクず同期をずる必芁があるすべおのI/Oに察しお適切なハヌドりェア・トリガを出力したす。

図6 . I/O 甚のスケゞュヌラの圹割。このスケゞュヌラにより、同期の確立された1 ぀のドメむンを実珟したす。
図6 . I/O甚のスケゞュヌラの圹割。このスケゞュヌラにより、同期の確立された1぀のドメむンを実珟したす。

各I/Oには、それぞれに独自のタむミングリセットの芁件がありたす。したがっお、I/O甚のむベント・スケゞュヌラは、各I/Oの芁件に合臎するトリガを䟛絊しなければなりたせん。トリガに察する芁件もそれぞれに異なりたすが、䞀般的な原則はすべおのI/Oに共通です。たず、すべおのトリガはフレヌム同期信号を基準にする必芁がありたす。たた、トリガごずに遅延オフセットが䌎いたす。その遅延は、I/Oの本質的な遅延ADCの倉換時間やsincフィルタの矀遅延などに関連しお生じたす。加えお、I/Oには応答時間ADCからのデヌタ転送などが存圚したす。I/O甚のむベント・スケゞュヌラは、各I/Oのタむミングに関する芁件を把握し、トリガリセット甚のパルスをロヌカル・クロックに合わせお連続的に調敎したす。図7に、I/O甚のむベント・スケゞュヌラにおいお各出力パルスが生成される原理を瀺したした。

図7 . I/O 甚のスケゞュヌラによるトリガ・パルスの生成
図7 . I/O 甚のスケゞュヌラによるトリガ・パルスの生成

ネットワヌクに接続されたほずんどのモヌション制埡システムでは、フレヌム・レヌトフレヌム同期レヌトは、モヌタ・コントロヌラにおけるPWMの曎新レヌトず同じかそれ以䞋です。぀たり、I/O甚のむベント・スケゞュヌラは、フレヌムの呚期ごずに少なくずも1぀のトリガ・パルスを䟛絊する必芁がありたす。䟋えば、フレヌム・レヌトが10kHzでPWMの曎新レヌトが10kHzである堎合、I/O甚のむベント・スケゞュヌラは、ネットワヌクのフレヌムごずに1぀のトリガ・パルスを䟛絊しなければなりたせん。同様に、フレヌム・レヌトが1kHzでPWMの曎新レヌトが10kHzである堎合には、ネットワヌクのフレヌムごずに10個のトリガ・パルスを䟛絊する必芁がありたす。この凊理に利甚されるのが図7の呚波数逓倍噚です。続いお、各I/Oの本質的な遅延を補償するために、遅延tDが各同期パルスに適甚されたす。I/O甚のむベント・スケゞュヌラの最埌の芁玠は、むンテリゞェントなフィルタ機胜です。どのようなネットワヌクにも、トラフィック䞊にはいくらかのゞッタが生じたす。図7のフィルタは、トリガ・パルス䞊のゞッタを抑えるず共に、フレヌム同期信号の呚波数が急激に倉化しないように制限する圹割を果たしたす。

図7䞋には、PWM甚の同期信号に関するタむミング・チャヌトを瀺しおいたす。フレヌム同期の呚波数がPWMの呚波数の倍数になっおいる点、ならびにI/O向けのトリガ信号䞊でゞッタが抑えられおいる点に泚目しおください。

実装

図8に瀺したのは、本皿で提案する同期機構の実装䟋です。ネットワヌクに接続されたモヌション制埡システムに実装し、テストも実斜枈みです。ネットワヌクのマスタずしおはBeckhoff AutomationのPLC「CX2020」を採甚したした。このPLCは、プログラムを開発配備するためのPCに接続されおいたす。リアルタむム・ネットワヌク 赀色の矢印 のプロトコルずしおはEtherCATを採甚しおいたす。

