±5%に調整されたトリプル出力の高効率PoE (Power over Ethernet)電源

2023年03月15日
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説明

概要

PoE電源に利用可能な最大入力電流は、PD電力の分類によって決まります。クラス0のPD電力分類についての最大PD電力は、12.95ワットです。また、クラス1のPD電力分類についての最大PD電力は、3.85ワットです。このアプリケーションノートでは、すべての出力で±5%に調整されたトリプル出力の3.12ワット高効率PoE電源について説明します。

電源の主な特長

  • 275kHzのスイッチング周波数
  • IEEE 802.3af準拠の電源
  • IEEE 802.3af準拠のPoEインタフェースとPWMコントローラを単一16ピンSOPパッケージで実現(MAX5941A)
  • 電源用フライバックトポロジ
  • すべての出力で同期整流
  • 絶縁電圧が1500VACの絶縁出力
  • すべての出力を±5%に調整
  • 出力は、+3.3V (@ 0.2A)、+2.5V (@ 0.6A)、および+1.2V (@ 0.8A)

電源の動作説明

図1は、MAX5941AのIEEE 802.3af準拠のPoEインタフェースと電流モードPWMコントローラ(U2)を使用した、トリプル出力のPoE電源の回路図です。電源には、3.3Vと2.5V出力の同期整流を備えたフライバックトポロジと、1.2V出力のための3.3Vの同期整流を備えたバックコンバータがあります。この回路図には、入力部分のダイオードブリッジは含まれていません。

IEEE 802.3af準拠のPoEインタフェース回路セクション

MAX5941A ICの半分は、PoEインタフェース部分に当てられています。ダイオードブリッジからのDC出力は、コンデンサC10間に現れます。ツェナダイオードD4は、MAX5941Aでの過電圧を阻止しています。MAX5941Aの内部ホットスワップMOSFETは、39Vでターンオンして、徐々にコンデンサC6を40Vに充電します。突入電流は、MOSFETのターンオン制御によって制限されます。PGOOD信号は、コンデンサC6がほぼ入力電圧に充電されるとハイになります。R10はPD検出抵抗で、R25は分類抵抗です。

PWMセクション

MAX5941Aのもう半分は、PWMセクションです。PWMは、コントローラのPWM部に電力が与えられると動作を開始します。ソフトスタートコンデンサC14は、電源トランスの1次ピーク電流を徐々に増加します。

図1. 電源の回路図(PDFダウンロード)

図1. 電源の回路図(PDFダウンロード)

電源の部品リスト
Designator QTY Description
C1, C5, C7 3 Ceramic capacitor 100µF, 6.3V, X5R, 10% (1210)
C10 1 Ceramic capacitor 0.1µF, 100V, X7R, 20% (1206)
C11 1 Ceramic capacitor 0.47µF, 16V, X7R, 20%, (0805)
C12, C15, C17, C19, C20 5 Ceramic capacitor 0.1µF, 16V, X7R, 20% (0603)
C13 1 Ceramic capacitor 4700pF, 100V, X7R, 20% (0603)
C14 1 Ceramic capacitor 1000pF, 50V, X7R, 20% (0603)
C16 1 Ceramic capacitor 0.33µF, 25V, X7R, 20% (0603)
C18 1 Ceramic capacitor 47pF, 50V, COG, 20% (0603)
C2 Electrolytic capacitor 4.7µF, 35V
C21 1 Ceramic capacitor 47µF, 6.3V, X5R, 10% (121)
C24, C25, C4 3 Ceramic capacitor 0.1µF, 16V, X7R, 20% (0603)
C26 1 Ceramic capacitor 220pF, 50V, X7$, 20% (0603)
C6 Electrolytic capacitor 22µ, 63V
Panasonic EEVFK1220XP
C8 1 Panasonic EEVFK1220XP
C9 1 Ceramic capacitor 2.2nF, 250VAC, X7R, 20% (2220)
D1, D2, D3, D6 4 Diode 1N4148W (SOD323)
D4 1 Zener Diode SMBJ54 (SMB)
D5-D8 2 Schottky Diode BAT54 (SOT23)
L1 1 Inductor 4.7µH, Coilcraft DO1608C-472
L2, L3 2 Inductor 1µH, Coilcraft DO1608C-102
Q1 1 NPN small signal transistor MMBT3904 (SOT23)
Q2 1 n channel MOSFET 5A, 150V (DPAK)
Fairchild Semiconductor FQD5N15
Q3 1 PNP small signal transistor MMBT3907 (SOT23)
Q6 1 n Channel, logic-level, power trench MOSFET (SOT23)
R1 1 Resistor 4.75k, 1% (0603)
R10 1 Resistor 25.5k, 1% (1206)
R11 Open
R12 1 Resistor 221Ω, 1% (0603)
R14 1 Resistor 2.10K, 1% (0603)
R16 1 Resistor 33Ω, 1% (0603)
R17, R21 2 Resistor 1k, 1% (0603)
R18 1 Resistor 22Ω, 1% (0603)
R19 1 Resistor 1.5Ω, 1% (0805)
R2 1 Resistor 47Ω, 1% (0603)
R22 1 Resistor 7.87k, 1% (0603)
R22 1 Resistor 1M, 1% (0603)
R23 1 Resistor 1M, 1% (0603)
R24 1 Resistor 2.32k, 1% (0603)
R25 1 Resistor 255Ω, 1% (0805)
R26 1 Resistor 10k, 1% (0603)
R3 1 Resistor 100Ω, 1% (0603)
R4 1 Resistor 11.30k, 1% (0603)
R6, R7 2 Resistor 10kΩ, 1% (0603)
R8 1 Resistor 49.9k, 1% (0603)
R9 1 Resistor 22.60k, 1% (0603)
T1 1 Custom transformer Coilcraft C1154-B
T2 1 Gate-drive transformer Pulse Engineering PA0184
U1 1 Dual n Channel 2.5V (G-S) MOSFET (SO8)
Vishay Si9926BDY
U2 1 IEEE802.3aF-compliant POE/PWM Controller (SO16)
Maxim MAX5941A
U3 1 8-Pin SO Error Amplifier Optocoupler (SO8)
Fairchild Semiconductor FOD2712
U4 1 3A 1MHZ Buck Regulator with Internal Switches (QSOP16)
Maxim MAX8505

