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People in office building seated casually in a meeting area.
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効率とサステナビリティに優れるスマート・ビル、ADI OtoSenseスマートモーターセンサー(SMS)で実現


多くの人にとって、スマート・ビルは既に非常に身近なものとなっているでしょう。例えば、カード式の鍵を使って建物に入ったり、暗い会議室に足を踏み入れただけで突然照明が点灯したりといった具合です。あるいは、パーティションで囲まれた自分のエリアに人が入ってきたら、その部分の温度が変化するという機能が提供されているビルなども存在するでしょう。

昨今では、リモートワークはひとまず終了し、オフィス勤務に戻ったという方も多いはずです。そうした状況を受けて、商業ビルの管理者の多くは、スマート・ビル技術を提供するプラットフォームが必要であることは明らかだと認識するようになりました。実際、施設内の従業員の数が増えると、ビルの管理を行う上でいくつかの技術の利用が不可欠になります。例えば、建物の換気システムの調整、装置による温度の測定、物理的な距離を確保するための空間の最適化といった機能が求められるようになっているのです。


スマート・ビルに導入される技術

最新のスマート・ビルでは、インテリジェントなエッジ技術が活用されるようになっています。その目的は、ネットワークに接続されたIoT(Internet of Things)機器やAR(Augmented Reality:拡張現実)技術、視覚センサー/モーション・センサー、各種のシステムを統合し、日々必要になるプロセスを自動化することです。その対象としては、空調の制御、セキュリティ、照明などの機能が挙げられます。それらすべての効率を最大化し、入居者の使い勝手を高めることが大きな目標になります。

BuiltSpace Logo

BuiltSpace Technologiesは、スマート・ビルへの移行を牽引する企業の1つです。同社はデジタル化された施設を構築するという事業に携わっています。それにより、アセット(機械類をはじめとする設備資産)の管理者が、建物の運用パフォーマンスを測定して機能性とエネルギー効率を高めることを可能にします。これは、アセットや人々の活動からデータをリアルタイムに収集して整理することによって実現されます。その対象は、建物の個々のアセットから建物のエコシステム全体にまで至ります。

BuiltSpaceがスマート・ビルの進化に貢献するため最初に行ったことは何でしょうか。それは、HVAC(暖房、換気、および空調)など、顧客の重要なシステムに対する理解を深めることでした。これは、効率の向上に役立つ実用的なデータを収集するためには必須の作業です。ただ、BuiltSpaceが出会った顧客の多くが運用していたのは、既に長く使われてきた建物やシステムでした。しかも、それらは環境や温度の変動が極端な広いエリアにまたがって存在していました。そうしたシステムを対象として、内部に配備されたモーターの機能性や故障の可能性を測定するのは容易ではありませんでした。

建物の所有者やアセットの管理者は、サステナビリティや効率に関する厳しい規制を遵守する必要があります。そのためには、遠隔監視機能を備えるシステム・レベルのソリューションが必要でした。そのような観点から、BuiltSpaceはその中核となる技術についての検討を行いました。その結果、同社が理想的な技術として選択したのがADI OtoSenseスマートモーターセンサー(SMS)です。

BuiltSpaceの概要

事業内容

BuiltSpaceは、スマート・ビルの設計を担う企業である。デジタル化された施設により、アセットや人々の活動を対象としてデータの測定/収集/整理を行えるようにし、性能、機能性、エネルギー効率を高めることに貢献する。

課題

  • 占有面積が様々な古くて大きい建物や、騒音/振動(摩耗や故障の重要な指標)の問題を抱える老朽化した設備を対象としなければならない
  • アセットの管理者にとって、手の届きにくい場所にある設備にアクセスして機械の細かい問題を検出するのは容易ではない可能性がある
  • モーター、ポンプ、ファンの摩耗だけではなく、運用効率も監視する必要がある

目標

建物の重要なシステムが備えるモーターを予防的に監視し、安全性、効率、収益性を向上させる。

アプリケーション

ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを利用して、換気システムを継続的に監視する。それにより、事前対応型の予知保全を実現する。

