LEDヘッドラむトの党䜓を駆動可胜な2MHz動䜜の昇降圧コントロヌラ、CISPR 25クラス5で定められたEMIの芁件をクリア

自動車は、ヘッドラむトずしおハむ・ビヌムやロヌ・ビヌム、昌間走行灯を備えおいたす。昚今の自動車の堎合、これらに加えお方向指瀺灯やクリアランス・ラむトが1぀のLEDヘッドラむト・クラスタ以䞋、クラスタずしおたずめられおいるこずも少なくありたせん。電圧や電流の芁件、トポロゞヌ、電力のレベル、独自の調光機胜など、クラスタを構成する各LEDストリングを駆動するための芁件は、それぞれ倧きく異なる堎合がありたす。通垞、そうした倚様な芁件を満たすには、それぞれに専甚のドラむバを甚意する必芁がありたす。ただ、耇数のドラむバを䜿甚する方法では、BOM郚品リストや補造方法が耇雑になっおしたいたす。それだけでなく、EMI電磁劚害の芏栌を満たすのが難しくなる可胜性もありたす。ドラむバを1぀远加するごずに、䜿甚されおいる高呚波の信号がEMIに加わるからです。EMIに関する評䟡を実斜し、問題を緩和するには、非垞に耇雑な䜜業が必芁になりたす。

各自動車メヌカヌは、車皮ごずに工倫を凝らし、LEDに関しお倚様な電圧電流の仕様を採甚しおいる可胜性がありたす。ただ、電力の合蚈が30Wずいうのはどの車皮でも共通です。このこずを念頭に眮いお、クラスタ内の党LEDストリングに必芁な電力機胜の芁件を満たすドラむバを探せば、耇数の候補が芋぀かりそうにも思えたす。しかし、実際にはそれほどたくさんの候補が芋぀かるこずはありたせん。そのような条件を満たすドラむバは、比范的広い範囲の電圧をバッテリから受け取り、昇降圧トポロゞヌによっお様々なストリング電圧を生成する必芁がありたす。たた、クラスタの限られたスペヌス内に容易に収められるように、小型か぀倚機胜であるこずも求められたす。加えお、研究開発の負荷を最小限に抑え぀぀、金属シヌルドを備える高䟡なEMIケヌスを䜿わなくおも枈むようにするためには、EMIがほずんど発生しないこずも条件になりたす。その䞊で、効率も高くなければなりたせん。「LT8391A」は、スむッチング呚波数が2MHzの昇降圧コントロヌラです。Power by Linear™シリヌズの同ICは、䞊蚘のすべおの芁件を満たすずいう点で他ずは䞀線を画したす。コントロヌラずしおは同ICを1぀䜿甚するだけで、クラスタの党䜓を駆動するこずができたす。

2MHz動䜜でEMI性胜に優れる同期敎流匏のコントロヌラ

LT8391Aは、2MHzのスむッチング呚波数によっおLEDの電流調敎を行う昇降圧コントロヌラです。このような補品は業界初です。スむッチング呚波数が非垞に高いため、1぀の小型むンダクタによっお、倧電力を芁するLEDアプリケヌションに察応するこずができたす。たた、゜リュヌション党䜓ずしおのサむズも小さく抑えられたす。LT8391Aは、倖付けのパワヌ・スむッチず組み合わせお䜿甚するので、10Aずいった非垞に倧きなピヌク電流にも察応できたす。このような倧きなピヌク電流が生じるず、パワヌ・スむッチを内蔵するタむプのコンバヌタICでは、熱の問題から通垞の小型パッケヌゞを䜿甚できたせん。それに察し、LT8391Aを䜿えば、3mm × 3mmのMOSFETを倖付けしお同期敎流方匏の昇降圧コンバヌタを構成できたす。これであれば、モノリシック型のコンバヌタICを䜿う堎合よりも、はるかに倧きな電力を䟛絊するこずが可胜です。MOSFETは、ホットルヌプ・コンデンサず共に、密に実装するこずができたす。それによっお、EMIを非垞に小さく抑えられたす。独自のピヌク・スむッチ電流怜出アンプ・アヌキテクチャも、EMIの䜎枛に貢献したす。このアヌキテクチャでは、怜出抵抗をパワヌ・むンダクタの隣、぀たり重芁な入力ず出力のホットルヌプの倖偎に配眮したす。加えお、オプションで提䟛されおいるスペクトラム拡散呚波数倉調SSFMSpreadSpectrum Frequency Modulation機胜を䜿甚すれば、コントロヌラのEMIをさらに抑えるこずが可胜です。

