説明
概要
PoE電源に利用可能な最大入力電流は、PD電力の分類によって決まります。クラス0のPD電力分類についての最大PD電力は、12.95ワットです。また、クラス1のPD電力分類についての最大PD電力は、3.85ワットです。このアプリケーションノートでは、すべての出力で±5%に調整されたトリプル出力の3.12ワット高効率PoE電源について説明します。
電源の主な特長
- 275kHzのスイッチング周波数
- IEEE 802.3af準拠の電源
- IEEE 802.3af準拠のPoEインタフェースとPWMコントローラを単一16ピンSOPパッケージで実現(MAX5941A)
- 電源用フライバックトポロジ
- すべての出力で同期整流
- 絶縁電圧が1500VACの絶縁出力
- すべての出力を±5%に調整
- 出力は、+3.3V (@ 0.2A)、+2.5V (@ 0.6A)、および+1.2V (@ 0.8A)
電源の動作説明
図1は、MAX5941AのIEEE 802.3af準拠のPoEインタフェースと電流モードPWMコントローラ(U2)を使用した、トリプル出力のPoE電源の回路図です。電源には、3.3Vと2.5V出力の同期整流を備えたフライバックトポロジと、1.2V出力のための3.3Vの同期整流を備えたバックコンバータがあります。この回路図には、入力部分のダイオードブリッジは含まれていません。
IEEE 802.3af準拠のPoEインタフェース回路セクション
MAX5941A ICの半分は、PoEインタフェース部分に当てられています。ダイオードブリッジからのDC出力は、コンデンサC10間に現れます。ツェナダイオードD4は、MAX5941Aでの過電圧を阻止しています。MAX5941Aの内部ホットスワップMOSFETは、39Vでターンオンして、徐々にコンデンサC6を40Vに充電します。突入電流は、MOSFETのターンオン制御によって制限されます。PGOOD信号は、コンデンサC6がほぼ入力電圧に充電されるとハイになります。R10はPD検出抵抗で、R25は分類抵抗です。
PWMセクション
MAX5941Aのもう半分は、PWMセクションです。PWMは、コントローラのPWM部に電力が与えられると動作を開始します。ソフトスタートコンデンサC14は、電源トランスの1次ピーク電流を徐々に増加します。
図1. 電源の回路図(PDFダウンロード)
Designator | QTY | Description |
C1, C5, C7 | 3 | Ceramic capacitor 100µF, 6.3V, X5R, 10% (1210) |
C10 | 1 | Ceramic capacitor 0.1µF, 100V, X7R, 20% (1206) |
C11 | 1 | Ceramic capacitor 0.47µF, 16V, X7R, 20%, (0805) |
C12, C15, C17, C19, C20 | 5 | Ceramic capacitor 0.1µF, 16V, X7R, 20% (0603) |
C13 | 1 | Ceramic capacitor 4700pF, 100V, X7R, 20% (0603) |
C14 | 1 | Ceramic capacitor 1000pF, 50V, X7R, 20% (0603) |
C16 | 1 | Ceramic capacitor 0.33µF, 25V, X7R, 20% (0603) |
C18 | 1 | Ceramic capacitor 47pF, 50V, COG, 20% (0603) |
C2 | Electrolytic capacitor 4.7µF, 35V | |
C21 | 1 | Ceramic capacitor 47µF, 6.3V, X5R, 10% (121) |
C24, C25, C4 | 3 | Ceramic capacitor 0.1µF, 16V, X7R, 20% (0603) |
C26 | 1 | Ceramic capacitor 220pF, 50V, X7$, 20% (0603) |
C6 | Electrolytic capacitor 22µ, 63V | |
Panasonic EEVFK1220XP | ||
C8 | 1 | Panasonic EEVFK1220XP |
C9 | 1 | Ceramic capacitor 2.2nF, 250VAC, X7R, 20% (2220) |
D1, D2, D3, D6 | 4 | Diode 1N4148W (SOD323) |
D4 | 1 | Zener Diode SMBJ54 (SMB) |
D5-D8 | 2 | Schottky Diode BAT54 (SOT23) |
L1 | 1 | Inductor 4.7µH, Coilcraft DO1608C-472 |
L2, L3 | 2 | Inductor 1µH, Coilcraft DO1608C-102 |
Q1 | 1 | NPN small signal transistor MMBT3904 (SOT23) |
Q2 | 1 | n channel MOSFET 5A, 150V (DPAK) |
Fairchild Semiconductor FQD5N15 | ||
Q3 | 1 | PNP small signal transistor MMBT3907 (SOT23) |
Q6 | 1 | n Channel, logic-level, power trench MOSFET (SOT23) |
R1 | 1 | Resistor 4.75k, 1% (0603) |
R10 | 1 | Resistor 25.5k, 1% (1206) |
R11 | Open | |
R12 | 1 | Resistor 221Ω, 1% (0603) |
R14 | 1 | Resistor 2.10K, 1% (0603) |
R16 | 1 | Resistor 33Ω, 1% (0603) |