結果

Improved Operational Reliability Icon

運用に関する信頼性の向上

Optimized Allocation of Maintenance Resources Icon

メンテナンス用の資材の最適な割り当て

Decreased Unplanned Maintenance Icon

計画外のメンテナンスの回避

Reduced Costly Downtime Icon

コストのかかるダウンタイムの削減

スマートなアイデア――インテリジェンスの上に築かれたパートナーシップ

BuiltSpaceは、ある顧客から受注した案件について検討を重ねていました。老朽化した建物内に配備された顧客の機械を刷新したり、改善したりするべきなのか、それとも全く異なる解があり得るのか、考えを巡らせていたのです。その結果、50万米ドル(約6700万円)近くのコストをかけて機械/モーターを刷新するよりも、ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを採用した方が高い費用対効果が得られるとの結論に至りました。BuiltSpaceは、アナログ・デバイセズとADI OtoSenseスマートモーターセンサーが高い評価を得ていることを把握していました。そのことが、この決断を後押ししたのです。

ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを採用することにより、BuiltSpaceは顧客によるシステムの最適化を支援しました。具体的には、複数の機械を24時間365日、遠隔から安全に監視できるようにしました。物理的に触れるのが危険なモーターについては独自の手法で可視化を実現し、極めて有用な知見が得られるようになったのです。取得したデータはすべて実用的なものであり、建物内のシステムに直接的に結び付けることができました。その結果、より深い知見を得ることが可能になりました。

Maintneance expert checking building machinery for saftey and diaognositcs using smart technologies.
ADI OtoSenseスマートモーターセンサーは、 その領域の専門家が持つ豊富な知識を活用することで、モーターの効率を向上させます。

非常に大きな効果が得られた1つの例があります。BuiltSpaceは、1800rpmで不必要に24時間連続動作しているモーターを発見することに成功したのです。また、水による損傷は最もコストのかかるメンテナンス項目の1つです。そこで、BuiltSpaceは、ウォーター・ポンプの負荷側について分析を行い、水漏れによって生じる圧力負荷の低下を監視する手法を検討しています。ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを活用することにより、同社は優れた予防保全と安心感の得られる保険契約を実現しています。それらは、今後大きな利益を生み出すことになるでしょう。

ADI OtoSenseスマートモーターセンサーによる予知保全

ADI OtoSenseスマートモーターセンサーは、状態基準保全(CBM:Conditional Based Maintenance)のための完全なターンキー・ソリューションです。AIをベースとしており、ハードウェアとソフトウェアによって構成されています。クラス最高のセンシング技術と最先端のデータ分析技術を組み合わせていることから、モーターの状態監視に活用することが可能です。ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを採用すれば、設備の異常や欠陥を検出することができます。また、メンテナンスが必要になるサイクルを予測し、計画外のダウンタイムを回避することも可能になります。

ADI OtoSenseスマートモーターセンサーは、モーターの種類を問いません。最も重要な診断を対象とし、取得したデータを実用的な知見に変換することができます。例えば、低電圧で動作するあらゆるモーターを24時間365日監視し、CBMを実現するといったことも可能です。更に、遠隔からアクセスすることが可能な関連情報をリアルタイムに提示することもできます。

ADI OtoSense Smart Motor Sensor hardware and software solution.
ADI OtoSenseスマートモーターセンサーは、 ハードウェアとソフトウェアから成るCBM用のソリューションです。

BuiltSpaceは、ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを採用したことにより、予知保全に向けた新たな戦略と費用対効果の高いリアルタイムの分析機能を提供できるようになりました。それらにより、計画外のダウンタイムによって発生するコストを削減することが可能になります。また、BuiltSpaceは、既存の機械に予知保全用のコンポーネントを追加するというアプローチを採用しました。新たな機械を購入する必要がないため、設備投資の金額を削減することができました。このような効果が得られるということは、顧客にとって非常に大きな意味を持ちます。最近の調査によれば、回答者の34%が計画外のダウンタイムの原因として老朽化した設備を挙げています1。また、予知保全のソリューションを導入すれば、故障を70%削減できるとされています2