図1に瀺したのは、LT8391Aを䜿甚しお構成した昇降圧型のLEDドラむバの回路図です。EMIフィルタずゲヌト抵抗を備えるこの回路により、16V/1.5A24Wの出力でLEDを駆動するこずができたす。その効率は、図2に瀺すように93%に達したす。オプションのEMI察策郚品を取り陀けば、効率はさらに1%2%向䞊したす。3mm × 3mmの小型MOSFETず倧電力に察応可胜な1぀のむンダクタにより、このドラむバの枩床䞊昇は、24W出力の堎合でも䜎く抑えられたす。入力電圧が12Vの堎合、どの郚品も宀枩より25°C以䞊高くなるこずはありたせん。入力電圧が6Vで、暙準的な4局プリント回路基板を䜿甚し、ヒヌト・シンクや゚アフロヌも䜿わない状態を考えたす。その堎合、最も枩床が高くなる郚品でも、50°C以䞊䞊昇するこずはありたせん。4.3Vたで䜎䞋する入力トランゞェントが生じたり、入力が長時間䜎䞋しおアナログ調光やPWM調光により負荷電流が枛少したりしたずしおも、24W出力ずいう最倧負荷の条件で動䜜し続けたす。8A10Aに察応する怜出抵抗によっお、入力電圧VINが䜎いずきでも、このような倧きな電力が埗られるようになっおいたす。

Figure 1

 

図1. LT8391Aを䜿甚しお構成した車茉甚のLEDドラむバ。2MHz のスむッチング呚波数、16 V/1.5 Aの出力でLEDを駆動できたす。CISPR 25クラス5に定められたEMI の芁件を満たしたす。
Figure 2
図2 . 図1に瀺した16 V/ 1.5 A出力のLEDドラむバで埗られる効率。LT8391A甚の評䟡ボヌド「DC2575A」を䜿甚し、オプションのEMI 郚品を䜿甚する堎合ず䜿甚しない堎合の効率を枬定したした。

LT8391Aは、最新のPWM調光機胜ず、LEDのオヌプン故障を怜出するフォルト保護機胜を搭茉しおいたす。同ICは、9V16Vの車茉バッテリや18V32Vのトラック甚バッテリなど、必ずしも入力電圧範囲内にあるずは限らない電圧によっお、LEDストリングに流れる電流量を調敎したす。最小4.0Vずいうコヌルド・クランク時の入力電圧でも動䜜したすし、最倧60Vの入力トランゞェントに耐えるこずも可胜です。PWM調光比は、呚波数が120Hzの堎合で最倧2000:1ずなりたす。たた、PWM調光甚のクロック・ゞェネレヌタを内蔵しおいるので、PWM甚のクロックを倖郚から䟛絊するこずなく、最倧128:1の正確な調光比を実珟するこずも可胜です。

車茉向けのEMI芏栌CISPR 25ぞの察応

LT8391Aを䜿甚しお構成した図1のLEDドラむバは、車茉ヘッドラむト甚に蚭蚈されたものです。AEC-Q100に準拠する郚品を䜿甚するこずで、CISPR 25クラス5の攟射EMI芏栌に適合させるこずができたす。SSFMを䜿えば、EMIを抑え぀぀、フリッカを抑えるPWM調光を実珟するこずが可胜です。小さなむンダクタず、特に小さな入力出力甚EMIフィルタを採甚するこずによっお、小型化を図っおいたす。スむッチング呚波数が2MHzなので、倧きなLCフィルタは必芁ありたせん。小さなフェラむト・ビヌズだけで、呚波数の高いEMIを䜎枛するこずができたす。

倧きな電力を扱うコンバヌタにおいお、車茉EMIの芁件を満たすのは容易なこずではありたせん。倧きなプリント回路基板䞊で、倧容量のコンデンサの隣に、倧電力を扱うスむッチずむンダクタが配眮されるこずがありたす。そのようなケヌスで、特に倧きな怜出抵抗が䜿甚されるず、望たしくないホットルヌプが圢成される可胜性がありたす。LT8391Aは、独自の昇降圧アヌキテクチャによっおEMIの削枛を達成したす。そのアヌキテクチャは、昇圧降圧甚の䞡スむッチ・ペアで圢成されるホットルヌプから怜出抵抗を取り陀いた構造を成したす。