R17, R21 | 2 | Resistor 1k, 1% (0603) |
R18 | 1 | Resistor 22Ω, 1% (0603) |
R19 | 1 | Resistor 1.5Ω, 1% (0805) |
R2 | 1 | Resistor 47Ω, 1% (0603) |
R22 | 1 | Resistor 7.87k, 1% (0603) |
R22 | 1 | Resistor 1M, 1% (0603) |
R23 | 1 | Resistor 1M, 1% (0603) |
R24 | 1 | Resistor 2.32k, 1% (0603) |
R25 | 1 | Resistor 255Ω, 1% (0805) |
R26 | 1 | Resistor 10k, 1% (0603) |
R3 | 1 | Resistor 100Ω, 1% (0603) |
R4 | 1 | Resistor 11.30k, 1% (0603) |
R6, R7 | 2 | Resistor 10kΩ, 1% (0603) |
R8 | 1 | Resistor 49.9k, 1% (0603) |
R9 | 1 | Resistor 22.60k, 1% (0603) |
T1 | 1 | Custom transformer Coilcraft C1154-B |
T2 | 1 | Gate-drive transformer Pulse Engineering PA0184 |
U1 | 1 | Dual n Channel 2.5V (G-S) MOSFET (SO8) |
Vishay Si9926BDY | ||
U2 | 1 | IEEE802.3aF-compliant POE/PWM Controller (SO16) |
Maxim MAX5941A | ||
U3 | 1 | 8-Pin SO Error Amplifier Optocoupler (SO8) |
Fairchild Semiconductor FOD2712 | ||
U4 | 1 | 3A 1MHZ Buck Regulator with Internal Switches (QSOP16) |
Maxim MAX8505 |
PWMは、275kHzで動作する電流モードのコントローラであり、85%の最大デューティサイクルです。R19は電流検出抵抗です。電流検出電圧は、PWMコントローラの電流検出端子に供給され、ゲート駆動をNDRV端子で利用できるようになります。初期のバイアスは、MAX5941A内部のコンデンサC8からの入力の内部高電圧レギュレータによって供給されます。そして、一旦スイッチングが開始されて、コンデンサC2の電圧が10Vを超えると、バイアス電力は入力からではなくVDDによって供給されます。
1次ゲート駆動
NDRV出力は、トランジスタQ1とQ3、抵抗R16とR2、コンデンサC18、およびダイオードD1で構成されたトーテムポールバッファに供給されます。バッファによってMOSFET Q2の駆動が遅延されるため、MAX5941Aからのゲート駆動がハイになると直ちに、2次デュアル同期整流MOSFET U1をオフにすることができます。これによって、Q2がオンになるときの2次トランス(T1)での瞬間的な短絡の問題をすべて回避します。
トランスT1
トランスT1には5つの巻線があります。1から始まって12で終わる1次巻線は、SMDボビンを備えたEFD 15コア上の40ターンです。17ターンの1次バイアス巻線は、1次バイアス電力を供給します。3つの2次巻線があり、耐電圧1500VACで1次巻線から絶縁されています。端子5~8上のターンで構成される2次巻線は、3.3Vの出力用です。また、端子6~7上のターンで構成される巻線は、2.5Vの出力用です。端子4~9の巻線は、U1内のMOSFETのターンオン用の駆動巻線を形成し、出力巻線と同相になります。3.3Vと2.5Vの巻線は、これらの巻線間の結合を最大限にするため、2本巻きで巻かれています。
2次整流
デュアルMOSFET U1は、高効率を維持するために、3.3Vと2.5Vの出力での同期整流に使用されています。トランス(T1の端子9、4)の駆動巻線は、U1内のMOSFETのゲートをオンにします。1次MOSFETのQ2がオフになり、同時にQ6がT2によってオフされると、駆動巻線の電圧はプラスになります。MAX5941のNDRV端子がハイになると直ちに、ゲート駆動のトランスT2によってゲートターンオフMOSFETのQ6がオンになり、これによってU1内のデュアルMOSFETがオフになります。このようにして、3.3Vと2.5Vの両方の出力で同期整流が実現されます。
3.3Vと2.5Vのフィードバック部分
U3は、オプトカプラ、誤差フィードバックアンプ、および1.24Vの内部リファレンスを含むICです。2.5Vと3.3Vの出力は、抵抗器R22とR1を通じて誤差アンプに供給されます。フィードバックコントローラは、R24両端の電圧を1.24Vに維持します。これは、U3内の内部誤差アンプのプラス入力に1.24Vの内部リファレンス電圧が供給されるからです。抵抗器R1とR22の値は、R24を流れる電流のほぼ半分が3.3Vから供給され、残りの半分が2.5Vから供給されます。このプロセスおよび同期整流によって、3.3Vと2.5Vの両方の出力で±5%よりも良好な変動率が得られます。フィードバック部分のその他の部品は、C11、C15、R13、R14、およびR21です。抵抗器R21は、オプトカプラの導通中に、誤差アンプ出力に流れる最小電流を維持しています。
1.2Vの出力セクション
1.2Vの出力は、同期整流を用いたバックレギュレータによって3.3Vから得られます。U4 (MAX8505)は、同期整流に必要なコントローラとMOSFETの両方を含んだバックレギュレータPWM ICです。1.2VのDC安定化出力は、コンデンサC20とC21の両端で得られます。
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