要約
拡張シリアルATA (eSATA)を使用すると、外付けドライブを使用するコンピュータシステムの性能は内部ドライブを使用する場合と事実上同じで、USB 2.0よりも何倍も高速になります。eSATAは受信/送信経路が別で最高3.0Gbpsに対して、USB 2.0はシングルの480Mbpsのリンクに過ぎません。eSATAポートを使用すると、内部ドライブと同じくらい容易にアクセス可能な1テラバイト(1TB)以上の外部データをコンピュータが容易に持つことができますが、ケーブルは最長2mです。より長いケーブルを可能とするために、eSATAはSATAよりも大きい駆動能力が必要です。このため、双方向のSATAリドライバのMAX4951が完全なeSATAドライブ要件を提供するために開発されました。
SATAと以前のデータ転送プロトコル
シリアルATA (SATA)ハードドライブはラップトップやデスクトップコンピュータでは、ほとんどパラレルATA (PATA)ハードドライブにとって代わり、サーバーで使用される場合もあります。SATAのケーブル/ソケットのデータ部分には7本の導体しかありません(図1)が、PATAの場合は40本のデータ導体があります。SATAケーブルは非常に柔らかく、しかもジャンパ設定の必要はありません。SATAの内部ケーブルは最長1mまで可能ですが、PATAのケーブルは18インチまでしか許されません。
図1. PCボード上のSATAコネクタ
SATA Iのデータ転送速度はシリアルデータストリームの場合は150MB/sで、他方、並列転送の場合は133MB/sです。SATA IIは300MB/sで転送可能です。もともと、SATAは扱いにくいリボンコネクタの代替を意図し、1mのケーブルを駆動することしか要求されませんでした。しかし、拡張SATA (eSATA)と呼ばれる新しい標準が作られ、ラップトップ/デスクトップコンピュータの外部の最長2mまでのハードドライブに対して信号を駆動します。SATA/eSATA信号は標準のLVDSに似ており、100Ωの平衡伝送ラインのペアにAC結合されます。信号レベルは公称±500mVP-Pです。1.5GbpsのSATAは非常に成功し、SATA/eSATAは他の改善と共に、すぐに3.0Gbpsまで進歩しました。
eSATA
eSATAはSATAを拡張したものです。eSATAはラップトップ/デスクトップコンピュータに外部ハードディスクドライブを接続するために使用されるよう意図されているため、ケーブルは最長2mまで可能です。eSATAを使用すると、コンピュータは内部ドライブと同じくらい高速で、容易に1テラバイト(1TB)以上の外部データにアクセス可能です。ケーブルはSATAケーブルよりも長くすることが可能であるため、eSATAはSATAよりも大きいケーブル駆動能力が必要です。eSATAコネクタはSATAコネクタと少し異なっているため、互換性はありません。図2はSATAとeSATAのケーブル端を示しています。ケーブル端は両方とも同じように見えますが、SATAのケーブル端には1つのノッチがあります。
図2. SATAおよびeSATAのケーブルコネクタ
eSATAを使用すると、トータルシステムの性能は内部ドライブの場合と事実上同じです。それはeSATAが2つのデータリンクを備えてUSB 2.0より、何倍も高速だからです。
設計者は次のジレンマに直面します。設計者はユーザーには非常に望ましいeSATAポートを提供する必要がありますが、SATAコントローラはマザーボードの中で全体設計の中の最良の場所に配置しなくてはならないことを認識しなければなりません。ボードに制約があることとeSATAコネクタは容易にアクセス可能な場所に配置する必要があるため、設計者は信号をボード内で配線しなければなりません。コネクタの損失が加わると、信号はSATA信号のレベル要件を満たさない可能性があります。
MAX4951はeSATA要件を満たします
幸いにも、SATAの双方向リドライバのMAX4951がボード/ケーブルの損失を許容して、完全なeSATA駆動要件を満たすために開発されました。MAX4951はeSATAコネクタの近くに配置するのが最適です。このデバイスは非常に小さく(わずか4mm x 4mm)、3.3V電源のみが必要で、ノースブリッジから入力まで6dBの損失を許容し、その上、eSATAケーブルを駆動する充分な出力を提供します。