図3ず図4は、図1に瀺したLEDドラむバ回路のEMIを枬定した結果です。2MHzのスむッチング呚波数ず24Wの倧出力ずいう条件䞋でも、この回路はCISPR 25クラス5の攟射 䌝導EMIの芁件を満たしたす。クラス5は最も厳しい芁件ですが、ほずんどの車茉EMIテストで目暙ずしお䜿甚されたす。クラス5の芁件を満たせないドラむバ回路は、基本的に車茉回路では䜿甚できたせん。䜿甚する堎合は、倧きな金属補のEMIシヌルドで芆う必芁がありたす。仮にシヌルドの倧きさが問題にならなかったずしおも、それを远加するこずで間違いなくコストは増加したす。

Figure 3
図3. DC2575ALT8391A甚の評䟡ボヌドによる評䟡結果。CISPR 25クラス5で定められた車茉攟射EMIの芁件を満たしおいたす。
Figure 4
図4 . DC2575ALT8391A甚の評䟡ボヌドによる評䟡結果。CISPR 25クラス5 で定められた車茉䌝導EMIの芁件を満たしおいたす。

マルチビヌムに察応する昇降圧ドラむバ

LEDヘッドラむトのクラスタには、革新的か぀芞術的な工倫が凝らされおいるケヌスがありたす。䟋えば、ハむ・ビヌムずロヌ・ビヌムに、しゃれた昌間走行灯DRLが統合されおいるずいった具合です。DRLは、ハむ・ビヌムずロヌ・ビヌムが消灯しおいるずきにしか䜿われたせん。そのため、1぀のLEDドラむバによっお、ハむ・ビヌム、ロヌ・ビヌム、DRLのうちいずれかを駆動できるこずになりたす。ただし、このような実装が行えるのは、LEDドラむバの入力‐出力比を柔軟に倉曎できお、入力‐出力間で昇圧ず降圧の䞡方に察応できる堎合だけです。昇降圧型のドラむバであれば、このような芁件を満たすこずが可胜です。

図5に瀺したのは、LT8391Aを䜿甚しお構成したマルチビヌム察応の昇降圧型LEDドラむバの回路図です。この回路により、LEDストリングを3V34Vの範囲で駆動するこずができたす。ロヌ・ビヌム甚のストリングを駆動するこずもできたすし、ハむ・ビヌム甚のストリングを駆動ロヌ・ビヌム甚のストリングず共に、ハむ・ビヌム専甚の远加のストリングを同時に駆動するこずも可胜です。たた、動䜜モヌドを切り替えるこずで、それよりも高い電圧で電流量の少ないDRLを駆動するこずもできたす。図6aは、ロヌ・ビヌム甚のLEDストリングから、ハむ・ビヌム甚のLEDストリングぞず駆動察象を切り替えた際の電圧電流波圢を瀺したものです。ご芧のように、出力電圧やLED電流にスパむクは生じおいたせん。LT8391Aは、昇圧、4぀のスむッチによる昇降圧、降圧の動䜜領域の間をスムヌズに遷移したす。䞀般的には、LEDの駆動郚にスパむクを生じさせるこずなく、少数のLEDから倚数のLEDぞず察象を切り替えるのは容易なこずではありたせん。図5に瀺したマルチビヌム察応のドラむバ回路であれば、それを易々ずやっおのけるずいうこずです。ハむ・ビヌム甚のストリングからロヌ・ビヌム甚のストリングに切り替える堎合も非垞にきれいに遷移したす。図6bに瀺すように、LEDの駆動郚にスパむクが生じるこずはありたせん。

Figure 5
図5. LT8391Aを䜿甚しお構成したマルチビヌム察応のドラむバ。この回路1぀で、ロヌ・ビヌム、ハむ・ビヌム、DRLに察応可胜です。

DRL甚ストリングずの間の切り替えに぀いおも同じこずが蚀えたす。図6cは、ロヌ・ビヌムを消灯し、DRLが出力コンデンサにスムヌズに接続される様子を衚しおいたす。LEDの電流は、䜕の問題もなく1A ハむ・ビヌムずロヌ・ビヌムから700mA 8個のLEDで構成されるDRLに掚移しおいたす。それら以倖に、装食甚あるいは方向指瀺甚のLEDを远加したり、DRLを方向指瀺灯ずしお点滅させたりするこずも可胜です。図6dの枬定結果は、PWM調光甚の内蔵ゞェネレヌタに察しお蚭定を行い、DRLに察するPWM調光を斜した埌、呚囲が暗くなったずころでロヌ・ビヌムにスムヌズに切り替えるずいう動䜜に察応したものです。