PWMは、275kHzで動作する電流モードのコントローラであり、85%の最大デューティサイクルです。R19は電流検出抵抗です。電流検出電圧は、PWMコントローラの電流検出端子に供給され、ゲート駆動をNDRV端子で利用できるようになります。初期のバイアスは、MAX5941A内部のコンデンサC8からの入力の内部高電圧レギュレータによって供給されます。そして、一旦スイッチングが開始されて、コンデンサC2の電圧が10Vを超えると、バイアス電力は入力からではなくVDDによって供給されます。

1次ゲート駆動

NDRV出力は、トランジスタQ1とQ3、抵抗R16とR2、コンデンサC18、およびダイオードD1で構成されたトーテムポールバッファに供給されます。バッファによってMOSFET Q2の駆動が遅延されるため、MAX5941Aからのゲート駆動がハイになると直ちに、2次デュアル同期整流MOSFET U1をオフにすることができます。これによって、Q2がオンになるときの2次トランス(T1)での瞬間的な短絡の問題をすべて回避します。

トランスT1

トランスT1には5つの巻線があります。1から始まって12で終わる1次巻線は、SMDボビンを備えたEFD 15コア上の40ターンです。17ターンの1次バイアス巻線は、1次バイアス電力を供給します。3つの2次巻線があり、耐電圧1500VACで1次巻線から絶縁されています。端子5~8上のターンで構成される2次巻線は、3.3Vの出力用です。また、端子6~7上のターンで構成される巻線は、2.5Vの出力用です。端子4~9の巻線は、U1内のMOSFETのターンオン用の駆動巻線を形成し、出力巻線と同相になります。3.3Vと2.5Vの巻線は、これらの巻線間の結合を最大限にするため、2本巻きで巻かれています。

2次整流

デュアルMOSFET U1は、高効率を維持するために、3.3Vと2.5Vの出力での同期整流に使用されています。トランス(T1の端子9、4)の駆動巻線は、U1内のMOSFETのゲートをオンにします。1次MOSFETのQ2がオフになり、同時にQ6がT2によってオフされると、駆動巻線の電圧はプラスになります。MAX5941のNDRV端子がハイになると直ちに、ゲート駆動のトランスT2によってゲートターンオフMOSFETのQ6がオンになり、これによってU1内のデュアルMOSFETがオフになります。このようにして、3.3Vと2.5Vの両方の出力で同期整流が実現されます。

3.3Vと2.5Vのフィードバック部分

U3は、オプトカプラ、誤差フィードバックアンプ、および1.24Vの内部リファレンスを含むICです。2.5Vと3.3Vの出力は、抵抗器R22とR1を通じて誤差アンプに供給されます。フィードバックコントローラは、R24両端の電圧を1.24Vに維持します。これは、U3内の内部誤差アンプのプラス入力に1.24Vの内部リファレンス電圧が供給されるからです。抵抗器R1とR22の値は、R24を流れる電流のほぼ半分が3.3Vから供給され、残りの半分が2.5Vから供給されます。このプロセスおよび同期整流によって、3.3Vと2.5Vの両方の出力で±5%よりも良好な変動率が得られます。フィードバック部分のその他の部品は、C11、C15、R13、R14、およびR21です。抵抗器R21は、オプトカプラの導通中に、誤差アンプ出力に流れる最小電流を維持しています。

1.2Vの出力セクション

1.2Vの出力は、同期整流を用いたバックレギュレータによって3.3Vから得られます。U4 (MAX8505)は、同期整流に必要なコントローラとMOSFETの両方を含んだバックレギュレータPWM ICです。1.2VのDC安定化出力は、コンデンサC20とC21の両端で得られます。

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