MAX4951には2つの制限差動アンプが内蔵されており、入力と出力の両方に50Ωの終端が内蔵されています。各アンプの出力レベルは各2ビットで独立に制御可能で、それは通常はボードの設計段階で設定されます。ボードがeSATAを駆動している場合、ビット1 (B1)をハイに設定します。MAX4951が6インチ(< 0.15m)以下の場合はビット0 (B0)は無接続とすることが可能で、距離が6インチ以上の場合にはHiにセットします。設計の目的から、設計者は3.3VとB0の間に1kΩの抵抗を実装できるようにしておくのが良いかも知れません。そして必要としなければ実装しなければ良いのです。
OOBマネージメント
帯域外(OOB)信号はMAX4951の中で明確に扱われます。OOBは特別な低データ速度のコマンドで、ホストとドライブが通信、または「ハンドシェイク」するために必要です。OOB信号は1.5Gbpsのデータ速度の1連のバーストで構成されています。これらのバーストは波形と考えることができ(図3)、その出力はスイッチを通過します。このスイッチは1.5Gbpsの多数のサイクルを通過させ、ホスト/ドライブはこれらのバースト周期をデコードして通信します。MAX4951はOOB信号を特別に処理するためにスケルチ回路を備えています。図3はバーストがどのように見えるかを示しています。多数のバーストサイクルが存在して各バーストの後には「デッド」タイムが続きます。
図3. OOB信号
SATA/eSATA環境の中でリドライバが正常に動作するためには、デバイスは100mV以下のすべての信号を排除または「スケルチ」しなければなりません。スケルチ機能がなければ、リドライバはシステム内のすべてのノイズを増幅してOOBパターンが失われます。MAX4951を使用する場合、設計者はOOB信号の処理に何も特別なことをする必要はありません。信号はMAX4951を通過するだけで、すべてのノイズはスケルチされて、OOB信号をノイズから保護します。
受信感度の管理
設計者はボード上に100Ωの平衡型トレースを作るルールを使用しなければなりません。レイアウト用ソフトウェアによってこれが可能です。MAX4951はホストおよびドライブ側の両方でコンデンサ結合にしなければなりません。入力での信号レベルは200mVP-P以上にしてください。出力レベルは600mVP-Pまたは900mVP-Pに設定することができます
図4は入力をわずかに200mVP-Pとした3.0Gbpsで動作しているアイパターンを示します。出力はユーザー端子によって選択されます。MAX4951には双方向の信号があり、各出力レベルは各方向に対する端子のプルアップ/オープンによって容易に選択されます。
図4. 3.0Gbpsで動作し、入力がわずか200mVP-Pの場合のMAX4951のアイパターン。
出力レベルは900mVP-Pを示し、この場合の入力はわずか200mVP-Pです。アイパターンはSATAの600mVP-P限界で、ほとんど同じに見えます。入力がわずか200mVP-Pでも、出力は非常にきれいに見えます。
設計例
図5の回路図はラップトップまたはデスクトップアプリケーションにおけるeSATAリドライバに対する完全な回路を示しています。この設計ではSATAのレベルをeSATAレベルに増強します。MAX4951の各端子は各線のクロスオーバの必要がないようにレイアウトされています。この設計はMAX4951の評価キット(EVキット)の基本として使用されています。
図5.このラップトップ/デスクトップの設計ではMAX4951がSATA信号をeSATAレベルに増強するために採用されています。
結論
多くの新しいラップトップ/デスクトップ設計はeSATAデバイスを搭載しなければなりません。ほとんどの設計者はノースブリッジを制御することができないため、ある種のアクティブなリドライバを使用してボード上の損失を吸収しなければなりません。MAX4951のリドライバは6dB以上減衰された最小のSATA出力レベルを受け取り、eSATA規格に適合する出力信号を作り出すことができます。リドライバは入力と出力がクロスオーバ、ビア、または他のレイアウトのトリックがなく入力と出力が単純に流れるようにレイアウトされます。追加部品は少しのバイパスおよび結合コンデンサのみです。MAX4951はホスト伝送路を終端し、完全なeSATAのクリーンな出力によって、最長2mまでの外部のeSATAハードドライブを駆動できます。
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