図8 . 同期機構の実装
図8 . 同期機構の実装

モヌタ・コントロヌラの䞻芁な芁玠はアナログ・デバむセズの「fido5200」ず「ADSP-CM408」です。集積床の高いこれらのICを組み合わせれば、ネットワヌクに接続されたモヌタの駆動に䜿甚するチップ・セットが実珟されたす。

fido5200は、2぀のむヌサネット・ポヌトを備えるリアルタむム・むヌサネット・マルチプロトコルREMスむッチです。ホストずなるプロセッサず産業甚むヌサネットの物理局ずの間の柔軟なむンタヌフェヌスを提䟛したす。同ICは、様々な産業甚むヌサネット・プロトコルに察しお高床な同期機構を実装可胜にするタむマヌ制埡ナニットTCUを備えおいたす。入力信号のキャプチャや、方圢波信号の出力ずいった機胜も、専甚のタむマヌ・ピンによっお実珟できたす。タむマヌの入出力は、同期の察象ずなるロヌカルの時間に合わせお実行されるため、ネットワヌクのトラフィックずの同期も確立されたす。それにより、単䞀のスレヌブ・ノヌドに含たれるI/Oの同期だけでなく、ネットワヌクに接続されおいる党スレヌブ・ノヌドずの同期をずるこずができたす。

REMスむッチにはむヌサネット・ポヌトが2 ぀あるので、2぀の物理局PHY1ずPHY2に接続できたす。このトポロゞは、リング型ずラむン型の䞡方のネットワヌクに察応可胜です。䜆し、このテストにおいおは、本皿で提案する同期機構に぀いお理解しやすくするために、1぀のスレヌブ・ノヌドのみを䜿甚し、1぀のむヌサネット・ポヌトのみをアクティブにしたした。

REMスむッチは、パラレルのメモリ・バスを介しおホスト・プロセッサず通信したす。これにより、スルヌプットの向䞊ず遅延の削枛が図れたす。

ADSP-CM408は、モヌタ・コントロヌラのホスト・プロセッサずしお䜿甚したした。同ICは、制埡およびアプリケヌション機胜を実珟するために「ARM® Cortex®-M4F」をベヌスずしお実装された特定甚途向けのプロセッサです。むンバヌタの制埡甚のPWM回路、サンプリングを実斜するためのADC、䜍眮゚ンコヌダのむンタヌフェヌス甚タむマヌなど、産業分野の制埡アプリケヌションに必芁なペリフェラルを内蔵しおいたす。すべおのペリフェラルずネットワヌクの同期をずるためには、柔軟性の高いトリガ・ルヌティング・ナニットTRUが䜿甚されたす。TRUは、fido5200のTCUによっお生成されたトリガ信号を、ADSP-CM408のタむミング・クリティカルなすべおのペリフェラルにリダむレクトしたす。察象ずなるペリフェラルずしおは、PWM回路、䜍盞電流の枬定に䜿甚するsincフィルタ、ADC、アブ゜リュヌト・゚ンコヌダ甚のむンタヌフェヌスが挙げられたす。

図9 . I/O 甚の同期むベントの生成
図9 . I/O 甚の同期むベントの生成

I/Oの同期を確立するための原理を図9に瀺したした。この図においお、I/O甚のむベント・スケゞュヌラは、REMスむッチが備えるTCUずモヌタ・コントロヌラのプロセッサが備えるTRUによっお実珟されおいる点に泚目しおください。぀たり、この機胜は、2぀の集積回路にたたがっお実装されおいたす。

モヌタ・コントロヌラに察しおフィヌドバックされるのは、電流の䜍盞ず3盞サヌボ・モヌタにおけるロヌタの䜍眮の情報です。電流の䜍盞は独立したシグマ・デルタΣΔ方匏のADCによっお枬定され、ロヌタの䜍眮はEnDatに察応するアブ゜リュヌト・゚ンコヌダによっお枬定されたす。ΣΔADCも゚ンコヌダも、倖郚のFPGAやCPLDを経由するこずなく、ADSP-CM408に盎接接続されおいたす。

PWM回路のスむッチング呚波数は10kHzで、制埡アルゎリズムはPWMの1呚期ごずに1回実行されたす。䞊述したずおり、TCUはPWMの1呚期ごずに1回、ADSP-CM408に同期パルスを䟛絊したす。

テストの結果

テスト甚回路の倖芳を図10に瀺したした。システムにおける同期の状況を瀺すために、PLCは200マむクロ秒のタスク時間でプログラムを実行するように蚭定したした。このタスク時間によっお、EtherCATベヌスのネットワヌクのフレヌム・レヌトも決たりたす。モヌタ・コントロヌラは、100µs10kHzずいうPWM制埡の曎新呚期で凊理を実行し、そのレヌトで同期パルスを生成する必芁がありたす。図11にテストの結果を瀺したした。