ADI OtoSenseスマートモーターセンサーには注目すべき点が1つあります。それは、このソリューションは機械の分野の専門家に取って代わるものではなく、そうした専門家が長年にわたって蓄積したモーターに関する知識と知見を活用して機能するという点です。つまり、専門家らとADI OtoSenseスマートモーターセンサーが協調して問題を早期に認識/分類することにより、モーターの効率と生産性を向上させるのです。

Builtspace President and founder, Rick Roslton.
「施設/設備の業界には、予測/分析用の様々なソリューションが提供されています。通常、それらはビル・オートメーション・システムと統合して使用されることになります。それに対し、ADI OtoSenseスマートモーターセンサーを採用した場合、建物の所有者はシステムの統合や配線に多くのコストを費やす必要はありません。そもそもビル・オートメーション・システムが存在しない場合でも、多額のコストをかけることなく重要なモーターを遠隔監視することが可能になります。」

Rick Rolston氏

社長/創業者 | BuiltSpace Technologies

事後保全と予知保全の大きな差異

LFP Lithium Iron Phosphate

事後保全


事後保全では、問題が発生してから対処を図る。結果として、修理のための費用や製造ラインの停止によって多額の損失が生じる。
  LFP Lithium Iron Phosphate

予知保全


予知保全では、問題が発生する前に対処を図る(計画保全、予防保全も同様)。この手法を採用すれば、設備の寿命を延ばし、企業の収益を増やすことができる。 

年に800時間

製造企業で生じる平均ダウンタイム3 
 

10%~20%

設備のアップタイムの増分2 

1時間に53万2000米ドル

計画外のダウンタイムで生じるコスト4 
 

5%~10%

メンテナンス・コストの削減額2 

10倍

計画外のダウンタイムは、計画的なダウンタイムと比べて10倍のコストを生じさせる3 
 

25%

生産性の向上2 

予知保全により、スマート・ビルをスマートに維持

Two people walking down office hallway with smart building technology shown.

多くの企業は、エネルギー効率の改善や、従業員の安全性と満足度の向上を目標に掲げています。それに加え、二酸化炭素の排出量をゼロにすることも目指しています。したがって、商業ビルの所有者は、遅かれ早かれスマート・ビル技術を導入しなければならなくなるはずです。BuiltSpaceは、「エネルギーの節約という観点から見ると、スマート・ビルによって企業の収益は急激に向上する。このことは既に実証されている」と指摘しています。スマート・ビルは、持続可能性の実現に貢献します。それだけでなく、現場で働く従業員の満足度の向上にもつながります。

但し、スマート・ビルがその潜在能力を最大限に活かし、継続的かつ適切に機能するためには1つの条件を満たさなければなりません。それは、ADI OtoSenseスマートモーターセンサーのようなソリューションを活用し、予知保全に関する戦略を構築する必要があるというものです。また、その戦略に基づき、実用的な成果がリアルタイムに得られるようにする必要があります。言い換えれば、予知保全の戦略が存在してこそ、スマート・ビルはその名にふさわしいものとして維持されるのです。

Resources

135 Latest Maintenance Statistics for 2022: Data, Adoption & Strategies(メンテナンスに関する35の最新統計2022年:データ、導入、戦略) - Financesonline.com
2Deloitte Predictive-Maintenance PositionPaper(予知保全に関するDeloitteのポジション・ペーパー)(PDF)
3Cost of Industrial Downtime: 20 Mind-Boggling Stats(産業分野で生じるダウンタイムによるコスト:20の驚くべき統計) | BehrTech Blog
4Equipment Failure Is Costly for Manufacturers(設備の故障はメーカーにとっての大きなコスト要因) | 2021-07-16 | ASSEMBLY (assemblymag.com)