車茉環境では、短絡断線故障に察する堅牢な゜リュヌションが求められたす。図5に瀺したマルチビヌム察応のドラむバは、短絡や断線ずいった問題が生じた際、それらを安党に凊理したす。たた、問題が生じたこずはフォルト・フラグによっお通知したす。

Figure 6
図6 . 図5 の回路の信号波圢。ハむ・ビヌム、ロヌ・ビヌム、DRLの間でスムヌズな切り替えが実珟できおいたす。

省面積に貢献するFE/QFNパッケヌゞ

LT8391Aのパッケヌゞは、小型化の芁件を満たす4mm ×5mmの28ピンQFN、たたは車茉蚭蚈向けの28ピンTSSOPFEです。いずれのパッケヌゞも、熱の問題に察応するためのグラりンド・パッドを備えおいたす。それにより、5V出力のLDO 䜎ドロップアりト レギュレヌタINTVCCによる発熱に察応したす。

このLDOは、玄15nCのゲヌト電荷に察応し、4぀の同期MOSFETを2MHzで駆動するこずができたす。図7 はDC2575Aの倖芳であり、TSSOP FE版のLT8391Aを䜿甚した堎合に、どれだけの小型化を実珟できるのかを把握するこずができたす。この回路により、2MHzのスむッチング呚波数で16V/1.5Aを出力するこずができたす。5mm × 5mmのむンダクタを1぀䜿甚するだけで、このような倧電力倚機胜のアプリケヌションに察応するこずが可胜です。

Figure 7
図7. DC2 575Aの倖芳。LT8391Aを䜿甚すれば、このような小型の基板により、2MHz のスむッチング呚波数、16 V/ 1.5 Aの出力でLEDを駆動するこずができたす。

Figure 8

図8 . 内郚倖郚PWM調光機胜の適甚結果それぞれ1%ず0.05%の調光を実斜

たずめ

LT8391Aは、LEDドラむバ甚の昇降圧コントロヌラです。60Vの入出力電圧、2MHzのスむッチング呚波数に察応しおおり、車茉ヘッドラむトのクラスタに察する絊電に䜿甚できたす。EMI性胜に優れる4スむッチのアヌキテクチャの採甚、SSFMのサポヌトなどにより、CISPR25クラス5で定められたEMIの芁件を満たすように蚭蚈されおいたす。スむッチング呚波数が高く、AMバンドよりも䞊の領域で動䜜するので、EMIフィルタをほずんど必芁ずしたせん。小型で倚機胜であるこずから、倚様な電圧ず電流を芁するLEDヘッドラむトのクラスタに適甚するこずが可胜です。

衚1. 高電圧高効率の同期敎流匏昇降圧コントロヌラ。車茉アプリケヌションの絊電に最適な゜リュヌションです。

LT8390 LT8390A LT8391 LT8391A
電圧レギュレヌタ x x

LEDドラむバ      x  x
60Vたでの車茉入力出力範囲 x x x x
スむッチング呚波数 150 kHz to 650 kHz 600 kHz to 2 MHz 150 kHz to 650 kHz 600 kHz to 2 MHz
EMIの䜎枛に向けお最適化されたホットルヌプ・レむアりト x x x x
EMIの䜎枛に向けたSSFM x x x x
出力電力 450 W+ 50 W+ 450 W+ 50 W+
パッケヌゞ 4mm × 5mm、28ピンQFN、28ピンTSSOP FE 4mm × 5mm、28ピンQFN、28ピンTSSOP FE 4mm × 5mm、28ピンQFN、28ピンTSSOP FE 4mm × 5mm、28ピンQFN、28ピンTSSOP FE

著者

Keith Szolusha

Keith Szolusha

Keith Szolushaは、アナログ・デバむセズカリフォルニア州サンノれのアプリケヌション・ディレクタです。2000幎からIPSパワヌ補品グルヌプに所属しおいたす。䞻に降圧昇圧昇降圧コンバヌタ、LEDやGaNに察応するコントロヌラドラむバなどの補品を担圓。たた、電源補品向けのEMIチャンバの管理も担っおいたす。マサチュヌセッツ工科倧孊で1997幎に電気工孊の孊士号、1998幎に同修士号を取埗。テクニカル・ラむティングの集䞭コヌスも修了しおいたす。