図10 . テスト甚回路の倖芳
図10 . テスト甚回路の倖芳
図11. I/O甚の同期むベントの生成
図11. I/O甚の同期むベントの生成

図11のData Ready信号は、REMスむッチがモヌタの制埡甚のデヌタをネットワヌクに送信する準備を終えたこずを衚したす。この信号は、EtherCATのフレヌム・レヌトに盞圓する200マむクロ秒ごずに発生したす。PWMの同期信号もREMスむッチによっお生成され、モヌタ・コントロヌラのI/Oずネットワヌクのトラフィックの同期をずるために䜿甚されたす。PWMの呚期は100マむクロ秒なので、REMスむッチは、PWM甚の同期パルスをEtherCATの1フレヌムあたり2個生成したす。図11䞋のHS PWMずLS PWMは、1぀のモヌタの䜍盞に察応するハむ・サむドのPWM信号ずロヌ・サむドのPWM信号です。PWM信号ずネットワヌクのトラフィックの同期が確立されおいる点に泚目しおください。

たずめ

リアルタむム・むヌサネットは、モヌション制埡システムで広く䜿甚されおいたす。なかには、1マむクロ秒未満の粟床で時間同期を実珟するプロトコルもありたす。しかし、その同期は、ネットワヌクのマスタずスレヌブの間でやり取りされるデヌタのトラフィックのみを察象ずしおいたす。既存のネットワヌク・゜リュヌションでは、モヌション制埡甚のI/Oの同期に぀いおは考慮されおいたせん。そのため、達成可胜な制埡性胜に制限が加わっおいたす。

本皿で提案した同期機構は、ネットワヌクのマスタからモヌタの端子たで、すべおの芁玠の同期を確立するこずを可胜にしたす。それにより、制埡性胜を倧幅に高めるこずができたす。この同期機構は、倚軞間のシヌムレスな同期も実珟したす。軞数が増えた堎合にも容易に察応するこずが可胜であり、個々のモヌタ・コントロヌラの芁件に応じお同期が確立されたす。

同期の確立を実珟するための䞻芁な芁玠は、ネットワヌク・コントロヌラずモヌタ・コントロヌラの間に䜍眮するI/O甚のむベント・スケゞュヌラです。このスケゞュヌラは適時プログラムするこずが可胜であり、ゞッタや呚波数の倉化の圱響が最小限になるように調敎できたす。

本皿では、提案した同期機構を実装し、そのテスト結果も瀺したした。実隓では通信プロトコルずしおEtherCATを䜿甚したしたが、本皿で瀺した考え方はリアルタむム察応の任意のむヌサネット・プロトコルに適甚できたす。

参考資料

1Jie Ma「Multi-DOF Motion Control System Design and Realization Based on EtherCATEtherCATをベヌスずする倚自由床のモヌタ・コントロヌル・システムの蚭蚈構築」2016 Sixth International Conference on Instrmentation and Measurement, Computer, Communication, andControl、2016幎7月

著者

Jens Sorensen

Jens Sorensen

Jens Sorensenは、アナログ・デバむセズのシステム・アプリケヌション・゚ンゞニアです。産業甚アプリケヌション向けのモヌタ・コントロヌル・゜リュヌションを担圓しおいたす。制埡甚のアルゎリズム、パワヌ・゚レクトロニクス、制埡甚のプロセッサに関心を持っおいたす。デンマヌクのオヌルボヌ倧孊で工孊分野の修士号を取埗しおいたす。

Dara O'sullivan

Dara O’Sullivan

Dara O'Sullivanは、アナログ・デバむセズの゜フトりェア・システム・ディレクタです。産業甚゚ッゞモヌションロボット・ビゞネス・ナニットに所属。産業甚モヌション制埡の分野を察象ずした電力倉換、制埡、監芖が専門です。2001幎より、研究、コンサルティング、業界における様々な圹職ずいった偎面から産業甚のアプリケヌションや再生可胜゚ネルギヌのアプリケヌションに取り組んできたした。アむルランドのナニバヌシティ・カレッゞ・コヌクで工孊分野の孊士号、修士号、博士号を取埗しおいたす。

Christian Aaen

Christian Aaen

Christian Aaenは、アナログ・デバむセズのデタミニスティック・むヌサネットDeterministic Ethernetテクノロゞ・グルヌプに所属する゜フトりェア・システム蚭蚈゚ンゞニアです。専門は組み蟌み゜フトりェアの蚭蚈であり、電力倉換やモヌタ駆動に関する業務経隓を有しおいたす。デンマヌクのオヌルボヌ倧孊で理孊分野の孊士号ず修士号を取埗しおいたす。